白き異界の魔王1話

XV級艦船「クラウディア」:クロノ・ハラオウン
クラウディアは一隻の小型次元航行船を追跡していた。
小型の次元航行船の追跡にXV級を使うのは、いかにも大げさすぎたがそこにロストロギアが積まれており、それを使用すれば巡行艦を落とすのも難しくないとすれば決してやりすぎだとは誰も考えていなかった。
「10分後、目標は本艦の射程に入ります」
「そうか。ようやく、追いついたな。目標に逃げられんように注意してくれ」
クロノは顎をかみしめる。
次元航行船には名うての次元犯罪者とロストロギア。
「大丈夫ですよ。進路上には次元障壁があります。そこと挟んでやれば逃げられようがありませんよ」
それをもうすぐ逮捕できる高揚感にオペレーターの声は幾分踊っているように聞こえた。

だが、その高揚はすぐに冷たいものに変わった。
小型船はそのサイズからは考えられないような魔力光を放つ。
その光は次元障壁に穴をうがち、小型船を次元障壁の中に導いた


XV級艦船「クラウディア」:八神はやて
改造された内火艇の最終チェックをしていたはやてが顔を上げると、そこにはクロノがいた。
「いけそうか?」
「バッチリや。さすが、クラウディアのスタッフは一流やな」
内火艇はこの数年使われていなかった装備が積まれている。
管理世界や、管理外世界でもなく、観測指定世界でもない。
未確認世界への突入、捜査、探索を目的にした装備だ。
「どこかの管理外世界にでも逃げ込むのかと思っていたんだが・・・まさか次元障壁の向こうとはな」
「犯人はこっちの都合なんて考えてくれんからなぁ」
次元空間に浮かぶ空間のねじれが集まったような場所、そこが次元障壁と呼ばれている領域だ。
発見以来、何者の侵入も許しておらず、いかなる探査をも受け付けない。
その場所に今、明らかに穴ができていた。
今はそこを通して別の次元空間と新たな世界の存在のみが確認できる。
詳細はまったく不明だ。
「この任務、拒否してくれてもよかったんだぞ。六課はレリック専任だし、何より未知の世界への突入は危険が大きい」
「そのことについては話会うたやろ。それに、今はステラの方が危険や」
クロノは数回空間を叩いてロストロギア「ステラ」のファイルを開く。
そこには、ステラについての様々事項がまとめられている。
強力な魔力ブースターであること、現在はインテリジェンスデバイス、オッドのパーツになっていること、暴走すれば破壊を伴った次元震をおこすこと。
そして、次の暴走がごくごく近いうちにおこること。
「大規模な次元災害も予想される・・・か。確かにな」
「それより、道の方をちゃんと作ってな。船には無理させるみたいやけど」
最後の項目を確認し、チェックをつける。
「ああ、任せておけ。アルカンシェルの準備はすでにできている」
クロノは親指を立ててそれに答えた。


内火艇:高町なのは
内火艇に搭乗しているのはなのは、フェイト、スバル、ティアナ、エリオ、キャロ、はやて、それから内火艇パイロットにヴァイスの8人。
ヴァイスをのぞいて突入時の不測の事態に対応するためにバリアジャケットを着ている。
「ヴァイス君。よろしくね」
「任せてください。こうなったら、地獄の底でも行きますよ」
通信機が鳴り、ブリッジとつながる。
「時間がない。すぐにはじめるぞ。準備はいいか?」
「うん、おねがい」
次元障壁に向け、内火艇がゆっくり進む。

次元障壁に小型艇により作られた窪みに放たれる全力のアルカンシェル5発。
これにより障壁を揺らせて窪みは再び穴となった。
これでようやく小型艇が放った魔力光と同じ事ができたことになる。
内火艇が穴をくぐると同時に再び窪みになっていく。
アルカンシェルの全力運転はクラウディアにとり大きな負担となった。
次に同じ事ができるのはしばらく先になる。


自宅:緋室灯
その部屋には、あるべきはずのものの多くがなかった。
何よりないものは生活感。
あるのはベッドと冷蔵庫、それに電話のみ。
その生活感のない部屋の住人、緋室灯はベッドに座り、フェレットのどんぺりをなでていた。
唐突に電話が鳴る。
この電話にかけてくる者は1人しかいない。
彼女の所属する傭兵斡旋企業絶滅社の上司だけ。
話される事項もただ一つ。
任務のみ。
「緊急の任務だ。すぐに君には現地に向かってもらう。目的は世界結界を破り、その向こうからやってきたものの排除だ」
任務を告げる声に対する彼女の答えもまた一つ。
「・・・はい」
ただそれだけ。
電話を切る。
灯は窓を開け、何もない空間から巨大な銃、ウィザード専用遠距離攻撃箒ガンナーズブルームを取り出す。
「いってくるね、どんぺり」
灯を乗せたガンナーズブルームは深い夜に消えていった。


自宅:柊蓮司
その日の柊は幸運だった。
なんと学校に行けたのだ。
途中で車でさらわれたり、ヘリでさらわれたり、落とし穴に問答無用で落とされてどっかみしらぬ場所に送られたり、あまつさえ隕石の直撃を受けることなく校門をくぐれたのだ。
これは数週間ぶりの快挙だ。
さらに授業を最後まで受けることができた上に成績まで上がった。
すごい、すごいぞ柊蓮司。
ついでに預金金額まで上がっていた。
今日は柊デーだ。
何事もなければ今日は人生最良の日なりそうだ。
何事もなければ。

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2007年06月29日(金) 19:04:32 Modified by beast0916




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