白き異界の魔王2話

内火艇:八神はやて
次元障壁を通過する内火艇は激しく揺さぶられる。
普通、次元世界への侵入にこんな事はない。
いつもは転送を使っているはやて達には大気圏突入を思わせるこの振動がより激しく感じていた。
「次元障壁突破しました」
「よし。ほな、スターズは内火艇のチェック、それから外部のモニターも。ライトニングはクラウディアとの接続を」
「了解」
なのは達の前に空間モニターが展開される。
このような作業に慣れていないはずのフォワードも思いの外スムーズに作業が行えている。
「クラウディアとの接続完了しました」
はやての方に向いたエリオが報告をする。
「はやて・・・ちゃん・・・せつぞく・・・できました。・・・・そちら・・・ですか」
声がなければモニターに映るのがリィンフォース兇箸呂錣らないほどに歪んでいる。
その声もなんとか聞き取れるくらいでしかなく、雑音が激しい。
「こっちは大丈夫や。リィン、帰りの準備しっかりな」
「は・・・」
雑音は少しずつ激しくなっている。
「キャロ、回線の調子はどうにかならんの?」
「だめです。障壁通過時のデータ損耗が激しくてこれ以上は」
空中に浮き出るキーボードをいくら必死で叩いても状況はよくならない。
「仕方ないな。以降、クラウディアとのリアルタイム通信はやめや。圧縮データによる通信に切り替えや。送受信の確実性を最優先にしてな」
「わかった。冗長性を最大にしておく」
フェイトがキーを数回叩き、設定を変えていく。
これでデータは損耗なく送受信される。
「ティアナ、外の状況どうなってるん?」
「ちょっと待ってください。クラウディアへの送信・・・開始」
内火艇に装備されたセンサーからの情報は即応性を高めるために内火艇で分析されると同時に、クラウディアへも送信され詳しく分析される。
このデータの送信が最優先されるために、メッセージの送信はまとめて行われ、手紙のやりとりのようになる。
「でました・・・大気組成は窒素78%、酸素21%、アルゴン1%。他に二酸化炭素や水蒸気がありますが呼吸は十分可能です。気温、その他の条件を考えても特別な装備無しで活動可能です。それから・・・・え?すいませんもう一回確認させてください」
ティアナは不審なデータを見つける。
これが正しい分析であるはずがなかった。
もう一回、もう一回・・・だが何度やっても変わらない。
「ティアナ。今の結果を教えて」
「はい。分析結果は・・・95%でこの惑星が第97管理外世界の地球・・・となっているんです」
なのはとはやてにフェイトが目を向ける。
なのはもはやても少し動きを止めていた。
「95%・・・少し低いような気もするな」
「でも、誤差範囲なんです。おかしいですよ、こんなの」
「せやな・・・クラウディアに第97管理外世界に侵入している管理世界のもんを合法、非合法問わずに知らせるよう伝えてて」
エリオのキーを叩く音が響いた。

内火艇:高町なのは
「この惑星が第97管理外世界の地球」
それを聞いたとき、なのはの頭には家族と友達の顔が浮かんできた。
危険な・・・危険すぎるロストロギアの近くにみんながいるかも知れない。
「クラウディアからの返信、来ました。第97管理外世界で確認されているのはグレアム元提督1人のみです。他は確認されていません」
キャロの報告がただの音として頭の中で回っている。
「なのはさん・・・」
スバルの声が聞こえた。
意識が戻ってくる。
キャロの言葉がやっと頭に染みこんできた。

内火艇:スバル・ナカジマ
「この惑星が第97管理外世界の地球」
それを聞いたとき、反射的にスバルはなのはを見た。
スバルは息をのんだ。
そこにいたのはエースオブエース、高町なのはではなく不安をあらわにしているただの少女、高町なのはだったから。
「クラウディアからの返信、来ました。第97管理外世界で確認されているのはグレアム元提督1人のみです。他は確認されていません」
なのはの目が泳いでいるようだ。
「なのはさん・・・」
それに答え、なのはが振り返る。
スバルは安心した。
そこにいるのは、やっぱりエースオブエース、高町なのはだったから。


ビル屋上:緋室灯
風の強い屋上で灯は長い赤毛をなびかせながら待っていた。
絶滅社の上司は侵入者がここの屋上近辺を通過すると言ってた。
灯はそれを狙撃し、撃墜するためにここにいる。
いくらかもしないうちに見知らぬ物・・・それでも乗り物だとわかるものが遙か上空からおりてきた。
明らかにこの世界の物ではない。
侵入者だ。
ガンナーズブルームを構え目標を照準におさめる。
狙いは推進機関らしき場所。
照準は固く細い棒で目標と固定されたようにぶれない。
まだ。
まだ遠い。
まだ。
息は浅く、長く。
決して焦らず、必中の距離に来るまで目標を待つ。
まだ。
まだ。
      • ・・・・
いま!
灯の指がトリガーに触れる。
撃発。
銃身内を高速で弾丸が突き進み、灯の魔力を帯びながら光を発し、輝く。
魔力を帯びた弾丸は通常のそれより、遠く、強く、さらに強く飛んでいく。
弾丸は目標を貫き、砕き、破壊した。

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2007年06月30日(土) 21:25:42 Modified by beast0916




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