白き異界の魔王5話

今までの話数で伝えきれなかった事項があるので、ここでそれを明確にしてしておきたいと思います。

1.緋室灯は第六課メンバー全員がエミュレーターだと認識している。
2.第六課メンバーは今いる場所(次元障壁を抜けて来た場所)が第97管理外世界だと認識している。
これは、内火艇の危機で観測したデータを検索した結果によっている。
3.クラウディアとの通信により、正式な手続きで第97管理外世界に居る魔道師はグレアムもと提督のみと認識している。
4.2と3より、第六課が現地で接触した魔道師は全て管理世界から来た不法な手段で管理外世界に侵入した犯罪者と判断できる。
5.魔道師およびライトニング以外を弾く結界を張った結果、緋室灯は結界内に残った。これにより緋室灯は魔道師だと認識できる。
6.緋室灯は魔道師であり、グレアム元提督ではないので不法な手段で侵入した犯罪者の魔道師だと認識できる。
7.以上により、機動第六課は緋室灯を管理世界の犯罪魔道師として対応している。
備考
1.機動第六課は現段階では緋室灯の名前を知らない。
2.八神はやては内火艇の観測結果と検索結果に不審を抱いているが詳細情報の分析結果が出る前に緋室灯りの襲撃を受けた。

以上のことを念頭に置いた上で、以下のSSをお読み下さい。


結界内空:スバル・ナカジマ
効果を続ける内火艇がビルの間に入る。
襲撃者が射線を取りにくくなるとスバルとティアナは飛び出した。
「スバル!シフト11番よ」
「わかった!」
2本のウィングロードがマッハキャリバーから延びていく。
一本は落ちるなのはを中心に螺旋を描きながら地上へ。
もう一本のウィングロードは急勾配をつけて同じ場所に延びていく。
スバルは螺旋のウィングロードに乗り加速をつけながらなのはに追いつく。
「とどいたっ!」
なのはの襟をつかんで引き寄せ、抱きかかえる。
「ブレーキっ」
減速はかかるが地面が見る見るうちに近づいていく。
螺旋を使って長くしたウィングロードでもまだ止まるには距離が足りない。
「スバル!」
「ティナ!」
今度は先に急勾配のウィングロードでおりていたティナが両手を広げて待っている。
スバルを抱き止める。
少し地面をこすって、ティナが尻餅をついてやっと止まった。
「止まったぁ」
2メートル先には壁がある。
なのはを抱えたままの激突はしたくなかった。
「それより、なのはさんは?」
「そうだ!なのはさん、なのはさん!」
なのははまぶたをぎゅっと閉め、それからゆっくりと開けていく。
「スバル・・・ティアナ・・・そっか、助けてもらったんだ。ありがとう」
スバルはとっさに反応できなかった。

結界内地上内火艇:八神はやて
スターズからの連絡を受けたはやては息を一つ吐く。
「そうか、なのはちゃんは無事か。ほっとしたよ」
「八神隊長」
エンジンを見に行ったヴァイスが呼んでいる。
「どう、まだ飛べる?」
内火艇には多くの機材を乗せている。
いざとなったら空を飛るが機材は捨ててしまうことになる。
今の段階で機材を捨てることはできない。
「20・・・いえ、15分下さい。それで、飛べるようにはしてみます」
「そか、15分やね」
長くはないが短くもない時間。
その間に襲撃者が再び内火艇を攻撃することは可能だし、そうなれば再び飛べなくなる。
「なのはちゃん、聞こえた?15分、足止め行ける?」
「15分だね。いいよ、そっちには絶対行かせない」
「ごめんな、まかせたよ」
念話の接続を切る。
はやては空中に浮かぶキーボーを叩き、内火艇のチェックを再開した。

結界内地上:高町なのは
「15分・・・か」
「なのはさん、大丈夫なんですか?」
スバルが子犬のような顔をしている。
「うん、平気平気」
脇腹の痛む場所に気づかれないように手を当てる。
「それで、どうするんです?15分間隠れているとか」
「それはダメ。近寄られたら守りようがないよ」
「だったら、討って出ますか?」
「そうね。少し危険だけど、その方がいいよね」
「それだったら!」
駆け出そうとするスバル。
「まって」
なのはに止められる。
「これを見て」
スバルとティアナはなのはの手のひらにある金属の固まりを見る。
「これ・・・なんなんですか」
「昔、本で見たような気はするんですけど・・・」
「二人はあんまり見たことないよね。これはね、銃弾。つまり、質量兵器」
「質量兵器?そんなものを!?」
「そう、しかも魔力で威力を強化している。逆かも知れないけど。二人のバリアやシールドだけじゃ防ぎきれない。だから・・・」
なのはの指示に二人は息をのむ。
「そんな、無茶です。なのはさんが危険です」
「無茶じゃないよ。さっきと違って、今度は三人だから。それから、ティナ。後の指揮はおねがいね。私は防御に集中するか」
「・・・はい」
ティアナのクロスミラージュを握る手に力がこもった。

結界内ビル屋上:緋室灯
エミュレイターも船もビルの陰に隠れてしまった。
ここからではどちらも見えない。
エミュレイターが待ちに入るか、討ってくるか・・・少しだけ様子を見る。
光が見えた。
魔力の光だ。
白い女のエミュレイターが光を強めていく杖をこちらに構えているのがビルの間に見えた。
逆方向に光の道が自分の方へ2本伸びてきた。
片方からはローラーブレードの少女、もう片方からは二丁拳銃の少女が走ってくるのが見える。
急いで白い女に照準を合わせる。
白い女がピンクの光を放ってきた。
引き金を引いて身を翻す。
「・・・・・・・ああああああっ!」
間に合わない。
ピンクの光が広がっていった。

結界内空:高町なのは
ディバインバスター発射後にバリアを展開。
その途端、シールドがはじけ銃弾が左腕を打つ。
「あ・・・くぅっ」
腕の感覚がなくなった。
でもまだ動く。
もう一度シールドを張る。
より魔力を込めて。
敵の隙を待つ。
次の攻撃がない。
「倒したの?」
杖を下ろす。
あっけなさ過ぎた。
これでは倒せないはずだった。
なのはは空を見た。
そこには巨大な銃に乗った赤い長髪の少女がいた。

結界内空:緋室灯
このままでは接近戦は避けられないと確信したとき、灯はガンナーズブルームと共に空に舞った。
狙うのは白い女。
動きも風格も接近戦を挑むべく走っている二人とは比べものにならない。
さらに攻撃魔法の魔力も恐ろしく大きい物だった。
「・・・・もしかして、魔王級?」
なら、なおさらここで押さえなければならない。
白い女の真上につけ急降下。
ぎりぎりまで近づく。
白い女が灯を見た。
トリガーを引く。
急速に展開された魔法陣に防がれたが、バランスを崩した白い女は落ちていく。
再びトリガー。
弾丸を受けた女は地面に激突。
土煙の中、灯は女の横に降り立ち銃口を突きつける。
「・・・終わりよ。エミュレーター」
「ううん、まだ終わりじゃないよ」
トリガーに触れようとする灯の指が止まる。
「だって、スターズはまだ終わってないから」
次の瞬間、灯の体は宙を舞っていた。

結界内ウィングロード:ティアナ・ランスター
話は少しさかのぼる。
ウィングロードを走るティアナもなのはと同じ疑問を抱いていた。
第2射が遅すぎることを。
このまま自分たちの接近を許す相手とも思えなかった。
「なのはさんのディバインバスターで気絶している可能性は・・・除外ね」
敵を甘く見るのは指揮を託された者としてはあってはならない。
「なら、接近戦に応じる気?」
これも除外。
なのはを砲撃可能な状態にするとは思えない。
なら・・・
「まさか!スバル、戻って!」
「え?でも作戦はこのまま行くんじゃ」
「いいから!敵はこっちじゃない」
ティアナは地面逆に蹴り、ウィングロードを逆走する。

結界内ウィングロード始点:スバル・ナカジマ
戻った先には、倒れているなのは。
それに銃を突きつけている赤い長髪の少女。
「マッハキャリバー!」
「OK」
回転と加速を最高にして少女に肉薄する。
「だぁああああああああっ」
気合いと共に左ストレート。
赤い少女は空中の2回転して地面に落ちる。
だが、まだ倒せていない。
少女は立ち上がる。
スバルは渾身の魔力を右手に集中させた。
「一撃必殺!」
リボルバーナックルはうなりを上げ回転する。
「ディバイン・・・バスターーーーっ」
魔力光と拳が赤い少女にたたき込まれる。
赤い少女は壁を破壊しながらビルの中へ、もう一度破壊しながらビルの外へ。

結界内地上:ティアナ・ランスター
クロスミラージュを持つ手を交差させ待ちかまえる。
スフィアは周囲に展開済み。
目の前の壁が吹き飛び、両手を空にした少女が転がり出てきた。
「クロスファイア・・・」
スフィアが竜巻のように回転をはじめる。
「シューーーーートっ」
スフィアの竜巻に巻き込まれ赤い少女が再び宙を舞い、落ちる。
倒れている少女に近づき少女に銃口を向ける。
「質量兵器禁止違反・・・やってくれたわね」
少女が目を開けた。
「あなた、もう両手じゃ数えられないくらいの罪に問われるのをわかってるんでしょうね」
クロスミラージュの銃口に光がともり、大きくなっていく。
「あんたなんかに、なのはさんが!」
非殺傷設定は解除していた。
「待って、ティアナ!」
スバルに支えられたなのはがいた。
ビルの穴をくぐって歩いてくる。
「ダメだよ、ティアナ・・・。それに、話を聞かせてもらわないと」
次になのはは赤い髪の少女を見る。
「それから、あなたのお話も聞かせてね」
少女に笑顔を向けたなのははそのまま崩れ落ちた。

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2007年07月15日(日) 12:26:50 Modified by beast0916




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