なのはA's×ギアス5話

8月末、妹が突然腹部に激痛を訴えて病院に担ぎこまれた
一通りの診察を終えた後で僕達は担当の医師に呼び出された・・・
「はやてさんの下腹部の内臓の機能が極端に低下しています、このままだと
はやてさんに入院してもらわねばならなくなるかも知れません・・・」
「えっ、入院、ですか・・・?」
僕は愕然としていた・・・まさか、そんな・・・
「原因は?治る見込みはあるんですか?」
「それが・・・原因は不明なんです・・・」
「不明って、そんな・・・!」
「・・・はやてさんの足の障害にしても言えることなのですが、肉体的な異常は
全く見受けられないのです・・・少なくとも遺伝や病的なものではありません・・・
心因性によるものなのか、とも考えていましたが、内臓にまで障害が及ぶとなると・・・
以前はこの様な状態では無かったのですが・・・ともかく我々も最善を尽くします
皆さんは気を強くもって下さい」
「・・・」

(シャマル、はやて様の異常の原因を突き止められるか・・・?)
(・・・やってみます・・・やはり身体面の異常は見受けられ・・・
えっ!?これって・・・まさか・・・!)

(・・・くそっ・・・!何故今まで気付かなかったのだ・・・!)
(ごめんなさい・・・私・・・!)
(お前にじゃない、”自分自身”にだ・・・!)
(なぁシャマル、お前治療系得意なんだろ!何とか出来ねーのかよ!)
(違うの、これは”治療”の問題ではないの・・・)
(どういう事なのだそれは・・・)
(闇の書だ・・・闇の書がはやて様の魔力を吸い上げているからのだ・・・
自らの命を保てなくなる程に・・・)
(なっ・・・!何だと・・・!)
(はやて様の足の障害、そして今回の異常はそれが原因で起こったものだ・・・
このままではいずれはやて様の命が・・・)
(・・・なんでだよ、なんでこんな事になるんだよ・・・!)
(しかし何故突然この様な事態になるのだ?これまでに起きていた障害は
足のみであったはずなのに何故内蔵の機能が維持できなくなるほどの魔力不足に陥ったのだ?)
(魔力不足って・・・シャマル、まさか・・・!)
(いいえ、はやて様の行使していた魔法はごく初歩的なものよ・・・
はやて様がここまで衰弱する程の魔力を消費するものでは・・・)
(・・・我等の所為だ・・・)
(何っ!?)
(我等の生命を維持するための魔力は絶えず闇の書より送られている・・・
だが、闇の書の纂集を行っていない現状で我等の生命を支える為の魔力の供給源は
1つしかない・・・!)
(おい!それって・・・)
(そうだ、我等の存在そのものがはやて様の命を蝕んでいるのだ・・・!)
(そんなのって・・・そんなのって有りかよ!!)
(・・・どうするのだシグナム?我等はこのまま手をこまねいて見ているしか無いのか?)
(・・・)

診察室を出て失意のどん底にいた僕は廊下で言い争っているシグナムさん達を見掛けた
「シグナムさん、どうしたんですか?」
「いっ、いえ・・・何でもありません」
(おい、シグナム・・・)
(ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、今話していた事は朱雀様やはやて様には言うな
何があってもだ)
(・・・)
「あの、シグナムさん・・・」
「・・・何でしょうか、朱雀様」
「これから、はやての事で皆さんに迷惑を掛ける事になると思います・・・
ですがどうか、はやての支えになってあげてください・・・
僕達にはあなたがたに頼る他に道が無いんです・・・
どうか御願いです・・・妹の、はやての支えに・・・!」
「朱雀様、どうかお顔を上げてください、我等の使命は主を護ることです
その事は我等は1日たりとも忘れた事はありません
お任せ下さい、はやて様の事は我等が必ず"救けます”」
「有難うございます、シグナムさん・・・」
(シグナム、まさか・・・)

「我等が闇の書の纂集を行えば少なくとも我等の命を支える為の分の魔力の負担は無くなる」
「はやてちゃんが闇の書の支配者になって”エリクシル”を行使できるようになれば・・・」
「はやて様の障害は治る・・・!」
「はやてとの約束だから人殺しはしない、だけどそれ以外なら何だってする!!」
「朱雀様、はやて様、グレイ殿、我等の不義理をお許し下さい・・・」

その日以来、皆は夜遅くまで外出する事が多くなった
酷い時には朝まで帰って来ない時もあった
帰ってきた時の彼女達はいつも憔悴しきっていて、僕や妹が声を掛けても
「大丈夫だから」と僕達に心配を掛けまいとしていた
妹は「他にやることを見つけたからいいんじゃないか」と言っていたが
僕はどうしようもない不安に駆られていた
もしかしたら、彼女達が妹の病を治すために僕達やおじさんとの約束を破って
人殺しをしているのではないのかと・・・
僕は彼女たちを問いただしたかったが、彼女たちとの絆が壊れるのを恐れて
聞くことが出来ずにいた・・・
そしてこの後、僕は自らの運命を覆す「騎士の力」と、友の為に戦う心優しき少女との
悲しき出逢いをする事になる・・・

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2007年06月15日(金) 16:27:25 Modified by beast0916




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