マスカレード0話

ACT.0「胎動」


「大規模な次元振が発生しようとしています!」
「このままでは、この世界は消滅してしまいます!」
「クソ……一体どうなってるんだ!?」

時空管理局本部。
今、彼らはかつてない次元振を目の当たりにしていた。
このままではこの次元世界は消滅してしまうからだ。そう、一人の男によって。




「カブトが隕石に向かっていきます!」
「今更カブト一人に何ができる……」
一方、問題の次元世界にも落下すれば今度こそ人類は滅びるであろう隕石が落下しようとしている。

「……大丈夫です。」
「加賀美?」
「……カブトなら……やってくれますよ……」

ゆっくりと地球に降下する脱出ポッドに乗った仮面ライダーガタック−加賀美新−が地上のZECT本部に通信する。


「……。」
もはや一同には何もできず、ただ黙って巨大隕石に向かってゆくカブトを見ているだけしかできなかった。



「おばあちゃんが言っていた。ちゃぶ台をひっくり返していいのは飯がよほどまずかった時だけだってな」
仮面ライダーハイパーカブト−天道総司−はカブテクターを展開させ、巨大隕石へと突進する。

「さぁ、一緒にドライブだ!7年前のお仲間に合わせてやる!」
隕石に組み付くカブト。
そのままカブトは腰に装着したハイパーゼクターへと手を伸ばす。
「ハイパークロックアップ!!」
『ハイパークロックアップ』



「次元振、発生します!」
「ク……食い止める術はないのか!?」
「無理です!!既に時間の逆行が始まっています!」
「何だと……!?」
さすがの時空管理局でも、天道総司の為す荒業を黙って見ているしかできない。


そして天道のハイパークロックアップによりこの世界は消滅しようとしていた。
全世界に降る雪は、世界の終わりを告げるかのように人々に降り積もる。

それは脱出ポッド内の加賀美にも平等に降り積もる。
「俺はまた……ひよりに会えるんだな……」


そして加賀美を代表としたこの世界の住人達は皆姿を消した。

7年前


天道が未来からハイパークロックアップで持ってきた巨大隕石が現れる。
目の前には7年前に太平洋に落下した巨大隕石。
そしてワームの卵を乗せた二つの隕石は衝突し、砕け散った破片の大半は燃え尽きた。
しかし、破片の一つ燃え尽きずに渋谷に落下する。
そして渋谷は炎上し、多くの人は死に、大きなクレーターを残す。

「助けて!」
ガレキの中で泣き叫ぶ少女の声。
少年は必死に少女に手を伸ばすが、自分にのしかかったガレキが邪魔で届かない。
それでも少年は必死に手を伸ばす。どうしても救いたいのだ。目の前の少女を。
すると少女を救いたいという少年の祈りが通じたのか、空から一人の天使が舞い降りる。
銀色の装甲に覆われ、背中からは光り輝く翼が生えている。頭からカブトムシのような角が生えている。
天使は自分のベルトを外し、少年に差し出した。

「ベルトを巻け」
「……。」
少年は黙ってベルトを巻く。人間に戻った天使を見た少年は、その天使が何故か他人では無いような気がした。言うなれば、まるで太陽のような存在だ。
ベルトを巻き、自分に覆いかぶさったガレキをはねとばした少年は一気に少女の手をつかむ。
「ひより!」
少女の名はひより。そして少年は後の天の道を往く男。
天使−天道総司−は、幼い自分に言う。
「ひよりを頼むぞ……」
その言葉を残し、天道は太陽の様に輝きながら消滅した。

「……大丈夫だ。俺が、ついてる!」
そしてベルトを託された天道はひよりに言うのだった……。




7年後。

高町なのは、12歳。闇の書事件を解決した年から3年の時がたっていた。ちなみに今年で小学6年生になっている。

そしてここから壮絶な戦いが始まろうとしていた……と、常套句を言っておこう。

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2007年07月11日(水) 19:24:23 Modified by beast0916




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