リリカルスクリーム21-1話

「こ、こうなれば!」
ホーンガイストは基地に持ち帰る筈だった十メートル近い彼の体躯でも一抱えはあるような
タンクを抱えると蓋をこじ開けて中身のドリンク剤を豪快に飲み始めた。

「おい!そんなに飲んだらビタミン過剰症になるぞ!カフェインも体に悪いぞ!
というか吐くぞ!悪いことは言わないからよせ!」
「黙れ!このエネルギー源を直接吸収すれば俺様はもはや無敵だ!」

怒鳴るシグナムの声にも耳を貸さずホーンガイストは空になったタンクを放ると得意げに怒鳴った。
「あのタンクの中身って本当にただのドリンク剤なんですか?」
「そのはずだ。機械が飲んでも錆びるだけだと思うが…。」
「ま、まあ根本的に私達とは違う生き物なんだしいろいろと誤解があってもおかしくないんじゃないかな…。」
なのは、ザフィーラ、フェイトの三人が呟いた。
「こんなしょーも無い奴らのためにクロノはあんな目に…。」
「う…うおおお、がああああ!」
ヴィータが怒りとやりきれなさにグラーフアイゼンを持つ手を震わせた
その時、ホーンガイストがもがき苦しみ始めた。同時に彼の体が赤いオーラに
包まれ、全身から蒸気がほとばしりはじめる。
「どうしたんだよホーンガイスト!」
アーマーガイストが後ずさりしながら言った。そして
「お、おかしい。奴のエネルギーが急激に上昇している!」
サウンドブラスターがそう言ったのと同時に突然ホーンガイストが竹の子のごとく巨大化しはじめたではないか。
数秒と経たずしてホーンガイストは身の丈70m近い巨躯へと生まれ変わった。
「ど、どういうことだこりゃあ!」
「あっ!プテラガイスト!これを見なよ!きっとこの成分のせいだぜ!」
おじけるプテラガイストにアーマーガイストが足元に転がっていた瓶を拾って成分表を凝視すると
プテラガイストに見せた。

「なになに〜?老舗和菓子屋の芋ヨーカンから抽出した通称IMO−CHO成分配合…?
この成分で巨大化するのは暴走族だろ。俺達は海賊だぞ。そんなことよりこの隙に逃げようぜ。」

「首が痛たい…。帰って湿布張る…。」
「待ってくれよう!」
サンダーガイストとプテラガイストは先を争って逃げ出しアーマーガイストもそれに続く。

…しかしドリンク剤の成分に何故誰も突っ込まないのだろうか?

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2007年08月12日(日) 11:45:08 Modified by beast0916




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