草野心平の詩から・第二 | クサノシンペイノシカラ・ダイニ | 指示 | 速度 | 調性 | 拍子 | 備考 | |
1 | 雷雨 | ライウ | やや早く、烈しく | 4分音符=約96 | ハ短調 | 2/4 | |
2 | 秋 | アキ | おそく、暗い気分で | 4分音符=約76 | ト短調 | 4/4 | |
3 | 鬼女 | キジョ | 中庸の速度で、不気味に | 2分音符=約83 | ト短調 | 2/2 | 3群 |
4 | 岩手荒巻 | イワテアラマキ | 極めておそく、素朴に | 2分音符=約40 | ニ長調 | 2/2 | Bariton Solo |
5 | 冬 | フユ | 極めて早く、はっきりと | 4分音符=約168 | イ長調 | 4/4 | |
6 | 龍安寺方丈の庭 | リョウアンジホウジョウノニワ | おそく、落着いて | 4分音符=約76 | ハ短調 | 5/4 | |
7 | 竹 | タケ | 可成り早く、しっかりと | 4分音符=約138 | 変ホ長調 | 4/4 | |
8 | 竹 | タケ | 中庸の速度で、さわやかに | 4分音符=約92 | 変ホ長調 | 5/4 | Tenor Solo |
9 | 竹 | タケ | 早く、表情豊かに | 4分音符=約126 | 変ホ長調 | 3/4 | |
10 | オホーツク | オホーツク | 中庸の速度で、おおらかに | 4分音符=約88 | ニ長調 | 2/4 |
合唱コンクールの常連団体からの委嘱作品ということを意識してか、他作品と比べて際立って難易度が高く、挑戦的な作風になっている。多田にしては特殊な技法に凝った作品で人数も必要なためか滅多に演奏されない。
「雷雨」ではクラスターに近い和音で稲光を表現したり、16分音符の難解な激しい動きでおどろおどろ雲や雨の表現を音だけでなく、譜面の見た目から感じるものが曲想を反映している。いずれも詩の持つ緊張感をいかんなく表現しようと試みている。
「秋」ではクラスターを多用し、虫の声を表現している。
「鬼女」は12声部(4部×3群)にまで分かれ、崖へのこだまを表現している。
「龍安寺方丈の庭」は終始単旋律である(ただし完全な斉唱ではなく、部分的にパートソロやオクターブユニゾンが使われている)。また詩に充ちている静けさと厳かさ、存在感を無声音の「KWO」で表現することを歌い手に求める、一種のチャンスオペレーションとなっている。
第7,8,9曲目の「竹」はアタッカで繋げて演奏される。
第8曲の「竹」は原詩によるテクストを歌うのが独唱だけで合唱はバックコーラスのハミングしか歌わない。
「雷雨」ではクラスターに近い和音で稲光を表現したり、16分音符の難解な激しい動きでおどろおどろ雲や雨の表現を音だけでなく、譜面の見た目から感じるものが曲想を反映している。いずれも詩の持つ緊張感をいかんなく表現しようと試みている。
「秋」ではクラスターを多用し、虫の声を表現している。
「鬼女」は12声部(4部×3群)にまで分かれ、崖へのこだまを表現している。
「龍安寺方丈の庭」は終始単旋律である(ただし完全な斉唱ではなく、部分的にパートソロやオクターブユニゾンが使われている)。また詩に充ちている静けさと厳かさ、存在感を無声音の「KWO」で表現することを歌い手に求める、一種のチャンスオペレーションとなっている。
第7,8,9曲目の「竹」はアタッカで繋げて演奏される。
第8曲の「竹」は原詩によるテクストを歌うのが独唱だけで合唱はバックコーラスのハミングしか歌わない。
「雷雨」「鬼女」「龍安寺方丈の庭」「オホーツク」……『天』(新潮社、1951年)
「秋」……『絶景』(青磁社、1948年)
「岩手荒巻」「竹」「竹」「竹」……『牡丹圏』(八雲書林、1948年)
「冬」……『日本沙漠』(1948年、青磁社)※「竹林寺幻想」という連作詩の一篇。
なお「冬」については『牡丹圏』に収録される際に改作されており、改作版が「草野心平詩集」(豊島与志雄編 新潮文庫)に掲載されている。改作版の詩は本曲で用いられているものと大きく異なる。
「秋」……『絶景』(青磁社、1948年)
「岩手荒巻」「竹」「竹」「竹」……『牡丹圏』(八雲書林、1948年)
「冬」……『日本沙漠』(1948年、青磁社)※「竹林寺幻想」という連作詩の一篇。
なお「冬」については『牡丹圏』に収録される際に改作されており、改作版が「草野心平詩集」(豊島与志雄編 新潮文庫)に掲載されている。改作版の詩は本曲で用いられているものと大きく異なる。
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このページへのコメント
(以下、京都産業大学グリークラブOB会BBSより引用。角括弧内の注は投稿者による)
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[※第14回定期演奏会の]第3ステージで、多田武彦先生委嘱作品・男声合唱組曲『草野心平の詩から・
第二』を吉村先生の指揮で初演しました。
(Tenorソロ・尾形先生、Bassソロ・山口先生)
この委嘱作品についての、多田先生のコメントをご紹介します。
「この組曲は、旧友吉村信良君の、昭和五十六年度京都市芸術奨励賞受賞を祝しこれを記念して作曲、献呈する。
また同君の真名弟子的存在であり現代日本学生合唱界の雄である京都産業大学グリークラブ演奏、吉村信良君指揮による初演を切に希望する。」
(『草野心平の詩から・第二』の楽譜より抜粋)
「草野心平詩集」(豊島与志雄編 新潮文庫)に収録されているほうの「冬」は、おそらく「牡丹圏」から採録した改作後バージョンです。詳しくは安藤龍明さんの「日本詩人愛唱歌集」を。