多田武彦〔タダタケ〕データベース - 小学生の詩による男声合唱組曲

「小学生の詩による男声合唱組曲」

小学生の詩による男声合唱組曲ショウガクセイノシニヨルダンセイガッショウクミキョク作詩指示速度調性拍子備考
1麦ふみムギフミ不詳(静岡県児童)元気よく4分音符=約108ト長調2/4
2お月さまオツキサマ伊藤なおみ(東京都奥沢小学校児童)話しかけるように4分音符=約66ハ短調2/4
3しょうぶショウブかざまひでお(東京都井之頭小学校児童)明るく はっきりと4分音符=約112ヘ長調2/4
4ありアリ大塚聖子(東京都経堂小学校児童)はずんで4分音符=約152ヘ長調2/4Solo
5用水ぼりヨウスイボリ岡野孝一(茨城県坂手小学校児童)しんみりと4分音符=約92イ短調4/4
6あさアサ平田庸子(小学校不詳)さわやかに4分音符=約112ヘ長調2/4
7死んだお母ちゃんシンダオカアチャン香川美治子(大阪市弘治小学校児童)おそく4分音符=約60イ短調2/4Solo
8かぶカブふかのただゆき(小学校不詳)早く4分音符=約160ヘ長調2/4

作品データ

作品番号:T18:M17n
作曲年月日:19??年?月?日

初演データ

初演団体:品川区立第三日野小学校
初演指揮者:渡辺陸雄
初演年月日:19??年?月?日
「小学生の詩による無伴奏同声二部合唱」初演
初演団体:京都フラウエンコール
初演指揮:大野晴男
初演年月日:1962年12月2日(昼夜二回公演)
京大合唱団第33回定期演奏会(於大谷ホール)

楽譜・音源データ

カワイ楽譜「多田武彦男声合唱組曲集」(1962年刊・絶版)
所蔵先……東京藝術大学附属図書館、東京文化会館音楽資料室、和歌山大学附属図書館、宮城県図書館

作品について

複数の小学生の詩をテクストにした作品。全8曲中7曲(第5曲「用水ぼり」以外)が4分の2拍子となっている。第2曲「お月様」はソ連が月面裏の撮影に成功した事を書いた詩であり、歴史を感じさせる。大阪弁による歌詩に沿うよう大阪弁のイントネーションを模して曲がつけられている。なおこの曲は女声合唱、童声合唱による演奏も可能であると作曲者は述べている。
小学生の詩に作曲をした背景には、湯山昭や三善晃らが子供の詩に曲をつけるなど、当時の合唱界で流行していたことも影響していると思われる。
「死んだおかあちゃん」は原詩によるテクストを歌うのが独唱だけで合唱はバックコーラスのハミングしか歌わない。

歌詩

麦ふみ
麦をふむ
足のうらに力を入れて
麦をふむ
ぞうりにふまれて
麦がぐんにゃりねてしまう。
「よいしょ。よいしょ。」
とおくの山を見ながら
麦をふむ
お月さま
お月さま
どうしてうごくの
お月さまは
おともだちでもいるの
あなたのせなかを
ソレンのロケットに
しゃしんでうつされて
しまったのよ。
しょうぶ
しょうぶはいいな
しょうぶのにおいが
ツンツンするよ
青いはっぱがうかんでて
ホタルがかくれて
いるみたい。
どこかの子が
チャンバラのまねしてる
ぼくはしょうぶで
おとうさんのせなか
ギュシギュシこすってあげたら
あかいすじがついちゃった。
あり
ありはころんだことがない
わたしはこのあいだ
ころんでけがしたけれど
ありはころんだことがない
じゃりみちだってさかみちだって
へいきでえさを運んでる
わたしみたいに
ほうたいしてるありなんて
どこにもいない
お母さんをよびながら
ないてかえったありなんか
どこにもいない
わたしはいつもみているけれど
ありはころんだことがない。
用水ぼり
かあちゃんの家へ
おぼんまいりにいったばん
かあちゃんはひどいねつを出した
ぼくは火のようなかあちゃんのひたいに
ぬれたタオルをなんべんものせてやった
かあちゃんはあついさかり
毎日高いおかぼ畑に
水かけをやったからだ
ホースのつぎめをぼろでしばったり
かあちゃんの生まれた家の前には
用水がごんごん流れている
ぼくはほりの岸にたって思った
この用水が
ぼくの家のはたけに
かついでいけたらなあ
あさ
ぱんやのおばさん
ガラスみがいている
とこやのおじさん
おみせのかがみみがいている
くだものやのおばさん
赤いリンゴみがいている
私はさっきはをみがいたっけ
あさはみんながみがいている
死んだおかあちゃん
おかあちゃん
おはかのなかで
どうしているやろ
雨がふったり
どうしているやろ
雨がふったら
おかあちゃんさむいから
しゃがんでいるやろ
かぶ
ぼくはかぶだぞ
かぶがすこし
みえてるだろ
ぼくのはっぱは
あおあおとしてきれいだろう
ぼくは
おひゃくしょうに
そだてられたんだぞ
うみのそこに
かいがあるみたいだろう
りっぱになってみせるぞ
ぜったいだ
うんとたべておくれよ
おいしいんだからね

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