1 ナンバリング・ラベリングを適切に行うこと

 ナンバリングとは、項目に番号を付けることです。ラベリングとは、項目にラベルを付けることです。
 各ディベーターは、各ステージでの発言内容をいくつかの項目に整理し、ナンバリング・ラベリングを適切に行って各項目の位置づけを明確にしなければなりません。 立論においては、定義・プラン・メリット (あるいはデメリット)などの要素がそれぞれ何点に分けられているのか、発言内容の中の各項目がどの要素の何点目に当たるのかを明示しなくてはなりません。 質疑においては、質問者はどの要素の何点目についての質問を行うのかを明示しなくてはなりません。
 反駁においては、述べる項目を明確に区分し、各項目がどの要素の何点目に関するものなのかを明示しなければなりません。ナンバリング・ラベリングが適切に行われなかった場合には、発言の整理や位置づけは審判の解釈に委ねられることとなり、発言者の意図とは違った位置づけを与えられる恐れがありますので、十分な注意が必要です。

 ※ナンバリング・ラベリングの一例
「それでは、プランから発生するメリットを2点述べます。メリットの1点目は【ナンバリング】エネルギーの節約【ラベリング】です。」

2 立論の役割と要素

 肯定側立論では、論題を肯定すべきことを主張します。その際、必要な根拠はすべて提示しなければなりません。肯定側立論の要素は、1)定義、2)プラン、3)メリットを原則とします。
 否定側立論では、論題を否定すべきことを主張します。その際、必要な根拠はすべて提示しなければなりません。否定側立論の要素は、1)定義、2)プラン、3)デメリットです。また否定側の主旨・立場は、1)現状に問題がない、2)肯定側のプランではメリットは発生しない、3)メリットより深刻なデメリットが発生する の組み合わせを原則とします。

3 定義

 論題中の語句の定義は、原則として肯定側立論で述べられたものが採用されます。
 ただし、否定側は、代替の定義を示すことができます。この場合、肯定側の定義が不当であり、かつ、否定側の定義が妥当であることが示されれば、否定側の定義が採用されます。定義が示されなかった語句の意味は、審判が常識に従って判断します。

※定義の一例
「定義を述べます。サマータイム制度とは、日照時間が長い夏の期間、時計の針を標準時間より1時間進めて、太陽を有効に使おうとする制度とします。」
※大会プランにより定義が統一されている場合は、定義を述べる必要はありません。

4 肯定側のプラン

 肯定側立論におけるプランとは、論題で述べられた政策を実施する具体的な方法のことです。プランは全国大学日本語ディベート大会実行委員会が作成した統一プランを使用することとします。プランにおいて不明な点は、審判が常識に従って判断します。なお、政策論題に基づくディベートでは、プランを実行すべきかどうかを議論するのであって、現実の世界で実行主体がそのプランを実行することを証明する必要はありません。

5 否定側のプラン

 本大会では、否定側は、現状維持の立場をとるものとし、肯定側と異なる別のプラン(対抗プラン)を出すことはできないものとします。なぜなら、対抗プランが出されると、個々の論点について十分な時間を割いて議論を行うことが困難になるからです。仮に対抗プランが出されても、対抗プランは無効で、否定側は現状維持の立場をとるものとみなされます。この場合、混乱を避けるため、立論直後などに、審判が必要な説明を行うことがあります。

6 メリット

 メリットとは、プランから発生する好ましい効果のことです。肯定側は個々のメリットについて、1)ラベル、2)発生過程、3)重要性の3つを述べる必要があります。
  • 「ラベル」は、メリットの内容を示す、凝縮された短い言葉で示します。
  • 「発生過程」では、肯定側のプランからどのようにメリットが発生するかを順序よく述べます。
  • 「重要性」では、ラベルで示されたメリットが、なぜ重要なのかを説明します。
  • 「発生過程」と「重要性」は、内容などに応じて、どちらを先に述べてもかまいません。
 これらの要素が明示的に述べられなかった場合には、審判が常識に従って判断します。

7 デメリット

 デメリットとは、プランから発生する好ましくない影響のことです。否定側は、個々のデメリットについて、1)ラベル、2)発生過程、3)深刻性、の3つを述べる必要があります。
  • 「ラベル」は、デメリットの内容を示す、凝縮された短い言葉で示します。
  • 「発生過程」では、肯定側のプランからどのようにデメリットが発生するかを順序よく述べます。
  • 「深刻性」では、ラベルで示されたデメリットが、なぜ深刻なのかを説明します。
  • 「発生過程」と「深刻性」は、内容などに応じて、どちらを先に述べてもかまいません。
 これらの要素が明示的に述べられなかった場合には、審判が常識に従って判断します。

 ※メリットにおけるラベル・発生過程・重要性の一例
 「それでは、プランから発生するメリットを2点述べます。メリットの1点目は、エネルギーの節約【ラベル】です。・・・発生過程を3点述べます。1点目は、夕方が1時間明るいので、家庭用照明などの需要が大幅に減少することです。「地球環境と夏時間を考える国民会議」運営事務局のホームページによると、サマータイム制度導入による省エネルギー効果試算は、家庭用照明で原油換算40,3万kl、ガソリンスタンドの業務用照明で原油換算15,6万klの省エネになるとあるので、サマータイム制度による省エネ効果が期待できます。
 このメリットの重要性は効率的な省エネの実現です。プランの導入による省エネ効果は、直接効果と間接効果を合わせて、年間原油換算約50万klになります。そして、現在検討されている省エネ対策の中で、サマータイム制度ほど安上がりで、このような成果をあげられる政策は他にはありません。」

8 質疑

 質疑においては、立論の内容などについて質問を行い、一問一答形式で相手チームに応答してもらいます。質疑における主導権は、質問する側にあります。
 質疑における応答は、立論の補足として扱われます。質疑で明らかにされた情報を議論に活かすためには、その後の立論、あるいは、反駁で改めて述べる必要があります。

9 反駁

 反駁においては、主に以下のことを行います。
  1. 相手チームが主張するメリット(あるいはデメリット)に対する反論
  2. 相手チームからの反論に対する再反論
  3. メリットとデメリットの大きさの比較

10 全体を通して

 各ディベーターは全ステージを通して、相手と審判にわかる日本語を話すように心がける必要があります。書き言葉である参考資料に基づいた意見を述べるときはわかりやすい話し言葉に変えたり、相手や審判が書き取りやすい速度で話したり、数字や単位をはっきり述べたりすることが説得力につながります。いくら素晴らしい論であっても、誰にもわからなければ、それは採用されません。

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