薬剤師国家試験対策 - 突然変異

突然変異の類型

トランジションプリンから別のプリンへ、またはピリミジンから別のピリミジンへの1塩基対置換
トランスバージョンプリンから別のプリンへ、またはピリミジンから別のプリンへの1塩基対置換

タンパク質の変化
突然変異の種類|変異に伴う分子レベルの変化|変異の例|
サイレント変異変化したコドンが以前と同一のアミノ酸をコードする
アミノ酸配列や機能に全く影響を与えない
GAG→GAA(Glu→Glu)
中立変異変化したコドンがコードする、アミノ酸が変化前と機能的に類似の性質を持つ
サイレント変異と同様
GAG→GAU(Glu→Asp)
ミスセンス変異変化したコドンがコードするアミノ酸の性質が変化前と大きく異なる
タンパク質は機能を失うことが多い
 
ナンセンス変異終止コドンの変化
途中途切れて短い分子ができるもの
 
フレームシフト変異一個あるいは複数の塩基対の挿入または欠損のために合成されるmRNAの読み枠が変わり、機能を失ったタンパク質が合成される
塩基の追加
塩基の欠損
 
温度感受性変異  
漏出変異  

DNAの修復

直接修復とミスマッチ修復
ミスマッチ修復
不適合塩基の処理
例:T−G

修復をするAPエンドヌクレアーゼについて

脱プリン化
プリンヌクレオチドとデオキシリボースとの間のNグリコシド結合、が開裂し、DNAの塩基が失われる状態
ほうっておくと高い確率で突然変異が生成することになる。

これを修復するのがAPエンドヌクレアーゼである。APエンドヌクレアーゼは脱プリン化,脱ピリミジン化された所を除去する。

ウラシルNグリコシラーゼについて

上記と反応は同様だが、シトシンの脱アミノ反応によって生じたウラシルを除去する。
重要。

チミンダイマーとDNAフォトリアーゼについて

紫外線によって生じたチミン2量体(ダイマー)は、単純に2量体を認識して結合する酵素によって行われる。
光回復酵素(DNAフォトリアーゼ)と呼ばれる酵素は可視光によって活性化され2量体を切断してもとの状態のチミンに戻す。
なお、ヒトはチミンダイマーをDNAフォトリアーゼによって修復できないので、除去修復を行う。

ミスマッチ修復は何を目印にしているか?

不適合修復系によって、誤りを正すためには、まず親鎖上の正しい塩基と娘鎖上のまりがった塩基を区別する必要がある。

大腸菌ではG−A−T−Cという配列中にあるアデニンのメチル化が決め手となりうる。(このアデニンはそれ以外の場所には見られないメチル基を持っているので)

不適合修復系はメチル化の度合いを認識し、メチル化の程度の低い鎖を見つけると、娘鎖からヌクレオチドを優先的に切断する。

組み換え修復

多数のチミン2量体やその他の損傷が除去修復系の働きで除去されるが、修復には時間がかかるため、その間にも、多数の2量体のために種々の細胞内の反応が阻害される。 このため残留2量体は悪影響を及ぼすため、組み換え修復によって除去する。

DNAを合成する方法は2種類
  1. 2量体の先で合成を開始するか
  2. 2量体があっても合成を続ける方法である。

1の方法では2量体の手前でいったん合成を止め、その部分を素通りし、その先で鎖の伸長を行う。
2量体があるたびにギャップ(空白)ができる。

これを修復するのが姉妹鎖交換と呼ばれる組み換え反応である。
姉妹鎖交換は基本的にDNA鎖の相同部分から無償の1本鎖の断片を切り出し、チミン2量体部分を素通りしたためにできた空白部に何らかの方法で挿入する反応である。
この反応にはRecAタンパク質が必要である。