薬剤師国家試験対策 - NSTチームの現状と将来

序論

研究動機

 病院実習に行き実際に調剤などの実務を行った。 その中で病院の中で行われていた栄養サポートチーム(NST)の役割について興味を覚えたのでこのことについて考察を行った。

栄養サポートチーム(NST)とは

 アメリカにて1968年に中心静脈栄養(TPN)の方法が開発された。 TPNとは高カロリー輸液療法とも言い、糖、電解質、アミノ酸、脂肪、ビタミン、微量元素、などの生体に必要な栄養をすべて経静脈的な投与により補給できる。 TPNの施行は経口栄養が使用できない手術後、2週間以上の栄養療法や炎症性腸疾患に使われる。
 元々、上記TPNを管理するチームではあったが、その後看護師や医師や薬剤師などの職種の壁を超えて栄養をサポートすることになった。 日本では2006年診療報酬改定により多くの病院で立ち上がることになった。

NSTの問題点

NSTの実施にはいくつかの問題があることを見つけたが、その中で特に気になったことが、患者のコンプライアンスの低下である。

コンプライアンス

コンプライアンスとは患者がきちんと服薬順守していることを表す。 食事もこのコンプライアンスの良し悪しが問題になってくる。
 栄養士や薬剤師の問題であるが、患者のコンプライアンスが低下していても、NSTの意味はなくなってしまうと思われる。 現にある患者にて、経腸栄養剤を飲み物にした物を「飲みたくなかった」「家に帰って飲む」といった理由で、冷蔵庫の中に保管していた事例が発見され、1週間程度の栄養療法計画を狂わせた。 コンプライアンスの低下の理由にはいくつか考えられる。単純に味が気に入らなかった。 栄養療法への不理解などが考えられる。

研究の説明・考察

 チーム医療全体に言えることだが、それぞれの役職の相互理解が前提になってくる。 栄養のことだから栄養士が一番よく知っているだろう? という思い込みは、栄養士に負担を負わせ、NSTの本来の意味を失わせることになりうる。 栄養士が「それではこの患者にはこういう栄養療法でいきます。いいですね?」という確認の場になっている。 報告を確認することも一種の相互理解であるが、薬剤師を目指すものとして、ここで薬剤師が取りえる行動として、薬剤師は栄養剤も取り扱っているので、この場で積極的に提案をする必要がある。 具体的にはその患者に適した栄養剤の提案である。 一口に経腸栄養剤といっても、種類はかなり多い。 病状に合わせて専門的な栄養剤の選択と、提案を薬剤師は行えるし、する必要がある。
 コンプライアンスの低下に対しては、一番対応できるのが薬剤師であると考えることができる。もちろん栄養士も栄養指導などをするが、なぜそれが必要なのかということに対して、専門的に説明できるのが薬剤師の仕事だと考えるからである。 現に冷蔵庫に貯めていた患者の事例では栄養剤の必要性を説明し、納得していただけた。 その後、血注意を払って、経過を観察したが、服薬、食事のコンプライアンスは良好となった。

結論

 欧米では40年以上前から続く伝統であり、当然のものとなっているが、日本では、全国的に広がりを見せている者のまだ日が浅く、各病院にて研究と研鑽が続けられている。チクバ外科ではおおむね有効的に機能していたものと思われる。 が、時間がたち、惰性でことが進むようになると、無駄の代名詞になる可能性を秘めているものと思われる。 常に患者に有利になるように意識することで、NSTは今後も有効に働くものと思われる。