このRFCでは、一般向けではないとされているヘッダフィールドが定義されています。
X.400という規格をRFC822(メールの規格。これはRFC2822によって廃棄されています)規格上で扱う為のものとされています。
しかし一般に有用なものも含まれ、使用されているものも幾つか存在します。
- Alternate-Recipient:
- 仮に送信相手に届けられない場合に、例えばポストマスターのような違うところに転送させるかどうかを制御します。
値は"Prohibited"(禁止)若しくは"Allowed"(許可)。
- Autoforwarded:
- 自動転送されたか否か。
値は"TRUE"若しくは"FALSE"。
- Autosubmitted:
- そのメールが明確に人の手によって送信されたかどうか。
値は"not-auto-submitted"(手動で送信されました)、"auto-generated"(メールは自動生成されました)、"auto- replied"(自動で応答されています)、"auto-forwarded"(自動転送されました)です。どうも他に"auto- submitted"等の値があるようです(期限切れの草案にありました)。
参考にしたのはRe: bin/5039: change to vacation to support wider variety of mailers。(何せ13件しか掛からない(^^;)
- Content-Language:
- 言語情報。英語なら"en"、日本語なら"ja"といった具合。
- Conversion:
- 他の文字セットへの変換(例えばiso-2022-jp→EUC-jp)の許可、不許可。
値は"Prohibited"(禁止)若しくは"Allowed"(許可)。
- Conversion-With-Loss:
- 情報が失われる可能性がある場合の他の文字セットへの変換(例えばiso-2022-jp→EUC-jp)の許可、不許可。
値は"Prohibited"(禁止)若しくは"Allowed"(許可)。
- Disclose-Recipients:
- メールの受け取り相手に、他の受け取り相手の名前(多分メールアドレス)を開示するか否か。
値は"Prohibited"(禁止)若しくは"Allowed"(許可)。
- Expires:
- そのメールの内容の期限。Usenetではデフォルトの期限が設定されており、投稿者は投稿メッセージの内容の保存期間を変更したい場合は、このヘッダフィールドを使用する必要がありました。
また、重要なメールを長期間補完する事を期待する場合にも使用されます。
- Deferred-Delivery:
- 最初のメールサーバに渡った時刻
- Delivery-Date:
- そのメールが相手に到着した時刻
- Discarded-X400-IPMS-Extensions:
- X.400-IPMS拡張ヘッダフィールドが認識されず削除される場合、且つサーバが拡張ヘッダフィールドである事を認識して処理を行えるなら、その消した拡張ヘッダフィールドをここに書き込みます。
- Discarded-X400-MTS-Extensions:
- X.400拡張ヘッダフィールドがメールの送信に支障をきたす場合、且つそれが当該ヘッダフィールドである事を認識して処理を行えるなら、その消した拡張ヘッダフィールドをここに書き込みます。
- DL-Expansion-History:
- 配送リストの拡張があった場合、その履歴がここに貯められます。
- Generate-Delivery-Report:
- メールの配送に成功した場合に、配送された旨のメールを返すか否か。
値は空です。このヘッダフィールドがない場合は、通知されません。あれば、通知されます。
- Importance:
- 重要度を示します。緊急性を示すものではありません。緊急性は「Priority:」で指定します。"low"が低、"normal"が普通、"high"が高となります。
しかし、各メーラ、独自の重要度を示すヘッダフィールドを使用しており、まったくと言って良いほど統率も整合性もとれていないのが現状です。
- Incomplete-Copy:
- 本文が一部欠けていることを意味します。
このヘッダフィールドの値は空です。
- Latest-Delivery-Time:
- 最も最近メールサーバ間で受け渡しが行なわれた時刻
- Message-Type:
- "Delivery Report"(配達通知。MIMEで既に設定されており、この値の指定は冗長さを招くが、RFC1327との後方互換性の為に残されています)、"InterPersonal Notification"(X.400のIPN)、"Multiple Part"(MIMEで既に設定されており(multipart/xxxx)、この値の指定は冗長さを招くが、RFC1327との後方互換性の為に残されています)
- Original-Encoded-Information-Types:
- メールの本体がどのような形式で書かれているか。"Encode"とありますが、文字セットのことではありません。例えば、"G3-Fax"とか"Voice"とか、そういったものです。
- Originator-Return-Address:
- メールが生じた場所のメールアドレス。ですから、通常は「From:」と同じはずです。
- Prevent-NonDelivery-Report:
- メールの配送に失敗した場合に、配送されなかった旨のメールを返すか否か。値は空です。このヘッダフィールドがある場合は、配送エラーは通知されません。なければ、通知されます。
- Priority:
- 急を要するか否か。重要性を示すものではありません。重要度は「Importance:」で指定します。"urgent"が急ぐ用事、"normal"が標準、"non-urgent"が遅くても良いとなります。
これによってメールサーバは転送順を変更します。
が、今は非標準ヘッダフィールド「Precedence:」の天下です。こっちに対応しなかった「sendmail」に非があるのだとは思いますが。
- Reply-By:
- この時間までに返信してくれよー、という時刻を記述します。勿論、強制力は持ちません。
- Sensitivity:
- メールの内容を他の人に公開する場合に、どの程度の慎重さを必要とするか。"Personal"(私信)、"Private"(親展)、"Company- Confidential"(社外秘)という値がありますが、厳密な違いについては不明です。このヘッダフィールドがない場合にのみ、フリーで公開できます。(但し、勿論常識の範囲で!)
- Supersedes:
- そこに書かれているメールの内容を改めたものである事を示します。しかし、その古い版を削除するものではありません。
- X400-Content-Identifier:
- メールの中身を識別する為の文字列。
旧「Content-Identifier:」ですが、MIMEの定義したヘッダフィールド(多分「Content-ID:」)と紛らわしいので、このように変更されました。
- X400-Content-Return:
- 配達エラー通知にもとのメールの内容を含むか否か。
値は"Prohibited"(禁止)若しくは"Allowed"(許可)。
- X400-Content-Type:
- 値は"P2"。後方互換性の為だけに残されています。
後ろに「1988」等コメントが付いているところを見ると、X.400のバージョン情報ではないかと思います。
- X400-MTS-Identifier:
- 「Message-ID:」と似たものです。
ある場合を除いて、付けないようにと言うことになっています。
- X400-Originator:
- メールの発生元を示します。ですから通常「From:」と一緒です。
- X400-Received:
- 「Received:」のもっと詳しい版のようです。どのようなやり取りが成されたかまで残されています。
- X400-Recipients:
- 元のメールが自動転送された場合や、複数の相手に向けてメールを送り出した場合にそのメールの真の送信すべき相手のようです(複数の相手に出した場合は、その数だけメールが生成されます)。