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nagi


梛、薙、凪 についてはプロジェクトを結成して、
今後も続行します。

ナギはどこから来たか                    

 この夏、熊野速玉大社に上野宮司を訪ねた。
 ナギという植物についてお聞きするためで、今回の展示作品の重要なモチーフにすることにしたのである。
 ナギは梛と書き、まずは、裸子植物である。Podocarpus nagi。葉はナイフのように鋭く、その新芽は和歌山のミカンを思わせるいい香りがする。すばらしい植物だ。これは、はるか古代の植物といっていい。また、ナギは、はじめに、伊邪那岐(イザナギ)がその名を示すように速玉大社はじめ多くの神社で御神木であり、それは草薙(くさなぎ)でもあり、あるいは、安寧を祈る夕凪(ゆうなぎ)でもある、という具合に非常に広範にその名が由縁となっている。とはいえ、ナギの野生の北限は鹿児島あたりとされるので、明らかにナギは人の手で熊野に持ち込まれたものであるが、それはどのような意味があるからだろうか?しかし、この事実にくらべて神話はいっそうロマンに満ちており、熊野速玉大社の上野宮司に聴くところでは、三本足のカラス(すなわち八咫烏)がナギをくわえて飛ぶという日本神話では、神武東征の際、タカミムスビ神武天皇の元に遣わされ、熊野から大和への道案内をしたとされるらしい。この話は和歌山の方々には周知であろう。
 ナギはこのように神秘に満ちているが、そう多くの人に知られているわけではないので、これは、もっと広くその存在を知られるべきではないか、とも思うものである。
 そこで、今回の展示では、そのナギが、和歌山城方向から近代美術館に向かって飛来して着地したとして、ナギがもともとやってきた北西に向け、そこでのナギに耳を傾けてみよう、という趣向であり、その体表上の微細な生態電位を鳥の声に変換し、城山の鳥たちを呼び寄せられないか、と目論むものである。

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