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 また、それらのソフトを利用したとしても、ウイルス等の感染の危険性がまったくないわけではないので、各自十分に注意のこと。

目次



始めに

潜水艦の耐圧殻にはどのような高張力鋼材が使用されるのか?

  • 耐力 (引張り、圧縮などに対する強さ) 及びじん性 (ねばり強さ) が高く、かつ構造物として建造するために厚板として溶接が可能な高張力鋼が使用される。


実艦を建造するに当たり、他に必要とされるものは何か?

  • 鋼材を潜水艦の建造に使用するに際しては、単に鋼材の耐力が高ければよいものではなく、その鋼材を使用した潜水艦建造のための溶接が可能であることも必要である。
     一般に、耐力とじん性の向上は相反する性質があり、潜水艦用高張力鋼の実用化に当たっては、鋼板自体のみならず、その溶接についても高い技術力が要求される。

  (以上「平成13年度政策評価書 (事後の事業評価) 先進鋼技術の研究」より)


参考 (防衛省)



  • 潜水艦用鋼材 (耐力) の動向 (TRDI海外技術動向)

  • 潜水艦用鋼材 (じん性) の動向 (TRDI海外技術動向)


注意

  • 引張強さと耐力 (または降伏点、もしくは降伏強度) が区別されていないことが多いので注意のこと。
    なお、このwikiでは耐力で比較し、単位は MPa (メガパスカル) を用いる。
    また、海外のソースについては、proof stress 、 yield strength ともに耐力と訳した。

  • なお、日本語と、主に英語などで使用されるアルファベット以外は、このseesaawiki wikiでは表示できないようです (文字化けではなく空白になる) 。



 

国別

アメリカ (USA)

耐圧殻用 (Pressure Hull)
  • HY80、HY100、HY130があり、数字は耐力 (ksi: キロポンド毎平方インチ) を表す。
  • HYは High Yield の意。

    • HY80 : 耐力 552MPa (80ksi)
    • HY100 : 耐力 690MPa (100ksi)
    • HY130 : 耐力 890MPa (130ksi)

 参考 (Reference)
  • MIL-S-16216K、MIL-S-24371B、T9074-BD-GIB-010/0300 など
  • アルセロール・ミッタル USA (旧インターナショナル・スチール・グループ (ISG) ) のチラシ (wikiPDF)

 メモ
日本の鋼 (160ksi) は、通常、GTA溶接 (Gas Tungsten Arc Weld) により溶接される。これは高品質だが、非常に遅く高価であり、米国ではあまり使われない。
 米海軍は、潜水艦で使用されるHY100鋼に、この技術 (軟質溶接継手を用いた溶接) を適用したい。
    • HSLA115には使われている。
  • HY130は暗黒史かもしれない。
  • 将来鋼 : 超低炭素ベイナイト鋼 (Ultra-low Carbon Bainitic: ULCB)
  • HY鋼は原子炉圧力容器の鋼材としても用いられている。

非耐圧殻用 (Non-Pressure Hull)
  • HSLA80、HSLA100、HSLA115
  • HSLAは High strength low alloy の意。

 参考 (Reference)
  • MIL-S-24645A、T9074-BD-GIB-010/0300 など

 メモ
CVN78は、上甲板にHSLA115を使用したことにより、100〜200英トン重量が軽減され、重心が0.05フィート低下した。



 

イギリス (UK)

  • Q1N、Q2Nがあり、それぞれアメリカのHY80、HY100に相当する。
  • N は Navy または Naval 、Q は Quality の意。

    • Q1N : 耐力 550MPa (HY80相当)
      使用艦 アスチュート級 (Astute class) 、アップホルダー級 (Upholder class / Victoria class)
      Def Stan 02-736: "Requirements for Q1 (Navy) Quality Steel (Cat 2)"
      • なお、英国国防標準 (DStan) は、いわゆるCUI (Controlled Unclassified Information : 管理が必要な非秘密情報) という扱いに変更されたので、データシートが必要な場合は、各自ホームページから登録のうえ (登録は誰でも可) 確認のこと。
        Defence Gateway
        https://www.defencegateway.mod.uk/
    • Q2N : 耐力 690MPa (HY100相当)
      Def Stan 02-826: "Requirements for Q2 (Navy) Quality Steel (Cat 2)"
    • HY130相当のQ3Nもあるらしいが、おそらく研究中 (NESに見当たらず) 。
      Weld Metal Properties for Extra High Strength Steels
      http://kth.diva-portal.org/smash/get/diva2:9199/FU... (P16の図) (wikiPDF)

 メモ


 

フランス (France)

  • 60HLES、80HLES、100HLESがあり、数字は耐力 (kgf/mm2: キログラム重毎平方ミリメートル) を表す。
  • HLESは Haute Limite d’Elasticite Soudable の意 (このwikiでは一部表示できない) 。

    • 60HLES : 耐力 588MPa (60kgf/mm2)
      使用艦 アゴスタ級 (Agosta class)
    • 80HLES : 耐力 784MPa (80kgf/mm2)
      使用艦 スコルペヌ級 (Scorpene class) 、リュビ級 (Rubis class) 、アゴスタ級90B (Agosta class 90B)
    • 100HLES : 耐力 980MPa (100kgf/mm2)
      使用艦 ル・トリオンファン級 (Le Triomphant class) (シュフラン級 (Suffren class) にも使用される模様)

 参考 (Reference)
  • ただし、DCNSの資料によれば、耐力 (yield strength) は、80HLESが800MPa、100HLESが1000MPaとそれぞれされているが、Mazagon Dock Limited (スコルペヌ級のインド国内建造元) の資料によれば、数字は耐力ではなく、引張強さ (tensile strength) を表すようだ。実際の数字はともかく、目標とした数字なのかもしれない。
  • 80HLES鋼の化学及び物理的特性の項
    http://www.mazagondock.gov.in/ots_mar09/100309/Ten... (P12) (wikiPDF)
14. CHEMICAL AND PHYSICAL PROPERTIES OF 80HLES STEEL
 Yield Strength 700MPa.
 Ultimate Tensile Strength 780MPa.
1 Technical Requirement
 1.1 Capable of rolling/bending of 200 mm x 60 mm flat bar (100 HLES steel) of tensile strength 1000 MPa
    • なお、100HLESの引張強さ1000MPaという数字は、フランスが出した数字と思われる。

  • INDUSTEEL (アルセロール・ミッタル・グループ) による80HLESのデータシート
    • ここで注目すべきは、150个箸い最大板厚。これは、NS80の最大板厚100mmを大きく超えるもので、おそらく、世界で最も厚い潜水艦用高張力鋼ではないかと思われる。

  • 100HLESの耐力は、80HLESの降伏比 (yield ratio : 降伏強度 (耐力) /引張強さ) と同一と仮定すれば、897MPaになる (ただし、耐力を980MPaとすれば、879MPaとなる) 。
    • 80HLES STEEL Yield Ratio : 700 / 780 = 0.897
    • 100HLES STEEL Yield Strength : 1000 * 0.897 = 897MPa



 その他


 

ドイツ (Germany)

  • 潜水艦用鋼 (U-Boot-Stahl) には、1.3813、1.3952、1.3964 及び 1.3974 がある。


 参考 (Reference)
ドイツとイタリアの海軍は、新しい潜水艦 (212A型) の鋼材として、非磁性オーステナイト系ステンレス鋼EN1.3964を選択しました。
 212型潜水艦は、合計4,500トンの材料を必要とします。そして、それは16%のニッケルを含みます。ドイツで建造される4隻と、イタリアでライセンス生産される2隻の鋼材は、共に Krupp Thyssen Nirosta 社から供給されます。
 このステンレスは、耐食性、防火及び他の船体材料より長い期待寿命を含むいくつかの理由により選択されました。しかし、この鋼材が潜水艦に使用されるのはこれが始めてではなく、以前には、205型及び206型潜水艦24隻の建造に合計4,000トンのEN1.3964が使用されました。
 また、ドイツの343型ハーメルン掃海艇10隻と332型フランケンタール掃討艇12隻にも約4,400トンが使用されました。
    • EN: European Norm (欧州規格)

 メモ
BUTTINGは、キールにある長年の顧客HDWのために、酸素タンク及び水素貯蔵器を、1.3964非磁性鋼を使って生産している (P12下に写真、P13記事及び写真) 。
これには、212Aのために1.3974が作られたが、結局1.3964が使用された。と書いてあるような気がする (by Google翻訳) 。
  • 「世界の潜水艦 (デビット・ミラー著) 」によれば、205型の初期の艦に使用された非磁性鋼には問題があり、すぐ退役したとある。おそらく、これは1.3813を指すのではないかと思われる。
  • ドイツの非磁性鋼 (1.3952、1.3964、1.3974) は、掃海艇 (掃討艇) の建造にも使用されるほどの優れた非磁性鋼である。
     それは、ニッケルマガジンの記事によれば、哨戒機の磁気探知装置 (MAD) や、海底に敷設された磁気機雷に対しても有効であり、ステルス爆撃機がレーダーに映らないことから、実質的に見えないのと同じであるという。
     この非磁性鋼というのは、運用海域が主に沿岸部の浅海域となっていることから求められたものであり、同じく通常動力型潜水艦を運用する日本や、原潜保有国が用いる鋼材とは、大きく異なる特徴といえる。
     また、212A型が鋼材を変更しなかったのは、退役するまでの数十年間、性能が向上するであろう哨戒機器や磁気機雷に対しても優位は変わらない、と考えたからではないか。
  • Sinn U-series に使われているのは 1.3964。



 

中国 (China)

  • 正しくは「連鋳907A鋼」のように呼ぶようだ (このwikiでは簡体は表示できないので、以後、新字体に変換) 。


耐圧殻用 (Pressure Hull)
  • 980鋼 : 耐力 784MPa (80kgf/mm2)
    使用艦 093型、094型
    • 参考論文
      980鋼溶接継手の荷重作用下における疲労亀裂進展 (wikiPDF)
      P2の表1化学成分 (%) 及び同2力学性能を参照。
      なお、月刊誌「圧力容器」は、中国機械工程学会圧力容器学会が主催する雑誌の名称。
    • 以前はVHD402鋼と呼ばれており、さらにその前には、深潜器救生艇耐圧殻体用402-S鋼 (いわゆる深海救難艇用) があったことから、これの発展・改良したものではないかと思われる。
    • 溶接棒 (材料) はV840と呼ぶ。
    • なお、いまだに規格番号 (GJB) 不明。
  • 921A鋼 : 耐力 590MPa (60kgf/mm2)
    使用艦 039型
    GJB1663-1993 潜艇用921A、922A及び923A鋼板規範 (wikiPDF)
    • 他に922A、923Aがある。
  • TA5-Aチタン合金 : 耐力 588MPa (60kgf/mm2)
    GJB944-90 潜艇用TA5-Aチタン合金板 (wikiPDF)
    • TA5チタン合金は、ロシアの48-OT3チタン合金に相当する物のようだ。
    • 成都電子機械高等専科学校製作 表8-66 有色金属材料牌号対照
      ttp://jpkc.cec.edu.cn/jpkc/cygysj/top_all/w_ziyuanku/shouce/shouce/main/8.8.htm
    • Bellona (ベローナ)  ポーランド国防省が四半期ごとに発行する情報誌
      http://www.polska-zbrojna.pl/index.php?option=com_... (P156)
    • チタン合金牌号 - docin.com豆丁网 (要Java)
      ttp://www.docin.com/p-5267526.html

  • 980 steel : Yield Strength 784MPa
    Type 093, Type 094
    Fatigue Crack Propagation of Steel 980 Welded joint under Spectrum Load
    (wikiPDF)
  • 921A steel : Yield Strength 590MPa (60kgf/mm2)
    Type 039
    GJB1663-1993 Specification for 921A , 922A and 923A steel plates for submarine (wikiPDF)
  • TA5-A Titanium alloy : Yield Strength 588MPa (60kgf/mm2)
    GJB944-90 Titanium alloy (TA5-A) sheet for submarine (wikiPDF)


非耐圧殻用 (Non-Pressure Hull)
  • 907A鋼 : 耐力 390MPa
    使用艦 054型、039型
    GJB6055-2007 艦艇用907A型鋼規範 (wikiPDF)

  • 907A steel : Yield Strength 390MPa
    Type 054,Type 039
    GJB6055-2007 Specification for 907A prefiled of military ship (wikiPDF)


水上艦艇用 (Surface Vessel)
  • 903鋼 : 耐力 440MPa
    GJB458-88 艦艇船体構造用903鋼板 (wikiPDF)
  • 945鋼 : 耐力 440MPa
    使用艦 052型
    GJB5537-2006 艦艇用945鋼板規範
    • 参考論文
      航空母艦用厚鋼板的発展現状 (wikiPDF)
      P10、表3及び4を参照。
    • 945は903より世代の新しい鋼材。
  • 917低磁鋼
    使用艦 掃海艇
    GJB934-1990 917低磁鋼鋼板 (wikiPDF)

  • 903 steel : Yield Strength 440MPa
    GJB458-88 The 903 steel plate for military ships hull (wikiPDF)
  • 945 steel : Yield Strength 440MPa
    Type 052
    GJB5537-2006 The 945 steel plate for military ships
  • 917 Low magnetic steel
    Minesweeper
    GJB934-1990 917 Low magnetic steel sheets and plates (wikiPDF)


空母用
  • 2010年4月、月刊誌「山東冶金」で、莱蕪鋼鉄集団有限公司の研究員が、空母に使われる鋼板の現状について分析している。
     
    航空母艦用厚鋼板的発展現状 (wikiPDF)
     
    この中で、現在、アメリカが空母に使用しているHSLA80が、中国国内で製造されているA710鋼に技術的に似ていること、さらに、莱蕪鋼鉄研究所によるHLSA100の金属組織や生産についての研究が完了し、同時に、HLSA100が中国国内でも生産可能であるとしている。
     
    また、P9からP10にかけて、HSLA80及びHSLA100と945鋼の主要成分及び機械性能表を掲載し、両者を比較している。


 以下、非常に興味深い記事を3つ。
  • 空母が産業にグレードアップを迫る∪約を受ける苦しみ_中国網_日本語
    ttp://japanese.china.org.cn/business/txt/2012-12/13/content_27404846.htm
「空母を造ろうと思い、4000万米ドル超を造船工場に投資して道路整備、ドック建設、工場建設を行い、これらのインフラが整ったところで空母用の鋼がないことに気がついた」という軍事専門家の張召忠氏の言葉から、中国の空母登場において残念な部分もあることがわかる。
 
 ワリャーグは、ウクライナから大連に運ばれてから3、4年保管された。中国に空母の修復に使う鋼材がなかったためである。
 
 ある匿名の軍事専門家は、空母の鋼板と溶接の技術は中国がすぐに解決しなければならない課題だと話す。
    • ワリャーグの甲板及びその他の構造鋼に使用されている、もっとも一般的な鋼材は、AK-29鋼ではないかと思われる。この鋼材は、ロシアにとっては枯れた技術 (鋼材) かもしれないが、それ以外の国々にとっては、現在においても高度な技術力が要求される鋼材である。

  • 中国空母、スウェーデンからアレスティング・ワイヤー調達_中国網_日本語
    ttp://japanese.china.org.cn/politics/txt/2012-06/01/content_25538315.htm

  • 空母が産業にグレードアップを迫る〆85年で1500億元の市場に_中国網_日本語
    ttp://japanese.china.org.cn/business/txt/2012-12/13/content_27404432.htm
9月25日、中国初の空母「遼寧号」が就役した。造船業の中国船舶や中船股フェン、材料業界ではHY100やチタン、レアアースなど空母建造のカギを握る特殊鋼材や希少金属 (レアメタル) を扱う宝鋼股フェンや宝 (金に太) 股フェン、包鋼稀土、自主革新に頼るカタパルトを製造する東方電気や雲内電力など中国空母産業チェーン (以下省略) 。




 参考 (Reference)  例えば
    • CB/Z124-98 潜艇921A等鋼構造溶接技術要求 (wikiPDF)
  • 軍用標準 (GJB)
    ttp://www.defence.org.cn/article-13-40076.html
 他には、
    • GJB943-90 潜艇用TA5-Aチタン合金鍛件 (鍛造品) (wikiPDF)
    • (調査中) GJB5347-2004 艦艇用10CrNiCu鋼板規範 は L907A ?
    • なお、例えば、GJB458-88 艦艇船体構造用903鋼板、GJB5537-2006 艦艇用945鋼板規範などの規格番号のうち、ハイフン (-) より後ろの数字は規格化された年 (西暦) を表す。903鋼板であれば1988年、945鋼板であれば2006年など。

メモ
  • 通常動力型潜水艦の潜航試験では、最大深度270mで工作深度試験が、同300mで極限深度試験が、それぞれ行われる (GJB 38.15-1986) 。



 

ロシア・ソ連 (Russia)

  • AK-25、AK-29、48-OT3の数字はこの業界研究より、その他は、「世界の艦船 ソ連/ロシア原潜建造史 (アンドレイV.ポルトフ著) 」から。

    • AK-25鋼 : 耐力 588MPa (60kgf/mm2)
      使用艦 627型 (ノヴェンバー型) 他
    • AK-29鋼 : 耐力 784MPa (80kgf/mm2)
      使用艦 671型 (ヴィクター型) 他
    • AB-2鋼 : 耐力 588-686MPa (60-70kgf/mm2) 板厚8mmから30mm。
      使用艦 677型 (ラーダ型)
      • AB-2K鋼 : 耐力はAB-2鋼に同じ。板厚31mmから100mm。
    • AB-3鋼 : 耐力 不明
      AB-2鋼の一クラス上の耐力を持つと思われる鋼材。
    • 48-OT3チタン合金 : 耐力 588MPa (60kgf/mm2)
    • 以下、鋼材名不明。
      • 971型 (アクラ型) などに使用されている100kgf/mm2高張力鋼。名称はAK-33とか?
      • 120kgf/mm2高張力鋼があるという話だが、詳細は不明。

 参考 (ロシア)
 一部翻訳中 (by Google翻訳)
1952年9月9日、スターリンはソ連初の原子力潜水艦レーニンスキー・コムソモルの建造のための法案に署名した。
研究所では、60kgf/mm2の降伏強度を有する鋼材と溶接材を、短期間で開発するように依頼された。そこで、研究所では、6人のエンジニアによるチームを作り、1か月以内に最適な化学組成を有する鋼材を開発した。これが有名なAK-25である。
その後、AK-25から派生したAK-27、AK-28は、砕氷船レーニンの船体に使用された。
また、1959年には、第2世代原子力潜水艦のためにAK-29が開発された。
現在は「AK-」ではなく「AB-」に変更されている。
  • 685型 (マイク型)
    48T型チタン合金を船体に使用
    • 降伏強度は72-75kgf/mm2
      РОССИЙСКИЙ ПОДВОДНЫЙ ФЛОТ - ПОДВОДНЫЕ ЛОДКИ
      ttp://submarine.id.ru/sub.php?685
  • 945型 (シエラ型)
    チタン合金を船体に使用
    • 降伏強度は70-72kgf/mm2
      ПОДВОДНЫЕ ЛОДКИ РОССИИ. ПЛАРК. Проект 945, 945А, 945Б
      ttp://ruspodlodka.narod.ru/plark/945.htm
  • 971型 (アクラ型)
    降伏強度100kgf/mm2の高強度鋼を使用

 参考 (中国)
  • 聯合証券 (中国) 業界研究
    ttp://www.p5w.net/newfortune/fxs/baogao/jx/200608/P020060831647862035182.pdf (P16の表19) (wikiPDF)
潜水艦用チタン合金と高強度鋼の対比
降伏点 (MPa)主艇体質量比 (T/m3)
48-OT3チタン合金5880.15
AK-25鋼5880.195
AK-29鋼7840.175

メモ
  • 潜水艦の適用板厚は30mmから80mmで、高張力鋼とチタン合金を区別していない。



 

日本 (Japan)

  • 防衛省規格 (NDS) において、NS の N は艦船用を、S は鋼板 (Steel) を、数字は保証耐力値 (kgf/mm2: キログラム重毎平方ミリメートル) を、それぞれ意味する。そのため、用途が耐圧殻に限られるものではない。

    • SM52W : 耐力 294MPa (30kgf/mm2)
      使用艦 おやしお (SS511、1960〜)
    • NS30 : 耐力 294MPa (30kgf/mm2、SM52Wを制式化)
      使用艦 はやしお型 (1962〜) 、なつしお型 (1963〜、内殻フレームにはNS46を使用)
    • NS46 : 耐力 451MPa (46kgf/mm2) 最大板厚42mm
      使用艦 おおしお (1965〜) 、あさしお型 (1966〜)
    • NS63 : 耐力 617MPa (63kgf/mm2) 最大板厚65mm
      使用艦 うずしお型 (1971〜、1・2番艦はNS46と併用)
    • NS80 : 耐力 784MPa (80kgf/mm2) 最大板厚100mm
      使用艦 ゆうしお型 (1980〜、1・2番艦はNS63と併用)
    • NS90 : 耐力 882MPa (90kgf/mm2) 最大板厚65mm
      使用艦 DSRV、しんかい2000。なお、潜水艦に使われた実績はない。
    • NS110 : 耐力 1078MPa (110kgf/mm2) 最大板厚65mm
      使用艦 はるしお型 (1990〜、主耐圧殻材はNS80だが、一部にNS110を使用) 、おやしお型 (1998〜、同前) 、そうりゅう型 (2009〜、同前)



 参考 (Reference)
 メモ
  • 1999年 (平成11年) に、NS80の最大板厚が従来の65mmから100mmに拡大されたが、これは、時期的に、あさしおのAIP艦改造に伴うものと考えることもできる。
  • 艦船用超高張力鋼板はNS110と呼ぶが、艦船用超高張力鍛鋼品 (Forgings) はNF110と呼ぶ。なお、鋼板は新日本製鐵と川崎製鉄 (当時) が、鍛鋼は川崎製鉄 (当時) と三菱製鋼が、それぞれ開発に参加した。
  • しんかい6500に採用されていれば、NS120として制式化されたかもしれないのが10Ni-8Co鋼。
  • そうりゅう型について
 はるしお型、おやしお型と同様に、主にNS80鋼を使用し、一部にNS110鋼を使用している。
 これは、そうりゅう型4番艦 (8119) の建造契約に関して、当初、防衛省が行った公募に対し、三菱重工業株式会社が技術資料の提出を見合わせた理由に、「特殊溶接技術者について、連続建造する場合、耐圧殻 (NS80鋼) の特殊溶接作業者の大幅増員が必要 (溶接技術の習得については、新人で5年、一般溶接技術者で約3年) 」としていることから、主にNS80鋼を使用していることがわかる。
 また、超高張力鋼材の研究において、NS80鋼とNS110鋼を組み合わせた場合の研究がなされたことからもうかがえる。
 ただし、同研究の終了後、そうりゅう型の整備が始まっていること、また、スターリング機関を搭載したことによる船体の大型化等の理由から、NS110鋼の使用範囲は拡大しているものと思われる (より耐力の大きい高張力鋼の使用は、深度増又はペイロード増大に対する相対的小型化につながる) 。
  • そうりゅう型の建造では、従来のブロック建造法に替えて、モジュール建造法が用いられている。
株式会社川崎造船では新型潜水艦の建造に際して従来同様の高品質を維持すべく,製造においてはモジュール建造法を,設計においては3次元CADをそれぞれ導入した.
本報では艦船への民生電子機器搭載のニーズに応じ開発した浮甲板用の衝撃支持装置の特徴や機構、性能試験結果について述べるとともに、シミュレーション解析を援用することによる設計条件の変化に応じた装置の最適設計の可能性を示す。また、民生品の衝撃環境基準 (JIS C 0041) を適用することで、試験結果から推定される浮甲板の衝撃環境の評価を行う。
「かつてソ連の潜水艦は1隻あたり数千トンのチタン合金を使用したといわれているが,日本の潜水艦は少量の純チタンの継目無管,配管用溶接管,板を使用しているに過ぎない。」
しんかい2000の耐圧容器 (※人が乗る容器ではない) や、しんかい6500の3名の乗員を収容する大型の耐圧容器は Ti-6Al-4V ELI (Extra Low Interstitial: 極低不純物) 製



 

オーストラリア (Australia)

  • BIS812EMA 耐力 : 700MPa
    使用艦 コリンズ級 (Collins class)

 参考 (Reference)
 メモ
  • 世界の潜水艦によれば、「船体はHY-100の強度があるとされるスウェーデンの特殊合金鋼から造られる」とあるので、鋼材の製造・溶接技術については、同国から導入し、制式化したものと思われる。
  • すぐ下のスウェーデンの項も参照。



 

スウェーデン (Sweden)

  • Weldox*** の数字は耐力 (MPa) を表す。
    なお、Weldox は2015年にブランド名が変わり、現在は Strenx という名称になっている(以下、適宜読み替えのこと)。

  • SSABの Strenx 製品 のサイトはここ
  • 潜水艦に使用される鋼材としては、特別な品番 (Weldox 700E"M"など) の、スウェーデン国防省規格鋼材があるのかもしれない。

 参考 (Reference)
Lat mig ta ett exempel pa spin off. Kockums och SSAB i Oxelosund har i trettio ar forskat och utvecklat en speciell stalkvalitet for ubatar, det heter Weldox. Det har gett specialstal till oss och, mina vanner, Weldox ar idag SSAB:s storsta exportvara pa den internationella marknaden.
      • Oxelosund = スウェーデン王国セーデルマンランド県オクレースンド (Oxelosund) 市
      • speciell stalkvalitet for ubatar = 潜水艦のための特別な品質の鉄鋼
      • det heter Weldox = それは Weldox と呼ばれる。
 英語版は次のとおりだったと思われる (現在は削除済み) 。
"Let me give an example of spin-off. Kockums and SSAB in Oxelosund has for thirty years researched and developed a special grade of steel for submarines, it is named Weldox. It has been special to us, my friends, and today Weldox is SSAB's largest export commodity in the international market."
KTH=スウェーデン王立工科大学


オランダ (Netherlands)

  • ワルラス級 (Walrus class) にはHY100鋼が使用されている。

 参考 (Reference)
溶接には非常に苦労した (by Google翻訳) 。


その他 (Others)

韓国 (South Korea)
  • 韓国の214型は、ドイツで建造した同型艦と同じく、1.3964 (HY80鋼相当) を使用しているのではないかと思われる。
     理由としては、ライセンス元のドイツHDW社に、HY鋼材を使用した潜水艦の設計・建造経験がなく、また、韓国が209型のライセンス生産により建造技術を習得したとしても、数隻の建造で設計・建造能力まで得られるとは考えられない。
     仮に、高い耐力を持つ鋼材を使用しているとしても、1.3974級程度ではないかと思われる。
     なお、韓国の214型がどのような鋼材を使用しているのかはわからないが、ドイツの非磁性鋼 (または韓国国内で製造した同等の鋼材) を用いているのであれば、対潜に重点を置く海上自衛隊としては、非常に厄介な存在になるのではないか。


高張力鋼とチタン合金

  • 資料1. P2 (P178) の Table 1 。
    しんかい6500と同2000の耐圧殻の概要についてまとめられている。まず、しんかい2000は、耐圧殻に板厚30mmのNS90を使用し、最大潜航深度2000mを実現していること、また、しんかい6500は、耐圧殻に板厚73.5mmの Ti-6Al-4V ELI を使用し、最大潜航深度6500mを実現していることが記載されている。
     
    さらに、各材料の0.2%耐力と比強度を見ると、NS90は耐力90kgf/mm2で比強度は11.5、 Ti-6Al-4V ELI は耐力81kgf/mm2で比強度は18.3と、耐力はNS90が約1割ほど高いが、比強度ではTi-6Al-4V ELI が約6割も高い数値となっている。
     
    このことから、しんかい6500は、比強度の高いチタン合金を使用したことで大幅な軽量化を実現し、併せて、小型化も図っていることが分かる。また、同時に、深く潜航するためには、耐力の高い材料は必ずしも必要でないことも分かる。
     
    そこで、例えば、NS110を使用して、深度1000mの潜航性能を持つ潜水艦を造れるのかといえば、何をするのかは別として、おそらく造れるだろう。
     
    すなわち、一般的に、チタン合金を使用した潜水艦の方が高張力鋼を使用した潜水艦より深く潜航できるのは、材料の差ではなく、要求性能の差といえる。


その他
  • 旧ソ連が潜水艦に使用したチタン合金は、耐力70kgf/mm2前後と思われるが、さらに高い耐力を持つ材料の技術開発は行われている。
    なお、リンク先のページは変更により存在しなくなったために、鋼 (steel) のトップページに変更している。
    • CRISM-Prometey (構造材中央研究所プロメテイ)
      Корпусные материалы для судостроения
      http://www.crism-prometey.ru/science/steel/index.a...
      造船用船体材料のうち、下から4番目。
       
      高強度チタン合金溶接
      熱処理を必要としない90-100kgf/mm2の降伏強度を持つ高強度チタン合金溶接のための技術開発。
       
      また、チタン合金の溶接では40年の歴史があり、アルゴン溶接、厚さ0.2-400mmまでの電子ビーム及びレーザー溶接技術があるとしている。
       
      なお、Google及び辞書翻訳なので精度悪し。


大まかな一覧

Yield Strength (YS : 降伏強度または耐力)
YS 
アメリカ

イギリス

フランス

ドイツ

中国

ロシア

日本

豪州

瑞典
550MPaHY80Q1N1.3964*1)
NS56
590MPa60HLES921A
TA5-A
AK-25
48-OT3
630MPa1.3974
690MPaHY100Q2NAB-2*2)
NS70
700MPa80HLESBIS812
EMA
Weldox
700
785MPa980AK-29NS80
890MPaHY130100HLESAB-3?NS90Weldox
900
980MPaAK-??
1078MPa*3)
HY156
NS110
1175MPaAK-??

※1) 550MPaの鋼材は、NS鋼換算ではNS56級に相当。
※2) 690MPaの鋼材は、NS鋼換算ではNS70級に相当。
※3) 1078MPaの鋼材は、HY鋼換算ではHY156級に相当。
  • 単位変換
    ttp://www5a.biglobe.ne.jp/~uchimura/uconv.st/07.press-j.html


用語の定義


耐力 (たいりょく、Proof Stress)

  • 降伏点が明確にあらわれない材料において、降伏点のかわりに用いる応力値のこと。材料試験において、普通0.2%永久ひずみが生じるときの応力を耐力とする。
    材料の応力―ひずみ曲線図において、次のような線を描く材料について用いる。

降伏強度 (こうふくきょうど、Yield Strength)

  • 応力は増加せずに、ひずみだけが増加する点を降伏点 (Yield Point) といい、降伏点における応力を降伏応力 (Yield Stress) 、または降伏強度 (Yield Strength) という。
    材料の応力―ひずみ曲線図において、次のような線を描く材料について用いる。

引張強さ (ひっぱりつよさ、Tensile Strength)

  • 材料の応力―ひずみ曲線図の、最高点における応力を極限強さといい、引張の場合には引張強さ、圧縮の場合には圧縮強さという。
    下図におけるE点。

耐圧殻 (たいあつこく)


 ひと   ぶぶん   たいあつこく   ごうきん
 人 がのる部分 である耐圧殻 はチタン合金 でできているよ

 正確には「たいあつ"かく"」ではなく「たいあつ"こく"」。


参考

設計における安全係数は、通常、材料の耐力の関数として定義されます。多くの場合、0.2%耐力の75%が許容最大応力とされます。これによると材料の応力緩和は許容範囲内に入り、永久歪みもほとんど出ません。しかし、米軍のような特殊な仕様では、最大許容応力を引張り強さの50%などと規定しています (特に、繰り返し疲労破壊が問題になるような場合に多く用いられる) 。
    • HT80以上の高張力鋼では、降伏比 (降伏点 (耐力) /引張強さ) は0.85〜0.95になる (参考、工業材料入門 冨士明良) 。


その他










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