ヘンリー×マリア 469@Part6.1

「ごめんなさい…初めてじゃなくて…」
今しがたヘンリーが迸らせた白濁液を、その可憐な唇の端からこぼしながら、マ
リアはうつむき加減に詫びる。
「出来れば…貴方に…初めてを捧げたかった…。黙っているつもりはなかったん
です…。婚約から挙式まで慌ただしく過ぎてしまったから、話そう話そうと思い
ながらついずるずると…。私…」
「いいんだ」
目に涙を浮かべながら自分の過去を語ろうとするマリアの言葉を、ヘンリーは優
しく遮る。
「君が過去にどうだったかなんて俺にはどうでもいいんだよ。俺は君の過去も含
めて愛したんだ。昔付き合ってた男のことなんか気にしちゃいない」
「あなた…。」

嘘だった。

悔しくてたまらなかった。一体どこの誰がマリアに仕込んだのかわかりはしない
が、未だ童貞のヘンリーにわずか数分で絶頂を迎えさせた口での奉仕は、相当な
ものであり、ここまで上達するほどだから以前の男に相当尽くしたに違いないと
思う。勿論初体験のヘンリーには比べる対象が無いのでどの程度凄いのかはわか
りはしないのだが、少なくとも「経験値をかなり稼いでいるな」…と思うのである。
純情で可憐な(少なくともヘンリーはそう思っていた)マリアの事だから、きっ
と愛した男の言うがままに奉仕し、尽くしたのだろう。

最も、数分で果ててしまったのは、長い間ヘンリーが女体に接することが無く、
溜まりまくっていたせいもあるのだが。

『こんなに素敵なマリアの純潔を奪い、あまつさえこれほどまでの奉仕を覚えさ
せるとは…』
もし、その男に会えるのならば、『なぜマリアを捨てたのだ?』、『ここまでや
らせて、奉仕を覚えさせて、なぜ別れたのだ?』と小一時間は問いつめたかった。

勿論ヘンリーは、マリアが奴隷として落とされる前に、一体教団内部でどのよう
な生活をしていたか知りはしない。もしかしたらその頃に男が居たかも知れない
し、教団に入る前に既に「大人の女」になっていたかも知れないのだ。
それに経験した相手が一人とは限らない。
しかしヘンリーには、よもやこの可憐なマリアが男をとっかえひっかえ渡り歩い
たなどとは想像できようも無く、ほとんど自分に都合の良い解釈で…と言うか

「初体験は奴隷になる前。抱かれた男は一人。そいつに仕込まれた。そして捨て
られた。マリアは騙されて、いいように遊ばれた」

と勝手に想像しては思いこんでいるのだ。

『話したくない…』
マリアは悩んでいた。
『でも、嘘は付きたくない…正直に話して…それで受け入れて貰えなければ、そ
の時は…』
しかし、既に挙式を上げ、今は新婚初夜である。
もし、自分の過去をヘンリーに打ち明け、その結果初夜直後に別れることになっ
たら、国民や他国に対するラインハットの威信が揺らぐやもしれず…。

それに…思い出したくはなかった…。「白馬に乗った王子様が迎えに来て、花に
囲まれながら清らかに愛し合う」…などと、そんなつまらない少女趣味でいたわけではない。まぁ、「白馬に乗った王子様」は確かに迎えに来たが。

愛した人に優しく愛撫されながら、「痛っ…」と呟きながら迎え入れるだろうな
…と、耳年増な少女達がどこからか仕入れる「初体験話」やちょっとエッチな小
説などを読んでは想像し顔をあからめてはいた。

しかし、現実は無惨にもマリアの淡い妄想を打ち砕き、その可憐な純潔を散らし
た。愛してもいない男達による陵辱により…。
2008年12月27日(土) 05:11:25 Modified by test66test




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