碧の嫉妬

温泉街アネイルの宿屋。
夕食時はすでに過ぎたが、まだまだ一階の食堂の喧騒は消える気配を見せない。
それとは対称的に、寝室のドアがずらりと並ぶ二階は静まり返っている。
今の時間帯、大抵の者は食事をするか、温泉に入っているからだ。
今、静かで薄暗い廊下に男が一人立っていた。
男は辺りを一瞥すると、目の前にあるドアをノックする。
コン、コン
「はーい」
中から返ってきたのはまだ若い女の声。
「だれー?……ってソロか。なにかよう?」
ドアから顔を覗かせた少女――アリーナは、来訪者の顔を見て微笑む。
「ちょっといいか?」
「どうぞ」
何のためらいもなくアリーナはソロを自室に入れた。



月明かりしかない暗い部屋の中、アリーナはベッドに腰掛け、ソロを見る。
彼は窓越しに、暗い空に浮かぶ三日月を見上げていた。
「温泉には行ったのか?」
月を見たまま問うソロ。
「ううん、今から行こうと思って準備してたの」
見ればアリーナは上下の繋がった薄い布の服しかつけていない。
明かりが消えているのも部屋を出る直前だったからだろう。
「ソロは行ったの?」
「俺もまだだ」
やはり月を見たまま答えるソロ。
そのまましばらく沈黙。
「今日は三日月だな……」
突然ポツリと呟く。
「え?うん、そうだけど……」
やや面食らいながら、一体なんの用だろう?とアリーナは思った。
「あの時も三日月だった……」
そう言ってアリーナに向き直るソロ。
月を背にしているのでその表情はアリーナには見えない。
「あの時って……なんのこと?」
アリーナにはソロの言う『あの時』にまったく心当たりがない。
ソロはゆっくりアリーナに近づきながら、その答えを口に出す。
「お前とクリフトが森でヤッてた時さ」
意外な答えにギョッとするアリーナ。
その一瞬の虚をついて、ソロはアリーナをベッドに押し倒した。
「きゃっ!?」
ソロは左手一本で怪力を誇るはずのアリーナの両手を彼女の頭上で抑えつける。
「 ちょっとソ――!!」
抗議の言葉を言いきるより早く、その柔らかい唇はソロのキスで塞がれた。
ソロが舌で口内を陵辱しようとする。
アリーナは歯を食いしばってそれに抵抗する。
ソロは空いている右手でアリーナの豊かな乳房を薄い服の上からゆっくり揉みはじめた。
「んふぅ!!んん!!」
アリーナの気がそれた隙に、口内に舌を浸入させる。
舌を絡め、唾液を流し込み、相手の唾液を飲み込む。
「んくぅ……ふうぅ……」
揉みしだかれる乳房からくる快感が、アリーナの思考を徐々に奪う。
くちゅくちゅと互いの舌と唾液が立てる淫らな音が、アリーナのカラッポの頭に響き渡る。
「ん……ふ……ぅ……」
いつのまにか自分の手を拘束していたはずのソロの左手が彼女の胸に移ったことにも気付かない。
ソロはアリーナの豊かなふたつの乳房を丹念に揉む。
力が加えられるたびに形を変え、快感を送りつづけるふたつの乳房。
アリーナはいつしかその甘い快楽に身を任せていた。
ソロはいったん手を休め、唇を解放する。
下に組み敷いたアリーナの顔は上気し、目が潤んでいた。
薄い布の服は汗でピッタリとカラダに張り付き、カラダのラインを浮き上がらせる。
そして息も絶え絶えなその表情――全てがとても艶かしく、美しい。
「……綺麗だ」
思ったままを口にする。
一瞬、呆けた表情をするアリーナ。
ソロは彼女の腰を掴み――
「きゃぁっ!?」
――力任せにアリーナをひっくり返し、うつ伏せにする。
そのまま太ももを持ち、無理やりお尻を上げさせる。
「いやぁっ!!」
四つん這いにさせられ、アリーナに再び抵抗の意思が宿る。
だがソロはそれよりも早くスカート中に顔を突っ込み、
既にぐっしょりと濡れたショーツの上から舌を這わせる。
「ひいっ!」
舌が女芯に触れた瞬間、アリーナの背筋を電流が走る。
思わずビクンッと背を反らせ、同時に思考が吹き飛ぶ。
その隙にショーツを膝まで下ろされてしまった。
ソロは柔らかい尻肉を揉みながら、直接女芯に舌を這わせる。
「ひんっ!ひあっ!ひいっ!」
ビクン、ビクンとカラダを弾ませ、悶える。
下半身を抑えられている為に、ただ喘ぐことしか出来ないアリーナ。
次々と押し寄せる快楽の波が彼女を絶頂に押し上げていく。
「ひゃぁぁっ!!ああぁぁっ!!」
ビクビクと痙攣し、快楽の波の間隔がどんどん狭くなる。
一際大きな波がアリーナに到達する直前、ソロが愛撫をピタリとやめてしまった。
「いやぁっ!!やめっ、やめないでぇぇっ!!」
狂ったように叫ぶアリーナ。
その様にソロは口元を歪め、
「もっといいモノをやるよ」
そう言ってショーツを完全に剥ぎ取ると、アリーナの腰をガッチリと掴んだ。
自分の秘裂に押し当てられた固いモノの感触に、アリーナは思わず身震いする。
ズンッ
十分に濡れたそこは、たやすくソロを奥まで迎え入れた。
「あ……はぁ……」
貫くモノのあまりの逞しさに、アリーナの頭は真っ白になった。
そんなことはお構いなしにソロは律動を開始する。
「あぁっ!やっ!あぁっ!」
剛直に肉の壁が引きずられ、凄まじい快感を生み出す。
「あひっ!あんっ!うぁっ!あぁっ!!」
二人は全てを忘れ、快楽の海に溺れていく。
動くたびにベッドが軋み、肉がぶつかり、引きずられる。
汗で張り付いた服の上からカラダをまさぐり、互いの唇を貪りあう。
そんな獣じみた行為は二人同時に終わりを迎えようとしていた。
「くっ……」
高まる射精感にいっそう激しく動くソロ。
「ひゃあぁぁ……ああぁぁぁ……」
口からだらしなく涎を流し、貫かれる度にヒクヒクと身悶えするアリーナ。
ソロはひときわ深く打ちこむと、最深部でその動きを止める。
ごぷっ
ピッタリ子宮口に合わせられた亀頭から大量の精が放出される。
「ふああぁぁぁぁあぁぁぁぁ……」
直接ナカに出される感触を味わいながら、アリーナの意識は深く沈んでいった。



深夜の宿屋。ほとんどの客が寝静まったであろう時刻。
その一室で、まだ若い男女が同じベッドで横になっていた。
「――ね、どうしてなの?」
彼の突然の行動がいまだに分からないアリーナは尋ねた。
「――わからん」
訊ねられたソロは一瞬考えてから答えた。
「あの時……森の中でお前とクリフトを見てから……頭の中が変になった」
そう付け加えた。
「――そう」
アリーナはそれだけ答えた。そうとしか答えられなかった。
これからどうしよう……
彼女の頭にはそれしか浮かばなかった。
2008年04月12日(土) 16:07:04 Modified by dqnovels




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