僕のバニーちゃん
う〜む・・・・・・
目前の練金釜と対峙する男が一人・・・エイトだった。
さすがトロデーンの国宝、非常に便利な道具だが練金の製法に関しては
いささか難しすぎる。道具や装備をむやみに入れても失敗してしまうし、
かと言ってとんでもなく粗末なモノでも組み合わせでも、
組み合わせ次第では凄いものに生まれ変わる。
先程からエイトは仲間の装備強化の為に、あらゆる手を尽くして
挑戦しているが全く上手くいかない。お金を出して買える物より、
練金で成功させれば一段と強い物が作れる可能性が高い。
仲間には少しでも強い装備で楽をしてもらいたい・・・
特に、女性であるゼシカには・・・・
エイトの優しい気持ちが再び挑戦の意欲をかき立てた。
「こ〜れ!いつまで馬車に籠ってるつもりかっ!!」
後ろに振り向くとトロデ王が馬車の入口のドアを開けて覗いている。
「お前がここに長くいると、可愛いミーティアに気を使わせてしまうじゃろ!?
それに今日はたくさん歩いた。休ませてやらんとな!」
「も・・・申し訳ありません。」
エイトがトロデに謝った。
「まぁまぁ、こんなに散らかしおって・・・」
トロデの目に映ったのは、袋から出されて車内に散らばったたくさんの道具だった。
「練金釜を使ってくれるのは嬉しいが、これではのォ・・・・」
トロデはこの惨状を見て、エイトの練金が上手くいってない事がすぐに分かった。
「どれどれ・・・」
そう言うとトロデは馬車の中にヒョイ、と上がってきた。
「練金にはコツがあると言ったろう。作りたいものをイメージしながら
材料を釜の中に入れるんじゃ。ところでお前、一体何を作りたいのじゃ?」
トロデの問いにエイトは少し顔を赤らめて答えた。
「あ・・・、あの・・・ゼシカの装備を考えていたのです。女性だから、
やっぱり守ってあげなきゃいけないし・・・そ、それに、・・・」
「それに・・・?何じゃ?」
エイトは口ごもった後、続けた。
「む・・・・・・・・・胸が!!」エイトの顔から湯気が出た。
「ぷっ・・・・・わははははははっ!お前ゼシカの巨乳が気になるのか!
仕方あるまいて。お前も年頃の男じゃ。あれを見て妄想しない事の方がおかしいぞ?」
トロデは笑うとエイトの肩をバシバシ叩いた。
「ち、違うのです!私はゼシカの守備を上げると共に、あの・・・
む!・・・胸を隠す装備を考えていたのです。ククールもいやらしげな目で見てるし、
町や城に行けば男達の視線を釘付けにします。・・・だから、せめてもう少し・・
落ち着いた服を、と!」
エイトは何故か物凄く興奮し、捲くし立てた。しかしトロデは、
「うーむ・・・ワシはそうまでする必要は無いと思うぞ。ゼシカは好きで
露出の高い服を着ているようじゃし、ククールもあのナイスバディを見て
活力が湧いてる気がするぞ?ヤンガスのバカにはその効果は現れていない
ようじゃが・・・。現にこのワシも密かにゼシカのお色気にはウハウハじゃ!
わはははははははっ!!・・それにお前・・」豪快に笑った後、ずぃっと顔を寄せてくる。
「最もらしい事を自分では言っておる様じゃが・・まさか自分だけオイシイ
思いをしようとしてるのではないかっ!?内緒で怪しげな服を作り、
それを内緒でゼシカに着せ、それを思いながら夜な夜な一人で・・・!」
「なっっ!!何を言うのですかっ!」
エイトは顔を真っ赤にして否定した。頭がクラクラする。何なんだ・・・・
王様といい、仲間といい・・・しかし正直なところ、自分にもちょっぴり?
そういう気持ちが分からないわけでもない。ミニスカートのゼシカ・・・
チューブトップのゼシカ・・自分に・・・・・ぱふぱふするゼシカ・・・!?
「ぱ・・・!!ぱふぱふ!!!っっ」
エイトが思わず叫んでしまうと、それを見ていたトロデがニヤリと笑う。
「ほれ見ろ!フフフ・・・・お前もなかなか隅に置けん男じゃの!!
まぁよいわ、とりあえず一人だけにおいしい思いはさせん!ここはワシに任せろ!
ぬふふふふ・・・」
トロデは怪しく笑うと、散らばった道具のほうへ目を向けた。
「あぁぁ・・・・」
エイトはため息をついた。・・・・困った事になった。良かれと思ってした事が
全く逆方向へと進んでいく。自分の考えた事・・・?と言うか、妄想によって・・!
どうしよう・・どうしよう、とエイトがオドオドしているうちに、トロデは
道具の中にバニースーツとあみタイツを見つけた。
「おぉ!これはバニーちゃん3点セットのやつじゃ。ところで・・・・
うさみみバンドはないのか?」
トロデがワクワクしながら尋ねた。
「そんなものありませんよ!!もうやめて下さい!!」
エイトはトロデの肩をゆすった。
「な〜〜〜にイイ子ちゃんぶりおって!お前の魂胆は見え見えじゃよ!
一人で楽しむなんて許さん!お前ももっと素直になって、男らしく潔く生きろ!」
「おぉ!ちょうどヘアバンドとうさぎのしっぽがあるな!決まりじゃエイト、
ゼシカの次の装備はバニーガールじゃ!これはいいぞぉ〜プリチーなのに
守備力が結構高く一石二鳥じゃ!」
トロデはヒョヒョイと練金釜に材料を放り込み、蓋をした。
バ・・・バ、バニー・・・バニーちゃんんんん!!??
エイトはそのまま呆然としていた。
ベッドに入ってからも、エイトはドキドキして眠れなかった。
あぁぁ・・・バニーガールだなんて・・・僕はゼシカの為を思って一生懸命
考えていたのに・・・どんな格好でも、か、可愛いとは思う。
だからこそ露出を抑えて欲しいのだ。
これからの練金でまた口出しされることを考えると・・・・
「あ・・・・ぁ。」
エイトはため息をつくと、ベッドに深く潜り込んだ。
しばらく時間が経っただろうか・・・窓の外は静まり返り、建物内も物音一つ
しない。
しかし、エイトは眠れずにいた。やはり練金釜が気になるのだ・・・明日になれば
ゼシカは、バ・・・・・バニー!!の姿で鞭を振るうのだ・・・ハァハァ
は・・・ハァハァ!?
い、いかんいかんとエイトは首を振る。そしてむくっ、と起き上がると決心した。
「王には練金釜の蓋を開けるな!っとキツク言われてるけど・・・やっぱりダメだ。
ゼシカにバニーなんか着せられるか!!」
エイトは練金を中止すべく部屋の外に出るドアに向かった。
もう間に合わないかもしれない・・でも何もしないで黙っていられない!!
そしてドアノブに手を掛けようとしたその時・・
カチャリ・・・・・
なんと自分が開ける前に目の前のドアが開いたのだ!
「・・・・・!!」
エイトは後ずさりした。こんな時間に尋ねて来る者などいるはずがない。
でなければ考えられることは、強盗か・・・まさか魔物・・・!!?
壁に立て掛けておいた剣に静かに手を伸ばす。向こうからドアを開けさせ、
正体を現したら・・・・斬る!
エイトの眉間に皺が寄る。ドアがギィィィ・・・と音を立てて開いた。
エイトは一気に間合いを詰めた!
「きゃあ!」
そのモノとぶつかった時、何となく聞き覚えのある悲鳴が響いた。
相手はどうやら尻餅をついたようだ。エイトは急いで部屋のライトをつけた。
「ゼシカ!」
相手の正体にエイトは驚く。・・・しかしそれ以上にその格好に目が釘付けになった。
なんと・・・ゼシカはバニーの姿だったのだ!
黒いボディースーツはピッチリと肌にフィットし胸の谷間を強調していた。
尻餅をついた時にM字形に開かれた足にはあみタイツ・・その足の付け根部分は
秘部のラインに沿って少しスーツが食い込んでいた。高いピンヒールを履き、
頭には・・あの練金釜で作っているはずのうさみみバンドが付けられていた。
「いったぁ・・・・。まさか突然出てくるなんて・・・。」
ゼシカは不安定に立ち上がった。しかし、
「あ・・・・っ!」
とバランスを崩しエイトの胸に倒れこんだ。
むにゅ・・・・・とゼシカの豊満な胸がエイトに押し付けられた。
エイトはもう居ても立ってもいられずあたふたしだす。
「と・・とりあえず中に入ろ・・・?」
頭が真っ白だったが、このままの状態ではいられない。突然の来訪者を
部屋の中に促した
しばらく何も話さないときが続く。気まずい雰囲気が流れた。
「あ・・・あのね!」
「あのさ!・・・」
二人は同時に口火を切った。そして恥ずかしそうに目を逸らす。
エイトのベッドに腰掛けているゼシカは、ドアの前に立ったままのエイトに、
「・・ここに座って?なんか・・・話しづらい。」と言った。
「あ・・・うん。」
エイトは恐る恐るゼシカの隣に腰を下ろした。バニー姿のゼシカがエイトの顔を
覗き込む。
「似合ってるかな・・?あたし・・・」
「う、うんうん。すす、凄い似合ってるよ!」
エイトはパッと目を逸らした。緊張感とドキドキ感が合わさって、
心臓が口から飛び出してしまいそうだった。目を逸らさなければどうにかなりそうな・・
そんな予感すらした。
「もう!どっち見てんの?ちゃんと見て、エイト。」
ゼシカはエイトの肩を掴み、グイッと体を自分の方へ向けた。
「あ!」
ゼシカの姿態を見せつけられることになったエイト。そこには色香が漂っており、
それはそれはもう・・・
「とても似合ってるよ・・・・」
エイとは顔を真っ赤にして答えた。その答えを聞き、ゼシカは大喜び!
「ホントに?嬉しい!」
ゼシカはギュッとエイトの腕を抱き締める。
「このうさぎの耳・・エイトが作ってくれたんでしょ?実は今日の夜、
全然寝付けなかったから、暇つぶしに練金でもしてみようかな〜って思って
馬車まで行ってみたの。そしたらもう既に釜には出来上がったこれが入ってて・・
釜の横にはバニースーツとあみタイツが置いてあったの!」
ゼシカが嬉しそうに話し出す。そして、エイトが疑問に思っていた事が
次々と解決していった。
ゼシカはベッドから立ち上がると、クルッと嬉しそうにエイトの前を回った。
「こんなに可愛い格好が明日から出来る!!それであたし嬉しくなっちゃって・・
こんな夜中だけどエイトに見て欲しくて来ちゃった・・・
起きてるか分からなかったけど・・・」
ゼシカは少し俯いて顔を赤くした。
可愛い・・エイトは心の底からそう思う。ゼシカの格好はもとより、
その仕草や声、顔がいつも以上に輝いて見えた。
「でもうさみみバンドを作ったのは僕じゃない、トロデ王なんだ。」
エイトは静かに切り出すと、ゼシカの嬉しそうな顔が少しずつ平静になっていく。
「いい機会だ、正直に言わせてもらう。」
エイトはゼシカの手を取り、再び自分の横に座らせた。
「僕は・・・ゼシカにそんな格好はあまりして欲しくない。凄い似合ってるし、
可愛いとは思うよ!男として・・・ド、ドキドキするっ!僕みたいな感じで
君を見る男はゴマンといるはず・・・・だと思う。そしてそれ以上の目で見る男も
たくさんいるはず。だからこそ!!・・・だからこそ、ゼシカを卑しい好奇の目に
晒させたくないんだ。君は可愛いし、スタイルも抜群だ。何を着たって似合うよ。
僕が保証する。だから君の為に、他に素敵な装備が作れるか考えるから・・・
話せる・・不思議な感覚だ。こんなにも心が落ち着いている。
ゼシカを大切に思う気持ちがこうさせるのだろうか・・・。
「・・・・エイトって優しいね・・・あたしの事そんなに考えててくれたんだ・・
「ごめんね・・・説教くさくなっちゃってさ。ゼシカが大事だから・・。」
二人はお互いに見つめあった後、、、、キスをした。
二人が出逢って初めてのキスだった・・・
目前の練金釜と対峙する男が一人・・・エイトだった。
さすがトロデーンの国宝、非常に便利な道具だが練金の製法に関しては
いささか難しすぎる。道具や装備をむやみに入れても失敗してしまうし、
かと言ってとんでもなく粗末なモノでも組み合わせでも、
組み合わせ次第では凄いものに生まれ変わる。
先程からエイトは仲間の装備強化の為に、あらゆる手を尽くして
挑戦しているが全く上手くいかない。お金を出して買える物より、
練金で成功させれば一段と強い物が作れる可能性が高い。
仲間には少しでも強い装備で楽をしてもらいたい・・・
特に、女性であるゼシカには・・・・
エイトの優しい気持ちが再び挑戦の意欲をかき立てた。
「こ〜れ!いつまで馬車に籠ってるつもりかっ!!」
後ろに振り向くとトロデ王が馬車の入口のドアを開けて覗いている。
「お前がここに長くいると、可愛いミーティアに気を使わせてしまうじゃろ!?
それに今日はたくさん歩いた。休ませてやらんとな!」
「も・・・申し訳ありません。」
エイトがトロデに謝った。
「まぁまぁ、こんなに散らかしおって・・・」
トロデの目に映ったのは、袋から出されて車内に散らばったたくさんの道具だった。
「練金釜を使ってくれるのは嬉しいが、これではのォ・・・・」
トロデはこの惨状を見て、エイトの練金が上手くいってない事がすぐに分かった。
「どれどれ・・・」
そう言うとトロデは馬車の中にヒョイ、と上がってきた。
「練金にはコツがあると言ったろう。作りたいものをイメージしながら
材料を釜の中に入れるんじゃ。ところでお前、一体何を作りたいのじゃ?」
トロデの問いにエイトは少し顔を赤らめて答えた。
「あ・・・、あの・・・ゼシカの装備を考えていたのです。女性だから、
やっぱり守ってあげなきゃいけないし・・・そ、それに、・・・」
「それに・・・?何じゃ?」
エイトは口ごもった後、続けた。
「む・・・・・・・・・胸が!!」エイトの顔から湯気が出た。
「ぷっ・・・・・わははははははっ!お前ゼシカの巨乳が気になるのか!
仕方あるまいて。お前も年頃の男じゃ。あれを見て妄想しない事の方がおかしいぞ?」
トロデは笑うとエイトの肩をバシバシ叩いた。
「ち、違うのです!私はゼシカの守備を上げると共に、あの・・・
む!・・・胸を隠す装備を考えていたのです。ククールもいやらしげな目で見てるし、
町や城に行けば男達の視線を釘付けにします。・・・だから、せめてもう少し・・
落ち着いた服を、と!」
エイトは何故か物凄く興奮し、捲くし立てた。しかしトロデは、
「うーむ・・・ワシはそうまでする必要は無いと思うぞ。ゼシカは好きで
露出の高い服を着ているようじゃし、ククールもあのナイスバディを見て
活力が湧いてる気がするぞ?ヤンガスのバカにはその効果は現れていない
ようじゃが・・・。現にこのワシも密かにゼシカのお色気にはウハウハじゃ!
わはははははははっ!!・・それにお前・・」豪快に笑った後、ずぃっと顔を寄せてくる。
「最もらしい事を自分では言っておる様じゃが・・まさか自分だけオイシイ
思いをしようとしてるのではないかっ!?内緒で怪しげな服を作り、
それを内緒でゼシカに着せ、それを思いながら夜な夜な一人で・・・!」
「なっっ!!何を言うのですかっ!」
エイトは顔を真っ赤にして否定した。頭がクラクラする。何なんだ・・・・
王様といい、仲間といい・・・しかし正直なところ、自分にもちょっぴり?
そういう気持ちが分からないわけでもない。ミニスカートのゼシカ・・・
チューブトップのゼシカ・・自分に・・・・・ぱふぱふするゼシカ・・・!?
「ぱ・・・!!ぱふぱふ!!!っっ」
エイトが思わず叫んでしまうと、それを見ていたトロデがニヤリと笑う。
「ほれ見ろ!フフフ・・・・お前もなかなか隅に置けん男じゃの!!
まぁよいわ、とりあえず一人だけにおいしい思いはさせん!ここはワシに任せろ!
ぬふふふふ・・・」
トロデは怪しく笑うと、散らばった道具のほうへ目を向けた。
「あぁぁ・・・・」
エイトはため息をついた。・・・・困った事になった。良かれと思ってした事が
全く逆方向へと進んでいく。自分の考えた事・・・?と言うか、妄想によって・・!
どうしよう・・どうしよう、とエイトがオドオドしているうちに、トロデは
道具の中にバニースーツとあみタイツを見つけた。
「おぉ!これはバニーちゃん3点セットのやつじゃ。ところで・・・・
うさみみバンドはないのか?」
トロデがワクワクしながら尋ねた。
「そんなものありませんよ!!もうやめて下さい!!」
エイトはトロデの肩をゆすった。
「な〜〜〜にイイ子ちゃんぶりおって!お前の魂胆は見え見えじゃよ!
一人で楽しむなんて許さん!お前ももっと素直になって、男らしく潔く生きろ!」
- い、潔いことなのだろうか?自分の感情を丸出しにすることは・・。
「おぉ!ちょうどヘアバンドとうさぎのしっぽがあるな!決まりじゃエイト、
ゼシカの次の装備はバニーガールじゃ!これはいいぞぉ〜プリチーなのに
守備力が結構高く一石二鳥じゃ!」
トロデはヒョヒョイと練金釜に材料を放り込み、蓋をした。
バ・・・バ、バニー・・・バニーちゃんんんん!!??
エイトはそのまま呆然としていた。
ベッドに入ってからも、エイトはドキドキして眠れなかった。
あぁぁ・・・バニーガールだなんて・・・僕はゼシカの為を思って一生懸命
考えていたのに・・・どんな格好でも、か、可愛いとは思う。
だからこそ露出を抑えて欲しいのだ。
- ・・そもそもバニー3点セットなんて、そんなもの王は何故知って
これからの練金でまた口出しされることを考えると・・・・
「あ・・・・ぁ。」
エイトはため息をつくと、ベッドに深く潜り込んだ。
しばらく時間が経っただろうか・・・窓の外は静まり返り、建物内も物音一つ
しない。
しかし、エイトは眠れずにいた。やはり練金釜が気になるのだ・・・明日になれば
ゼシカは、バ・・・・・バニー!!の姿で鞭を振るうのだ・・・ハァハァ
は・・・ハァハァ!?
い、いかんいかんとエイトは首を振る。そしてむくっ、と起き上がると決心した。
「王には練金釜の蓋を開けるな!っとキツク言われてるけど・・・やっぱりダメだ。
ゼシカにバニーなんか着せられるか!!」
エイトは練金を中止すべく部屋の外に出るドアに向かった。
もう間に合わないかもしれない・・でも何もしないで黙っていられない!!
そしてドアノブに手を掛けようとしたその時・・
カチャリ・・・・・
なんと自分が開ける前に目の前のドアが開いたのだ!
「・・・・・!!」
エイトは後ずさりした。こんな時間に尋ねて来る者などいるはずがない。
でなければ考えられることは、強盗か・・・まさか魔物・・・!!?
壁に立て掛けておいた剣に静かに手を伸ばす。向こうからドアを開けさせ、
正体を現したら・・・・斬る!
エイトの眉間に皺が寄る。ドアがギィィィ・・・と音を立てて開いた。
エイトは一気に間合いを詰めた!
「きゃあ!」
そのモノとぶつかった時、何となく聞き覚えのある悲鳴が響いた。
相手はどうやら尻餅をついたようだ。エイトは急いで部屋のライトをつけた。
「ゼシカ!」
相手の正体にエイトは驚く。・・・しかしそれ以上にその格好に目が釘付けになった。
なんと・・・ゼシカはバニーの姿だったのだ!
黒いボディースーツはピッチリと肌にフィットし胸の谷間を強調していた。
尻餅をついた時にM字形に開かれた足にはあみタイツ・・その足の付け根部分は
秘部のラインに沿って少しスーツが食い込んでいた。高いピンヒールを履き、
頭には・・あの練金釜で作っているはずのうさみみバンドが付けられていた。
「いったぁ・・・・。まさか突然出てくるなんて・・・。」
ゼシカは不安定に立ち上がった。しかし、
「あ・・・・っ!」
とバランスを崩しエイトの胸に倒れこんだ。
むにゅ・・・・・とゼシカの豊満な胸がエイトに押し付けられた。
エイトはもう居ても立ってもいられずあたふたしだす。
「と・・とりあえず中に入ろ・・・?」
頭が真っ白だったが、このままの状態ではいられない。突然の来訪者を
部屋の中に促した
しばらく何も話さないときが続く。気まずい雰囲気が流れた。
「あ・・・あのね!」
「あのさ!・・・」
二人は同時に口火を切った。そして恥ずかしそうに目を逸らす。
エイトのベッドに腰掛けているゼシカは、ドアの前に立ったままのエイトに、
「・・ここに座って?なんか・・・話しづらい。」と言った。
「あ・・・うん。」
エイトは恐る恐るゼシカの隣に腰を下ろした。バニー姿のゼシカがエイトの顔を
覗き込む。
「似合ってるかな・・?あたし・・・」
「う、うんうん。すす、凄い似合ってるよ!」
エイトはパッと目を逸らした。緊張感とドキドキ感が合わさって、
心臓が口から飛び出してしまいそうだった。目を逸らさなければどうにかなりそうな・・
そんな予感すらした。
「もう!どっち見てんの?ちゃんと見て、エイト。」
ゼシカはエイトの肩を掴み、グイッと体を自分の方へ向けた。
「あ!」
ゼシカの姿態を見せつけられることになったエイト。そこには色香が漂っており、
それはそれはもう・・・
「とても似合ってるよ・・・・」
エイとは顔を真っ赤にして答えた。その答えを聞き、ゼシカは大喜び!
「ホントに?嬉しい!」
ゼシカはギュッとエイトの腕を抱き締める。
「このうさぎの耳・・エイトが作ってくれたんでしょ?実は今日の夜、
全然寝付けなかったから、暇つぶしに練金でもしてみようかな〜って思って
馬車まで行ってみたの。そしたらもう既に釜には出来上がったこれが入ってて・・
釜の横にはバニースーツとあみタイツが置いてあったの!」
ゼシカが嬉しそうに話し出す。そして、エイトが疑問に思っていた事が
次々と解決していった。
ゼシカはベッドから立ち上がると、クルッと嬉しそうにエイトの前を回った。
「こんなに可愛い格好が明日から出来る!!それであたし嬉しくなっちゃって・・
こんな夜中だけどエイトに見て欲しくて来ちゃった・・・
起きてるか分からなかったけど・・・」
ゼシカは少し俯いて顔を赤くした。
可愛い・・エイトは心の底からそう思う。ゼシカの格好はもとより、
その仕草や声、顔がいつも以上に輝いて見えた。
「でもうさみみバンドを作ったのは僕じゃない、トロデ王なんだ。」
エイトは静かに切り出すと、ゼシカの嬉しそうな顔が少しずつ平静になっていく。
「いい機会だ、正直に言わせてもらう。」
エイトはゼシカの手を取り、再び自分の横に座らせた。
「僕は・・・ゼシカにそんな格好はあまりして欲しくない。凄い似合ってるし、
可愛いとは思うよ!男として・・・ド、ドキドキするっ!僕みたいな感じで
君を見る男はゴマンといるはず・・・・だと思う。そしてそれ以上の目で見る男も
たくさんいるはず。だからこそ!!・・・だからこそ、ゼシカを卑しい好奇の目に
晒させたくないんだ。君は可愛いし、スタイルも抜群だ。何を着たって似合うよ。
僕が保証する。だから君の為に、他に素敵な装備が作れるか考えるから・・・
- そのスーツは脱いでくれ・・・。」
話せる・・不思議な感覚だ。こんなにも心が落ち着いている。
ゼシカを大切に思う気持ちがこうさせるのだろうか・・・。
「・・・・エイトって優しいね・・・あたしの事そんなに考えててくれたんだ・・
- ・・・嬉しい」
「ごめんね・・・説教くさくなっちゃってさ。ゼシカが大事だから・・。」
二人はお互いに見つめあった後、、、、キスをした。
二人が出逢って初めてのキスだった・・・
2008年12月27日(土) 07:02:08 Modified by test66test