タグ検索で【たなえり】108件見つかりました。

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(79-745)とある冬の帰り道

「ぶぇっくし」 澄んだ空に星が綺麗に見える夜道。 ところどころツルツルとした氷が残っていて、ときどき足が滑っては繋いだ手に力を込めて二人で笑い合う。 「れーな、風邪引いたんじゃない?」 「そうかもしれん」 「いや、もしかしたら誰かに噂されてるのかも」 「誰やろ。さゆかな?」 れいなと絵里は放課後の居残りの帰り道。 白い排気ガスを纏う車列を横目にゆっくりと並んで歩いている。 いつも居残り課題の答を、あらゆる手を使って私に来てくれるさゆみも、今日は冬の寒空に負けたのか先に帰ってしまった。 あの「さゆ」で…

https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2879%2d745%29%a4%... - 2018年03月01日更新

(79-352)台風の過ぎた朝

れいなが部屋で漫画を読んでいると、リビングの電話がプルプルと鳴り出した。 おもむろにれいなは窓の外に目を向ける。 窓の向こうでは、少しずつ雲が薄くなっていき、街が明るみを取り戻していっているようだった。 雨粒も徐々に小さくなっているようで、なんだか少し嫌な予感がする。 大きな溜息をついて寝転んでいたソファから立ち上がり、電話のもとへと歩いていく。 「もしもし、田中――」 「遅い! 絵里がコールしたら1回で出る!」 「うるさっ。耳が壊れると」 「既に耳が壊れてるから、電話のコールも聞こえないんでしょうが」…

https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2879%2d352%29%c2%... - 2017年10月23日更新

(79-387)台風の過ぎた朝 part2

[[(79-352)台風の過ぎた朝]] ---- 「ふう。一苦労だったの」 さゆみに捕まったれいなは、今は後ろ手に縛られ、脚にもぐるぐると紐が巻き付けられている。 口元をガムテープでふさがれ、服は着させられたままだったが、ソファの上に転がされていた。 「んんんんー」 「はいはい。静かにしてね」 「んんんんー!」 「とりあえず、人をバケモノでも見るような目で見ないでほしいの。今からちゃんとさっきの種明かししてあげるから」 さゆみが頭を撫でてやると少しだけれいなの興奮は収まったようだが、相変わらずガ…

https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2879%2d387%29%c2%... - 2017年10月31日更新

(68.2-44)彼らと彼のゴム事情

[[(65-661)こうして愛を交わし合う]] ---- 幼い頃から内に秘めていた衣梨奈への恋心を、ようやく本人に話すことが出来、 しかも両想いだったことが分かり、付き合うことになった聖君は、正直浮かれていた。 表にこそ出さないが、心は空にある雲の上をふわふわ歩いている気持ちで。それが幸せなオーラとして体から溢れていた。 聖君としては、手を繋いだり抱き締めたり、時として人目を憚りながらキスできれば、 それで充分だったのだが、そうはいかないのがたなえり世界の女の子。 友だちとして、聖君の近くにいた鈴…

https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2868%2e2%2d44%29%... - 2014年05月08日更新

(77-65)真夏の昼の夢

[[(67-248)あゆみとさゆみの二人の秘密]] ---- 6月の終わりから鳴き始めたセミたちは、そろそろ2ヶ月経つのにまだ鳴いていた。 あと一週間で8月が終わる。 窓を網戸にして扇風機にあたりながら、僕は残っている夏休みの課題をチャブ台に広げていた。 「……英単語の発音箇所は解けた、っと。次は……『英文を日本語訳にせよ』か……」 ぼろぼろの英和辞典を引きつつ、問題を解いていく。 そして。 一つの英文を前にして、僕の鉛筆を持っていた手が止まる。 I very much enjoyed the …

https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2877%2d65%29%bf%b... - 2016年08月25日更新

(67-248)あゆみとさゆみの二人の秘密

[[(57-417)石田君と道重さん?のシャワールーム編]] ---- 「はっ、はっ、はっ、はっ…」 深夜1時半のとある路地。 学園指定のジャージに身を包み、茶色に染めたポニーテールを揺らし、深夜の街を走って汗を流すのが彼・石田亜佑美の日課。 彼の将来の夢は日本を代表するプロダンサーで、まだ肌寒い季節であっても決して鍛錬を欠かさない。 おかげで常に引き締まった身体を維持できているのだが筋肉がつきにくい体質のせいで服を着てるとモヤシに見えるのがタマにキズ。 もっとガタイが良くて筋肉がモリモリつけばダン…

https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2867%2d248%29%a4%... - 2014年03月30日更新

(57-417)石田君と道重さん?のシャワールーム編

今日は高等部と中等部のみんなで屋内プールにやってきた石田君。 ウォータースライダーや流れるプールがあったりとアミューズメントパークと言っていい造りで、 田舎育ちの石田君は見るものすべてが新しく大興奮なのです。 しかし石田君が本当に興奮していたのは大きな建物やプールにではありません。 「あゆみん楽しい?」 「は、はい!とっても!」 プールサイドに座りみんながはしゃぐ姿を見ていた石田君の隣に腰を下ろす一人の女性。 石田君の憧れの人、高等部2年の道重さゆみさんです。 「あゆみんの地元にはこういう所なかった…

https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2857%2d417%29%c0%... - 2014年02月12日更新

(76-140)馬鹿と阿保と10回クイズ

「ねぇ、れーな」 「なん?」 放課後の教室。 さゆみとれいなは所在なさげな表情を何も書いていない黒板に向け、 教務室に呼び出された絵里の帰りを待っていた。 「暇なの」とさゆみ。 「じゃぁ、しりとりでもする?」 「うわぁ、高校生になってまでしりとりとかないわ。センス無(な)」 「じゃぁ、さゆは何かセンスあること思いつくと?」 「もちろん! さゆみは生まれてこの方、センスと見た目でしか生きてきてないの」 「さりげなく見た目も入れてくる辺りがセンスないと思うっちゃけどね」 「うるさい、ポークビ…

https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2876%2d140%29%c7%... - 2016年08月02日更新

(75-891)翼を持つヒト

――――今年で里保ちゃんは僕の隣からいなくなる、――――。 「「うわあ……」」 僕がドアを開けると、二人の口から感嘆の声が出た。 里保ちゃんがスルリと中に入り、部屋のあちこちを見回す。 「すごいんじゃ。こんな部屋に泊まれるなんて夢みたいじゃけぇ」 僕も部屋に入って鍵をかけながら、 「聖君に感謝しないといけないんだろうね」 そう言った。 都内でも有数の一流ホテル、そのクリスマスディナー&宿泊ペアチケットを譲ってくれたのは、聖君だったから。 聖君はチケットを渡すとき、 「本当は僕とえりぽんで行きたかっ…

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(59-829)寒いのはクーラーのせいじゃなくて

手元の数学のテキストを眺めながら、れいなは右手でペンを回していた。 隣ではさゆがパソコンを勝手にいじっている。 安物のエアコンは絶え間なくキンキンに冷えた冷気を部屋に吹き下ろしていた。 「ねぇ、ちょっと寒いっちゃけど」 「じゃぁ、布団でも被ってれば」 さゆはパソコンの画面から目を逸らさないままつまらなそうに言った。 いったいさっきから何を調べているんだか。 軽いネット中毒者のさゆにはなんだかパソコンの青白い光が似合っている気がする。 ただでさえ白いのに、これじゃぁまるで亡霊みたいだ。 れいながそう言う…

https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2859%2d829%29%b4%... - 2014年03月05日更新

(75-885)冷たい風とキスマーク

[[(59-829)寒いのはクーラーのせいじゃなくて]] ---- 風は青く、空は灰色。 気候は次第に冬に近づいていく。 太陽が昇り始めるのも次第に遅くなっていくが、人々は、季節ではなく時計によって決められた一日を今日も生きている。 れいなはマフラーに顎をうずめ、身を震わせながらいつもの登校路を歩いていた。 いつもの公園の前で絵里が待っている。 昨日まで三日間ほど風邪で学校を休んでいたが、今朝、れいなのもとに「今日から復帰するぜ!」という連絡が入った。 だから、れいなは少し遠回りをして、いつもの公園に…

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(75-718)放課後のちょいエロ

教室には放課後の静けさが腰を下ろしていた。 並べられた机は列ごとに違う色合いを浮かべている。 窓際の列の机たちは夕焼けの色に染まり、 対して廊下に面した机は一日の疲れを思い返すように暗い影の中でひっそりと息を潜めている。 そのセピア色のグラデーションは異世界に架かる虹のように見えなくもない。 空は秋晴れ。 きっとそんな天候的な理由もあって、もう学校の中には誰も残っていないような空気が流れている。 運動部のかけ声だけが時折グラウンドの方から聞こえてきたりする。 しかし、この教室だけには、わずかに人の気配が…

https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2875%2d718%29%ca%... - 2016年08月01日更新

(75-248)貝殻の散る砂浜で

僕は砂浜に立っていた。海からは遠く、微かに波の寄せては返す音が聞こえるだけで。 ふと、足下を見ると、色々な貝殻が散らばっていた。白い大きめの貝殻、桜色の薄い小さな貝殻、水色の巻貝。 綺麗だな、ぼんやりそう思ったけれど、拾うことはしなかった。 「香音ちゃん」 名前を呼ばれ、顔を上げる。 いつの間に僕の前に立っていたのか、夏の制服姿の、僕の大切な人。 「香音ちゃん、うち……疲れたんじゃ」 そっか、じゃあどこかで休もうか。そう言うと、彼女は悲しげに首を振った。 「香音ちゃといることに……もう疲れたんじ…

https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2875%2d248%29%b3%... - 2016年07月21日更新

(74-876)ぼくはきみのもの、きみはぼくのもの

里保は不満だった。 自分は試合に向けての個人練習、鈴木君は『ダイエット猛烈頑張る期』として、二人の時間が全く取れなかった。 それだけではない。 10kg近くの減量に成功した鈴木君は、可愛らしさと格好良さのハイブリッドな見かけとなり、クラスの、――――否、学校中の女子たちの注目の的になっていた。 里保は面白くない気持ちでいっぱいだった。 今日の体育の時間。 蒸し暑い体育館で、女子はバレー、男子はバスケと、分かれて競技していた。 コートの中、里保はジャンプして鋭いアタックを決め、点を獲得した。体操服…

https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2874%2d876%29%a4%... - 2016年07月13日更新

(74-330)Girls talk & Boys talk 2

偶には四人で遊ぼう、という話になった。 そうなると、一番部屋が広い聖君の家で、ということになり、集まった聖君・衣梨奈・鈴木君・里保。 今日はお手伝いさんが不在なので、聖君が「アイスティーとお菓子、取ってくるよ」と立ち上がり、 鈴木君も「僕も手伝うんだろうね」と、男子二人は部屋を出て行った。 二つの足音が遠ざかるのを何気なく聞く衣梨奈と里保。 「里保、今日の英語の自習で出たプリント、全部出来たと?」 「まだじゃ。あれ、持って帰ってでも全部訳さんとあかんじゃろ? 後で香音ちゃんと二人で一緒にするつもりじゃ」…

https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2874%2d330%29Girl... - 2015年07月04日更新

(74-206)sweet love, bitter start

春の暖かい日曜日。 鈴木君は里保の部屋で二人きり、サイダーを飲みながらまったりとした時間を過ごしていた。 天気も良いし、里保ちゃんとどこか出掛けるのも悪くないんだろうね、なんて窓の外を見ながらのほほんと考えていると。 「香音ちゃん」 里保が声を掛けてきた。 「なに?」 「やってみたいことがあるんじゃけど、よく分からんけぇ教えてほしいんじゃ」 「? いいけどなにを?」 くぴり、サイダーを口に含む。 「ほら、あれじゃ。――――フェラチオ」 里保の言葉に、プーッと上に向かって、水芸の如く華麗にサイダ…

https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2874%2d206%29swee... - 2015年07月04日更新

(72-260) 肉食ウサギとウルフボーイ

♪アイドル10年やってらんないでしょ!?♪ ヘッドフォンで音楽を聴く日曜日の昼下がり。 珍しく一人で過ごす日曜日、えりぽんはいない。 だから僕も少しだらしない格好で、コンタクトも着けずシルバーフレームの眼鏡で明日提出の宿題をしている。 えりぽんは……まあ、女の子の日で。……その前日までの数日はいつもより濃厚な日々でしたけれど。 (えーっとx=5のときy=2……) 「――きぃ」 (それが頂点だからx=0のときは……) 「――ずきぃー」 (下方グラフになって……) 「みーずーきぃー」 ……さっきから僕…

https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2872%2d260%29%20%... - 2015年07月04日更新

(70-368)優しいのも、程々に、ね

練習が終わった後に格技場の掃除をしながら、聖君は傍らで雑巾を絞っている里保を見た。 里保は、何かを思い出したように、顔をほんのり赤らめながらも 「デュフフフ………」 と、気持ち悪い笑みを浮かべている。 「あ、あの……里保ちゃん、何かあったの?」 「へ?」 「い、いや、何だかさ、嬉しそうに、笑って、るから……」 流石に聖君は「気持ち悪く笑っている」とは言えないので、一生懸命になって当たり障りのない言葉を探す。 そんな聖君の葛藤を知ってか知らずか、里保はにんまりとした笑みを浮かべながら、雑巾を床に広げ…

https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2870%2d368%29%cd%... - 2014年10月30日更新

(69-727)彼女の想いと、彼の優しさ

最近、香音ちゃんが前よりもずっとずっと冷たい。 何故そんな風に思ったんだろう?って、自問自答しても答えは見つからない。 そりゃ、香音ちゃんは前から人前で肩を抱いたり…ううん、手を繋いだりもしなかったけど。 それどころか、たまぁ〜に指がちょこっと触るくらいでもすぐ手を引っ込めて真っ赤になってたけど。 誕生日にはキスしてくれたのに。 あのときくれた髪留めも嬉しくってしょっちゅう着けてるのに。 あの日から、香音ちゃんはウチと目が合ってもすぐにふいって目を逸らしちゃう。 髪留めだって一回だけ「似合うよ」って言って…

https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2869%2d727%29%c8%... - 2014年08月09日更新

(68.3-519)時空を超えww

とある街の午後4時を過ぎた時刻。 この時間帯には部活や委員会などに所属していない学生たちが次々と学校から出て街に散らばっていく。 これから帰る者、遊びに行く者、電車やバスを使う者――様々である。 そんな中。駅前という好立地に建っている大き目な一軒のビル――そのビル丸ごとが『カラオケ’14なの』という、 なんだか胡散臭い名前だが、れっきとした、そしてこの街で一番流行っているカラオケ屋で。 今回の舞台が始まるのである――。 101号。 「里ぃ保―、こっちっちゃん」 フリードリンクバーで、コップの縁…

https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2868%2e3%2d519%29... - 2014年07月04日更新

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