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タグ検索で【他】は11件見つかりました。
(75-616)サバサバ��
[[(75-616)サバサバ��]] ---- ＊＊＊ 「はい、どうぞ」 満面の笑みで工藤君が私にケーキを差し出して来る。 「わぁ！ ありがとう！ 工藤君、すごい！！」 私の賞賛の言葉に工藤君はさらに機嫌を良くしたようで、ちょっと綻んだような可愛らしい笑顔を私に向けてくる。 あぁ、なんて素敵なんだろう。 ケーキも美味しそうだし。 ただ、唯一、このケーキを獲る為に使われたのが私のお金だという事実だけが、 昇天しそうな私をこの世知辛い現実世界へと必死に繋ぎ止めてくれていた。 「石田さんっ…
https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2875%2d616%29%a5%... - 2016年07月21日更新
(75-620)サバサバ終
[[(75-616)サバサバ��]] ---- 後輩のあゆみんからラインが来たのは、私がちょうど夕食の買い出しから家に帰って来たときだった。 私はとりあえず、冷蔵庫に入れるべきものとそうでないものを選り分け、スマホを片手にベッドの端に腰かけた。 スマホがラインを読み込む間、何の気なしに部屋を眺めてみる。 日曜日の日暮れが漂わせるノスタルジックな影が部屋の隅に湧き出していた。 ＜ ハル先輩……玉砕しました…… ） 最初は何のことかよくわからなかった。 ちょうどこの間、太平洋戦争での兵士の生き様を描…
https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2875%2d620%29%a5%... - 2016年07月21日更新
(75-611)サバサバ��
[[(75-609)サバサバ��]] ---- ＊＊＊ 今度こそ、妄想ではない本当の下校途中。 いや、もしかしたら、私は行き過ぎた妄想の世界の中に取り込められてしまったのかもしれない。 その日の演劇部で、６月の終わりにある前期講演の打ち合わせがあったのだけれど、そこで急転直下、青天の霹靂とも言える事件が起こる。 ――前期講演は例年、新人の経験を積ませるために、部内をいくつかの少人数チームに分け、 それぞれのチームで一つずつ短編の舞台を仕上げることになっている。 人手は多くないから、皆が２つのチーム…
https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2875%2d611%29%a5%... - 2016年07月21日更新
(75-616)サバサバ��
[[(75-611)サバサバ��]] ---- ＊＊＊ そして、週末。 私はいつもより早起きをして、鏡に映る自分を睨み付けていた。 ハル先輩に選んでもらった服。 ハル先輩に教わった流行りのメイク。 ハル先輩に忠告されたリュック……はベッド脇で項垂れ、母親の部屋から無断で持ち出したハンドバッグが私の膝の上で揺れていた。 バッチリ……とまではいかなかったけれど、少なくともほんの少し前までの私よりはかなりファッション雑誌的な格好になっていた。 今日、私は憧れのあの工藤君とデートをするのだ。 そう考えただ…
https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2875%2d616%29%a5%... - 2016年07月21日更新
(75-609)サバサバ��
[[(75-605)サバサバ��]] ---- ＊＊＊ 家に戻り、もう一度鏡に自分を映す。 ひかえめな薄いブルーの襟がアクセントとしてついている白い織物地のトップス。 肘から２インチほど上までしか袖が伸びておらず、 私のちょっと赤ちゃんっぽい（つまり、ほんのりと肉付きが良い）二の腕がおずおずと覗いている。 お店でネックレスも色々と試してみたのだけれど、「さすがにちょっといきなり気取りすぎかな？」という理由で買うのを断念した。 下はトップスの襟と似たような色の薄いブルーの細身のジーンズで、 特に目を引く…
https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2875%2d609%29%a5%... - 2016年07月21日更新
(75-605)サバサバ��
[[(75-601)サバサバ��]] ---- ＊＊＊ 「き、着替えました……」 私がおずおずとカーテンの向こうにむかって喋りかけると、先輩が「見せて、見せてー」と気のなさそうな返事をする。 先輩にとっては「試着」という行為が何気ない日常のワンシーンなのかもしれないけれど、 私にとっては全国民の前でのスピーチを任されたような気分だ。 でも、こんなんで緊張してると思われるなんて恥ずかしい。 そんな思いで、リラックスするために鏡の中の冴えない自分の恰好に笑いかけてみると、 もう一人の自分が「おぉｗ 似…
https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2875%2d605%29%a5%... - 2016年07月21日更新
(75-601)サバサバ��
季節感の無い、暑くも寒くもなくて、晴れでも雨でもない。 そんな時間も止まってしまいそうな、それでいていつの間にか今日が終わってしまうような、全てが灰色のアンニュイに染められた日曜日。 私は京浜東北根岸線に乗って、横浜から桜木町へと向かっていた。 目的地はみなとみらいの「クイーンズ・スクエア」。 横浜からなら、みなとみらい線を使えば歩かなくて済むけれど、みなとみらい線は京浜東北線に比べて若干割高なのだ。 だから、私はあえて京浜東北の、日曜日で込み合う各停に乗って桜木町を目指していた。 男の子とデート？ い…
https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2875%2d601%29%a5%... - 2016年07月21日更新
(75-7)サマー・イン・ザ・メモリー
大学が夏休みに入り、久しぶりにこの街を訪れた。 高校卒業と同時にこの生まれ育った街を離れた訳だけれど、こうして帰って来てみると、 「あぁ、この街、こんな狭かったんだな」 と感じる。 蝉が鳴いて、視線の先――公園の白い砂の上には、陽炎が揺らめいている。 太陽は今朝早くから何の疑いもなく、夏の空に飛び出して来ていて、 夜行バスのカーテンの隙間から覗いて見た、あの朝焼けをふと思い出した。 誰か昔の顔馴染と偶然再会して……なんてことでも起こらないかな、と期待して、 スーツケースを転がしながら色…
https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2875%2d7%29%a5%b5... - 2016年07月13日更新
(75-516)雨の日の再会
[[(75-7)サマー・イン・ザ・メモリー]] ---- 何の感慨もなく夏休みの帰省から帰って来たれいなを夕立が打ち付ける。 特に何をしたという訳でもないのに身体はぐったりと疲れていて、何故だかよくはわからないけれど、 頭の中では泣きじゃくりながら帰路につくずぶ濡れの自分の姿がイメージされていた。 服やら何やらが入っているスーツケースをガラガラと引きずる。 孤独感の分だけそれは重く、まるで囚人の足首に鎖でつながれた鉄球のよう…… ともすれば、歩くのをやめてその場にうずくまってしまいたくなる。 ようやく…
https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2875%2d516%29%b1%... - 2016年07月21日更新
(63-225)シルバーの腕時計
久しぶりに田園都市線に乗る。横浜にいる先輩に呼び出されたのだ。 といっても、横浜に行くのなら、私は東海道線か、その他の電車、とにかく田園都市線以外の電車に乗るべきだったと、今更になって後悔していた。 そう、たとえ今月のお小遣いを片道で使い果たすことになったとしても、田園都市線に乗るくらいだったらタクシーにでも乗った方がまだマシだった。 というか、そもそも先輩からの頼みなんてきっぱりと断っておけばよかったのだ。 その辺が私の「周囲に流されやすい」という弱い部分で、この憂鬱な電車に乗りながらそんな風に自分の欠…
https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2863%2d225%29%a5%... - 2014年02月28日更新
(26-811)家庭教師・絵里
今日から家庭教師の先生がくる、らしい。 れいなの意見もきかんと…。 ママにどんな人なのかきいても「会ってからのお楽しみ〜」とかいって教えてくれない。 れいなの行きたい大学に通ってる人らしい。 どんな人なんやろ。 厳しい人なんかな… ちょっと不安になってきた。 たしかにれいな頭はあんましよくないっちゃけど。 ぴんぽーん。 「ほら、来たわよ！お迎えして」 ガチャ。 「お邪魔しまーす」 「えり！？」 なんでえり！？ ママはなんかにやけて「ごゆっくり〜」といっていなくなった。 「なんしにきたと」 「な…
https://seesaawiki.jp/w/e6esr/d/%2826%2d811%29%b2%... - 2013年12月26日更新