とりあえず現段階でのまとめ

311 ヤン早20[sage] 2008/11/30(日) 19:34:16 ID:WsEb6cdu
風早にとって爽子は奇跡の様にきれいで眩しい存在だった。

誤解されても人に手を伸ばす事をやめずに一途に頑張る健気さ、
避けられてもひたすら内省にむかい、人のせいにしない清冽さ、
人間に善意しか見いださない純粋さや
風の匂いや夏の夜の美しさをみつけ愛する豊かで瑞々しい感受性すべてが眩しくて
愛しくてたまらなかった。
だから守りたかったし、自分が一番に助けたいと思っていた。

それがどうも難しい事だと気付いたのは意外とすぐで、
彼女に最初に友達ができて、その友達と彼女が両想いになった頃からだった。

爽子が幸せそうなのが嬉しくて仕方ないのに、
胸に刺さる小さな棘にも気が付いた。

―俺だけの、だったのに。

その時に感じた棘は爽子の世界が広がるにつれて増えていった。
風早の中ではどんどんどんどん爽子の存在が増していくのに、
爽子の中では反比例して風早の存在が小さくなるような気がしていた。

もちろんそれがわがままな独占欲だと自覚してはいたから、
何も知らぬ爽子に押し付けるなんてできないと思っていた。
312 ヤン早21[sage] 2008/11/30(日) 19:42:47 ID:WsEb6cdu
それを後悔したのは三浦が現れてからだった。

『爽子の世界が広がって
爽子のほんとうを見たら
好きになる奴なんてすぐ出てくる。』

風早は自分の昏い予感に押しつぶされそうな気がした。


ー俺だけの、宝物だったのにー


爽子は予想通り三浦に懐いた。
もともと人の好意に限りなく弱い爽子は他意なく無邪気に、
そして無防備に三浦の好意を受け止めた。

三浦の視線の中には目下の者に対する見下し感が滲み出てはいたが、
常人に比べ極端に悪意の種を持たない爽子は
そんな事気付きもしなかった。

風早は三浦にも苛立ったが、それ以上に爽子に焦れた。

どうして?そんな奴と俺は、同列なの?
…俺が一番じゃないの?

風早は何度もそう問い詰めたい衝動に駆られた。

その暗い独占欲は知らぬ間に風早を蝕んでいった
313 ヤン早22[sage] 2008/11/30(日) 19:50:43 ID:WsEb6cdu
そしてあの日。
焦れた挙句の告白は見事に砕け散った。

本当は少し期待していた。
二人で過ごした時間には確かに
流れあう温かさを感じていたから。

『俺の好きと黒沼の好きは違うね…?』

祈るような気持ちで聞いた。
否定してほしかった。

けれど彼女の口から漏れたのは
絶望的な肯定の言葉だった。

その時風早の中で何かが砕ける音がした。

その夜はほとんど眠れなかった。
少しうとうとと浅い眠りに落ちた時
爽子が夢に出てきた。
314 ヤン早23[sage] 2008/11/30(日) 19:55:26 ID:WsEb6cdu
『風早君、ありがとう、今まで助けてくれて』

助けてたんじゃないよ
俺がただ君に近付きたかっただけなんだ。

『いつまでも風早君は、私の憧れで、尊敬する人だよ』

俺はそんなできた人間じゃないよ
ただ君の特別な人になりたかったんだよ

いつの間にか爽子の側に三浦が立っていた
爽子は三浦を見上げた。三浦はへらりと笑った。

『今まで貞子ちゃんを助けてくれてありがとうなー。
もういいよ、これからは俺が貞子ちゃんを守るから。』

その言葉に爽子もにっこり微笑んだ。

『風早君、今まで本当にありがとう。
風早君のおかげで好きな人とも出会えたよ』

そこでようやく眼が覚めた。
頭が重くて何も考えられない。
ただひりつくような痛みだけが風早を支配していた。

そして爽子からの呼び出しメールを見たとき、
その痛みは鮮明によみがえった。
315 ヤン早24[sage] 2008/11/30(日) 20:02:49 ID:WsEb6cdu
呼び出し場所に行くと、爽子はまだ来ていなかった。
風早は校舎の冷たい壁にもたれかかり、
薄曇の空をぼんやり眺めた。

やがて爽子がどこか思いつめたような面持ちでこちらに向かうのが見えた。



『三浦の彼女になんの?』

自分で言っておきながらこの言葉に痛みを覚えて
風早は苦い笑いを抑えられなかった。

そうだとしても俺には何を言う権利も無いんだ。
だって、彼女の口からはっきり俺に対する好意は
恋愛感情じゃないと言われたんだから。

そう思っていると爽子のか細い
でも鈴のような声がその内容とともに風早の心を突き刺した。

『そんなわけない。だって、風早君が大好きだから』

−思わず耳を疑ったけれど、確かに彼女はそう言った。
身のうちから熱いものがせりあがり
思わず爽子に手を伸ばそうとして、止まった。
316 ヤン早25[sage] 2008/11/30(日) 20:05:44 ID:WsEb6cdu
黒沼は確かに昨日俺を振った。好きだけど、恋愛じゃないって。
なのにどうしてそんな事を言うんだよ。
気を使ってる?それとも同情?
俺のことは恋愛感情で好きじゃないんでしょ?どうして?
黒沼は嘘つかないから昨日言った事は嘘じゃないよね。なのにどうして?

…期待させてまたひらりと逃げるの?

風早は生まれてはじめて自嘲の笑みを浮かべた。

黒沼は綺麗だもん、
綺麗だから俺みたいな醜い独占欲なんて知らないだろ?
黒沼は綺麗で清潔で残酷だ。

風早の中を混乱と焦燥と独占欲が支配した。
どうしても目の前の爽子に触れてみたくてそっと手を伸ばした。

まず頬に触れた。
その滑らかな白い肌はまるで吸い付くように触れ心地が良かった。
徐々に指は艶やかな黒髪と瞳を辿り、頬に戻り、
そして小さいけれどふっくらした唇に触れた。
爽子の切れ長の大きな眼が風早を見つめた。
317 ヤン早26[sage] 2008/11/30(日) 20:10:14 ID:WsEb6cdu
そんな無防備な顔してちゃだめだよ、黒沼。
きれいすぎるうちは俺から遠いから
だから近づけないと。

だって、黒沼は俺の、だから。

風早は爽子の華奢な体を押さえ込んでその淡い桃色の唇を貪った。

…風早にとって爽子は世界で一番きれいで清潔な存在だった。
触れることをためらうほどにきれいで清らかで愛しい存在だった。

口付けしたときそのきれいなものが体の中に流れ込んでくる気がした。
そのきれいな淡い光は指先まで泡のようにひろがってはじけ
体中が幸福感で満たされた。
318 ヤン早27[sage] 2008/11/30(日) 20:15:14 ID:WsEb6cdu
長い口付けの途中に爽子が苦しそうな様子になるのに気付いてそっと唇を外した。
爽子はふぅっと長い息をはいた。

それをみはからいもう一度こんどはやんわりと角度をずらして口付けた。
爽子が呼吸できるように角度を変えながら短い口付けを繰り返した。
爽子がほっとしたように眼を閉じた。
それを見たとき風早は体中が熱くなった。

−うけいれてくれてる。

そう思うとたまらなくなって爽子の唇を舌でこじあけてそのままそれをねじ込んだ。
爽子の中は熱くて良い匂いがした。

くらくらと眩暈すら覚えながら口腔内をむさぼり愛しい子の舌を探した。
中で縮こまるそれをみつけ、絡めるとその柔らかさに気が遠くなりそうだった。

もっともっとと餓えたように蹂躙した。
何度かそれを繰り返すうちに頑なだった爽子の唇は
ほんのり舌でなぞるだけで風早の乱暴な舌を受け入れるようになった。
319 ヤン早28[sage] 2008/11/30(日) 20:19:19 ID:WsEb6cdu
「…ん…んんっ…ふ…っ」

短く爽子から漏れる甘い吐息に風早は熱病のように思考が麻痺していく

ああ、黒沼って全部甘い。
唇も舌も熱い息も唾液すらも甘い。

やがて力の抜けた爽子の華奢な体は
風早の体にすっかりその身を預けてきた。

風早は甘さの残滓を舐めつくすかのように
爽子の顔のあらゆるところに口付けを繰り返した。

爽子はもはや思考することを放棄したようにぼんやりし、
熱に溶かされた潤んだ眼で風早を見た。

風早は爽子の細い腰をしっかりと片手で抱きながら爽子の耳に囁いた
「爽子…。爽子は俺のだから、他の奴に目をむけちゃだめだよ。」

(後編へ続く)
336 ヤン早29[sage] 2008/12/03(水) 02:18:33 ID:KZjzS+Sx
俺のことで頭いっぱいになればいいのに

そう思いながら風早がちゅ、ちゅと何度か頬やまぶたに口付けると、爽子はぼうっと潤んだ眼で短い息を繰り返した。

やっべ、めちゃエロイ…

風早は初めて見る爽子の官能的な顔に煽られて、
そのまま押し倒したい衝動に駆られた。
「かぜはやくん、やめっ…んんぅっ…!」
爽子の唇をもう一度貪り、やんわりと舌を入れると持ち主の意に関係なくなじんだ
柔らかな舌がマシュマロのような柔らかさで触れてくる。
乱暴に暴れまわるのではなく優しくなだめるような動きを繰り返すと
その舌は生き物のように風早の舌に絡んだ。
そっと引き抜くと光る唾液がつぅっと糸を引いた。

はぁ…と熱い息をひとつついて風早は爽子に囁いた。

「しょーた。」

涙の滲む大きな黒い瞳を、え、というように向けた
爽子の耳たぶを風早は柔らかく食んだ。

「…ひぁっ…んっ」

甘い嬌声は風早にどんどん火をつけていく。
耳の淵をとろりと舐めると爽子は身を小さく震わせた。
337 ヤン早30[sage] 2008/12/03(水) 02:23:20 ID:KZjzS+Sx
ウサギみたいだな…。

その小動物めいた反応に嗜虐心が煽られる。

「しょーたって言って。風早、じゃなくて。」
言うなり風早は爽子の細い首筋に唇を落とした。
ちゅ、と音がするほどに強く吸うと真っ白な肌に鮮やかな華が咲いた。

泣きそうな顔で弱々しく風早の体を押し返そうとする爽子に
嗜虐心はいよいよ煽られた。

そっか、いじめてるあいだは、この子は俺のことしか考えられないよな。

「そんな弱く押し返してもだめだよ。」

そう言うと風早は爽子の右手を自分の左手で絡めとった。

指の間に丁寧に一本一本指を絡め、
そのまま校舎の壁に縫い付けるように爽子の体を押し付けた。

抗議の言葉が出ないように唇は唇で塞いだまま。

爽子の抵抗が弱まるともう一度首筋へ唇を落とした。

「…あ…っん…!!」

自分の甘い声に羞恥心が煽られるのか爽子は真っ赤になり瞳を伏せた。

「爽子、可愛い…。」

爽子は風早の掠れた低い声にびくん、と体をはねさせ、
そして子供のようにいやいやと首を振った。

「かぜは…くん、おねがい、やめ…」

風早は爽子の耳たぶをもう一度軽く甘噛みしながら拗ねたように言った。
338 ヤン早31[sage] 2008/12/03(水) 02:27:07 ID:KZjzS+Sx
「しょーた、って言ってってば。爽子、ずるいよ。」

そう、俺ばっか好きにさせてずるい。

風早は耳の中に舌を差し込んでぐちゅりとかき回した。

「んぁああん…っやぁ…っ!!」

その刺激にブルブル震えて爽子は風早にしがみついた。
泣きそうな顔なのに、どこかうっとりしたような眼で小さく喘ぐ爽子は
見たこともないほど淫らな印象を与えた。

風早はたまらなくなって爽子の小さな胸にそろそろと触れた。
そのまま服の上からやわやわと愛撫するとびくびくっと爽子の体がその度震える。

「ん…んく…っや…、だ…めぇっ」
「だめ…?ほんとに?」

風早の問いに答えられるはずもなく爽子はぽろぽろと泣きながらただ首を振った。

「やめてほしい?」

こくこくと爽子は小さく頷いた。

「しょーたって呼んだらやめてあげるよ。」

その言葉に朦朧とした顔で爽子は風早をみあげた。

「しょ…―た、くん、やめて。」
339 ヤン早32[sage] 2008/12/03(水) 02:32:52 ID:KZjzS+Sx
爽子の唇から自分の名前が出た瞬間、風早の熱がぐんと質量を増した。

もっと呼んでほしい。
とろりと蜜を塗った様なその甘い声でもっと俺の名前を呼んで。

優しい愛撫をする余裕がなくなり風早は思わず爽子の胸を強く掴んだ。

「…!っいたっ…!」

その声に風早はぴくんと手を止めた。
傷つけたくない思いと、傷つけて独占したい想いが入り混じる。

風早はするりと薄い夏服のあいから手を差し込んだ。
風早の掌に爽子の汗ばんだ肌が吸い付いた。

そっと手を上に持っていくと薄いレースが指に触れた。
そして控えめなふくらみがそれに包まれている。
風早は左のふくらみに指を差し入れ、その頂に触れた。
瞬間爽子の体がびくんっと大きく跳ねた。
340 ヤン早33[sage] 2008/12/03(水) 02:38:04 ID:KZjzS+Sx
「あっ…ああんっ…ぅ!!」
爽子は無意識に風早の体にしがみつく力を強めた。
風早はやんわりと二本の指で挟んだり転がしたりして愛撫を続けた。
「あ、あ、あっ…んんっ」
爽子は細かく震えながら甘く小さな喘ぎを繰り返した。
風早の手の中で爽子の胸の頂が形を変え、ぴんと起ってくるのがわかる。
「爽子、めちゃくちゃ色っぽい…かわいい…」
夢に浮かされたように風早は呟いた。
風早の熱い吐息と囁きに爽子はぴくんと体を動かし、またいやいやと首を降った。

まだ、俺のになってくれないの?

風早は泣きたいような気持ちで爽子に復讐したくなる。

黒沼は、そうやってきれいなままで俺から逃げようとするんだね。

風早は愛しくてたまらない爽子の純粋さが、二人を隔てる壁のような気がした。

黒沼も俺と同じくらい汚れればいいんだ。
341 ヤン早34[sage] 2008/12/03(水) 02:40:59 ID:KZjzS+Sx
風早は爽子のブラウスのリボンをしゅるんと解いた。
そのままボタンをプチプチと外すと淡いブルーの下着に包まれた
爽子の真っ白な胸が露わになった。

「きゃっ…」

反射的に胸を隠そうとする爽子の両腕をひとつにまとめ、
校舎の壁におしつける。
空いたほうの手で爽子のブラジャーを上にずらす。

「あっ」

控えめだが形の良い白い乳房がふるりとこぼれた。

恥ずかしさのあまりか爽子は声も出ない様子でぽろぽろと涙を零し続けた。
風早はその痛々しい姿にちり、と胸が痛むのに
同時に爽子が自分の事で泣いている事実にどうしようもなく興奮してしまう。

「爽子のおっぱい、ちっちゃくて可愛いね。」

風早はわざと下卑た言い方で爽子に囁いた。
爽子は羞恥のあまり消え入りそうな表情で紅く染まった顔を伏せた。
しかし伏せたはずの顔が、再度の強制的な口づけで挙げさせられた。
342 ヤン早35[sage] 2008/12/03(水) 02:46:16 ID:KZjzS+Sx
「だめだよ。眼を伏せちゃだめ。ちゃんと俺のこと見て。」

爽子は荒い息を吐きながら涙の残る眼で風早を見上げた。

風早は無意識に爽子の腕を掴んでいた手を外し、爽子の眼の淵に触れた

ほんとにきれいな眼
黒沼がきれいなものばかりみつけるのは、きっとこの眼がきれいだからだ。
この子の世界はきっときれいなものでいっぱいなんだろうな。

軽い抵抗を体に感じて風早が眼を向けると
爽子が細い手で懸命に風早の体を押し返そうとしている。
風早はくすっと笑ってその手を掴んだ。

「か…ぜはやく…」

「しょーた、だってば。」

爽子は怯えたような眼を風早に向けた。

「爽子はずるいな。…お仕置。」

そう言うと風早はカリッと爽子の左手の小指を噛んだ。
痛みに思わず顔をしかめた爽子に風早は満足そうに微笑んだ。
343 ヤン早36[sage] 2008/12/03(水) 02:51:41 ID:KZjzS+Sx
「誰かから聞いたことがあるんだけどさ、
運命の恋人同士は赤い糸で結ばれてるんだってさ。」

風早は独り言のように言ってから、爽子をみて昏く笑った。

「爽子は、信じる?でもさ…あったとしても、
今噛んだからきっと切れちゃったよね。」

−おれのほかのだれかとつながってる糸なんてきれてしまえ。

爽子がこく、っと息を飲むのが見えた。
そしてその下の白い胸が息遣いにあわせて上下するのも。

無垢な白い肌。
俺と黒沼とを隔てる、きれいな壁。

風早は優しく微笑んだ。
しかしその笑顔はいつものように爽子に絶対的な幸せをもたらす
温かなものとは程遠かった。

「ああ、そっか。
名前…つけてなかったから、三浦なんかに目ぇつけられちゃうんだ。
ごめんな。きちんと書いとかないと。」

「な…まえ?」
風早は爽子の胸にちゅ、と音を立てて吸い付いた。
そしてそれを繰り返すと爽子の白い肌にいくつもの赤い花弁が散った。

「んっ…あぁ…っんっ」

肌に吸い付くたびに爽子は小さな喘ぎをもらし、
その声に恥ずかしげに頬を染めた。
344 ヤン早37[sage] 2008/12/03(水) 02:55:26 ID:KZjzS+Sx
風早は白い胸の桜色の先端をやんわりと口に含んだ。

「!!ぁあああっ」

強すぎる刺激に爽子の体ががくがくと震えた。

「黒沼の味がする。」

風早はちゅぷちゅぷと音を立てるようにしながら
それを転がすように舐めたり甘く噛んだりした。
爽子は体の力をまったく入れることができず、風早の腕だけが爽子を支えていた。

「爽子、立ってられないんでしょ?」

爽子も既に思考はほとんど働いていない様子でこくこくと小さく頷いた。
風早はだらりと力を失った爽子の腕を自分の背中に回させた。

「じゃあ、つかまってなよ。」

その言葉にむしろほっとしたように、爽子は風早にされるがままになっていた。
しかし次の瞬間爽子の体がびくんっと強くこわばった。
風早の手がするっとスカートの下からさしこまれ、太腿をするすると撫で上げたかと思うと下着の中にまで進入してきたからだ。

「ああっんんっ…やっおねがっやめ…あぅっ…」
345 ヤン早38[sage] 2008/12/03(水) 02:58:44 ID:KZjzS+Sx
ちゅぷりと音を立て、風早は爽子の泉に指を浅く差し込んだ
風早は傷つけないよう柔らかく優しくなだめるように指の腹でそこを撫でる。

「すごい…濡れてる。」

風早は熱い息で囁くと爽子の耳を甘噛みした。
ただでさえ強すぎる刺激で半ば意識が朦朧としている爽子には
もう理性の声は聞こえなかった。

風早はゆっくりと指を動かした。
爽子は必死で風早にしがみつき、腕の力をこめた。

「あっあっ…あぁんっ!ぅあっあっ…かぜはやくんっあ…っ」

短く繰り返す荒い息と甘い喘ぎの中に自分の名前がまじっていて
風早はくっと息を呑み込んだ。

声だけで、達きそう…だ。

風早は爽子の中から指を引き抜くと、自分の背中にまわる爽子の腕を外した。
そしてうっとりとした眼で朦朧と風早を見る爽子に熱く掠れた声で囁いた。

「爽子、も、触って…?」

そう言って爽子の手を自分の熱に導いた。

「…んっ」

爽子の細い指が微かに触れただけでそこが痺れるように甘く疼いた。
風早は小さく息をつめ、そして吐いた。
346 ヤン早39[sage] 2008/12/03(水) 03:02:11 ID:KZjzS+Sx
風早はその時確かに幸せだった。
しかしそれは絶望の中の刹那の幸せだとどこかでわかっていた。
不安と絶望と焦燥がよってたかって殺したはずの風早の理性は

それでも微かな声をあげていた。

くろぬまがおれのことだけみてる(黒沼に嫌われた)
だからもうくろぬまはおれの(違う、俺のじゃない)
このてをはなさなければいい(俺のじゃないのはわかってる)
だからおれいがいはみないで(だけど今だけ触れさせて)

爽子。
爽子。
爽子。
おれの
爽子。

爽子の白い柔らかな胸に祈るように風早は口付けを繰り返した。
その時風早の首筋に冷たい雫があたった。

見上げると爽子がはらはらと…
涙を拭おうともせずにはらはらと泣いていた。

それまでの羞恥によるものとは違う、絶望的な痛みを浮かべた涙だった。
見ているものまで哀しくなるような泣き顔に、風早は苦しそうに言った。

「泣くほど、俺が嫌…?」
ごめん、でも止められない。
手をはなしたら、もうにどときみは俺をみてくれない。
だからはなせない
347 ヤン早40[sage] 2008/12/03(水) 03:06:25 ID:KZjzS+Sx
「違う…。」

爽子はゆっくりと言った。
それは風早に言うというより、
自分の内を確認するような独り言に近いものだった。

そして言葉は徐々に切実な色を帯びた。

「違うの。風早君が泣いてるのが哀しい…。苦しいの…。」

風早は言葉を失い、爽子を呆然と見た。
そしてその言葉ではじめて自分が泣いているのに気が付いた。

風早はせがむように爽子の細い体をかき抱いた。
「…っごめん、黒沼、ごめん…」
そしてそのまま壊れ物のように爽子の体をそぅっと離した。

風早はそのまま崩れるようにしゃがみこんだ。
できうるならそのまま消滅してしまいたかった。
348 ヤン早41[sage] 2008/12/03(水) 03:14:22 ID:KZjzS+Sx
爽子の側の空気が動いた気がして、風早がそっと目を向けると、
爽子もしゃがみこんで風早の顔をのぞきこんでいた。

「…ごめん、謝って済まされることじゃないのはわかってるけど、
もう黒沼の好きにして良いから。」

「好きにって…?」

「どんな罰でも受けるから。…消えろっていうなら、もう二度と顔見せない」

学校を辞めるのは難しそうだけど、
黒沼が望むならそれも仕方ないかと風早は思った。
それで済まされないくらいの事を自分はしたのだ。
どんな償いでもするつもりだった。

しかしその時の風早は失うすべての何よりも
爽子の顔をもう二度と見る事ができないことがひたすら哀しかった。


「いや…。」

爽子はほろほろと眼を見開いたまま泣き出した。

「くっ黒沼!?」

風早の予想した罵倒の言葉ではなく、意外な言葉が爽子の口から漏れた。
349 ヤン早42[sage] 2008/12/03(水) 03:19:15 ID:KZjzS+Sx
「やだよ、顔見れなくなっちゃうの、やだよぉ…」

爽子はいよいよ子供のようにわあん、と泣き出した。
風早も焦って子供をあやすように言った。

「黒沼がそうしてほしいって言えばだよ!」

「い、言うわけない…!絶対、いや。どこにも行っちゃ、やだよぅ。」

しゃくりあげながらも爽子は風早を真っ直ぐに眼をむけた。

『私が風早君を嫌いになる事なんて絶対にないよ』

いつかの爽子の言葉が風早に息吹を吹き込んだ。
愛おしさに胸が熱くなる。

ひっくひっくと泣きじゃくる爽子に風早はゆっくりと口を開いた。

「−俺、そんな事いったら、勘違いするよ…?」

「…え」

「期待、したくなるから。だから、逃げるんならいまのうちにして。」

涙の残る眼で風早をきょとん、と見ながら爽子は首を傾げた。

「逃げる?」

「たぶん、俺、我慢できないから。」

一度彼女に触れてしまったからにはもう抑えがきかない。
そんな自覚が風早にはあった。
350 ヤン早43[sage] 2008/12/03(水) 03:22:35 ID:KZjzS+Sx
「我慢、しなくていいんなら、どこかに行ったりしないの…?」

少したじろいだ後風早は微かに頷いた。

爽子はふっと表情を緩め、泣き顔を残したまま花のように笑った。

「じゃあ、我慢しないで。」

風早はもう一度ちいさくあ〜とうめいて頭を抱えた。

「…だめ、もう、限界。」

言うなり風早は爽子の小さな唇にそっと自分の唇を重ねた。

さっきの熱をもった深い執拗な口付けとは違う優しい、
そよ風みたいな口付けだった。

風早は泣きそうな顔で笑った。

「側にいると、こういうことしたくなるから。」

爽子は紅くなって俯いた。
さっきはこんな軽い口付けなどよりもっと激しい事をされたのだが
変わらず爽子らしい純情な反応だった。
351 ヤン早44[sage] 2008/12/03(水) 03:30:06 ID:KZjzS+Sx
「だから、逃げた方が…」良いと言おうとして風早は口を噤んだ。 

震える小さな唇が風早の唇に重なり、刹那に逃げたからだ。 

それはほんの一瞬の口付けだったが、風早には永遠に思えた。 
呆然と爽子をみつめると爽子の真っ白な肌は湯上りみたいに 
見えてるところすべてが桃色に染まっていた。 

爽子は風早の視線にもう一度俯いた。 
漆黒の髪からのぞく白い首筋までも桃色に染まっている。 

爽子は俯いたまま羽のように小さな声で囁くように言った。 

「…あ、あの、じゃあ、側に…いてほしい…です。」 
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


終業のベルが鳴った。 
「さわこー、矢野ちんかえろー、てかラーメンたべてこー」 

「いい、太る。あんたのその燃費の悪い体に付き合ってられん」 

つめてーなー矢野ちんのえすっこーなどと言う千鶴の嘆きを聞きながら爽子も言った。 

「あ、私、花壇見てくるから…」 

新しい種類の薬草を植えたばかりなので…との爽子の言葉に 
千鶴はあっさりと答えた。 

「そっか。じゃあ、待ってるよ」 

じーん、と感動する様子をみせながら爽子はうんと頷き、 
待っててねーと小走りで駆けていった。 
352 ヤン早45 終わり[sage] 2008/12/03(水) 03:33:54 ID:KZjzS+Sx
そこにひょこんと明るい声が飛び込んだ

「あれ、黒沼は?」
「あー?花壇に行ったよ。薬草見てくるって。」

あそこ貞子ガーデンっていってなんか観光名所みたいになってんだぜーと
千鶴とあやねが笑いあってると風早はサンキュと短く言って風のように走っていった。

「…何あれ。」
「ああ、風早、爽子のおっかけだからね。ほら。」

王子様たいへーんとか笑いながらあやねが目線でさした先には窓から、
花壇の様子を見る爽子と駆けつけた風早が仲よさげに笑いあっているのが見えた。

「…ピンじゃなくても邪魔したくなる甘さだね。」
「まあいいけどね…爽子も幸せそうだし。」

半ば呆れ、半ば微笑ましく見守る爽子の二人の親友は次の瞬間固まった。

「…見た?」
「…うん。」

二人の視線に気付かなかったのか風早は周囲に人がいないのを確かめるように
少しキョロキョロすると爽子の頬に素早く口付けを落としたのだ。

「やっぱ、スケベだあいつ。だから髪が早く伸びんだよ。」
千鶴の呆れたような呟きにあやねは心の底から同意した。
<終わり>
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風早氏のヤンデレっぷりが最高〜!

0
Posted by 。 2011年01月08日(土) 19:35:52 返信

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