- 143 名無しさん@ピンキー[sage] 2010/02/18(木) 03:30:08 ID:wvXKd637
- 初投下。
風早視点で爽子ラヴです。
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真っ黒な長い髪。
透き通りそうなほど青白い肌。
綺麗に切り揃えられた前髪。
かすかに動く、閉じられた瞼。
顔の真ん中にあるのは可愛い鼻。
その可愛い鼻から漏れるのは、かすかな寝息。
そしてその下にある薄桃色の唇。
俺はその唇が名前を呼んでくれるときのことを思い出す。
「翔太君」
ホントに嬉しそうに、俺の名前を呼んでくれる。
そんな可愛い、大好きな、大切な女の子が。
俺のすぐ側で安心しきった顔で眠っている。
これって実は、ものすごく貴重なことなんじゃないだろうか。
ああ。
俺は今、人生で最良の時なのかもしれない。
もし人生で幸せの量が決まってるなら。
俺は今、幸せを全部使い果たしてるのかも。
…あ、でも、使い果たしちゃダメだ。
これからもずっと、俺はこの大好きな女の子を幸せにしてあげなきゃならないんだから。
俺のことを好きだと言ってくれる女の子。
俺に、女の子の初めてを全部捧げてくれた、この世界の誰よりも大事な彼女。
生まれて初めて出来た、自分よりももっと大切な存在。
そんな子を、俺は全人生を掛けてでも幸せにしなきゃいけない。
毎日を、あの極上の微笑みで過ごさせてあげなきゃいけないんだ。
「…ん」
爽子の唇が微かに動く。
「爽子?」
「…た…くん」
ほのかに赤らんだ頬で、爽子は囁くような声で言う。
「…うた、くん」
寝言で、俺の名前を呼んでくれてる。
翔太君、と、いつものように。
「爽子」
眠っていてもいい。
聞こえてなくてもいい。
爽子に伝えたい。爽子に答えたい。俺はここにいるよ、って。
- 144 名無しさん@ピンキー[sage] 2010/02/18(木) 03:30:38 ID:wvXKd637
- 眠ってるはずの爽子の頬はなぜだか赤く火照っている。
「き…の」
「爽子?」
「…すきなの」
「…」
胸の中が一杯になってしまう。
初めてそう言われた時のことを思い出す。
教室で。放課後の教室で、爽子がそう言ってくれたときのこと。
気がついたら、爽子を抱きしめていたこと。
目の前の女の子が、ものすごく好きで、ものすごく大好きで、とてもとても大切で、絶対に無くしたくないと思ったときのこと。
だから、つい、大きな声で言ってしまった。
「好きだよ」
ぴくん、と体を跳ねさせて爽子は目を覚ました。
そのつぶらな瞳は、何故だか涙を浮かべている。
「爽子。大好きだよ」
「え? あれ? か…、しょ、翔太君?」
「俺も爽子のことが大好きだから」
「…う。…くっ…ふぅっ…ぐぅ…」
ヘンな声で、押し殺したような泣き声をあげる爽子。
「泣かないで。怖い夢でもみたの?」
「…っく…翔太君が…」
「俺が?」
「…いなく、なって…ひぐっ…こ、告白した、あの日、でも、そのあと、翔太、君が、いなく、なっちゃって…」
俺は爽子の頭を抱くようにして、その艶やかな黒髪を撫で続ける。
「わ、わたし、っ…ひとり、ぼっちに、なっちゃって…」
「いま、今までの、ぜんぶ…翔太君、が、好きだって言ってくれたのも、全部、ゆ、夢だったんじゃ、…ぅっ…ないかって…」
黒水晶みたいなキレイな瞳のふちを涙で溢れさせながら、俺の大好きな女の子が涙声で。
だから俺は、そんな爽子の耳元に囁いてあげる。
「夢じゃないよ」
「――そしたら、翔太君、が…っくっ…ふうっ…」
「俺はずっと、爽子の側にいるからさ」
絹みたいにすべすべで、柔らかくて、つややかな黒髪の後頭部を撫でながら、世界で一番愛しい女の子に教えてあげる。
俺がどんなに爽子のことが好きか。
俺にとって爽子がどんなに大切か。
伝えたい。伝えてあげたい。
でも、言葉だけじゃ伝わらない。伝えきれない。
だから、俺はシーツの下に手を伸ばす。
「夢なんかじゃないよ」
そう言うと、俺はシーツの下で爽子の手を握る。
そしてその手を繋いだまま、爽子の顔の前に繋いだ手を持ってくる。
俺の左手の薬指と、爽子の左手の薬指。
二人の指に光るのは銀色のおそろいの指輪。
「もう俺たちは夫婦なんだから――死が二人を別つまで、って昨日誓っただろ?」
その細くて白くて柔らかい左手薬指にキスをする。何度も。何度も繰り返して。
爽子の心臓に繋がってる指に唇を触れさせ、その指輪にも体温を伝える。
俺の爽子を大好きな気持ちが全部、爽子の心に染みるようにと。
- 145 名無しさん@ピンキー[sage] 2010/02/18(木) 03:31:18 ID:wvXKd637
- 「爽子は俺の可愛い奥さんなんだから――絶対に、離したりしないよ」
新婚初夜の明けたホテルのベッドの上で。
カーテンの隙間から注いでくる朝日に照らされて、とても…すごく…キレイな爽子を目にしながら。
その体の暖かさと柔らかさを感じながら。
「愛してる」
そう言ってベッドの中で下着姿の爽子を抱きしめる。
そしてキスをする。綺麗な眉毛に。いいにおいのする額に。涙の跡の目尻に。火照っている耳たぶに。可愛らしい小鼻に。
そして最後に、爽子の薄桃色をした唇に。
その体温を通じて、その感触を通して、この想いが全部、爽子に届けばいい。…届け。
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以上です。
エチシーンを書こうともしてうまくいかないw
なんとか書けたらそこも投下したいな
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