とりあえず現段階でのまとめ

294 desire[sage] 2010/04/14(水) 10:09:51 ID:klWa/U/X



「んっ、んむ、かっんんっ、ふ、あ!」

何度も何度も唇を貪る。
甘い。甘い。甘くて、溶けそう。

開いた隙間から、喘ぎとも抵抗ともとれる音が黒沼から漏れ出る。
それだけで、体の芯が熱くなって、もっともっとと執拗に口づける。

「風っんむっ、うぅっ、んっ」

何も、言わないで。
拒否の言葉なんて聞きたくないから。

胸元に当てられた黒沼の両手が熱い。いや、熱いのは俺だけかもしれない。
逃げないように、後頭部をしっかり掴んで、口の中を犯す。


ああ、どうしてこうなったんだっけ。
キスに集中する思考の片隅でぼんやりと考える。

ああもう、何もかもどうでもよくなるくらい、熱い――……



***


『わらびーもちー』

窓の外から、間延びした音声が飛び込んできた。
この時期になると、わらび餅やアイスを売りながら車が走るんだ。

「あ、わらび餅」

ふと黒沼が呟いて、俺は視線を彼女に向ける。

向かい合うようにテーブルについて、その上にはまるで色気のない教材の山。
夏休みの宿題一緒にしようよ、なんて誘ったはいいけど、思いの外つまらない。


295 desire[sage] 2010/04/14(水) 10:10:39 ID:klWa/U/X



…………というか、真剣な彼女の表情に気を取られて、一向にシャーペンが進んでくれない。
正座をして、背筋を伸ばして、ノートやプリントにペンを走らせる黒沼を、ちらちらと盗み見てはため息をつく。

不埒な思いが頭から消えない。

彼女が呟いたのはそんなタイミングだった。

「……すきなの?わらび餅」
「すき、というか、嫌いではないんだけど、夏になると食べたくなる、かな?」

黒沼は、何気ない俺の質問に一所懸命に答えてくれる。
そういえば、と思い立って俺は提案することにした。

「ちょっと休憩する?スーパーの安売りで良かったら、わらび餅が冷蔵庫に入ってたと思うから」
「えっ?で、でもそれは、誰かが食べる用に買ってあったものなのでは……!」

あわてふためく黒沼に、思わず噴き出す。

「『誰か』じゃん、俺達。待ってて、取って来る!」


勉強会、なんて口実つけずに、俺ん家おいでよって言えば良かったかな。
勉強中って、なかなか気軽に話し掛けづらい。もっと沢山話したいのに。

そんなことを考えながら、パック入りのわらび餅を二つ手にして階段を昇る。
タンタンっと足音が軽いのは、きっと、食べている間なら会話が出来るだろうから。

「お待たせっ、あ、テーブル片してくれたんだ?ありがとー!」

拡げられていた宿題が片付けられていて、飲み物以外に何も乗らないテーブルにわらび餅を置いた。

296 desire[sage] 2010/04/14(水) 10:11:22 ID:klWa/U/X



「ううん、でも、あの……本当に頂いてもいいのかなぁ」
「いいってば!はい、黒沼の分!」

冷たくて美味しいね、と言いながら笑い合う。
こういう時間ってすごくすきだ。

同じ空気を纏ってるみたいに思うのは、気のせいじゃない。きっと気のせいじゃない。


丁寧に両手を合わせて、黒沼は「ごちそうさまでした」と言った。
ちらりと黒沼を見遣ると、小さな口の端にきな粉が少しついていた。

「黒沼?きな粉、ついてるよ」
「えっ?」

ぽっと頬をピンクに染めて、黒沼はそっと口を拭う。

「あー、もうちょっと上」
「わーっ恥ずかしい……!こ、このあたり?」

なかなか付着したきな粉を拭えない黒沼を見て、淫らな思い付きをしてみたりする。
思ったら、もう実践せずにはいられなくなって。

「黒沼。恋人らしいこと、していい?」
「え……っ」

黒沼の答えを聞く前に、素早くにじり寄ってその腰を抱き寄せて、そう、俺の舌できな粉を舐めとった。

「…………っ、んっ」

そのまま軽く口づける。
柔らかい感触に頭がぼうっとなって、誘惑に勝てずに唇を重ねる。

抵抗するように、黒沼の両手が俺の胸元を軽く押した。


逃げないで。
俺から逃げないでよ。

完全にスイッチが入った俺は、黒沼の抵抗も何のその、半ば無理矢理に深いキスを始めたんだ。
297 desire[sage] 2010/04/14(水) 10:12:06 ID:klWa/U/X



っつか、そろそろキツイ。
下半身はとっくに意志を持っていて、狭く閉じ込められながらその存在を主張して来る。

あーでも。
まだ、俺達そんな関係じゃない。
ない、のに。ああ、わかってるのに。止まらない。
止めなければ、と思って唇を離すほど、さっきより強く引き寄せられる。

黒沼が、いけないんだ。
だってこんなに甘いから。


左手が黒沼の後頭部を支えたまま、俺の右手は半分無意識に黒沼の首元をうろついた。
目当てのものにたどり着くと、そのままブラウスのボタンをぷつりと外す。

黒沼の両手に込められた力が少し強くなったけど、でも、だめ。
だって黒沼が悪いんだから。

「……っ、かぜはやくん!」

突然呼ばれた自分の名前に、はっと意識を取り戻す。

えーと。俺、何して――

「〜〜〜〜っ!?ごめっ、俺……っ!」

慌てて黒沼から離れると、彼女の顔は真っ赤に染まっていて、ああ、本当に可愛い――……って、そうじゃなくて!

「すみませんでした!」

床に額がつきそうな勢いで謝る俺。
『そんな関係』なんて、キスすら数えるほどだってのに、何やってんだ本当に。
自分の理性の弱さに愕然とする。

「かっ、かぜはやく、あの、頭、あげてください……」

黒沼の震える声を受けて、俺はそーっと顔をあげる。
視線が交わる。

298 desire[sage] 2010/04/14(水) 10:12:47 ID:klWa/U/X



――ねぇ、どうしてそんなに色っぽい目をしてるの?
少し荒い息遣いに、ぷっくりと綺麗に色付く唇。

まるで、もっとしてほしい、って言われてるみたいに――

「きゅ、急にどうしたの……?」

戸惑った黒沼の瞳が揺れて、俺はまた我に返る。

『急に』か……
考えたことも、ないのかな。
その先に進むことなんて。
俺がそれを願ってることなんて……

「ごめん……びっくりしたよな」

触れてもいいって権利はあるんだと思う。
抱きしめて、キスをする権利だって、与えられてるんだって思う。
でも……

「ちょ……っと、だけ……」

黒沼は小さくそう言うと、顔を覆って赤面を隠した。


そうなんだ。
『触れてもいい』から触れたいんじゃない。
『触れてほしい』と思ってもらって触れたい。

黒沼が俺を欲しがってくれてから、先に進みたい。

俺の自分勝手なんかじゃなくて。
独りよがりとかじゃなくて。

「黒沼……」

手を伸ばして、彼女の長い黒髪を撫でる。
それを受け入れてくれる彼女を愛しく思う。

脆弱な理性なんて全く信じられないし、今回でそれも立証されてしまったわけだけど、俺、黒沼に無理をさせたいんじゃないんだ。


欲しがって。俺を。
箍が完全に外れてしまう前に。

早く、早く……早く。
俺のものになって。

狂おしいほどに黒沼を求める。
手に入るなら、何だって捧げる。

だから…………はやく――


おわり
まとめサイトを作るなら「まとめるクン(仮)」 powered by livedoor wiki.

コメントをかく


「http://」を含む投稿は禁止されています。

利用規約をご確認のうえご記入下さい

はじめに読んでください

☆このwikiについて☆
2ちゃんねるの中の大人の掲示板(18歳以上推奨板)
通称ピンク板の中の「君に届けでエロパロ★」のまとめです
成人向きエロ描写が多々ありますので閲覧は自己責任でおねがいします。
☆リンクについて☆
「エロ」で「パロ」という非常にグレーゾーンなシロモノなので
リンクはどこからも貼らないでください
(現行の元スレのテンプレに貼る以外には)
検索で探してきた人もその旨よろしくおねがいします。

まとめ管理人へのメールは
こちら→メール

作品一覧

作品一覧はこちらから
ページ一覧(更新順に並んでます)

アクセスカウンター

Wiki内検索

どなたでも編集できます