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概要

死亡事故

2002年4月、宮城県大河原町の公園で、キャッチボールをしていた小学生のゴムボールが、近くの別の大河原南小学校の5年生Cの胸に当たったとされている。小学生Cは、意識不明となり、大河原町の病院に運ばれたが、4時間後に死亡となった。
その公園では、「キャッチボール禁止」の看板はなかった。

第一審

Cの両親は、キャッチボールをしていた小学生AとBの両親4人を相手に、合計6250万円の損害賠償請求を行う。AとBの両親側は、Cの胸にボールが当たったという確定的証拠がないと主張する。仮に当たったとしても、キャッチボールで死亡にいたるという予見可能性がないことを主張する。2005年2月17日の仙台地方裁判所の田村幸一裁判長の判決では、ゴムボールがCの胸に当たり、そのことで心臓に衝撃が加わり心停止する「心臓震盪」を起こしたと認定した。被告側に、合計6000万円の支払いを命ずる。被告側の両親4人は控訴する。

控訴審

控訴審が開始され、大橋弘裁判長が職権で和解を勧告、7回の協議が行われる。2005年12月5日、仙台高等裁判所で、小学生AとBの両親4人が、3000万円を支払う条件で、和解が成立する。

報道

読売新聞2005年2月18日

野球ボール当たり死亡 死因は心臓振とう 賠償請求認める
公園で遊んでいるうちに、それたキャッチボールの軟球が胸に当たって死亡した宮城県大河原町の小学5年男児=当時(10)=の父(35)ら両親が、球を投げた側の小学男児2人の親計4人に6250万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、仙台地裁の田村幸一裁判官は17日、死因について胸部に弱い衝撃を受けて起きる「心臓振とう」と認定した上で、事故の予見可能性を指摘して計6070万円の支払いを相手の親に命じた。
心臓振とうは、特定のタイミングで胸壁に衝撃が加わると心筋がけいれんし、血液を送り出せなくなり、死につながることもある。胸壁が軟らかく衝撃が心臓に伝わりやすい子供に症例が多いが、医学的に未解明の部分があり、「原因不明の突然死」とされてきた。
判決は、心臓振とうを研究する戸田中央総合病院(埼玉県)の輿水健治救急部長らの意見書や解剖鑑定書などを踏まえ、「男児が球を胸に受け、心臓振とうを引き起こして死亡したと認定できる」と判断した。
その上で「球を投げた男児らは、危険な場所でのキャッチボールを避ける注意義務があった。投げたのが小学生とはいえ、人の死を招くこともあり得ることは一般人なら十分に予測できる」と予見可能性を認めた。
判決によると、小五男児は2002年4月、町内の公園で遊んでいたところ、そばでキャッチボールをしていた男児の投げた球を胸に受けて倒れ、約4時間後に死亡した。
心臓振とうは、国内で正確な症例数は把握されていないものの、類似事例は相次いでおり、宮城県や仙台市が新年度予算案に、心筋の動きを整える「除細動器」を学校やスポーツ施設に配備する事業費を計上するなど対策を始めた。
原告の両親は「息子がなぜ死んだのか、真実を知りたかった。突然死の原因として心臓振とうが一般に知れ渡り、救える命があることに期待したい」と話した。代理人も「公園管理や園内での遊び方にも波及する意義ある判決だ」と評価した。
被告側は、球が男児の胸に当たったことを否定し、「仮に当たったとしても、死因は不明で、肺の炎症や熱射病などの可能性もある」と反論していた。

読売新聞2005年12月5日

キャッチボール訴訟の和解が成立…仙台高裁
長男が突然死したのは、キャッチボールでそれた球が胸付近に当たって「心臓震とう」を起こしたためとして、宮城県角田市の両親がキャッチボールをしていた男児2人の両親に損害賠償を求めた裁判の和解協議が5日、仙台高裁(大橋弘裁判長)で行われた。
被告側が1審判決通り計約6000万円の支払い義務を認めることで和解が成立した。ただ、被告の資力などの関係上、和解金計3000万円を支払えば残額は免除される。
1審判決などによると、死亡した男児(当時10歳)は2002年4月、同県柴田郡内の公園で遊んでいたところ、キャッチボールをしていた同郡内の小4男児の軟球がそれて胸に当たった。男児はその場に倒れ、約4時間後に死亡した。
今年2月の1審判決は男児の死因について、心臓に衝撃が加わり心停止する「心臓震とう」と認定し、被告に計約6000万円の支払いを命じた。被告側は判決を不服として控訴していた。控訴審では、大橋裁判長が職権で和解を勧告。7回の協議を重ねてきた。

反響

原告側に同情的なブログもあった。
しかし、小学生A・Bおよび両親の立場を支持するブログのほうが目立っている。「キャッチボールで死亡の予見可能性ということについて、小学生やその両親に求めるのはおかしい」との声が、見られる。
「公園でキャッチボールをしてはいけない」との、裁判所の勝手な判断に、憤りを覚える人も少なからずいる。
その一方で、「心臓震盪」への理解と、AEDの設置により、悲劇をなくするという対策の必要性について、世論および行政が目を向けてきた。

心臓震盪

「しんぞうしんとう」と読む。
胸部に強い衝撃が走ると、たとえ、肋骨骨折などがなくとも、心臓が不整脈となり、死亡するという急病である。
ただし、そういう急性の状態となっていても、AEDで助かる可能性がある。

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