134 :月影のシミュラクル〜解放の羽〜[sage] 投稿日:2019/02/02(土) 02:59:29.08 ID:aRR1z3yL0 [1/3]
これは、人と人形と蜘蛛の物語。

古い時代、流浪の人形師が大蜘蛛の森を訪れた。
深淵なる大蜘蛛は初めて見る”ヒト”を物珍しく思い、その地に住まう権利を与えた。
代償は観察。人形に大蜘蛛の魂の欠片を込め、”ヒト”を眺めること。それは丁度、人が檻に閉じ込められた獣を眺めるように。

大蜘蛛の与えた命、それに今は亡き人形師の娘の魂が混じり合い、やがて人形は自我を持ち始める。
だが大蜘蛛の与えた使命が人形を縛る。人を観察する、人の生態を理解する、そのために人を真似る。
人形は周囲の悪感情までを吸い、本人さえ望まぬ惨劇を幾度も繰り返してしまう。
時代を経てその地の顔役となった人形師の一族は事態の収拾に追われ、人形もまた悲しみを募らせた。

その在り方があまりに隔たるために、未だに人を奇妙な猿と認識する大蜘蛛だけが。すべての元凶である大蜘蛛だけが。
この悲劇を悲劇とすら理解せぬままに、悠久の時を過ごしていた。

そして時は現代に至り。
人形師の一族の末裔、如月家当主・如月兼定とその娘・如月零は、この因縁を断ち切ろうと計画する。
数年に一度の魂降ろしの儀式。人形を眠りから覚ますこの儀式の後に、人形を破壊する事によって。

135 :月影のシミュラクル〜解放の羽〜[sage] 投稿日:2019/02/02(土) 03:08:09.67 ID:aRR1z3yL0 [2/3]
さて物語はこの如月家の遠縁、卯月家の長男・卯月誠一がこの地に帰省する所から始まる。
数年前に家族共々街を離れていた誠一は、幼馴染の如月零の家でひと夏を過ごす事となる。
そしてこの地の因縁、如月家の思惑を何も知らされないままに誠一は、魂降ろしの儀式に参加する事に。

ここから物語はいくつもの分岐を重ねる。誠一は幾度もの失敗、誤解を重ね、悲惨な結末へと辿り着く。
人形は人形師の娘を象っており、また零は血筋から娘に瓜二つ。
初周ではよく似た二人を誠一は別人格だと誤解する。如月家の一族は惨殺され、誠一も人形に付け狙われる事となる。

だが、周回を重ねる毎に誠一は真相に近づく。
紅(誠一が人形に与えた名前)の本当の想い、如月家の抱える複雑な事情、この地の成り立ち。
すべてを知った誠一は愛する紅を守るため、悲劇を止めるために大蜘蛛を説得する道を如月家に提案する。

だが大蜘蛛は人前に姿を見せず、深い森の何処かに人知れず永遠を生きている。
誠一は自分の奥深くに大蜘蛛との繋がりを感じ、その繋がりを手繰るように森を突き進む。
今は忘れ去られた過去だが、大蜘蛛は人間を知るために人形に魂を移すと同時に、人間にもまた己を知るための超感覚を与えていたのだった。
一族の血を色濃く受け継いでいた誠一は超感覚により大蜘蛛を見つけたが、大蜘蛛は己の住処への”ヒト”の侵入に怒り狂う。

誠一はその様から人と蜘蛛の隔たりを知り、己の中にある『感覚』と紅の中にある『欠片』を大蜘蛛に譲り渡し、ひたすらに請願する。
どうか、人を分かって欲しい。どうか、人を理解して欲しい。
やがて大蜘蛛の眼には理性の色が宿る。大蜘蛛はようやく”ヒト”を”人”として受け入れるようになったのだった。

長い長い契約は役目を終えた。如月家は因縁から解放され、紅もその役目から解放された。
大蜘蛛は人形の紅を受肉させ、紅と誠一の婚約が決まった際には祝福に現れるほどに身近な存在となった。
幾度もの悲劇を乗り越え、人と人形と蜘蛛は幸せな結末に辿り着きましたとさ。

1周目「如月家全滅。真相不明のまま誠一は紅に命を狙われる」
2周目「如月家全滅、誠一はデート中に紅に腕を切断されて行方不明に」
3周目「如月家全滅。誠一は記憶改竄されて偽りの幸福を過ごす」
4周目「紅と零の願いにより誠一だけが生き残る」
5周目「紅は如月家に破壊され、誠一は復讐に駆られ、零に殺害される」

最低5回は悲劇を越えないとハッピーエンドには辿り着けない。

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