437 名前:装甲悪鬼村正[sage] 投稿日:2010/02/10(水) 16:11:58 ID:B8q0gcx70
とりあえず主要な用語と登場人物、プロローグを。
第一篇は夜にでも。読み辛かったらごめん。

重要用語

大和
物語の舞台となる国。要は日本。

劔冑(つるぎ)
装甲することで超人的な戦闘力を発揮する甲冑。パワードスーツに近い。
鍛冶師の命と引き換えに高い性能を持つ真打と、量産型の数打がある。
真打は実在の刀の銘を持ち、かつて人間であった頃の人格を有していたり
不可思議な固有能力・陰儀(しのぎ)を持つ騎体も存在する。

六波羅幕府
戦時中、大和を守る立場であるにも関わらず大和を裏切り、その侵略に
加担した功績により国際連盟から大和の統治を認められている組織。
民間人の虐殺も厭わない暴政で大和を支配している。
GHQの完全排除による大和の完全支配を目的としている。

GHQ(進駐軍)
大和を監視するために国際連盟が大和に置いた組織。
名目上は大和の民主化と平和回復を目指しているが、六波羅の暴政を
看過し、その風評が地へと堕ちたところで正義の軍としてこれを討つ
ことにより大和を完全に支配しようと目論む。

銀星号
大和の各地で突如として出現し殺戮を繰り返す白銀の劔冑。
精神干渉の能力で周囲の人間の理性を破壊し殺し合わせ、重力操作による
圧倒的な戦闘力により単騎で六波羅やGHQをも脅かす最強の武者。
精神干渉は劔冑には通用しないが、“卵”という形で力を増幅させ、羽化
させることで自身の複製をすることができる。

439 名前:装甲悪鬼村正[sage] 投稿日:2010/02/10(水) 16:21:23 ID:B8q0gcx70
主要人物
湊斗 景明
主人公。非公式の警察官にして、親を含む14名を殺害した未決囚。
暗黒星人と称されるほどの陰鬱なオーラを纏った男だが、その実は
実直で温厚篤実な好青年。
平和を愛する善良な人柄でありながら、罪無き人々を殺し続ける。

村正(三世村正)
妖甲の異名で呼ばれる村正一門の真打劔冑。
女性であり、一見すると怜悧な冷たい性格に見えるが、まだ年若い
頃に劔冑となりすぐに封印されたため、精神的には未熟な面も多い。
「善悪相殺」の呪いを仕手に課し、一人の悪を斬った時には一人の
善を斬ることを強要する。

綾弥 一条
鎌倉に住む女学生で、異常なほどに強い正義感からヤクザにも喧嘩を
売るなどの逸話が絶えない有名人。
芸術的な方向音痴だが、本人は決して認めようとしない。

正宗
元寇の際に蒙古の暴虐に許しがたい「悪」を感じ、狂信的な正義感に
駆られた男が劔冑となったもの。
悪を滅ぼすことに己の全存在を賭しており、その信念が一条と呼応し
たことから彼女を主と認める。

大鳥 香奈枝
名門・大鳥家の血筋の女性。現在はGHQに所属している。いつも糸目。
普段はおっとりとした理知的な令嬢だが、敵には極めて冷酷。
何故か景明に積極的にアプローチをかけてくる。

永倉 さよ
香奈枝の侍従を勤める好々婆。生身では最強クラス。

441 名前:装甲悪鬼村正[sage] 投稿日:2010/02/10(水) 16:24:50 ID:B8q0gcx70
足利 茶々丸
六波羅の重鎮である四公方の一人。
まだ少女であるが実の親を殺害し、現在の地位を得たという過去を持つ。
何故か景明を「お兄さん」と呼び、懐いてくる。

湊斗 光(銀星号)
景明の義理の妹である少女。二世村正を駆り銀星号として暴虐を振り撒く張本人。

二世村正
三世村正の実の母。銀星号と呼ばれる劔冑。怜悧で苛烈な性格の女傑。

雪車町 一蔵
六波羅とGHQの両方に顔が利くヤクザ。病的な外見の小悪党であるが、剣術は達人級。
ある事件を契機に、景明の宿敵となる。

足利 護氏
六波羅の最高権力者。

遊佐 童心
四公方の一人。曲者揃いの四公方のまとめ役。豪快な性格の破戒僧。

大鳥 獅子吼
四公方の一人。合理主義者で毒舌家。六波羅最精鋭と言われる篠川軍を率いる。

今川 雷蝶
四公方の一人。オカマ言葉を使うナルシスト。六波羅最強の武人。

柳生 常闇斎
六波羅厩衆の頭領である、大和第一位の剣客。劔冑を持たないが、刀一本で劔冑を圧倒する。

クライブ・キャノン
GHQ所属の中佐。優れた頭脳を有する進駐軍の実質的な指導者。

442 名前:装甲悪鬼村正[sage] 投稿日:2010/02/10(水) 16:32:18 ID:B8q0gcx70
プロローグ

ある小さな村があった。
その村は、六波羅に叛旗を翻した落人を匿っていたが、その存在を知られ六波羅の
軍勢に囲まれてしまう。
村を見逃すことを条件に落人はかつての部下であった六波羅の将との一騎打ちに応じ、
敗死した。

六波羅軍は、村が落人を差し出した訳ではない、と村を襲い略奪や殺戮を行う。
そこに、白銀の劔冑・銀星号が出現。村人や軍人を狂わせて殺し合わせ、あるいは、
その圧倒的な力で屠ってゆく。
その場に紅の劔冑・村正が現れる。

村正と銀星号の一騎打ちは銀星号の圧勝に終わり、村正は主武装である大太刀を
奪われる。銀星号は、その大太刀を八つに分割し、自身の“卵”と同化させて
姿を消すのだった―――

445 名前:装甲悪鬼村正 第一編「鮮紅騎」[sage] 投稿日:2010/02/10(水) 19:09:42 ID:B8q0gcx70
早めに用事が終わったのでアップ。
まずは、一編の主要人物から。

新田 雄飛
幼馴染4人組の一人。
とある事情から、来栖野家で世話になっている少年。
自分の目標が見つからずモヤモヤした気分を抱いて過ごしている。

来栖野 小夏
幼馴染4人組の一人。
雄飛と一つ屋根の下で暮らす。

稲城 忠保
幼馴染4人組の一人。
頭脳明晰、運動神経抜群、やや変人。

飾馬 律
幼馴染4人組の一人。
自由奔放な性格。

鈴川 令法
雄飛達の担任を勤める教師。気さくな人柄から人気が高い。
六波羅の暴政で妻と娘を失っており、六波羅の話では感情が昂ることも。

真改
大阪正宗とも称される業物。
その名に恥じない強力な劔冑で、冷静沈着かつ紳士的な人格を有するが……

446 名前:装甲悪鬼村正 第一編「鮮紅騎」1[sage] 投稿日:2010/02/10(水) 19:10:57 ID:B8q0gcx70
舞台は、現在の大和の事実上の首都となっている鎌倉。
新田雄飛は、一つ屋根の下で暮らす来栖野小夏、そして稲城忠保、飾馬律と共に、
六波羅の暴政で生活は苦しいながらも騒がしくも楽しい学校生活を送っていた。
しかしある日、仲間の一人である律が行方不明となってしまう。警察は六波羅に
よって形骸化しており、大人に頼れない雄飛ら三人は律を自力で探すことに。

そのうちに、如何にも怪しげな陰鬱なオーラを纏う人物が鎌倉周辺に出現している
ことを知る。
その人物が事件に関係していると考えた雄飛達は、彼に対して奇襲を仕掛けること
に。奇襲は拍子抜けするほどあっさりと成功した。
……その人物は、警察関係者であった。

平謝りに謝る雄飛達に対して、湊斗景明と名乗ったその人物は、快く彼らを許した。
陰気な第一印象とは裏腹に温厚篤実な彼の人柄に対して、雄飛達はすぐに気を許す。
自分は非公式のいわばパートの警官であり、六波羅の圧力とは無関係に動けるのだと
言う。そして、銀星号の事件を追っており、律の行方不明に関してもその関与が疑わ
れていることを話すのだった。
景明は、危険だからこれ以上決して関わらないように告げると姿を消した。

しかし、雄飛達は景明に協力することを選択。その陰鬱なオーラからまともに聞き込み
もできなかった景明をサポートする。景明も、自分から絶対に離れないことを条件に
渋々同行を認めるのだった。

447 名前:装甲悪鬼村正 第一編「鮮紅騎」2[sage] 投稿日:2010/02/10(水) 19:12:21 ID:B8q0gcx70
そうして四人で情報を集めていくうちに、更に景明に心を許す雄飛達。
だがある時、小夏の不注意により六波羅と繋がりのあるヤクザに目を付けられ、絡まれて
しまう。景明はその場を離れており、周囲の大人達も六波羅を恐れて目を逸らした。
雄飛と忠保は小夏だけでも逃がそうと彼等に立ち向かう覚悟を決めたその時、景明が現れる。
彼は、土下座して許しを乞うた。
その場は事無きを得たが、景明に対して深い失望を覚える雄飛。雄飛達は、景明を無視して帰路についた。

景明と協力する気は無くなったが、雄飛達は律を探すことを諦めていなかった。
だが、学校の校長に呼び出され、先日の事件を理由に律を探すことは止めるように命令される。
窮地に立たされた雄飛達に、担任の鈴川が助け舟を出す。
鈴川は、自分が同行することを条件に雄飛達の行動を認めさせた。

そして、鈴川と共に再び事件を調査し、古びた旧校舎を発見するのだった。
そこには、四つの水槽のような箱があり、その一つには――――

――――首の無い律の腐乱死体があった。

449 名前:装甲悪鬼村正 第一編「鮮紅騎」2[sage] 投稿日:2010/02/10(水) 19:16:34 ID:B8q0gcx70
パニックになる雄飛達に鈴川が告げる。
この国は六波羅の暴政によって、どんな美しい人間もいずれは自分の家族のように醜く朽ちて
いく。ならば絶望する前に美しいまま終わらせてやることが自分の使命なのだと。
そして、大和では六波羅の関係者しか持ち得ないはずの剱冑を装甲する。
真打・真改を装甲した鈴川は、雄飛達に最後の授業として絶望を教えると告げ、雄飛を傷付け、
小夏の四肢を切断し、忠保に半ば強制的に犯させた上で忠保の両目を奪った。
泣き叫ぶ小夏と絶叫する忠保を見せ、雄飛にこれが絶望なのだと告げる。
だが雄飛は、絶望ではなく友を傷付けられた怒りを胸に、鈴川の全てを否定し、抵抗する。
鈴川の非道が切欠で迷いが晴れ、悪と戦う道を歩むことを宣言する雄飛。理念を否定され、
怒り狂う鈴川から友を救うべく雄飛は圧倒的な力を持つ武者に立ち向かう。

絶体絶命のその状況から雄飛を救ったのは、景明であった。
チンケなヤクザに土下座をした男は、世界最強の存在である武者に対して臆する風もなく立ち塞がる。
そして、鈴川の罪を淡々と指摘し、彼も真打・村正を装甲する。

自分と同じ武者が現れたことに動揺し、逃走する鈴川であるが、すぐに村正に追い付かれる。
弱者を殺害することにしかその力を振るわず戦闘では素人に過ぎない鈴川は、真改の性能を
まるで発揮できずに一方的に打ちのめされる。
決着が付くかと思われたその時、銀星号に与えられた“卵”により真改の力が増幅。真改の
陰儀・液体操作を極限まで高め、湖そのものを武器とした大技によって形勢を逆転させた。
しかし調子に乗った鈴川は再度大技を使用しようとして熱量欠乏により戦闘不能となる。
剱冑は仕手の熱量を消費して動くという基本中の基本すら理解していなかった鈴川は、
村正の陰儀・磁力操作を活用した奥義「電磁抜刀・禍(レールガン・マガツ)」により
一刀両断され倒されるのだった。

真改と共に破壊された“卵”から、村正は銀星号に奪われた大太刀の一部を発見する。

450 名前:装甲悪鬼村正 第一編「鮮紅騎」2[sage] 投稿日:2010/02/10(水) 19:17:17 ID:B8q0gcx70
その夜、警察と病院から解放され自宅に戻った雄飛の元に景明が現れる。
雄飛は、景明に対しての謝罪と悪を討った村正への憧れを述べ、この世には村正という
正義の味方がいることを胸に、自分もその後を追うという夢を景明に語る。


憧憬の眼差しを向ける雄飛の首を、村正の太刀が刎ねた。



これは英雄の物語ではない。英雄を志す者は無用である。



第一篇 鮮紅騎 了

465 名前:装甲悪鬼村正 第二編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/11(木) 14:28:35 ID:97eUu2V30
どうもです。物語の主旨に関わる重要なシーン以外はできるだけ圧縮する方針で
いこうと思います。

主要人物
長坂 右京
物語の舞台となる山村の代官を務める六波羅軍人。
この村の出身者であるが、神が眠るという山を掘ることに執心し、
そのために村人の徴発を行うなど暴政を行っている。

弥源太
右京とは幼馴染である蝦夷の老人。
温厚な好々爺。

一媛
故人。ヒロインの一人、一条の血縁者で、育ての親。
右京と弥源太の幼馴染で、想い人。
二人の決闘を止めるため、山の神に嫁ぐと言い残し彼等の前から姿を消す。

ふき
弥源太の孫娘。
純朴で善良な少女。自分を差別しない景明を男性として意識する。

ふな
ふきの妹。
子供らしく、天真爛漫で無邪気。景明に実の兄のように懐く。

風魔小太郎
妙齢の女性の姿をしているが、声は老爺。
仕えていた主が世渡りに失敗し、路頭に迷った一族の
食い扶持を得るため、雪車町の仲介で右京に雇われる。

466 名前:装甲悪鬼村正 第二編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/11(木) 14:30:13 ID:97eUu2V30
代官・長坂右京の暴政によって苦しめられている山村があった。
大鳥香奈枝は、GHQ巡察官としての任務を無視し、村人を救うために六波羅の兵士を射殺。
激怒した右京は数打を装甲し香奈枝を攻撃しようとするが、そこに村正が乱入する。
性能では優位であったものの、右京の卓越した剣腕によって苦戦を強いられる景明。
何とか勝利はしたものの限界に達し、“卵”を宿していた右京の騎体を取り逃がしてしまう。

銀星号の増殖を増やすために右京を倒さねばならない景明と、村を救うために右京を
討ちたい香奈枝は目的が一致し、協力することに。

そして右京を追ううちに、森の中で道に迷っていた一条と出会う。
景明の土下座の現場(第一編)に居合わせていた一条は、彼を腰抜けと蔑む。
景明は、とても一人で戻れそうにない一条を、山村まで案内するのだった。

そして再び森へと戻ると、右京に雇われた乱破・風魔小太郎の奇襲を受ける。
小太郎は、真打・月山を装甲して景明に戦いを挑む。月山もまた、“卵”を宿していた。
景明もまた村正を装甲して応戦するが、月山の陰儀に手も足も出ず敗走することに。
何とか逃げ切れるかと思った矢先、乱入してきた数打(雪車町)の一刀を食らい、
重傷を追って山の中に墜落する。

467 名前:装甲悪鬼村正 第二編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/11(木) 14:31:29 ID:97eUu2V30
目が覚めると、景明は蝦夷の家族に拾われ、介抱されていた。
家長である弥源太は、景明が代官に立ち向かうところを目撃しており、彼を信用していた。
孫であるふきとふなも景明に懐き、とりえあずは傷を癒すため世話になることに。

弥源太は一媛の墓の前に立っていた。そして、その場に右京も現れる。
右京の行動は、自分達の前から姿を消した一媛への想いに決着を付けるためであった。
自分が愚か者だと自嘲しながらも暴走する右京を、弥源太は止めようとする。
その場に現れた一条。一媛と瓜二つの容貌を持つ彼女を、右京はどんな手段を使って
も自分のものにする言い残し、姿を消す。
弥源太は、一条のためにも右京を止めることを誓うのだった。

一方景明は、右京達の連絡役を務めていた雪車町に遭遇する。少しでも状況を優位にすべく
彼を無力化することを選択し奇襲を仕掛けるが雪車町は超人的な動きで回避。
逃走する雪車町を村正の力を借りて何とか川へと落とし、数打も破壊して無力化する
ことに成功した。

その後、弥源太の策により右京と小太郎をおびき寄せることに成功し、景明は小太郎と、
弥源太は右京と相対する。
景明は、月山の陰儀の謎を解き明かし、何とか小太郎を討ち果たす。
一方、弥源太は正宗の手甲を装備して右京に立ち向かい、重傷を負わせることに成功。
だが、戦闘に巻き込まれた一条を庇い、致命傷を負う。
一条に正宗の手甲を託し、息絶える弥源太。小太郎との戦闘を終えた景明は、一条を
逃がし、“卵”が羽化寸前であった右京を倒すのだった。

村正の正体が景明だと気付いた一条は、再び戦場に戻ろうとするが香奈枝に回収される。

468 名前:装甲悪鬼村正 第二編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/11(木) 14:37:45 ID:97eUu2V30
※ここで、各話のゲストキャラとヒロイン(一条、香奈枝)の好感度を判定。最も高い
 キャラが景明に殺害される。
 二編ではどうあってもゲストキャラが高くなるが、三篇以降はヒロインも普通に死亡
 し、そのまま次のシナリオへ突入する。
 

景明はまず、眠る姉のふきの首を刎ねる。
そして次に妹のふなの胸に刃を落とす。だが、その一刀でふなは死ぬことが出来ずに
悶え苦しむことに。
ふなは涙を流しながら既にいない家族に助けを求め、懐いていた景明にも助けを求める。
景明は、絶叫しながらふなの首を刎ねた。
自分は絶対に狂わない、正気のまま、悪鬼として罪を背負い続けるのだと自分に言い
聞かせる景明に、村正は全ての責を自分に被せ、何も考えずに手足として動けと告げる。
だが、景明は村正は所詮道具に過ぎず、その罪は全て使い手である自分にあると拒絶す
るのだった。

ふきとふなに助けられ、その一部始終を見ていた雪車町。
彼は不気味な笑みを浮かべるのだった。

蝦夷の姉妹を殺害して戻る途中、代官が倒され、救われた山村から火の手が上がっていること
に気付く。急いで駆けつけるが、村は銀星号によって全滅していた。
誰もいなくなった山村に、景明の絶叫が響き渡った――――


第二編 双老騎 了

471 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2010/02/11(木) 15:06:09 ID:c4amlCpx0
そういえば村正にカオスヘッドってゲームの梨深ってキャラが出てくるらしいんだけど
どのへんなのかな

490 名前:装甲悪鬼村正 第三編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/13(土) 09:18:28 ID:v95cVQVe0
>>471
たぶん、魔王編の夢イベントじゃないかなと思います。
ニトロキャラ大量出演するし。

第三篇 逆襲騎

登場人物
皇路 操
天才的なアーマーレーサーとして注目を浴びている少女。
父の役に立つことを生きる目的としている。

皇路 卓
操の父。
かつて大和最高のアーマーレーサーとして名を馳せた男。
世界制覇の夢を持っていたが、戦争によってその夢は断たれてしまう。
現在は娘を世界一のアーマーレーサーにすることを生き甲斐にしている。

491 名前:装甲悪鬼村正 第三編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/13(土) 09:18:59 ID:v95cVQVe0
紆余曲折を経て、景明と正義の味方と慕う一条と、何故か景明を気にかける香奈枝が
銀星号事件の調査に協力することになる。

銀星号の仕手が、自分の妹である光であること。
銀星号の歌を聞くと、装甲していない人間は理性が崩壊すること。
銀星号の“卵”を与えられることで、武者であっても力の影響から逃れられないこと。

これらの事情を説明し、身を引くことを薦めるものの、二人とも引き下がらなかった。

劔冑によってレースを行うアーマーレースの会場。そこに、“卵”の反応を村正が感知する。
あることは分かるのだが、誰が持っているのか、どの劔冑に与えられるかまでは分からず、
地道に調査することに。

そうして調査を進めるうちに、景明はかつて自分が憧れていた元アーマーレーサー、皇路卓と
その娘、操。そしてライガーと名乗る少女(茶々丸)と出会う。
調査によって次第に候補が絞り込まれ、その中には、皇路親子が所属するチーム、タムラ
の名前もあった。

レースの予選でタムラのライバルとなる翔京は、「ウルティマ」という金に糸目を付けずに開発
した超高性能の騎体で出場。圧倒的な成績を叩き出す。
だが、タムラもまた新型の競技劔冑「アベンジ」の暴力的な速力により、ウルティマに次ぐタイム
を出すのだった。

その夜、アベンジを狙う妨害工作が発生したことから、ライガーはアベンジを守るために景明も
レースに出ることを提案。村正を偽装して出場することに。

492 名前:装甲悪鬼村正 第三編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/13(土) 09:19:44 ID:v95cVQVe0
レース当日。レースはアベンジとウルティマの一騎打ちの様相を呈して来たが、次第にアベンジを
妨害する動きが顕在化。何とかこの妨害工作を排除することに成功する。
だが、損傷を追ってしまったアベンジは、次第に敗色濃厚となってゆく。
敗北を予感した卓の指示により、アベンジは光の反射を利用するという禁じ手でウルティマの走りを妨害。
ウルティマはカーブを曲がれずに観客席に激突。死者十数名を出す大惨事となった。
レースは、アベンジの優勝で幕を閉じた。

アベンジの行った不正に気付いていた景明は、その夜に皇路親子の下を訪れる。
そして、彼等の罪を指摘すると、卓は半狂乱になり“卵”をアベンジに与えようとする、何とか止めようと
するも斬られた卓は死亡し、“卵”は操の身に纏うアベンジに取り込まれる。
父を失って正気を失った操は、父の最期の望みである世界一のタイムを破るという目的に取り付かれ、
コースを走り始める。すでに“卵”は羽化直前であった。
一刻も早くアベンジを破壊しなければならないが、桁外れの速度を誇るアベンジに村正は全く付いていけない。
次第にタイムリミットが迫る中、景明の機転により何とかアベンジの破壊に成功する。

アベンジは大破したが、操はまだ生きていた。
景明は、卓を斬った代償として、操を殺害するのだった。

第三篇 逆襲騎 了

493 名前:装甲悪鬼村正 第四編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/13(土) 09:33:37 ID:v95cVQVe0
第四編 震天騎

芳養孝史
江ノ島周辺で漁業を営み兄弟を養う逞しく生きる少年。
景明と交流を持ち、親しくなる。

ジョージ・ガーゲット
キャノン中佐の副官である、GHQ少佐。
文武両道かつ仲間想いの人物だが、白人至上主義で
大和人を人間と見なしていない。

494 名前:装甲悪鬼村正 第四編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/13(土) 09:34:06 ID:v95cVQVe0
雪車町は、GHQのガーゲット少佐に真改、長坂右京、月山の敗北の詳細を報告していた。
鈴川に真改を与えたのも、右京に小太郎を引き合わせたのも、全てはGHQの陰謀によるもの
だった。六波羅しか持ち得ない大和製の剱冑で民間人を脅かすことにより、六波羅の風評
を地に落とし、GHQが英雄として大和人を支配するための計画の一部であった。
そして、雪車町の報告にあがった赤い剱冑・村正。すでに悪を討つ英雄として噂が出始め
ていることから、ガーゲットはこれを警戒。村正を排除するために一計を講じるのだった。

景明達は、銀の剱冑を見たという情報から、六波羅の研究所が存在する江ノ島へと向かう。
調査の上、江ノ島に進入すると、巨大剱冑・荒覇吐が現れ交戦状態となる。
GHQが六波羅を利用して仕掛けた罠であった。圧倒的な攻撃力と装甲の前に苦戦を強いられる。

その戦闘の途中、その内部に燃料として大量の人間が内臓されていることを知る景明。
その内部にいるのは、調査中に交流を持った芳養兄弟であった。
兄弟を助けるべく行動する景明達。香奈枝の活躍もあり、遂に光明が見え始める。

しかし、その場に雪車町が乱入。村正を攻撃する。

普段は卑屈な笑みを浮かべるだけの雪車町は、怒りを露にして景明に襲いかかる。
自分は小悪党だが、自分の意思で真剣に生きている人々が本当に好きなのだと。
だが、景明はそんな人々を自分の意思ではなく嫌々ながらに殺した。それがどうしても許せない
のだと告げる。
性能で劣る数打を駆りながら、景明を超える技術と伝説の魔剣・インメルマンターンを駆使する
雪車町に追い詰められるが、何とかこれを退ける。

そして、再び荒覇吐との戦闘に戻り、これを無力化することに成功する。

495 名前:装甲悪鬼村正 第四編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/13(土) 09:35:35 ID:v95cVQVe0
芳養兄弟を助けようとした時、ガーゲット率いる進駐軍の大部隊が現れる。
真打・アスカロンを駆り、景明達を抹殺しようとするガーゲット。

絶体絶命かと思われたその時、銀星号がその場に現れる。

銀星号の歌により、地上の進駐軍兵士は狂い、殺し合う。
天下布武を謳い、再び殺戮を開始する銀星号―――湊斗光。
景明は光を説得しようとするが、光は景明へ深い愛情を示し、その言葉に耳を傾ける
ものの、狂っているとしか思えない思想の前に説得は全くの無駄に終わる。
そして光は、ガーゲットに“卵”を与えるのだった。
部下が殺されたことに嘆き狂い、暴走するガーゲット。
景明は、やむなくガーゲットを殺す。

ようやく芳養兄弟を救出する景明。兄弟は衰弱していたが、無事であった。
しかしその時、殺す直前に羽化が始まっていたガーゲットのアスカロンが
銀星号の複製へと変貌。
兄弟は歌によって狂い、景明の目の前で殺し合い全滅した。

複製を、自分と景明の娘だと告げる光。
景明は、心のどこかでそれを認めてしまう。その瞬間、ガーゲットを殺害した
ことによる善悪相殺が発動。景明は複製を殺害する。
光は、笑いながら去っていった。

一方その頃、銀星号の攻撃で江ノ島が移動、本土と接触したことによって、
狂った進駐軍の兵士達が本土に殺到しようとしていた。
しかし、雪車町から渡された正宗を装甲した一条がこれを一蹴するのだった。

第四編 震天騎 了

503 名前:装甲悪鬼村正 第五編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/14(日) 13:07:27 ID:/fQIvomE0
第五編 宿星騎

湊斗 統(すばる)
景明の義理の母であり、光の実母。
巫女なのに酒も煙草もやる自由な気風の人物だが、
家族への愛情は深い。

湊斗本家
湊斗気の家長である老人。
家の体面や誇りを何よりも重視する偏屈者。

山賊の首領
六波羅の軍人崩れ達を率いる女性。
紆余曲折の末、景明に惹かれ和解するが……

首領の弟
姉の金魚のフンの弟。
気の弱い立ち振る舞いが多い。

504 名前:装甲悪鬼村正 第五編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/14(日) 13:10:25 ID:/fQIvomE0
村正は、“卵”を与えられた真打・ニッカリ青江と戦闘をしていた。
ニッカリが見せた幻影が、景明に過去を思い起こさせる。

3年前、景明は、義母・統と義妹・光と共に、平和な生活を送っていた。
光は天賦の才を持ち、既に景明を超える実力を有していた。ゆくゆくは、光は統の後を
継いで湊斗家の巫女となり、景明はそれを支えるはずであった。

しかし、光は鉱毒病によって廃人同然になる。
そんな光を、湊斗本家は家の体面のために強引に儀式へ出すが、その時の事故で光は、
湊斗家に封印されていた二体の真打の片割れ、二世村正と接触してしまう。
儀式は何事もなく終わったが、次の日、光は何故かかつての健常な姿で復活する。

故郷へ押し寄せる山賊に立ち向かうため、光が統の制止を振り切り二世村正を装甲。
山賊を壊滅させるのだった。

だが、生き残った首領の弟が湊斗家に進入。統が狙われる。
無我夢中のうちに、三世村正を装甲し、これを切り伏せる景明。

その次の瞬間、景明の意思とは無関係に身体が動き、統の身体を貫く。
統は、景明に村正には悪人や憎む者を着れば善人や愛する人をも斬らねばならない善悪相殺の
呪いがあることを告げ、光のことを託して息絶えるのだった。

故郷は、光の手によって全滅した。
光は、世界に奪われた“父”を取り戻すため、これを認めない世界と戦うことを決意。
世界の全てをねじ伏せた神として“父”の前に立ち、愛してもらうために姿を消す。

村正の“卵”の影響を受けないのは同じ村正のみであり、それ以外の剱冑では対抗することができない。
景明は光を止めるのために、善悪相殺の呪いを背負いながら銀星号となった光を追い続けるのだった。

第五編 宿星騎 了

505 名前:装甲悪鬼村正 第五編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/14(日) 13:14:53 ID:/fQIvomE0
五編終了時、一条と香奈枝が両方死亡していたり、ルート突入条件を満たせていないと
バッドエンドで終了。

557 名前:装甲悪鬼村正 英雄編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/17(水) 20:34:30 ID:fWDOh4DI0
装甲悪鬼村正・英雄編を投下しようと思います。
その前に、書き忘れてた重要キャラ。

鎌倉警察署長
景明の直接の上司にして統の夫。つまり、景明の義理の父親。
冷静沈着で実直な男。

舞殿宮親王
大和の形式的な最高権力者(帝)の弟。
署長と協力し、六波羅の圧政に対抗しようと水面下で行動している。
おちゃらけた話し方をするが、民や部下想いの人物。

558 名前:装甲悪鬼村正 英雄編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/17(水) 20:35:25 ID:fWDOh4DI0
英雄編(一条ルート)


これは英雄の物語ではない。
それでも英雄は現れる。


一条は、雪車町から景明が正義の味方などではなく、子供すら手にかけた殺人者であること
を教えられる。その言葉を簡単には信じられない一条は、景明にデートを申し込み、その最後
に景明を問い質す。

景明は否定せず、全てを一条に明かした。

今まで自分を騙していたと激昂する一条。彼を悪として殺すことを宣言。
そして次の日、村正を装甲した景明と正宗を装甲した一条の戦いが始まった。

両者の戦いは、景明が本来の力を出せなかったこともあり、一条の勝利に終わった。
だが、一条は、景明の上司から彼が善悪相殺の呪いを受けていること、それでも村正を使わざる
を得ないことも聞いていた。
言い訳一つしない景明を、一条はどうしても殺すことができなかった。

村正と正宗で協力して戦い、敵は正宗が倒す。
善悪相殺を発動させないための一条の提案を、景明は呑むのだった。

560 名前:装甲悪鬼村正 英雄編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/17(水) 20:37:35 ID:fWDOh4DI0
護氏が行方知れずとなった六波羅幕府は、四公方・遊佐童心を中心として動いていた。
だが四公方・今川雷蝶は、現在の立場に密かな不満を抱いていた。そこを突き、舞殿宮は童心を失脚
させるために水面下で協力することを雷蝶に提案する。

六波羅の本丸で護氏の跡継ぎ・邦氏襲撃という騒ぎを起こし、責任者の童心を失脚させることを目的
とした作戦の協力を舞殿宮から頼まれる景明と一条。
雑用役の夫婦として、六波羅の本拠地に入り込む。

そして作戦が決行されるが童心に全て看破されており、二人は二手に別れ行動する。
脱出するはずであった一条は、童心のある所業がどうしても許せず、命令を無視して
彼を討つことを選択。

童心は、正義として自分の前に現れた一条と正宗に歓喜する。
自分のようなふざけた生き方が許されよいはずがない。自分は正義に討たれるべき人間であり、
だからこそその正義を返り討ちにしてふさけた婆裟羅者としての生き様を貫くのだと言う。
そして、真打・同田貫を装甲して戦いを挑むのだった。
一条と童心の戦いは、常軌を逸した正宗の武装によって辛くも一条の勝利に終わる。
童心は、己の生涯に満足し、正義の名の下に人を殺す一条を大笑いしながら殺された。

童心の死亡は、作戦の当初の目的からすれば完全なるオーバーキルであり、六波羅の、ひいては
大和の屋台骨を揺るがすことになる。
共闘関係も、童心の死までは望んでいなかった雷蝶の不信を生み決裂してしまう。

561 名前:装甲悪鬼村正 英雄編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/17(水) 20:40:20 ID:fWDOh4DI0
帰還した一条は、自分が人殺しをしたことを改めて自覚し、恐怖によって動けなくなる。
景明は、一条の求めにより、彼女を抱く。

一条は、かつて自分が父の正義のために、切腹した父を介錯で殺したことを話す。
一条はもう決して迷わないことを決意し立ち直る。

茶々丸、獅子吼にも企みを看破されていた雷蝶は、舞殿宮を攻めることを暗に強要され、
舞殿宮を攻める準備をすることに。
その情報を得た景明達は、先手を仕掛けて小弓にいる雷蝶を倒すことにする。
だが景明が到着した頃には、小弓軍は銀星号の襲撃により全滅。雷蝶も死亡していた。

光は、正宗という新たな好敵が現れたことに最初は歓喜する。しかし、景明は手を汚さず一条に
敵を倒させるという景明達のスタンスを聞き、激怒するのだった。
善悪相殺とは呪いではない、という言葉を残し姿を消す光。
景明に失望した光は、これまで以上のスピードで災厄を振りまき始める。

その光を追う景明と一条。ある時、景明は夢を見る。
その夢の中で、景明は善悪相殺の持つ本当の意味に気づくのだった。

善も悪も、一人の人間の側面に過ぎず、人を斬るということは善も悪も諸共に斬ることである。
村正の善悪相殺とは、争いを正当化する独善を戒め、世に和平を布くことを目的とした理念であった。

景明は、眠る一条を残して銀星号の下へと向かう。

善悪相殺の理に気付いた景明を光は認め、村正同士の戦いが始まった。
雷蝶との戦いで二世村正が損傷していたこともあり、戦いは景明の勝利で終わった。
光は、満足そうに海へと墜ちていった。

562 名前:装甲悪鬼村正 英雄編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/17(水) 20:43:01 ID:fWDOh4DI0
その場に現れた一条。約束を破り、敵を殺したことを責めるが、景明は淡々と一条に
善悪相殺の理を話す。
そして、一条の信じる正義こそが戦いを正当化し、世を乱す元凶なのだと指摘、正義を
掲げて戦うことを止めるように告げる。

しかし一条はこれを拒絶、景明もまた善悪相殺が発動し、互いに刀を向ける。
両者の再戦は、限界に近い景明の消耗と正宗の陰儀によって一条の勝利に終わる。
景明は墜落するが、村正と共にまだ健在であった。

地上に降りた一条は、そこで童心の小姓であった義清と出会う。彼は、童心の復讐のために
一条を追っていた。彼は、女性と赤子の死体を担いでいた。
些細な恩を忘れず、身の危険も顧みずに義清とその姉を助けた童心。義清は、童心を悪と
断じて殺した一条に、彼女が知ろうとしなかった童心の姿を語る。
姉は童心の子供を宿しており、もうすぐ生まれるはずだったのだが、一条に殺された童心の
あまりに凄惨な死体を見て発狂し死亡、体内の子供も命を落としてしまった。
自身の正義により、妊婦と罪もない赤子を犠牲にしたことを知り揺らぐ一条と正宗。

また、正義を掲げ戦った一条に呼応し決起した勢力により、大和では戦禍が広がっていた。
かつて一条が助けた子供は、一条の語った正義を胸に進駐軍に立ち向かい、殺された。
彼女の掲げた正義により、多くの人々が犠牲になり、これからもその犠牲は増えていく。

正義の名の下に悪を討つこともまた、許されざる悪行であることを思い知った一条。
その場に景明が現れ、再び一条に答えを求める。


564 名前:装甲悪鬼村正 英雄編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/17(水) 20:54:25 ID:fWDOh4DI0
それでも、一条は正義を捨てなかった。
正義を成すこともまた悪であることを胸に刻みながら、それでも悪への絶対的な敵対者
として戦い続け、その存在――正義を人々に刻みつけることによって、人々が自ずと悪
を捨てることができると信じる一条。

平和を願い、正義の戦いを否定する景明と村正。
平和を願い、正義の戦いを行う一条と正宗。

全く同じものを求め、全く真逆の道を進む両者。
互いに想い、認め合いながらも決して相容れない二人は最期の死闘に身を投じる。
全ての存在をかけ、二人は戦い続けた――――

エピローグ

数年後、大和は未曾有の混沌の時代へと突入していた。
そんな中、悪を討つ代価として善なる者の生贄を要求し、人々から忌み嫌われ
る紅い武者の存在があった。

紅い武者・村正の仕手は、一人の女性―――成長した一条であった。
両者の死闘の末、生き残ったのは村正と一条。
劔冑を失った仕手と仕手を失った劔冑は、それぞれの目指した答えを確かめるべく、
共に行動することを選択していた。

かつて、森の中で道に迷った一条(二編)に、山村の方角を教えた景明はこう言った。
真後ろに自分が立っているかどうかを確認しながら真っ直ぐ進め、と。

心が折れそうな時、彼女は自分の真後ろに、いつも景明が立っているような気配を感じていた。
その姿は、彼女を真っ直ぐに見つめ、敵対者として否定し続けていた。
ならば、自分は景明と真逆の―――自分の信じた正義の道を、真っ直ぐ進めているのだろう。
一条はそう信じ、戦い続ける。

英雄編 了

568 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 08:31:52 ID:hI14hBi8O
村正乙
すいません一条が正義に固執するきっかけになった父親の事件ってどんなだったんですか?

569 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 12:09:44 ID:VeJ8JGZlO
法の番人みたいな仕事してる父親、
同僚の親友がやむを得ない事情で借金作って横領して、
親父は親友の借金問題を解決したあと親友を裁いてそのあと切腹する。
介錯を一条が行うが、
その際に「最後まで正義をつらぬけ」みたいな言葉を残した。


記憶があやふやで正確じゃないかもだが
だいたいこんな感じだった。
正確なとこは他の人に任せる。

570 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2010/02/18(木) 19:00:46 ID:fxBu75x20
>>569
俺もよく覚えていないが親父の親友が罪を重ねたのは、
人としては正しいことをしたけど罪は罪みたいな感じで親父が悩んでた描写があったな。

571 名前:装甲悪鬼村正 英雄編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/18(木) 19:08:20 ID:PYX+rUFK0
かなり端折ったせいか、説明不足気味でしたね、すみません。
概ね>>569氏の通りです。

親友が横領した理由は、ある貧窮した村を救うためで、彼なりの正義から行った
行動であることに一条父は思い悩み、最終的に、親友を罪人として告発し、その村
は私財を全て投じて救うという選択に。
親友は死罪となり、一条父を恨みながら惨死。一条父は、綾弥家の財を食い潰した
責任を取り、親友の死体の前で切腹、という流れです。

その中で、一条父もまた善悪相殺に通じる理念に気付き、一条に語るんだけど、
父を殺したトラウマから記憶の大半を閉ざした一条はかつての父が信じていた
上っ面だけの正義を固執するようになってしまった、という感じだったかと。

581 名前:装甲悪鬼村正 復讐編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/28(日) 22:02:58 ID:H4+Pupdh0
装甲悪鬼村正の復讐編(香奈枝ルート)を投下します。
その前にこのルート専用の重要人物と、獅子吼のもうちょっと詳しい説明を
そっちの方が本編の方のまとまりが良さそうなので。

大鳥 獅子吼
六波羅幕府の四公方の一人。名門大鳥家の実質的な指導者。
大鳥家の正統な血筋ではないのだが、香奈枝の妹、花枝を傀儡にして
大鳥家を掌握している。
大鳥家の先々代の当主に拾われた過去があり、彼に対して身命も犠牲
にできるほどの忠誠を誓っていたが、政治上の対立により先々代は
香奈枝の父(先代)により殺害されてしまう。
その復讐と、大和の将来への想いから彼もまた先代を殺害、大鳥家
を手中に収める。
それらの境遇から、大和という国の存在が彼の拠り所となり、大和
を守り抜くことが彼の全てになる。

大鳥 花枝
大鳥家の後継ぎであり、香奈枝の妹。
獅子吼に傀儡にされているが、彼女自身も権謀術数に長けており、
反撃の機会を窺っている。

582 名前:装甲悪鬼村正 復讐編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/28(日) 22:05:13 ID:H4+Pupdh0
これは英雄の物語ではない。
それでも科人は断罪される。

一条を善悪相殺の贄に捧げ、香奈枝と共に銀星号事件の調査を進める景明。

舞殿宮との謁見の際、彼と署長が景明の望み―――銀星号事件が解決し次第、景明を
連続殺人犯として処刑するという希望を叶える気が無いことを知らされる。
生きて真っ当な人生を生きて欲しいと言う両者に、自分のような人間が生きていることが
許されるはずがないと激昂するのだった。
自分が犯した罪の罰を受けるという唯一の救いを奪われ、意気消沈する景明。

ある時、香奈枝はある仲の良かった4人組の少年少女の話をする。
彼等は事件に巻き込まれ、一人は死亡、二人は心と身体に酷い傷を負い、
そして無事に生き残った一人――新田雄飛も何者かに殺されてしまったこと。
景明の内心に酷い動揺が走った。そんな景明を、香奈枝はどこか嘲笑うように見ていた。

香奈枝は、景明に積極的にアプローチをかけてくるがその実、彼に好意を持っている
のではなく、むしろ激しい憎悪を抱いていることに景明は気付いていた。
そんな状態で調査を進める中、景明の下に、香奈枝から舞殿宮が襲撃を受けるという連絡が入る。

村正を装甲し、急行する景明であったが、その道中に突如として現れた大型劒冑の奇襲を受ける。
村正を追い詰めるものの、熱量の概念を無視したかのような戦いから、熱量欠乏で墜落していった。

一方その頃、舞殿宮は、GHQからの刺客―――香奈枝の襲撃を受けていた。
圧倒的な視覚能力と西洋劒冑・バロウズによって舞殿宮を守護する兵士達を単身で殲滅する香奈枝。
そして中枢に到達。署長と相対する。

舞殿宮は、GHQに対し破壊工作を仕掛けようとしていたが露見。報復で香奈枝が送られる。
署長は全ての責は自分にあるとして、舞殿宮の身代わりとなることを希望。
彼等に不信を抱かせた自身の振る舞いに責を感じていた香奈枝はその想いを汲み、彼を射抜くのだった。
ちょうどその場に辿り着いた景明。大恩ある義父を目の前で殺され、彼を殺したバロウズに深い憎悪を
抱きながら、限界に達し気絶する。

583 名前:装甲悪鬼村正 復讐編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/28(日) 22:06:32 ID:H4+Pupdh0
目が覚めると、景明はGHQの虜囚となっていた。
その場に香奈枝が現れ、彼を憎む理由を語り始める。

彼女と妹には、実の弟のように愛していた親戚の少年がいた。
その少年は、現大鳥家の正当な後継者であり、そのいざこざにより、その少年は市井の
ある家に匿われることになる。
その少年は、大鳥家を掌握した獅子吼が擁するべき後継者として狙われる身分であり、
香奈枝は彼を見つけ出し、助けるつもりであった。
何とかその所在を突き止めたものの、その少年は殺されてしまった。

その少年の名を、雄飛といった。

鈴川の事件(1編)の時、善悪相殺によって犠牲として少年の名を聞き凍りつく景明。
香奈枝は、銀星号の事件の解決までは待つと言い、その後は絶対に景明を殺すと宣言する。
その言葉に景明は、恐怖で震えながら―――その手を取って、心からの感謝を述べた。
復讐者という、自分を裁く正当な権利を持つ者が現れたことで、彼女に裁かれるという景明に
とっての救いが生まれていた。
あまりに予想外の反応に、香奈枝はただ戸惑うのだった。

そして、後から自分が殺した警察署長が景明の養父であったことを知らされ、自身もまた彼に
とっての仇となってしまったことに思い悩む。
景明は、彼女こそが養父の仇であると知らず、彼女に殺されるその日まで彼女を守り抜く決意をする。

その後、景明はキャノン中佐から六波羅に立ち向かう英雄としてGHQに協力してくれないか
と要請されるものの保留。香奈枝の監視の下である程度は歩き回れるようになった。

一方、六波羅では最高権力者の跡継ぎである邦氏の戴冠ための式典が催されようとしていた。
この式典を、GHQが鍛造雷弾という新兵器で攻撃する計画を香奈枝から知らされる景明。

586 名前:装甲悪鬼村正 復讐編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/28(日) 22:08:48 ID:H4+Pupdh0
大量虐殺を止めるべく、景明と香奈枝はGHQの作戦を止めることを決意する。
出撃する空中戦艦に乗り込み、破壊工作を仕掛けるものの、キャノン中佐の狡知によって失敗してしまう。

その頃、式典の会場である六波羅の本拠地を、突如として銀星号が襲撃。
童心と雷蝶がこれを迎え撃とうとするものの、現れたGHQにより鍛造雷弾が投下される。
銀星号や童心、雷蝶を巻き込んだ大爆発は、六波羅の居城を地上から消し去った。

六波羅幕府は潰えたかに見えたが、大鳥獅子吼は邦氏を救出し脱出。
彼を擁し六波羅を維持すべく、自身の領地である篠川へと向かうのだった。

何とかGHQの追撃を振り切った景明達。その道中、香奈枝が景明を庇い、重傷を負ってしまう。
憎き仇である景明を無意識に庇ったことに戸惑う香奈枝。

そうして香奈枝の傷を癒すために療養している間に、GHQは獅子吼のいる篠川を襲撃する作戦を
立てていた。このままでは新たな戦乱が広がってしまう。
香奈枝は、六波羅にはもう組織を支えられる人材が獅子吼しか残っておらず、彼を討てば六波羅は
ほぼ瓦解。GHQが六波羅を攻める正当性も失われると話す。そして、個人的にも獅子吼とは因縁
があるとも語った。
また、篠川には、“銀色の何か”が運び込まれたという情報もあり、これが銀星号に関係があるの
ではと考えられた。景明と香奈枝は、それぞれの目的のために篠川へ向かうことに。

篠川へ向かう道中、景明は雪車町の襲撃を受ける。その場に、かつて舞殿宮へ向かう景明を襲った
大型劒冑・ガッツァイダーの奇襲を受け、香奈枝達と分断されてしまう。

今自分が善悪相殺を発動させれば間違いなく香奈枝を犠牲にすることから、敵を殺すことは断じて
できない景明。
凶悪な性能を誇るガッツァイダーを、仕手の戦闘経験の差で消耗させ、熱量欠乏により戦闘不能に
追い込むことに成功する。

撤退を勧める景明に対して、ガッツァイダーは狂ったような声を上げ、特攻を仕掛ける。
それは決定打には至らず、ガッツァイダーはとても助からないような高度から落下していった。
装甲が砕け、落ちてゆく仕手の顔が見えた。

587 名前:装甲悪鬼村正 復讐編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/28(日) 22:10:01 ID:H4+Pupdh0
それは、鈴川の事件(1編)の被害者、来栖野小夏であった。


四肢を失い、犯され、心が壊された小夏。しかし、彼女達を守るべく、武者に立ち向かった雄飛
の言葉が、彼女に勇気を与えていた。
彼にまた会えば、自分を取り戻せるかもしれない、そう思い、彼を会う日を楽しみにし続ける小夏。
しかし、雄飛はいつまで経っても姿を見せなかった。

そんなある日、彼女の前に雪車町が現れる。
彼は、新田雄飛が殺されたことを告げ、彼を殺したのが湊斗景明であると告げる。
彼女は、景明に復讐することを誓った。


落ちてゆく小夏を、必死で助けようとする景明。
だが、小夏は手を伸ばす景明を拒絶。呪いの言葉を吐いて、落ち、砕け散った。

景明を殺す当然の権利を持つ人間を、死なせてしまった景明。
原型を留めない小夏の死体の前で、泣き叫ぶのだった。

立ち直った景明は香奈枝と合流、大鳥家襲撃が始まる。

香奈枝は、獅子吼の殺害と妹の花枝の救出を。
景明は、大鳥家に運び込まれたとされる銀色の物体の確認を。
それぞれの目的のため別行動すべく離れる直前、香奈枝は景明に不意打ちのような口付けをした。
確かめてくる、という言葉を残し去る香奈枝。

香奈枝は圧倒的な戦闘力で敵兵を虐殺。あっさりと花枝の下へ到達する。獅子吼の奇襲により窮地
に陥るものの、景明の乱入により危機は脱するが、花枝の救出には失敗してしまう。

589 名前:装甲悪鬼村正 復讐編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/28(日) 22:11:37 ID:H4+Pupdh0
一方、景明は、獅子吼との遭遇戦に突入。彼の技巧と真打・銘伏に苦しめられるものの、互いの陰儀
を出した勝負の末、痛み分けに終わる。
そして、大鳥家の地下へ進入。そこで、“銀色の物体”を発見する。
それは、変わり果てた姿の銀星号――光であった。光はまだ生きており、彼の姿を見て、嬉しそう
に微笑む。景明はその姿を見て、精神崩壊寸前まで追い込まれるのだった。
そこに茶々丸が登場、村正に景明を連れ逃げるように指示し、大鳥家を巻き込むように自爆した。

炎上する大鳥家。獅子吼は、花枝と邦氏を救出して脱出。彼等を擁して、必ず六波羅を再建し、
大和を自立した国家として解放することを誓う。
その場に、香奈枝が現れ、再び両者を合間見える。

香奈枝は、死者の復讐を行う復讐者としての気質を持っていた。
今まで、数多くの罪人を殺害していたが、彼女は己自身のための復讐の相手、景明と接している
うちに、今までの自分の行動や存在意義に疑問を抱くようになる。
そのため、もう一人の復讐の相手である獅子吼を殺すことによって、自身の本当の気持ちを
確かめようとしていた。

父の復讐として獅子吼を殺そうとする香奈枝に対し、大和の未来のために身命を賭している自分を
殺す資格など無いと断ずる獅子吼。
二人は戦い―――獅子吼は屠られるのだった。

香奈枝の脳裏に、ある幸福な思い出が浮かぶ。
婚約者となったある青年との会話。香奈枝のある素性により、血縁からも疎まれる彼女を、
青年は、必ず幸せにしてみせると誓う。
その青年は、後に獅子吼という名前を与えられることになる。

泣き叫ぶ香奈枝。泣いて、泣いて――――復讐を果たした喜びの哄笑を上げるのだった。

591 名前:装甲悪鬼村正 復讐編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/28(日) 22:14:37 ID:H4+Pupdh0
景明と光の、香奈枝と獅子吼の因縁は終わり、残ったのは香奈枝の景明に対する復讐のみであった。
復讐を執行する前日、香奈枝は景明の下を訪れる。今まで婚約者のために守り続けいていた操を
彼に捧げるのだった。

その次の日、景明は森の中に呼び出される。
香奈枝により復讐され死ぬことを待ち続ける景明の前に、彼の養父を殺した西洋劒冑・バロウズ
が現れる。
その仕手が香奈枝だと知らない景明は、己の憎悪と香奈枝を守り抜くという決意から、バロウズ
に立ち向かう。

その戦いの中、香奈枝は、憎き仇であるはずの景明への想いを独白する。
景明の人柄に触れた香奈枝は、彼にもう苦しんで欲しくない、生きて幸せになって欲しいという
想いを抱くようになっていた。
そう想いながら、哄笑と共に景明を打ち抜いた。

一人の女性としての想いとは裏腹に、復讐者としての香奈枝は狂喜しながら景明と攻撃する。
大鳥香奈枝という個人ではなく、ただ死者の無念を晴らす復讐者という存在として戦う香奈枝。

その糸目の下に隠された凶悪な知覚能力と、その彼女にしか扱えない陰儀によって景明を追い詰める香奈枝。
死闘によって両者はボロボロになるが、香奈枝は己の命すら顧みない復讐者としての理念により、
彼に最後の、致命的な陰儀を放とうとする。
だが、景明はかつて見た大鳥獅子吼の技を再現して彼女の知覚能力を逆手に取り、致命傷を負いながらも
その陰儀を破るのだった。

593 名前:装甲悪鬼村正 復讐編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/02/28(日) 22:39:22 ID:eyYxdCMO0
エピローグ


墜落し、森の中を彷徨う景明。
村正は彼より先に逝き、ただ一人でボロボロの身体を引きずって歩き、力尽きる。
死にゆく彼の前に、香奈枝が現れる。
彼にとってはやや不本意な―――優しい感触に触れながら、景明は安らかに死んだ。

景明に優しく触れながら、景明を見取った香奈枝。
彼女もまた致命傷を負い、死につつあった。
自分を守るために逃げなかった景明と、彼を愛しながら自分の命よりも復讐を選び
戦い抜いた自分に苦笑する香奈枝。
でも、二人ともそう生きるしかできなかったのだと自嘲する。
ならせめて、愚か者二人の喜劇を、彼と二人っきり笑ってやろう。
死にゆく香奈枝は、景明に触れながら静かに微笑むのだった。


復讐編 了

633 名前:装甲悪鬼村正 魔王編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/03/04(木) 19:38:44 ID:X+3kU35L0
これは英雄の物語ではない。
誰もが英雄ではいられない。

ニッカリ青江との戦闘(五編)の中、景明は自身の過去の情景と共に、村正がかつて
人であった頃の記憶をも見ていた。
誰よりも平和を願った鍛冶師の一家、村正一門。
彼等が成った劒冑には善悪相殺の掟と、この思想を村正以外の者へと伝える精神干渉の能力
が与えられる。
しかし、遥か過去、初代村正の仕手が発狂してしまったことにより、その発狂した精神が
伝播、大和全土を巻き込む大災禍を引き起こす。
初代村正は、その娘、二世村正によって破壊されるが、二世村正もまた朝廷の決定により
処分されることに。当時、まだ人であった三世村正は、これを止めるように願い、時の帝
は彼女の想いを汲み、その条件として、二世村正を止める劒冑となるように彼女に命じる
のだった。そして、三世村正もまた劒冑となり、二世と共に封印されることになる。

彼女の記憶から、村正の善悪相殺が呪いではなく、ただ平和を一途に願ったための理念で
あることを知る景明。
今までの彼女への冷徹な対応を反省し、歩み寄る努力をすることに。
彼女に対して、今までの罪を二人のものとして、本当の仕手と劒冑として戦おうと告げる。

母を救ったことで再び災厄を引き起こしてしまったことや、景明の人生を破壊したという
罪悪感に苛まれ続けていた村正。
景明の言葉を受け入れることが出来ず、一度は去るものの、景明の感謝の言葉と、彼女こそ
が景明の劒冑として相応しい、彼女でなければいけないのだという言葉により、彼と本当の
パートナーとなることを決意する。

634 名前:装甲悪鬼村正 魔王編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/03/04(木) 19:39:32 ID:X+3kU35L0
その後、景明達は、舞殿宮から六波羅の最高権力者・足利護氏の暗殺を依頼される。
彼によって大和の民が苦しんでいるのは事実だが、善悪相殺の理に気づいた景明は、彼の悪
だけではなく、結果的に大和の民を最小限の犠牲で止めている可能性という善をも見極め、
彼を討つべきか否かを判断することに。

そして、母の技を見てかつての人間の姿へなれるようになった村正と共に、祭司に変装して
儀式用の地下洞窟で護氏と相対する。
景明の無意識の振る舞いから、彼が刺客であることを見抜いていた護氏は、景明の大和の
将来についての問いに対し、六波羅幕府も、GHQとの戦争もただ己の支配欲を満たすため
だけだと答える。景明は、彼を斬ることを決意し、村正を装甲する。
真打・髭切を駆る百戦錬磨の武者である護氏を何とか追い詰めることに成功するが、大局眼
に優れた彼の狡知により、逃走の隙を与えてしまう。

彼を逃がせば、景明のみならず舞殿宮の破滅も確定する。必死に追いかける景明だが、その先に
は六波羅の兵士達の骸と、立ち尽くす護氏、そして光の姿があった。
護は光に打ちのめされ遥か彼方へ吹き飛ばしてしまう。その先で、護氏は茶々丸に殺害される。
景明と光の戦いが始まった。

村正と真のパートナーになり、彼女の性能を引き出していた景明は、遂に光に攻撃を届かせることに
成功する。景明の進歩に感心した光は、全力を出すことを宣言。攻撃されたことすら知覚させない
超高速の戦闘により、景明を圧倒する。
そして、二世村正の陰儀・重力操作の能力を極限まで引き出した奥義「飢餓虚空・魔王星」により、
彼等のいた八幡宮そのものを根こそぎ消滅させるのだった。
景明と村正は、必死に抵抗し何とか逃れるものの、太刀を破壊され、限界に達して気絶してしまう。

景明が目を覚ますと、彼に添い寝するように一人の少女が寝ていた。
少女は景明を歓迎し、足利茶々丸と名乗った。
ここが、四公方の一人である彼女が統べる堀越であることを知った景明達。その場に光までもが現れた。
光が、茶々丸の支援を受けていたことを知り愕然とする景明。
茶々丸の薦めと、光の監視のために村正と共に堀越に留まることに。

636 名前:装甲悪鬼村正 魔王編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/03/04(木) 19:41:37 ID:X+3kU35L0
そして、堀越に滞在する中で、景明は本人とは知らずに四公方・童心を出会うこととなる。
光が妹であることでの剣の鈍り、そして無想の境地にある彼女の圧倒的な戦闘力に対抗するため、
自身もまた無想へ至ろうとする景明を、彼の思い違いを指摘し、一笑に付す童心。
そして、目的を果たしたいのなら無想ではなく、無我へ至れと助言する。

無我とは、自身の想いを全て捨て、ただ世の大義のためだけに敵を討つこと、つまりは英雄になる
ことのだと告げる茶々丸。
自分のその資格があるのか。景明は、その言葉に思い悩むのだった。

ある日、茶々丸が、光を殺す算段を整えてやると景明に告げる。
半信半疑ながらも、彼女に付いていくと、そこには、かつて鉱毒病に冒されていた時と同じように
廃人同然の有様で病床に臥している光の姿があった。

銀星号とは、廃人となった光が見ている夢なのだと。だからこそ自然に無想の境地に至り、
大量虐殺という行為に何の疑問も抱くことが無いのだと告げる。
起きている時は湊斗光という廃人となり、寝ている時は銀星号という魔王になる。
彼女の身体は着々と死に近付いており、あと2回銀星号として戦えば間違いなく死亡するだろうと
教えられる。
そのあまりに哀れな真実に、光を悪として責める気持ちを砕かれ、それでも彼女を止めるために
殺さなければならない景明。
そんな景明が光を殺すには、無我の境地が必要だという茶々丸。ただ世の大義のために彼女を殺せ
と景明に囁く。
(ここで光を殺すとBAD)
しかし、景明は光を殺すことができず、混乱して逃げ出すのだった。

泣き叫ぶ景明の前に、銀星号となった光が現れる。
彼女は、自身が湊斗光の見ている夢に過ぎないこと、自身がもうすぐ死ぬことも全て知っていた。
知った上で、この想いに殉じるのだと告げ、新たな災厄を振り撒くべく飛び去る。
彼女を追いかけるが、既に殺戮は終わった後だった。

637 名前:装甲悪鬼村正 魔王編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/03/04(木) 19:42:50 ID:X+3kU35L0
茫然自失とする景明の前に、茶々丸が現れ、光を救いたいかと告げる。精神的に限界だった景明は、
その言葉に頷いてしまう。
茶々丸は、景明に銀星号の“卵”を与えるのだった。

六波羅の本拠地に向かう飛行機の中に景明はいた。
“卵”の力によって、光を救いたいと想い以外の全てが削ぎ落とされた彼は、
表向きは茶々丸の副官として六波羅幕府の中に入りこむ。

茶々丸は、六波羅幕府の重鎮であると同時に、“神”を現実に出現させるために
暗躍する組織・緑龍会のメンバーであった。
そこで、大和の遥か地下に存在する巨大な力を持つ何者かの存在と、その存在を
光の力――魔王星を利用して地上へ引き出す計画を教えられる。その過程で光は
“神”と同化し、死ぬことはなくなるだろうという。
そのためには、もう一つの巨大なエネルギー・GHQの切り札である鍛造雷弾も必要だった。
他のメンバー、六波羅の暗部のリーダーにして大和最強の剣客・常闇、GHQの顧問
をしているウォルフなどと共に暗躍することに。

一方、茶々丸によって捕らえられていた村正は、かつて景明が助けた叛徒・黒瀬童子によって
救われ舞殿宮に保護されることに。
そこには、一条、香奈枝もおり、それぞれの目的のために協力することになる。

副官としても有能に働き、景明は他の四公方からも高い評価を得ることになる。
特に獅子吼は、幼い頃生き別れた弟の面影を景明に感じ、身内への情が残っている自分に
自嘲しながらも、彼を引き抜こうとするなど気にかけるのだった。

638 名前:装甲悪鬼村正 魔王編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/03/04(木) 19:44:20 ID:X+3kU35L0
そして時が進み、英雄編と同様に雷蝶が舞殿宮と結託。しかし他の四公方に看破される。
こちらでも舞殿宮攻めを強要され、更に茶々丸と景明も同行する。
ちょうど六波羅へ攻め込もうとしていた村正、一条、黒瀬だったが、茶々丸率いる六波羅軍
が先に舞殿宮へ到着。戦闘となる。

一条は正宗を装甲し、真打・膝丸を駆る雷蝶と戦うものの、景明をして光に迫ると言わせる
ほどの実力を誇る雷蝶に圧倒され、手も足も出ない。
黒瀬童子もまた真打を装甲し、景明を正気に戻すべく戦いを挑むが、かつて雪車町を破った
魔剣・兜割を自在に扱えるようになった生身の景明に惨敗。彼の義父である署長が辛うじて
彼を抑える。
村正もまた、六波羅屈指の身体能力を持つ茶々丸に及ばず、劣勢に回る。

絶体絶命かと思われたが、六波羅を突如として進駐軍が総攻撃。茶々丸達は撤退することに。

香奈枝の裏工作により、鍛造雷弾の使用を止められた進駐軍。
何とか鍛造雷弾を使わせたいウォルフは、六波羅と進駐軍の戦闘を泥沼化させ、決定打としての使用を
促す作戦を考える。
六波羅は、四公方達の奮闘により何とか劣勢のまま持ち堪えることに成功。
更に獅子吼率いる、真打以上の戦闘力を持つ数打の最精鋭部隊の投入が間に合ったことにより、戦局は
茶々丸ら緑龍会の目論見通り、互角にまで傾くことになる。
そして、GHQの内乱の末、鍛造雷弾の使用が決定される。

次の日、光は目覚め、銀星号として六波羅の本拠地で災厄を振り撒く。
銀星号の目覚めに呼応し、茶々丸の仕掛けによって、獅子吼の連れた新型騎の全てが銀星号の複製として
変貌、上空でも混乱を撒き散らす。
獅子吼は、裏切りを重ねた自分が茶々丸に裏切られたことに苦笑しながら、己の信念に殉じ大和を守り抜く
ために戦い散っていった。

640 名前:装甲悪鬼村正 魔王編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/03/04(木) 19:49:30 ID:X+3kU35L0
獅子吼の死を知った童心と雷蝶。童心は、雷蝶に邦氏を託し、銀星号を迎え撃つべく空へ上った。

混乱する六波羅の城内に、香奈枝の助けを借りて村正が進入。景明を救うべく行動する。
そして、茶々丸と共にいる景明と遭遇。今まで景明への想いから使用を躊躇っていた精神干渉を使用して、
村正自身や、鎌倉で出会った雄飛の友人・忠保の景明達に対しての想いを彼に告げる。
景明は、その想いを……
(捨てられない→正規ルート・捨てられる→茶々丸ルート)

642 名前:村正 魔王編(茶々丸END) ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/03/04(木) 19:51:37 ID:X+3kU35L0
景明は、村正への、そして、彼が殺してきた人々への想いすらも捨て去った。
絶望し、項垂れる村正を捨て置き、景明達は城内へと戻る。

そんな中、景明達は光と童心との戦闘と、それを見守る雷蝶を目撃する。
雷蝶だけは光でも不覚を取る可能性のある危険な相手だと告げる茶々丸。
童心と同時に彼を相手にすることになれば、鍛造雷弾に対処することは難しくなる。

雷蝶は、童心の劣勢を確認すると、彼を援護すべく自らも出ようとしていた。
その場に、茶々丸と景明が現れる。茶々丸が逆賊であることに気付く雷蝶。
膝丸を装甲し、彼等の前に立つ。

村正を完全に捨て、劒冑を持たない景明。たが、茶々丸は劒冑はあると告げる。
景明は、茶々丸の言葉に応じ、心の中に浮かんだ銘――虎徹を呼ぶ。
そして、虎徹―――茶々丸を装甲するのだった。

景明と茶々丸の、最後の戦いが始まった―――

エピローグ

雷蝶との死闘を辛くも制した景明と茶々丸は、二人で光が神になる瞬間を見届けていた。

茶々丸は、景明の腕の中で、景明への恋を告白する。
その言葉に、優しく頷く景明。
世界が滅びるその時まで、二人は一緒にその光景を見続けていた―――

643 名前:装甲悪鬼村正 魔王編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/03/04(木) 19:53:47 ID:X+3kU35L0
景明は、その想いを捨て切れなかった。“卵”の影響から逃れ、元に戻る景明。
村正から、香奈枝に教えられた、戦争を止める方法――鍛造雷弾の投下を阻止
する方法を聞く。
そのためには、六波羅の現最高権力者である邦氏の協力が必要だった。

そのため、邦氏の元へ向かうとする景明達であったが、
茶々丸が村正への憎しみも顕に立ち塞がる。
茶々丸は、自らを劒冑――虎徹へと変化させる。彼女は、生きた劒冑であった。

実父である先代堀越領主の非道により、人間とも劒冑ともつかない存在として
生まれた茶々丸。彼女には、人間にはない特別な聴覚が存在し、これによって
彼女は四六時中、気が狂いかねないほどの音の洪水に苛まれることになる。
無気力に生きていた彼女は、父により殺害されようという時、光と出会う。
彼女との会話により、この音から逃れるために、世界と戦い、滅ぼすことを
決意する。

景明との戦いの中で、茶々丸は自身の陰儀・感覚共有により自分がいつも
聞かされている音、そして、何よりも彼女を苦しめる“神”の声を聞かせる。
精神が破壊されかける彼等に、この“神”は地上に出たくて喚いているのだと、
地上に出せば、自分はこの声から開放されるのだと教えるのだった。

茶々丸の体術に苦しめられるものの、何とか戦いを優位に進める景明。
しかし、茶々丸は戦闘をあっさり放棄、邦氏の暗殺に向かう。
天守閣へと急ぐ茶々丸は、途中で雷蝶と遭遇。護氏を殺した下手人であることを
看破されてしまう。
雷蝶に攻撃を仕掛ける茶々丸であったが、雷蝶は彼女を軽々と一蹴。茶々丸は
致命傷を負う。

645 名前:装甲悪鬼村正 魔王編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/03/04(木) 19:55:09 ID:X+3kU35L0
しかし、茶々丸の計略は成り、邦氏は暗殺される。
戦争を止める方法は封じられることになる。

同時期、童心は光との一騎打ちを繰り広げ、空に散っていった。

そして、緑龍会の思惑に気付いたキャノン中佐の抵抗などがあったものの、
鍛造雷弾が投下される。
光は、緑龍会の狙い通り、その圧倒的な破壊力に対抗するため「飢餓虚空・魔王星」
で迎え撃つ。
景明への愛を胸に、彼女は鍛造雷弾のエネルギーを全て食らうことに成功、
大和の遥か地中へと消えていく。

そして、地上から“神”が現れた。

“神”による被害により、世界が崩壊へと向かっていく中、景明は死にゆく茶々丸から
光を殺したければ無我の英雄になれ、という言葉を再び受ける。
“神”に苛まれることが無くなった彼女は、景明に身体を預け安らかに死んでいった。
そして、彼女の死により最後の大太刀の欠片を入手、村正本来の武装である大太刀が完成する。
以前とはどこか違う、強化された大太刀に、景明は虎徹という銘を付けた。

そして、地上へ降下していく“神”――光を迎え撃つ。
その途中、無数の銀星号の複製と、オリジナルと同等の性能を持つ星片八極姫の抵抗を受け、
攻めあぐねる景明。
しかし、一条と香奈枝の援護により包囲を抜けることに成功する。

648 名前:装甲悪鬼村正 魔王編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/03/04(木) 20:12:24 ID:X+3kU35L0
空間や時間すらも操り、圧倒的な力を誇る“神”を相手に景明は奮闘、活路を見出し、
これを一刀両断することに成功。
だが、その中から神となった光と二世村正が現れる。

両者の死闘の中、景明は無我の境地を至るための方法――村正の精神干渉により、景明の
個を消し去ることを選択。村正も抵抗を感じながら実行する。
飛躍的に強くなった景明に歓喜する光、だが、景明の人格が消されていることに気づくと激怒、
景明を奪われた怒りにより、「飢餓虚空・魔王星」を放つ。
村正は、景明の知能をも借りることにより、魔王星の構造を看破、重力を中和することに成功する。
自身の生み出した重力に巻き込まれながら、景明が自分ではなく村正を選んだことに絶望する光。

二世村正は機能停止するものの、光は己の力のみで戦闘力を保持していた。
景明が消え去ってもいいのかという光の問いに、村正は、景明に幸せになって欲しいという想いを
捨てられず、景明への精神干渉を解いてしまう。
勝機を失わせたことを謝罪する村正だったが、景明は彼女の行動を肯定する。

無我の境地で、世界のために敵を討てば、善悪相殺の掟で自分は世界を滅ぼす。
茶々丸が世界に仕掛けた、最後の罠であった。
景明への想いを捨て切れなかった彼女が遺したヒントにより、これに気づく景明。

善悪相殺に従い相手を殺すならば、無我ではなく自我で行わなければならない。
だが、景明にとって光はただ哀れであり、ただ愛しい存在であった。そのような
彼女を、自我を持った状態で殺すことは景明には不可能なことだった。
その中で、景明はある魔剣理論を完成させる。

649 名前:装甲悪鬼村正 魔王編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/03/04(木) 20:12:46 ID:X+3kU35L0
かつて、景明の義父は、戦争で看護婦を助けたことで男性機能を失ってしまう。
跡継ぎに拘った湊斗本家は、まだ幼い景明に薬品を用いて、統との間に子供を作らせる。
しかし、その子供―――光の父という役割を、まだ子供の景明に与える訳にも明かす訳にも
いかず、彼は光の義理の兄―――血の繋がらない人間として生きることになる。
光の父は、生まれながらにして世界によって永遠に奪われた。
景明が実父であることに薄々感付いていた光は父の愛を渇望し、その想いをやがて銀星号
という夢の中で最悪の形で発露させることになる。

何故、彼女の父となるための努力をせず、血の絆を放棄してしまったのか。
景明は、光を狂わせる原因となった、この世で最も憎い存在―――自分自身の心臓を貫く。
景明という憎き存在の殺害により、善悪相殺が発動。最愛の者――光を殺すべく襲いかかる。
こうして完成した景明の魔剣・装甲悪鬼は、光の魔剣・天座失墜を破り、彼女の命を断った。

光は、自分が景明にとっての最愛の者として殺されたことに気付く。
善悪相殺の掟が、愛の実在を証明する。
景明の光への――父の娘への愛情を確かに感じ、幸せそうに微笑むのだった。


魔王編 了

650 名前:装甲悪鬼村正 悪鬼編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/03/04(木) 20:14:04 ID:X+3kU35L0
悪鬼編

これは英雄の物語ではない。
装甲悪鬼村正の物語である。


光の死から数ヶ月後。
彼女が世界規模で行った精神干渉の影響は無くなったものの、これが切欠と
なった戦争は終結の目途も無く、世界中で戦乱が広がっていた。

景明は生きていた。
恐らくは、光が“神”としての最後の力で彼を救ったのだと村正は告げる。

全ての役目を終えた景明は、死刑になるという希望を叶えてもらうことも
できず、ただ罪の意識と自己嫌悪に苛まれながら無気力に生きていた。
彼に寄り添い、支えようとする村正であったが景明の絶望は根深い。

そんなある日、泥酔した景明は、光(ひかり)という娘とそっくりの名前を
持つ幼い少女に助けられる。
彼女の住んでいる町では、地元民と難民達との間で対立が発生していた。
彼女に、和をもって尊しと為す、という言葉を教え、この対立を解消するために
自分が何か出来ないかと考える景明。
彼の努力が身を結び、地元民と難民達は次第に和解していく。

自分にできることをやり、償っていく。
こういう生き方もいいのかもしれないと思い始める景明であったが、彼が殺人犯
であるという話が何者かによって広められる。
己の罪を否定できない景明は、その場を逃げ出すのだった。

またもや絶望に囚われる景明。
村正は一人の女性として、景明の思い上がりを責め、そして慰める。
そんな村正の行為に、景明の心は救われるのだった。

651 名前:装甲悪鬼村正 悪鬼編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/03/04(木) 20:16:45 ID:X+3kU35L0
それからしばし、景明と村正はただの男と女として、穏やかな生活を送る。
二人でどこか遠くに行こう、その景明の提案に村正は頷く。
だがその道中、村正は、雪車町によって重傷を負い、攫われるのだった。

雪車町と対峙する景明に対し、雪車町は破壊された村正の甲鉄を見せ付ける。
景明の理性が、憎悪によって消し飛んだ。
雪車町と景明はもつれ合い、景明は無我夢中で彼を殴り続ける。そして、
近くにあった岩で彼を殺そうとして―――
(殺すとBAD)

止めた。
自分を殺さないのか、という雪車町に対して、今自分が抱いている思いは、
多くの人が自分に対して抱いている思いだと、ならば、自分に憎悪で人を
殺す資格など無いと言い、去ろうとする景明。

これからどうするのか、という問いに対して、景明は、村正の本来の道を
歩むと、善悪相殺により武や戦いの真実、醜さを広め、人々の独善による
戦いを戒め、世に平和を布くのだと告げる。
景明は、この戦乱の発端となった銀星号を生み出した自分の責任と、自分の
役目がまだ終わっていないことを認識する。
最小限の殺戮により、戦争を撲滅する。彼のその言葉に、それは悪鬼の所業
だとなじる雪車町。そして、笑いながら、封じてあった村正を彼に返し、
去っていった。


652 名前:装甲悪鬼村正 悪鬼編 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/03/04(木) 20:17:38 ID:X+3kU35L0
一人の男として幸福を得るのではなく、救いのない悪鬼の道を歩むことを決めた景明。
彼と対峙しながら自分もまた、彼に寄り添う女性としてではなく、彼の劒冑として同じ道を
歩むことを決意する。
そしていつか、世界が平和となり彼等の役目が終わった時、その贄として、彼等にとって
最愛のもの―――お互いを捧げよう。そう誓うのだった。

そんな様子を、一条と香奈枝は密かに見ていた。
一条は、決意を胸に彼等の下へと向かう。
香奈枝は、復讐を保留し、どこまでやれるか彼等を見守ることを決める。

景明と村正の前に、一条と正宗が現れた。
悪鬼の道を歩むことを決めた彼等に、これを否定する正義として一条は対峙する。
景明は、彼女と戦う苦しみを胸に秘め、悪鬼の形相を浮かべ彼女を迎え撃つ。

一方、かつて景明が和解させようとした地元民と難民は再び険悪な関係となっていた。
それぞれの生活や家族を守るため、それぞれの善のために対立する彼等。
そんな彼等の間に、光が立つ。
彼女の口が紡ぐのは、かつて景明が彼女に教えた言葉。

和をもって、尊しと為す。

悪鬼と正義が切り結ぶ同じ空の下、
悪鬼と成り果てた男女が求めた平和を願う、少女の笑顔がそこにあった。

装甲悪鬼村正 始

655 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2010/03/04(木) 20:41:29 ID:D9kTFC5F0
乙!やっぱりニトロ作品は色々とすごいな…
所で>>649で「看護婦を助けたことで男性機能を〜」というのはどういうこと?
看護婦さんを助けようとして傷を負って…みたいな感じ?


656 名前:装甲悪鬼村正 ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2010/03/04(木) 20:45:27 ID:X+3kU35L0
>>655
そういう感じです。

664 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 14:31:20 ID:V/M5Tt6sO
村正乙
面白さと大作感が伝わってきた。
ダークスラッシュの名に恥じないな。
ところで景明の出生ってちゃんと語られてるんですか?

665 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2010/03/05(金) 17:33:12 ID:F6pK94Up0
>>664
英雄編で概ね語られています。

このページへのコメント

レイプ魔とか強盗殺人鬼とか、それを私刑にするだとか、そういう極論で話を進めて、普通の人の「善の面もあれば悪の面もある」ところを無視するのが一番性質悪いって言うのが善悪相殺じゃないの

1
Posted by 名無し 2015年03月01日(日) 10:51:21 返信

御冴ゃ帥c荐c
膃筝腴≪若(篏)
荀сc篏c≪篋咲c
荐鐔

0
Posted by < 2015年01月29日(木) 10:58:00 返信

>>現実にレイプ魔とか強盗殺人鬼とかを私刑で殺した後、自分の家族を殺して善悪相殺だ!とか主張するキチガイがいたとして誰がそれに共感するよ?

遅レスだが、そもそも私刑で殺すこと自体共感されないですし、善悪相殺の誓約もってるならそもそも殺さないよね。
そして善悪相殺の基本的な目的のひとつに殺人の醜さとかキチガイさを知らしめることがあるから、殺人犯した奴がキチガイに見られるのは正しいぞ。
前提条件が殺人は(罪になるかならないかは別として)悪だということに基づいてる考えだけどな。

1
Posted by 名無しさん 2013年09月26日(木) 07:51:12 返信

殺人鬼やらレイプ魔なりを殺したとして、じゃあその殺した人も正義のためだろうが同じ悪鬼ですよね、報いは受けなきゃね、それが嫌なら殺すなっていうテーマじゃないのかな。

まぁ、思想が前面に出てる作品だから受け付けない人も多いだろうなとは思う。

1
Posted by 名無し 2011年03月09日(水) 13:15:47 返信

絶対的な悪行とかじゃなくどんな人や物事にも善と悪があるって話じゃなかったっけ?


んでそれを殺人鬼とか強姦魔にあてはめたら
普通は違和感を感じると思う


ただ1番大切な存在である村正を殺されて(生きてたけど)も
雪車町を殺さなかったし


何もかも全部飲み込んで
報われない戦いと結末を迎えるのが分かりきってて

最後に出した答えというか
選んだ道が素敵だと思ったから


文章が冗長すぎるし一条も嫌いなんだけど
俺はこのゲーム大好きだよ

0
Posted by 名無しさん 2011年03月03日(木) 05:15:41 返信

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