80 名前:North Wind[] 投稿日:2010/01/06(水) 22:02:09 ID:VgBt7JBs0
未解決にあったやつから。いやー、気がつくと結構古い作品になりました。

主要登場人物3名
秋月 誠 主人公。本来は平凡で優しい性格だが、東京の高校で教師に対する暴行事件を起こして
(実は痴漢犯を取り押さえたのだが)以来、ぶっきらぼうな乱暴者と思われており、周囲と距離を置かれている。
それ以外でもイメージ先行で語られがちな、ク○ウザーさんのような人。

冬蔦 儚 学校の写真部の後輩。1年生の時、いじめでレイプされる寸前の所を誠に救われ、以後3年間、「彼の後」をついて歩いてきた。
就職試験のための写真を撮影するためということで誠の帰郷についてくる。
不幸な人生を歩んできたため、非常に臆病で引っ込み思案。
そのため、体力と背と胸がかなり足りない以外は充分優等生だが、へっぽこな印象を与えがち。
表のメインヒロイン。

柳 雪華 自ら記憶喪失と申告する謎の少女。破壊的スーパーハイテンションと底なしの胃袋の持ち主で、
やたら中指を立てまくる人生ノーフューチャーなおバカパンク女。そのくせ無駄な方面だけやたら物知り。深姫いわく、間違った方向の天才。

柳 雪華(その2)
何かを思い出してしまった雪華。一人称が私(わたくし)にかわり、ですます口調で大人びた印象を受ける。
好奇心旺盛なチャレンジャーなのは相変わらずであるが。このお話の真のメインヒロイン。

サブ3名
綾川 佳暖…隣の家に住んでいた幼馴染の少女で妹的存在。帰郷した誠と一緒に暮らしており、
なにかと一緒に寝たがる甘えん坊。脇ヒロインで唯一EDのある人。

小牧 水澄…佳暖の親戚で誠にとっても姉的存在。実家の喫茶店「北風」で佳暖と共にウェイトレスをしており、
雑誌でも紹介された不動の看板娘。メガネ2号。そしてヤンデレの素質あり。

君塚 深姫…七蔵神社の巫女。代々七蔵神社の管理を行う君塚家のお嬢様。恋文祭の巫女舞をつとめる。
実はすべての事情を知る人であるが、序盤は一切ネタバレしてくれない。メガネ3号でもある。

81 名前:North Wind[] 投稿日:2010/01/06(水) 22:02:39 ID:VgBt7JBs0
キーパーソン
君塚 文…七蔵神社に祭られている御霊の巫女。実は結構怠け者なドジっ子で、誰かさんとよく似ていたらしい。

君塚 芹那…文の双子の妹。だらしない姉と違ってしっかり者で、これまた誰かさんとよく似ていたらしい。

キーワード

恋文伝説…七蔵神社に祭られている御霊「文」にまつわる悲しい伝説。およそ100年前に本当にあったという。
文は密かに想いを寄せていたある青年に贈る当てもない恋文をずっと書き続けていたが、
ある時青年は戦争に出征した。伝えたいことがあるので必ず戻ってくると文に約束して。
しかし青年は二度と帰ることはなく、文は彼を待ち続けながら病に倒れ、若くして世を去ったという。
ついに渡せなかった、たくさんの恋文を残して。

恋文祭…七蔵神社で毎年行われている祭。恋文伝説に語られる「文」の供養祭。
参拝者が神社にある「恋文ポスト」に投函した手紙を毎年12月26日に全て燃やす儀式を行うことにより、
手紙に込められた想いを灰と共に北風に乗せて伝えてくれるという。
小さな神社のお祭りながら、ご利益てきめんと評判で毎年全国から膨大な量の手紙が投函されるという。

82 名前:North Wind[] 投稿日:2010/01/06(水) 22:04:34 ID:VgBt7JBs0
chapter1 Last Letter
ー夢を、見ていた。どこか懐かしく……どこか悲しい……少女の、夢ー
12月、主人公秋月誠は生まれ故郷の七蔵町に写真部の後輩の儚と共に帰ってきた。
表向きは、地元の有名な祭りである恋文祭の取材だが、本当は約束をしたある人に逢いにいく目的で。
しかし、目的地の神社で謎の巫女さんに会い、なにやら声をかけられた途端、なぜかその記憶は抹消されてしまった。
その帰り道に、自称記憶喪失というお元気少女雪華と出会い、こうして懐かしい人達や新たに出会った人たちとの日々が始まった。
儚は前から誠に想いを寄せており、この旅行中に告白まで持っていくのが目的だったのだが、クリスマスイブの晩についに告白。
誠はそれを受け入れ、二人は結ばれた。(注:このゲームのヒロインはみんな主人公に焦らされまくってるので積極的杉)
ところが恋文祭の翌日、なぜか置き手紙と共に失踪する儚。必死に探し回った誠はどうにか七蔵山で遭難しかかっていた儚を
救出した。
翌日誠達は東京に帰ることになったのだが、なぜか雪華だけがいなかった。深姫に彼女は先に帰ったと伝えられ、
あとで帰りの列車の中で見てくれと彼女から預かったという2通の手紙を渡される。
そして2通目の手紙を最後まで読んだ瞬間、誠は全てを思い出した。雪華、いや「柳さん」のことを
「俺は…俺は……雪華ぁぁぁぁ!!」
恐慌状態に陥りかけた誠だったが、直後儚に何かされて誠はまた雪華のことを全て忘れ去ってしまった。

東京に戻って数ヵ月後、儚が七蔵町で撮った就職試験の写真が入賞し、展覧会に展示されることとなった。
その写真に満面の笑みを浮かべて写っている少女「柳雪華」の姿を目にした誠の目からは訳もわからず涙があふれるのであった…

これだけ見ると謎ばかり残る終わり方です。ネタバレは次章で。

84 名前:North Wind[] 投稿日:2010/01/06(水) 22:08:19 ID:VgBt7JBs0

CHAPTER2 Snow Memory

冒頭、誠はある夢を見た。目覚めた時には忘れ去られていたが、それはその昔この街で本当にあったこと。
仲の良い二人の姉妹の、そして、想いを伝えたいと願いながら逝こうとしていた一人の少女の夢を…

この章は儚√と雪華√に分かれます。

儚√
ストーリーの流れは前章と全く同じですが、所々視点が儚のものに変わり、前章のネタバレが描かれます。
最大の疑問は恋文祭前後になにがあったのかということなので、そこから解説します。
恋文祭りの前夜、雪華は記憶を取り戻していたのだ。そして儚は偶然、雪華と深姫の話を立ち聞きするうちに、
隠されていた真実ー雪華の正体と誠との関係ーを知ってしまったのだ。

※雪華の真実
雪華は実はもうこの世の人ではなかった。
2年前、帰郷した誠が米代山で偶然迷い込んだ別荘で出会った、心臓の病気で療養中のさる令嬢、それが柳雪華だった。
偶然の出会いから恋に落ちた二人は休みを利用した帰郷により、別荘で逢瀬を重ねていたが、
去年の冬に、雪華は誠と約束した。手術を受けて病気を治し、来年元気になってまた逢おうと。
だが、失敗すれば死ぬかもしれないと言う事で、結局雪華は手術を受けずに耐えて約束の冬を待つことにした。
しかし既に病状は危険なまでに悪化しており、約束の12月16日の半月前の12月1日に雪華は世を去った。
もう一度だけ誠に逢いたいという未練ゆえに幽霊となった雪華は、迷い込んだ七蔵神社で深姫と神社の御霊「文」
(恋文伝説に語られる伝説の巫女)と出会い、お互いの記憶を失くす事と引き換えに期限付きの蘇生を許された。
その際、病弱でつつましかった自身の理想を具現化するような正反対の肉体と精神の持ち主にしてくれと頼んだことにより、
あのちょっと(かなり)アレな性格の「間違った天才」が生まれてしまったのであった。
(同パターンにペルソナ1のヒロインがありますね)
そして、生き返りの期限は12月27日まであり、もう目前に迫っていたのだった…

85 名前:North Wind[] 投稿日:2010/01/06(水) 22:10:09 ID:VgBt7JBs0
雪華と文から詳しい説明を受け、誠のことをお願いされた儚だったが、
もともと引っ込み思案の儚は自分にはその資格はないと考え、誠の元から姿を消す事を選び、
最後にかつて誠に連れてこられた七蔵山の展望台を目指したものの、吹雪の中で遭難してしまったのだった。
文と雪華の助力により救われた儚は、その晩誠が眠っている間に雪華と涙ながらの最後の別れを告げた。

翌日、儚は文から雪華に関する誠の記憶を完全に抹消することをお願いされる。
もしも記憶が戻ってしまったら、誠の心は壊れてしまうかもしれないから、と。
雪華が恋文ポストに投函した最後の手紙(例の2通目の手紙)でいったん誠の記憶を戻し、
そしてお札により記憶をなくすという力技だ。もっとも残酷な役目であったが、儚はその役目を受け入れた。

後日譚
それから1年後、儚がイブのデートに着てきたのは、あの時の雪華と同じ服だった。
大切な友人に、今の自分の感じている幸せを伝えたいと願って…

86 名前:North Wind[] 投稿日:2010/01/06(水) 22:11:36 ID:VgBt7JBs0
雪華√
なるべく雪華と一緒にいるようにするとこちらに。違う展開となります。
色々アレな性格の雪華に振り回される騒がしい日々を送るうちに、雪華は誠に恋をしたと告白してくるのだが、
いつものふざけた態度ゆえに本気にしない誠。
だが、雪華は儚に対して自分は誠が好きだとはっきり断言するのであった。
そして誠もまた、雪華に対して次第に惹かれていくのであった。
クリスマスパーティーの日の夜、神社で改めてもう一度告白した雪華とキスを交わす誠。
だがその直後、ようやく想いが叶ったはずの雪華の表情はなぜか冴えないものだった。
そして翌日、雪華の様子は一変していた。(雪華その2にチェンジ)
原因が分からず途惑うことしかできない誠に対し、深姫は悲しげな顔で真実を知りたければ米代山の奥へ向かえ、と言った。
そしてその場所で無人の別荘を見つけたとき、誠は全てを思い出した。ここで雪華と初めて出会った時のことを。
(※雪華の真実を参照のこと)
そして、去年七蔵神社でファーストキスと共に雪華と交わした、再会の約束のことも。

89 名前:North Wind[] 投稿日:2010/01/08(金) 20:07:18 ID:bQUSO0hy0
すみません。途切れました。雪華√の続きからです

記憶が戻ったことにより、雪華も記憶が戻ったことに感づいた誠であったが、
そうなると余計に彼女の態度が謎となってしまう。直接問いただそうと七蔵神社へ向かった誠はそこで文と出会い、
一番知りたくなかった最後の真実…雪華がもうこの世の人ではないことを知ってしまった。
もうじき消えてしまうのだから、一緒にいれば悲しくなるだけだという雪華に対し、悩んだ末に最期まで一緒にいると言う誠。
それを受け入れた雪華であったが、その一方で文と協力し、誠を慕うもう一人の少女―儚―に全てを打ち明け、
自分に代わって誠を支えてくれるように頼んでいた。
誠は泊り込みでずっと雪華と一緒に過ごし(もちろん夜にすることは一つしかないわけだが)、
そして運命の日12月27日が訪れた。
その日に七蔵山の展望台からの風景を二人で眺めるために文に力を貸して
天候を操作したため消滅の時間が早まった雪華は、夕日の中、静かに消えていった。
「最後の瞬間には泣きません」という約束を守るべく、誠と背中合わせに手をつないだまま…

後日譚
そして翌年の冬、誠は再び七蔵神社を訪れていた。
結局誠が選んだのは文と同じ道…もう2度と逢えないと分かっている人をずっと想い続けて待つというものだった。
佳暖に連れられて神社を去るその時、ふと、懐かしい人がそこにいるような気がした。
(残念、それは気のせい。CHAPTER3を参照)

90 名前:North Wind[] 投稿日:2010/01/08(金) 20:08:57 ID:bQUSO0hy0
CHAPTER3 North Wind

最終編です。というか大まかなネタバレは前回で済んでいるのでむしろおまけ編です。
真価はようやく佳暖のEDが見れるということ。妹萌えの方、長々とお待たせしました…どうぞ

物語は、誠が文の手により記憶を抹消された場面から始まるが、大きく違うのは、雪華のことだけではなく、
全部の記憶を失っていたということ。さすがに深姫も話が違うと戸惑うのだが、
一方で儚は自分が誠の恋人であるとか、佳暖は自分は生き別れの妹だとか勝手な記憶をインプットしようとする。
こうなると深姫も「これはひどい」ということで誠と雪華を呼びつけて早々にネタばらしを行おうとするも、その途端誠は謎の力で失神してしまう。

気を失っている間、誠は伝説の巫女文と、その妹芹那の物語を夢に見た。
彼女らを始め、君塚の家の巫女は代々本当に超常的な能力を持っているらしい。
ただし、その力を使いすぎると命を削ってしまうので、軽々しく使えないのだが。
文の力は「離れた相手のところへ自分の想いを届ける」というもので、文が亡くなった本当の理由は、
片思いの青年の元へなんとか想いを届けようと、何度も力を酷使したためだったのだ。
そして文は、死して後も、もう二度と逢えないと分かっていても待ち続けている。
以上の夢は、古の時代の芹那が深姫を通じて誠に見せたものだった。
彼女の能力、過去と未来を見通す力によって(見るだけで介入はできない)。
わざわざ誠に文の過去を見せたのは、誠と雪華に同じ運命をたどって欲しくないという彼女の配慮であった。
一番肝心な「真実」は知ることはできなかったものの、その夢の記憶を持って誠は目覚めた。
最後に芹那が言った、遠い未来、文の想いの叶う日が必ずやってくる。
恋文伝説は悲劇のまま終わりはしない、という言葉を胸に刻みつけて…
次に病院で誠が目覚めたときにはもう5日が過ぎていた。相変わらず誠の記憶は戻らなかったが、
雪華のほうは(誠は知らないが)記憶がもう戻っていた。
こうして本当の雪華が過ごす、最初で最後の冬休みが始まるのであった……

147 名前:North Wind[] 投稿日:2010/01/16(土) 19:28:57 ID:uHUhepIN0
こんばんわ。しばらく書けなかったのでもう一回プレーしつつ修正したら結構長くなってしまいました(特に佳暖√)
ともあれ、最終章の儚√から再開です。
儚√

儚√
儚が咄嗟についてしまった嘘から唐突に始まった関係。しかし、当然ながら二人ともぎこちなさばかりが先行してしまう。
過去の自分は儚に優しくはなかったのか?と悩む誠と、真実がバレることを怖れ続ける儚。
それでも徐々に二人の距離は縮まってうまくいきかけた矢先、儚は雪華の真実(※)を知ってしまう。
自分が雪華に対してとんでもない仕打ちをしてしまったと思った儚は、恋人同士だったということは嘘だったと明かし、翌日別荘に誠を連れて行って記憶を戻した、
誠も雪華から真相の説明を受けた。後悔ばかりが先立ちボロボロに傷ついた儚と、儚に悲しい思いをさせてしまったのは自分のせいだと同じく悲しみに沈む雪華。
どちらも放ってはおけないと思えたが、誠は結局儚を選び、姿を消した彼女を探す事に。雪華も、涙をこらえ誠のその決断を認めた。
文の助力により、山で遭難していた儚を救出したものの、吹雪にさらされたショックで本当に記憶喪失となってしまう。
記憶のない儚は、それでも残った罪の意識からか、「あなたなんて知りません!」と誠を強烈に拒否し続けた。
打つ手なしの誠。そんな彼に、消滅の時が訪れた雪華は、素直な気持ちをきちんと儚に伝えるようにと言い、
最後に儚に、「私の未来を貰ってください」と伝えてくれと言い残し、夕日の中に消えていった。

148 名前:North Wind[] 投稿日:2010/01/16(土) 19:30:29 ID:uHUhepIN0
面会時間ぎりぎりで病院に来た誠は、静かに儚に今までの経緯を説明した。
この街であったこと、学校で孤立することになったいきさつ、儚との出会いを。
そして誠は言った
「俺とお前は、恋人同士なんだよ」
嘘です、と拒絶する儚だったが、誠はあとは儚が自分のことをどう思っているかだと言った。
自分の気持ちはとっくに決まっている。記憶の有無に関わらず、儚とずっと一緒にいたい。それだけはかわらない、と。
ようやく儚は誠の記憶を呼び覚ました。そして最後に雪華のこと、彼女から儚に託された最後の言葉を伝えたことにより、全ての記憶を取り戻した。

翌日、誠たちは東京に帰ることに。だが、帰り際、誠は深姫に約束した。
「来年もまた二人で来ます。儚と一緒に……雪華から渡された、未来と一緒に。」
こうして、二人は傷つきながらも、ここから共に歩いていく事を決意したのであった。



149 名前:North Wind[] 投稿日:2010/01/16(土) 19:40:17 ID:uHUhepIN0
佳暖√

記憶がなくなったことによりかえって客観的に佳暖のことを見ることができたことにより、
(具体的には佳暖が「お兄ちゃーん」とセルフサービスしてるのを2度も目撃する羽目になったこと)
今頃になって誠は佳暖は自分のことを兄と呼ぶ以上の想いを抱いているのではないかと感づくのであるが、
いやでもそれ実の兄弟(嘘だけど)じゃマズクネ?ということで雪華に相談すると、
大事なのは誠が佳暖をどう思っているかだと答えられる。
その帰りに北風に寄ってみた誠は偶然佳暖と水澄が百合っぽい展開になっているのを目撃したのだが、
佳暖はむしろ嫌がっているようだった。
水澄が一人になるのを見計らってそのことを彼女に問いただすと…
「あんたなんかに…あんたに、何がわかるって言うの!?あの子だけは……誠に渡さないから!」
鬼の形相で誠を怒鳴りつけた水澄であったが、今度は一転して泣いて謝り始めた。どう対応していいのか分からず、謎だけが誠に残された。
一方、憔悴した様子の佳暖は、慰めるためにキスしてと誠に頼んできた。それに答え、佳暖の唇にキスをしたとき、
初めて誠は佳暖のことを一人の女の子として意識し始めている事に気付いたのであった。

誠は七蔵町を離れる日のことを夢の中で思い出した。前章で少しだけ言及していた、水澄に告白された日のことだ。
誠が告白を断ったのは、彼が当時佳暖が好きだったから。だが、水澄の前でそのことを言うと傷つけてしまうと
感じたため、佳暖じゃないとダメなの?という水澄の問いに、好きな人はいるが佳暖じゃないと答えたのだった。
そして、引越しが決まってから佳暖とは疎遠になっていたこともあって、いつしかかつての気持ちは自然消滅したような形になっていた。


150 名前:North Wind[] 投稿日:2010/01/16(土) 19:42:04 ID:uHUhepIN0
26日、真相(※)を知った儚は自分の嘘を明かし、誠に別荘のことを教えた。そこで誠は雪華の死も含めた全ての記憶を取り戻した。
記憶がなかったとはいえ、雪華に佳暖のことを相談したりしたこと、そして今佳暖に気持ちが傾きつつあること、
そのことを申し訳なく思う誠は、佳暖に対し拒絶するような態度を取ってしまった。
泣きながら逃げていった佳暖を追い、七蔵神社にやってきた誠。
そこで初めて記憶が戻ったことを知った佳暖は誠にずっと好きだった、ということを告白したものの、その後やってきた文と雪華に事情を説明される中、
そもそもの始まりが3年前に佳暖が想いを込めて恋文ポストに託した手紙(その手紙によって誠は七蔵町に帰ってきて、そこで雪華と出会った。)
だったということを知った佳暖は、自分が原因で雪華が死んだのか、と思ってしまう。
「佳暖……佳暖は、好きな人のことを想っちゃいけないの!?」
 全てを自分の責任にして部屋に引き篭もってしまった佳暖。
様子を見に来た儚と雪華の2人に、誠は今度こそ佳暖の気持ちに応えてやりたい、という今の気持ちを告白した。
3年間積み重なった儚の想いと、魂をも賭けた雪華の想いは無惨にも空振ってしまったが、雪華も儚もそれを認めてくれた。(注:)
側にいるのに報われない想いに苦しんだ事、ずっと待ち続けたこと。どちらも他人事ではないものだったから…
(注:)プレー中ここだけは絶対に音声をONにしておくこと。OFFにして読み飛ばす奴は死刑。音声が全てを物語ってくれる。

翌日、雪華の説得によりようやく部屋から出てきた佳暖だが、まだ思い悩んでいる様子だった。
それが自分のせいなのかと思った水澄は、今まで誠に隠していたことをすべて打ち明けてくれた。

151 名前:North Wind[] 投稿日:2010/01/16(土) 19:43:26 ID:uHUhepIN0

幼馴染の誠、佳暖、水澄。誠と佳暖が惹かれあっていたように、水澄も惹かれていたのだ。「佳暖」に。
だからあの日念入りに策を巡らせて「嘘の告白」を行った。
全ては「佳暖が好きじゃない」「他に好きな人がいる」という言質を誠から引き出し、それを佳暖に聞かせるために。
(誠は知る由もなかったが、告白の様子は佳暖もこっそり様子を見ていたのだ。)
作戦は成功したと思われていたが、佳暖はそれでもずっと誠だけを想い続けていた。
焦った水澄は佳暖の嘘をネタに脅迫まがいのことを行い、あのような行為に及んでしまった。
だが、それは結局いたずらに佳暖を汚し、傷つけただけだった。
今までずっとこらえてきたかのような大粒の涙をこぼす彼女を佳暖と二人で慰め、ようやく3人のわだかまりも消えた。

 そして夕方、七蔵神社に誠、佳暖、儚、深姫は集まった。雪華の最期を見送るために。
最後に佳暖の素直な気持ちが知りたいという雪華に、佳暖は雪華と儚の悩みは自分と同じであるということはよく分かる。
だけど、それでもお兄ちゃんのことが好きだとはっきりと宣言した。
その言葉に満足し、雪華は消えていった。
「ずっと…誠くんと仲良くしてね。私の分まで……私の未来を……もらってください」という言葉を佳暖に託して。

誠は気持ちの整理をつけるため、いったん儚と共に東京に帰ることにした。
もう一度ここに帰ってきた時は、ずっと側にいると佳暖に約束して。
そして佳暖と水澄の見送る中いよいよ出発、という段になって、誠はいきなり背中を突き飛ばされた。
列車から佳暖の目の前に転がり落ちる誠の背中に、突き飛ばした犯人…儚は微笑みと共に言い放った
「これ以上、女の子を待たせちゃ駄目ですよ。」
そのまま儚と共に去っていく列車。
「あ〜……えっと…………ただいま。」
「うん、おかえりなさい!もうずっと離れないからね!」



153 名前:North Wind[] 投稿日:2010/01/16(土) 19:52:52 ID:uHUhepIN0
雪華√

実は途中経過がそれほど大きく違わなかったり。
記憶をお互い取り戻す→最期の時まで一緒にいよう→背中合わせでサヨナラ
という前章の展開を辿ることに。(記憶が戻っても雪華の行動パターンはほとんど一緒)
むしろED後のエピローグこそが肝要。

全てを知った誠は、雪華に約束した。消えてしまっても、もう一度逢えると信じてずっと待ち続ける、と。
今まで雪華が待った分、今度は自分が待つ番だ、と。
しかし、雪華の最期の願いは自分のことは忘れてくれ、というものだった。
文は雪華が言い残した通りに彼女の事は忘れて自分の幸せを掴むようにと告げたが、
「願いは叶えます。いつかきっと……でも俺が雪華のことを忘れるとしたら……きっと、またあいつに逢えた時だって思うから……
だから、俺は雪華を待ちます。また、来年ここに来て雪華を待ちます。ずっとずっと待ちます。」
誠の決意を知った文も、約束してくれた。いつか、必ず誠と雪華を巡り逢わせる、と…

後日譚
それから18年後。また、恋文祭の季節である冬がやってきた。
長き時の流れの中、悲しみも喪失感も次第に風化していったが、誠は雪華のことだけを想い続け、
毎年のこの季節には七蔵神社を訪れていた。
七蔵神社も、そして毎年誠を出迎える文も、時が止まったかのようにいつまでも昔のままの姿だった。
だが、誠は変わらないままではいられない。誠さんにも自分の人生があるのではないですか?という文の問いに誠は答えた。
「こういう人生も悪くないって思ってるよ。」
そんなしんみりした雰囲気に水をさすように、元気一杯な様子で石段を駆け上がってきた少女が恋文ポストに手紙を投函した。
生まれてこの方病気一つしたことがないという彼女の容姿は、長い髪に、大きなリボン。そう、それはまさしく……

154 名前:North Wind[] 投稿日:2010/01/16(土) 19:56:05 ID:uHUhepIN0
「どうか逢えますように。」
はるばるこの七蔵神社までやってきて恋文ポストに願いを込めて手紙を出すのは、もちろん逢いたい人がいるからなのだが、
彼女は「誰ともわからないけど逢えると約束した人」のためにここに手紙を出しに来たと友人達に話していた。
言ってる本人にも、聞いてる友人にもイマイチ理解できない話だが、「約束した」ということだけは憶えているとのこと。
再び風のように走り去っていった彼女を遠目に見送り、誠は文に別れを告げた。もうここに来る事はない、と。
懐かしい声を聞いた。懐かしい姿を見た……約束は果たされたのだ。あとは違う人生、違う時間だ。
(芹那が言っていた、いつか文は想い人と再会できるというのはこれではないかと思われる。
しかしそれはまだ遠い未来であるために、その時まで文が希望を失わないようにこの光景を見せるのが芹那の本当の計画。
他の2人のエンドとは矛盾するが、芹那にとっては最初からこの結末はわかっていたのだろう。)

ここでの出来事も、すべて過去の思い出の中に永遠に残るものになる。
駅で東京への電車に乗り込む誠であったが、またしても雰囲気をぶち壊すかのように、
いきなり飛び込み乗車してきた少女に正面から激突して押し倒された。
ぶつかった相手を見た誠は思わず息を呑んだ。
息を呑んだのは平謝りしていた相手も同様のようだった。恐る恐る名前を尋ねてきた彼女に誠が名乗ると…
「わ、私は……雪華です。雪華って言います!
 ……や、約束どおり……待っていてくれたんだね?私のこと、待ってて……やっと、やっと逢えた……」
「ああ、待ってた。雪華のことずっと……きっと帰ってきてくれるって信じてた……」
「うん、うん……ただいま。ただいま、誠くん……」

 想いは必ず届く。どんなに離れていようとも、どれほど時間がかかっても、北風はきっと運んでくれる。大切な想いを……
そしてまた物語は続く。人の数だけ、物語はあるのだから……

完(エンドロールが出るのがこれだけなので、おそらく真のED扱い。)

155 名前:North Wind[] 投稿日:2010/01/16(土) 20:09:49 ID:uHUhepIN0
以上で北風終了。短めにまとめたかったけど思いの外長くなってしまいました。すいません。
ちなみに12月16日〜28日を何回も繰り返しますが、時間ループ話ではありません。
(というか最終編の雪華√は真エンドだけど前章でこのエピローグやっちゃってもいいんじゃないかと思うわけですが。)
個人的には登場人物ほぼ全員が「全部自分が悪いんです、ごめんなさい」と
他のみんなに頭を下げて回るゲームだったなあ、というのが記憶に残りました。

157 名前:名無しさん@初回限定[sage] 投稿日:2010/01/16(土) 21:52:13 ID:uhMnHU060
North Windnの人乙っす。
ちなみに移植されたPS2版は、
新キャラとルートが追加されてる。

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