11 : flutter of birds2016/01/03(日) 23:30:26.23 ID:d2exASLA0
シルキーズより発売された「flutter of birds 〜鳥達の羽ばたき〜」のあらすじ。
ヒロインが多いんで結構長め。


■共通パート
主人公・松井裕作は東京の医大に通っていた。
夏休みを利用して、叔父・森野大熊の運営する「森の診療所」を手伝わないかと誘われ、
住み込みで働くことになった。
診療所は山間の村にあり、陽気な村人たちでいつも賑わっていた。


■大気編
大気(いぶき)は大熊の娘であり、つまり裕作の従妹にあたる。
8年ほど前、裕作と大気は都会の同じ街に住んでいて、兄妹のように仲良く遊んでいた。
大気の母・気美恵は遺伝性の難病を患っており、この頃には既に死の床に在った。
大気は密かに罪悪感に囚われていた――献身的に働いていた母を、「頑張ってね」と頻繁に励ましていたから、
母は体調を崩してしまったのではないかと。
やがて気美恵は亡くなってしまう。裕作は大気を元気づけようとして、オトナは泣いちゃいけないんだと諭した。
その後、大気は父とともに田舎に引っ越し、裕作と離れてしまう。
裕作は大気との思い出の多くを忘れてしまったのだが、一方で大気は裕作の言葉をずっと心に留め、
常に明るく元気に振る舞っていた。少々無理していたようではあるが。

12 : flutter of birds2016/01/03(日) 23:31:12.98 ID:d2exASLA0
話を現代に戻そう。この夏、大気は診療所の雑用を主に引き受けていた。
再会したふたりは、ある日の夕方、キスしてしまう。
しかし裕作は、可愛がってきた従妹を女性として見ることに抵抗があったので、恋愛関係にまで踏み込めずにいた。
(→死別エンドの分岐)

裕作の任期も終わりが近づいていた。最後の日の夕方、大気は部活動で足を挫いてしまう。
彼は彼女を世話するためという名目で、もう数日だけ村に残ることにした。やがてふたりは結ばれる。
彼は東京に戻りたくないと考え始めていた。医者にならずとも、大気と結婚して村で暮らしていけばよいのだから。

裕作が村で過ごす最後の日、大気は病に倒れてしまう。
彼女は母の遺伝病を受け継いでいたのだが、彼を心配させまいと隠し通してきたのだ。
ようやく彼は8年前の会話を思い出し、かつて彼女を無神経に励ましてしまったことを反省した。
彼は医者になって彼女を支えたい、もう独りで強がらせない、と固く誓った。

エピローグ。大気はその後回復し、診療所の看護師となった。裕作は医師として森の診療所に就職し、大気と再会した。


※死別エンド
ある日裕作は大気のカルテを発見し、彼女が重篤な状態にあることを知る。余命は幾ばくもないのだという。
ふたりは最期にデートをして、廃校舎で結婚式のまねごとをした。そして彼の腕の中で、彼女は息を引き取った。

エピローグ。裕作は医大を卒業し、森の診療所に戻った。大熊の下で立派な医者になろうと誓うのであった。

13 : flutter of birds2016/01/03(日) 23:32:00.25 ID:d2exASLA0
■美雨編
虹掛美雨(みあま)は子供のころ、原発事故で被曝し、肉体が成長しなくなってしまった。この時、両親は死亡している。
彼女は筑波の病院に入ったものの、治療方針に嫌気が差して病室を抜け出し、祖父の住むこの村にやって来た。
森の診療所から入院を再三勧められていたものの、頑なに拒みつづけ、掘っ立て小屋で独り暮らしていた。
皆と触れ合えば、成長しない自分の肉体を意識させられてしまうのだから。

裕作は美雨を説き伏せて、何とか入院させたいと考えていた。
しかし患者本位を志向する診療所の方針に従い、美雨と根気よく付き合いながら、信用を勝ち取ることにした。
美雨は気難しい少女ではあったが、次第に裕作に心を開いていき、やがて入院に同意した。(→死別エンドの分岐)

裕作の東京に帰る日が迫っていた。美雨は別れを惜しんでいた。
彼女は成長しない肉体を有しているがゆえに、周囲の人間に置いて行かれてしまうと、疎外感を覚えていたのだ。
「自分の時間は止まっている」と寂しがる彼女に、彼は「ならば自分の時間も止めよう」と応じた。

エピローグ。裕作は東京に戻って医大を卒業し、森の診療所に戻った。そして美雨と再会できた。


※死別エンド
美雨は入院したものの、大気に遠慮するあまり、病室から飛び出してしまう。
(かつて美雨は一時期、裕作と同じ学校に通っていたのだが、クラスでイジメを受けていたところを、
彼に助けてもらったことがあった。彼にも大気にも迷惑ばかりかけている、と気に病んでいたのである。)

裕作は美雨を探し回った末に、小屋でようやく発見した。行為の後、美雨の容態が急変した。
診療所に担ぎ込まれた彼女は、小屋に置き忘れた携帯電話を取りに行ってほしいと彼に頼み込んだ。
彼は小屋で電話を見つけ、診療所に戻ろうとしたものの、死に際には間に合わなかった。
彼は電話にボイスメッセージが吹き込まれていることに気づいた。
美雨は遺言を残したのだ――立派な医者になってほしい、大気と上手くやっていってほしい、と。

エピローグ。裕作は医大を卒業したのだが、どうしても美雨の死を乗り越えられずにいた。
その後彼は診療所に就職した。久しぶりに村に戻った彼は、自分を励ましてくれる彼女の幻影を、木の上で見た気がした。

14 : flutter of birds2016/01/03(日) 23:32:31.57 ID:d2exASLA0
■空編
水川空(そら)は東京の女子大生。この夏、親戚を頼って村で静養していた。
彼女は社交ダンスに打ち込んでいて、いつかイギリスで踊ることを夢見ていたのだが、
ダンス中に怪我をしてしまったのをキッカケに、恐くて踊れなくなっていた。

空は裕作と出会い、意気投合する。以降ふたりは度々会話を交わすようになり、共にダンスの練習をし始めた。
彼女は独りで悩みを抱え込む癖があったし、恋愛に臆病なフシもあったのだが、次第に彼の誠実さに惹かれていく。

空はかねてから身体に痛みを覚えていた。診療所で検査を受けたところ、腰に腫瘍が見つかった。
良性とはいえ放置しておくべきではない。しかし手術を受けるとなれば、次のダンス大会には参加できなくなる。
悔しがる彼女だったが、彼の説得を聞き入れ、手術を受けた。エピローグでは、数年後に大会に出場するふたりが描かれる。


■白風編
南田白風(しろっぷ)は心臓が弱く、満足に学校にも通えずにいた。一時的な視覚障害に陥ることもあった。
(医療スタッフは視覚障害が心臓病に因るものと考えていたが、実は心因性である。)

白風はとりわけ、近くの丘から村一面を展望するのが大好きだった。
ある夜、彼女は目が見えるうちに丘からの風景を堪能しておきたいと考え、診療所をコッソリ抜け出した。
裕作はようやく彼女を見つけ出し、強く叱った。彼女は自分の病状を彼に知らせ、許しを乞うた。
彼はこの時初めて彼女の視覚障害を知り、今後は彼女を恋人として護っていきたいと誓った。

しかし白風の視覚障害は進行する一方だった。彼女は父の勧めで急遽アメリカの病院に移ることになった。
裕作はある朝彼女の転院を知らされ、納得しながらも、涙するのであった。

帰京の日。駅では何と白風が独りで、しかも全く目が見えない様子で佇んでいた。
彼は当初、彼女を無視するつもりでいた(渡米した方が彼女の為になると考えた)が、
身動きできずにいる彼女を見捨てられず、通りすがりを装って診療所まで送り届けることにした。
しかし声でバレてしまうに決まっている。ふたりは他人同士という名目で、本音を語り合い、日本で交際を続行することにした。
エピローグによると、白風は診療所に入りながら、学校に通い始めたらしい。時々裕作がやって来るようだ。

15 : flutter of birds2016/01/03(日) 23:33:03.05 ID:d2exASLA0
■つばさ編
美浜つばさは悪性腫瘍の治療のために入院していた。
医療スタッフは彼女に希望を持たせるために真実を伝えず、只の気管支の疾患であると嘘をついていた。
なお彼女の母は同じ病気で既に亡くなっている。

やがてつばさは裕作と親しくなり、好意を抱いたものの、
現在の良好な関係を壊してしまうのを恐れて、打ち明けられずにいた。
彼はそれに気づいていたのだが、素知らぬ顔をしていた。
彼もまた、彼女に惹かれていたとはいえ、気持ちを整理できなかったのだ。
医療スタッフとしての好意なのか、兄役としての好意なのか、男性としての好意なのか、と。

つばさはある日の夕方、裕作を丘に呼び出して告白した。
既に彼は恋愛感情を明確に意識していたのだが、返事をしようとしたところで制止される。
彼女は現状を維持したいと望んでいたのである。返事は先送りになった。
数日たってから、彼は男女として交際したいと彼女に返答した。

直後、つばさは昏倒してしまう。裕作は彼女の病気について全て説明してもらい、愕然とするも、
彼女の前では平静を装って看病を続けていた。
しかし病状は亡母と全く同じもの。問い詰められた彼は、真実を包み隠さず彼女に伝えた。
彼女は辛い治療を耐え忍ぶか、治療を打ち切るかの二者択一を迫られ、彼に答えを求めた。(→死別エンドの分岐)

裕作は治療の続行を望んだ。つばさは懸命に耐えたのだが、あまりの辛さに弱音を吐いてしまう。
もちろん彼は彼女に生き抜いてほしいかったのだが、無理強いまではしなかった。
いずれの選択を取ったとしても、彼の愛情は変わらない――彼女は再び生に希望を見出した。
エピローグでは、つばさは死の淵から生還し、看護婦となって診療所で勤め始めている。裕作は医師として診療所に就職した。


※死別エンド
裕作は治療の中止を望んだ。以降、緩和ケアに切り替えられる。
最後の日、ふたりは思い出の丘に登った。彼女は彼の隣に座り、感謝の意を伝えながら亡くなった。
エピローグによると、彼は医者になって診療所に就職したようだ。未だに彼女を愛しているのだという。

16 : flutter of birds2016/01/03(日) 23:36:41.98 ID:d2exASLA0
■メー編
理科等メーという少女が、村のはずれの風車小屋に父親とふたりで住んでいた。
小屋は村人も寄り付かないような高地にあったので、彼女は世俗からは完全に隔離されて育った。
彼女の父は優秀な学者で、この地で気象学の研究に没頭していたが、志半ばで亡くなってしまう。
その後、彼女はずっと孤独に過ごしてきた。
彼女は村の気象を幾分安定させる能力を有していた(亡父の研究成果)。笛を吹くことによって、それは可能なのだという。

さて裕作は森で笛を吹くメーに出会った。以降、ふたりは親密な関係になる。
彼は医療人としての重圧から逃れるように、風車小屋に住まう彼女の下を訪ね続け、彼女の人となりを知り、
彼女と寄り添い続けたいと熱望するようになる。

裕作の帰京は間近に迫っていた。彼はメーをデートに誘った。彼女はとっておきの「地球の元気」を見せてくれるという。
デートの日、彼女は(亡父の研究成果により)局地的な突風を引き起こし、彼と共に宙を舞った。
もちろん彼女なりに考え抜いた「デート」ではあったのだ。
しかし彼は喜ぶどころか、彼女がまるで異能を操る超常的存在のように思えて、腰を抜かして逃げ出してしまう。
(他にも、凡人の彼からしたら魔法のようにしか思えない行為を、彼女はよく見せていた。)

翌日は豪雨が村に降り注ぎ、各地で土砂崩れが発生していた。
裕作は我に返り、メーに謝るために風車小屋に急いだ。彼女は笛を吹いて豪雨を鎮めようとしていた。
やがて仕事を終えて戻ってきた彼女に、彼は昨日の非礼を詫び、そして好意を伝えた。

その夜、メーと同衾した裕作は「夢」の中で亡父と語り合い(*註)、メーの出生について説明を受けた。
裕作の住む下界においては、彼女は何処にも居場所を確保できないし、
しかも彼女は村の天候を守り続けなければならないのだから、どうしても小屋から離れられないのだ。
次の日、裕作はメーを東京に連れて行きたいと申し出たが、拒絶されてしまい、落胆しながら村を去った。

エピローグ。一年後、裕作は医大を中退して村に戻り、診療所で働き始めた。メーと生きていくためである。

(*註)本当に亡父の魂が裕作に語り掛けるようなオカルトなのか、それとも裕作の葛藤に因る只の妄想なのか、
「夢」の真相は明確にされていない。

17 : flutter of birds2016/01/03(日) 23:37:24.11 ID:d2exASLA0
■琴羽編
神楽琴羽(ことは)は資産家の令嬢である。
多忙な両親には中々構ってもらえなかったが、手の掛からない「いい子」として振る舞い続けた。
しかし内心では親の愛に飢えていたので、反動として摂食障害(過食と拒食の繰り返し)を患ってしまった。
森の診療所に入ったのだが、医療スタッフにはどうしても心を開けなかった。
治療によって今の人格が変化したなら、彼女は「いい子」の規範から外れてしまうからだ。
村人ともあまり付き合おうとしなかったのだが、唯一、久美(くみ)という村の少女にだけは、心を開いていた。

ある日、琴羽は裕作と偶然出会う。当初こそ和やかに会話をしていたのだが、
彼が診療所のスタッフであることを知った途端、態度を硬変させてしまった。
しかし久美が橋渡ししてくれたお陰もあって、ふたりは日を追うごとに仲良くなっていき、やがて恋に落ちる。

摂食障害も改善し、問題は解決したかに思えた。しかし琴羽は次第に裕作の前で幼児退行するようになった。
元々琴羽は、両親から愛されなかった代償として、彼に愛されることを望み、心満たされていたのだから、
まるで子供のように彼に甘えたのだ。さらに久美をライバル視し始め、とうとう殴り付けてしまった。

琴羽は自己嫌悪に陥り、夜になってまた過食を始めた。裕作は彼女を制止し、抱擁しようとしたが、拒絶されてしまった。
彼女は泣きながら、今まで「偽りの自分」を彼の前で演じ続けてきたのだと訴えた。
実に、彼女を一番傷つけてきたのは、他ならぬ彼だったのだ。
彼は「仮に演技であったとしても『本当の琴羽』も確かに存在していた」と説得しようとしたが、聞き入れてもらえなかった。
彼女はその場を走り去った。

裕作は琴羽を探し回った末に、吊橋の上で彼女を見つけ、歩いて彼女の下へ歩こうとしたものの、
強風に煽られ転落しそうになる。彼女はついに彼に歩み寄り、抱き留めた。こうしてふたりは結ばれた。
(村の伝説が伏線として綺麗に回収されているのですが、割愛します。)

その後、琴羽は久美に謝って仲直りしたのち、退院した。
エピローグによると、琴羽は「いい子」から脱却したらしい。
裕作の大学の近くでアパートを借りて住み、彼と交際を続けているようだ。

18 : flutter of birds2016/01/03(日) 23:38:04.26 ID:d2exASLA0
■めぐみ編
朝比奈めぐみは診療所に勤める優秀な看護婦。最近縁談を持ち掛けられていた。
相手は青年医師で、結婚相手としては非の打ち所がなかったし、彼女自身も青年のイケメンっぷりに惹かれていた。
青年は結婚の条件として、看護婦を辞めることを要求していた。
彼女は看護業務の過酷さから逃げるかのように、交際を進めていた。彼女は疲弊していたのだ。
しかし彼女は看護婦の仕事を誇らしくも思っていたから、結婚に踏み切れずにいた。

一方、裕作はめぐみに密かに惚れ込んでいた。
ある日、裕作はめぐみと青年医師との会話を立ち聞きし、縁談の存在を知る。
翌日から裕作は彼女の前で挙動不審な態度を取ってしまい、揚句、立ち聞きしたことを彼女に見抜かれてしまう。
それからというもの、彼女は仕事の愚痴や青年医師の話をよく裕作に聞かせるようになった。
(まるで裕作を試すかのように。どうやら彼女もまた、裕作の誠実さに少し惹かれていたらしい。いわゆるキープか。)

縁談の返事を明日に控えた日の夕方、めぐみは裕作を試した。本当は自分に気があるのか、と暗に問うてみたのだ。
彼は本心を伝える代わりに、看護婦を辞めないでくださいと懇願した。
そして、逃避の言い訳として結婚するようでは相手の青年医師が可哀想であると、彼女を非難した。
彼女は図星を指され、泣きながら立ち去っていった。

翌日の夜、裕作は診察室で茫然としているめぐみを見つけた。
彼女は曖昧な感情を青年医師に見抜かれ、フラれてしまったのだ。
(その時、涙は出なかったらしい。要するに彼女にとって青年医師は、甘える対象に過ぎなかった。)
裕作は彼女を抱き留めた。こうしてふたりは結ばれた。

エピローグ。裕作は医師国家試験に合格し、めぐみと共に喜ぶ。彼女は看護婦を続けているらしい。


関連:flutter of birds II 〜天使たちの翼〜

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