エロゲのストーリーを教えてもらうスレまとめwiki Ver.2.0 - アメイジング・グレイス
138 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:38:00.42 ID:ie2VR+Cy0 [1/27]
主人公シュウは2018年11月28日、湖畔で倒れているところを聖アレイア学院の生徒である二人の少女に助けられる。
少女たちの名はサクヤとユネ、その名前を聞いたシュウは驚く。
彼女たちの名前は夢の中で頭に浮かんできた情報「あなたはそこでサクヤという少女と出会うかもしれませんが初対面です」と一致していたからだ。
不思議なことはそれだけではなかった。
自分の名前すら自信が持てない記憶喪失、直前まで持っていたはずのリュックの喪失。
現代人ならば誰もが知っているスマートフォンを知らない少女たち、そして携帯電話を知っていたはずの自分ですらそれを上手く説明できない異常。
同時にサクヤたちも誰もが知っているはずの湖畔「オンネトー」を知らないシュウに驚き、彼を「外」からの来訪者ではないかと考える。
二人に連れられシュウは時計台の上から「街」の全景を見る。
そこには予想を超えた光景が待っていた。眼下に広がるのは現代では観光地でもなければありえない中世ヨーロッパを再現したような馬車が往来する町並み。
そして街の周囲はオーロラと呼ばれる巨大な水晶の壁に覆われていた。
サクヤたちの話ではオーロラの外は既に滅んでしまっておりそれについて知ろうとすることは禁忌だという。
話を聞いたシュウは記憶喪失ではあるがここが自分がかつていた世界とは決定的に違う場所であると確信する。
聞けば距離や高さの単位までメートルではなく独自のものを使っているようだ。
「日本語」は通じるがメリーゴーランドがジョストラと呼ばれるなど固有名詞にも違いがある。
その一方でダヴィデ像などの芸術品だけは自分の知っている世界のものと変わらない。
不可思議な異世界に迷い込んだシュウはこの先どうすればいいのかと途方にくれるが
聖アレイア学院の教師であるシスターリリィは事情を聞くとあっさりとシュウを学院の転入生として迎え入れる。
そしてそれは夢の中で頭に浮かんだ情報とまったく同じ展開だった。

139 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:38:53.36 ID:ie2VR+Cy0 [2/27]
こうして聖アレイア学院の生徒となったシュウは自動車が存在しないにも関わらず
生体認証によるロック機能が標準搭載されている学生寮に驚きながらも学院の一員として生活をスタートさせる。
その日の終わり、時計台でユネと会話をしたシュウは彼女がバベルの塔の逸話やフランス、オランダを知っていることに驚く。
なぜ異世界の人間がオランダやフランスを知っているのか。その答えは衝撃的なものだった。
オーロラに囲まれたこの街はかつて「日本」と呼ばれた国であり、ここ以外の全ては101年前のアポカリプスによって消滅したのだと。
もしもその話が事実であればここは未来でありシュウがかつて生きた世界は既に存在しないことになる。
普通であれば絶望し自暴自棄になっても不思議ではないが、なぜかシュウの心にそうした感情は浮かばず
湧き上がってくるのは出会ったばかりのはずのこの街とそこで生きる人々をもっと理解したいという強い衝動だった。
聖アレイア学院の授業はシュウの知る世界とは全く違うものだった。
授業は1時間目から4時間目までと短く午前中だけで終わり、授業内容は全て芸術に関係するものなのだ。
そんな環境なので生徒の作品は全てが超一流。
元いた世界でのシュウの美術の成績は平均程度だったがこの街では虫けら同然。
さらに勉強科目は全てが美術なので他の得意科目で挽回することもできない。
それは全てが芸術中心の街で生きていく上で致命的すぎる問題だった。
何とか自分にも出来ることはないかと友人たちの専攻科目を見学するが
自分と同年代の若者にも関わらず明確な目標を持ち、生涯をかけて極めるべき道を持っている少女たちへの劣等感は増すばかりだった。
そんなシュウの悩みを救ってくれたのは男子寮の先輩であるギドウだった。
ギドウは芸術に本格的に打ち込んでこなかったシュウと街の人間の間にある差は簡単に埋まるものではないが
外から来たお前だからこそ出来ることもあるはずだと、昔自分が使っていたカメラを手渡す。
カメラもまた撮影技術が要求される分野だが、絵画や彫刻に比べれば技術の習熟度による差は生まれない。
これなら自分の弱点を補い、知識や視点の違いといった武器を生かして自分にしか作れない作品を生み出せるかもしれない。
シュウはギドウに感謝してカメラを受け取った。

140 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:39:26.21 ID:ie2VR+Cy0 [3/27]
翌日シュウはシスターリリィの補習を受けるために美術回廊へと案内される。
美術回廊は聖アレイア学院の地下全域に広がる巨大な展示施設で、膨大な美術作品が保管されていた。
何か興味のある作品はあるかと聞かれた瞬間、頭痛と共に一つの作品名が浮かぶ。
「クローザの失楽園」作者も構図も知らないのにシュウは気がつくとそう口にしていた。
その言葉にシスターリリィの顔が曇る。
そんな作品はここにはないという。次にピカソの名前を上げるが友人たちはピカソの存在自体を知らなかった。
やはりここは異世界なのか、しかしピカソはないがゴッホの作品はあるらしい。
首を傾げながらもシュウは補習を受け絵画の世界には象徴する事物によって描かれている人物を特定できるアトリビュートという約束事があることを学ぶ。
その日の夜のこと、映像製作専攻の少女キリエが部屋を尋ねてきてシュウが黒サンタでないことを確認に来る。
異世界めいたこの街にもクリスマスにサンタが来るという伝承は存在していた。
サンタはオーロラによって外界と隔絶されたこの街に出入りできる唯一の存在なのだという。
そしてこの世界ではサンタと一緒に黒サンタもまたやってくると信じられていた。
サンタは良い子にプレゼントを配り、黒サンタは悪い子を連れ去る。
よくある御伽噺だが、キリエはサンタは信じていないが黒サンタはいるかもしれないと告げる。
キリエと天才的な画家であるコトハの2人はかつてこの街から消えてしまった学院生徒リンカを知っていた。
リンカは悪い人間ではなかったが、この街のタブーであるオーロラの外に強い興味を抱いていたらしい。
もしもリンカの失踪の原因が外の知識を求めたからであれば、外から来た自分は黒サンタにとってどんな存在になるのだろうか。
いずれにせよ自分はまだこの街に関する情報をもっと知る必要がある。

141 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:40:01.46 ID:ie2VR+Cy0 [4/27]
そう考えたシュウはシスターリリィにもっとも気になっていた質問をする。
101年前に起きたとされるアポカリプスとは一体何なのか。
そして世界が滅んだのになぜこの街だけが存続しているのか。
この問いに1917年にパンドラの箱が開かれ神の怒りにより世界は滅亡したが
大いなる恵み、アメイジング・グレイスと呼ばれる奇跡が起きオーロラがこの街だけは守ったからだとシスターリリィは答える。
美術回廊に保管されている大量の美術品もアメイジンググレイスが人類の至宝である芸術を守った結果らしい。
ピカソが美術回廊になかったのは彼の作品がシュウの知る歴史において1917年以降に製作されたものだからだった。
この街に近代美術は存在しないのだ。
シスターリリィは丁寧にこの街に伝わる歴史を説明してくれたがシュウは納得しきれない違和感を感じる。
街で出会った人々はみな優秀で聡明だ。
そんな人たちの誰もが「世界は滅んだが奇跡により街だけは守られた」という伝説を疑う余地など一切ない常識として考えている。
まるでゲームの世界観設定のようだ。
12月2日の夜、シュウはユネに付き合ってクリスマスツリーの飾り付けに同行することになる。
この街には最初にクリスマスツリーに飾りをつけた人間の願いが叶うという伝説があるのだ。
ユネはこの街にアメイジング・グレイスが訪れますようにと願い
続けてシュウは自分の記憶が戻ることを願った。
その瞬間ツリーにつけた青と青のリンゴ飾りが光を放ち、何と本物のリンゴに変化してしまった。
クリスマスツリーは元々アダムとイヴのいたエデンの中央にあった木を模したものだという。
だから飾りにアダムとイヴが楽園を追放される理由となった知恵の実、リンゴが使われているのだ。
シュウたちは突然現れたリンゴに少し不気味なものを感じながらも、本物か確かめるために食べてみることにした。
翌日気がつくと2人は寮のベットで目覚めていた。
リンゴを食べるところまでは記憶に残っているがそれ以降どうやって帰ってきたか分からない。
不思議に思うシュウとユネだが身体に異変が起きなかったこともあり誰かに相談することはしなかった。

142 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:40:45.14 ID:ie2VR+Cy0 [5/27]
12月第二週、シュウは校舎でフクロウの絵を見つける。
誰かの落とし物だと思ったシュウは女子寮長であるコノハに相談するがコノハはすぐに絵を隠すように指示し
誰にも聞かれず話をするために、かつてシュウがユネたちに保護されたオンネトーへと案内される。
オンネトーはオーロラに隣接される街の外縁部。
もしかすると自分はあの壁を超え、湖を渡りこの街に来たのかもしれないとシュウは考えるが
コノハはその推理を否定しながらフクロウの絵を湖に浸す、するとフクロウの絵はあっさりと溶けてしまった。
オンネトーは強い酸性湖であり、ごく一部の生物しか生存できない環境なのだ。
次にコノハはフクロウの絵の正体を告げる。
あれはブロッターと呼ばれる紙に薬物を染み込ませた一種のドラッグらしい。
平和そのものに見える街で薬物が流通していることに驚くシュウだがコノハの回答は極めて納得のいくものだった。
ドラッグは使用者に多幸感を与えるがそれは副産物でしかない。
使用者が知恵の女神ミネルヴァの象徴であるフクロウの絵の記されたドラッグ「ミューズ」に求めるものはインスピレーション。
高度な芸術作品を創り出すのに必要不可欠なアイディアを人為的に得るためだった。
翌日街一番のラジオ番組「オーロラナイト」の話をしながら登校していると人だかりが。
シスターリリィに話を聞くとこの街では1年前のクリスマスから
不定期に街に壁画を記した連続落書き事件が発生しているらしい。
今回は聖アレイア学院がターゲットになったようだ。

143 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:41:13.98 ID:ie2VR+Cy0 [6/27]
12月第三週、食堂の話題は学院の話となる。
街の教育機関はチック→チベッタ→アレイアと進学する形となっておりチックとチベッタは複数あるが
最高学府であるアレイアは1つしか存在しないらしい。
教師の数は約20名で美術回廊の管理員も兼ねている。
最高責任者は学長だが元の世界と違いアレイアの学長はみな面談の時に1度会っただけらしい。
面談では三枚の絵のうちどれが一番美しいかを聞かれる。
右は写実的に描かれた死体、真ん中は綺麗な風景画、そして左は元の世界で1917年以後に誕生したキュビズムの絵だった。
奇妙な違和感を感じるシュウだがその違和感は学長の名前を聞いた衝撃で吹き飛ぶ。
ワタラセ。その名前を聞いた瞬間に湧き上がる強烈な負の感情。
そして意識は暗転した。
12月第四週、クリスマスに開催される文化祭を仲間たちと楽しむシュウ。
街に来て1ヶ月足らずだが個性的な友人たちと過ごす日々は素晴らしいものだった。
こんな日がずっと続けばいい。
そんな思いは午後10時を知らせる7回目のラッパと共にあっさりと打ち砕かれる。
街中のあらゆる場所から上がる火の手。空から降る雪に似た何か。
その勢いは留まることを知らず被害を拡大ざせていく。
それもそのはず、この街には元の世界では当然のものとして存在したある概念が欠落していたのだ。
それは「災害」、奇妙なことにこの世界では誰も災害が起こる危険性を想定していなかったのだ。
当然ながら消防組織も存在しない。そして街の周囲はオーロラによって封鎖されている。
絶望的な状況、あるいはこれこそが101年前に起きたアポカリプスなのか。
そして「この世界」に終わりが来た。
シュウが最後に目にしたのはアメイジンググレイスが起きることを祈るユネから放たれる強い光だった。

144 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:41:58.78 ID:ie2VR+Cy0 [7/27]
気がつくとシュウとユネは美術回廊を模した異空間にいた。
状況の変化に戸惑うシュウにユネはこれを食べれば分かると青いリンゴを差し出す。
リンゴを食べるとユネの言った通り頭に知識が刻まれ
ここで先程までいた世界とは全く別の次元に存在する場所であることが何となく分かるようになる。
しかし一体なぜこんな事が起きたのか。
するとユネはそのことは分からないんだと驚く。
どうやらユネの食べた赤リンゴと青リンゴでは手に入る情報が違うようだ。
ユネの説明によると二人がこの異空間に飛ばされたのはタイムリープを行うことで過去へと戻り
クリスマスに起きた破滅的な災害を防ぐためだという。
まるで以前に授業で見た映画「時を巡るアンナ」のような展開だ。
だがそんな都合のいい出来事が本当に起きるものだろうか?
半信半疑のシュウだが物は試しとユネの力でタイムリープの開始地点、二人でリンゴを食べた12月2日の夜に飛ばしてもらうことになる。
ユネがタイムリープの力を貯めている最中、シュウは不思議なビジョンを見る。
場所は美術回廊で仲間たちと共にいる自分、だがそこでの自分は「シュウ先生」と呼ばれていた。
疑問を抱くシュウだがタイムリープの準備が終わったこともあり、ただの幻覚と忘れることにした。

145 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:42:32.01 ID:ie2VR+Cy0 [8/27]
2周目の世界。
タイムリープに成功したことに驚き喜ぶシュウだがもう一人のタイムリーパーであるはずのユネは異空間での出来事を覚えていなかった。
どうやら赤リンゴを食べたユネは過去に飛ばす力を持っているが、実際に戻れるのは青リンゴを食べたシュウだけのようだ。
予想外の展開だが一人であっても記憶を継承して過去に戻れたのは僥倖だと考えを改めクリスマスの悲劇を回避するために動き出す。
シュウは様々なイベントを通じて親しくなっていた仲間たちとの人間関係がリセットされていることに寂しさを覚えながらも
街に防災組織はないが貴重な芸術作品を収蔵している美術回廊は防災対策が施されていることなどを学んでいくが
この周回では下手に前回と行動を変えて1週目と人間関係が変わることを恐れてしまい
クリスマス直前に火事の注意を呼びかける程度で終わってしまう。
そしてクリスマス当日、やはりというべきか7回目のラッパと共に火災が発生する。
そして当日の行動を変えたことで前回はいなかったキリエの口から
火災には映画の爆発シーンなどに使われる石鹸爆弾が使われていることが判明する。
やはりクリスマスの悲劇は事故や災害ではなく人為的に起こされたものだったのだ。
シュウは仲間たちを先導して安全地帯である美術回廊を目指すが既に回廊は何者かによって封鎖されていた。
迫りくる火の手、シュウは自らの失敗を悔やみもう一度チャンスをくれと願う。
そして再びユネの祈りによって世界に光が満ちた。
目覚めるとそこは前回同様の異空間だった。
そこでシュウは再びユネと再会する。
予想通りユネはシュウを過去に飛ばして以来ずっとここでシュウの帰りを待っていたらしい。
シュウは悲劇を防げなかったことを詫びるが、ユネはダメだったならもう一度挑戦すればいいと慰める。
二人は互いに今日までの出来事を情報交換する。
ユネによると二人が食べたリンゴは生命のリンゴと知恵のリンゴで
タイムリープ後も記憶を継承できるのは知恵のリンゴを食べたシュウだけらしい。
そして異空間に戻るトリガーはクリスマスにクリスマスツリー周辺でリンゴを食べた両方あるいは片方が祈ること。
二人が納得できる結末に辿り着いた時はじめてシュウたちはクリスマスを超えることが出来るのだ。

146 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:42:59.81 ID:ie2VR+Cy0 [9/27]
3週目の世界、2周目と違い既にシュウはクリスマスの惨劇が人為的なものだと理解している。
だが人の起こす惨劇であれば人の手によって止められるはずだ。
シュウはまずクリスマス当日に使われている石鹸爆弾を探すことを考える。
過去2回の経験を生かした探索によりシュウは怪し気な物体を発見。
さっそく映画製作でよく石鹸爆弾を作っているキリエに相談すると確かにこれは石鹸爆弾だという。
ただし期待できる爆発の規模は小さく起爆装置がついていないのも不自然らしい。
製作者の心当たりもなく、キリエが知る限り石鹸爆弾を作れるのはキリエとキリエに作り方を教えてくれたシスターリリィだけだという。
謎は深まるばかりだが悩むのは爆弾を全て回収してからでいい。
シュウは仲間たちの手を借りて各地に設置された18個の爆弾を回収した。
だがクリスマス当日、以前と爆破の順番こそ変化したものの火災はこれまでと同じように街を飲み込んだ。
さらにタイムリープの直前、シュウはキリエから衝撃的な事実を聞く。
爆弾の処分を任されたキリエは火薬を再利用しようと分解を試みたが内部は空だったという。
そう回収された18個の爆弾は極めて精巧に作られたダミーだったのだ。
それが意味することも分からないまま再び時は巻き戻る。

4週目の世界。
シュウを過去に送ってくれるユネの話によるとタイムリープは無制限に出来るものではないらしい。
本人の申告によるとあと7回が限度、今度こそ成功させなければとシュウは決意をあらためる。
今回は爆弾探しと平行して過去と意図的に行動を変化させることが目標だ。
ユネの好きなタイムリープ映画「時を巡るアンナ」も些細な日常の変化がハッピーエンドに繋がっていた。
だが本来の自分と異なる行動を取るのは不自然で意外に難しいことだった。
さらに今回のループは3週目で発見した場所にダミー爆弾が置かれていなかった。
シュウは行動の変化が爆弾の設置を防いだのかと淡い希望を抱くが結末は結局変わらなかった。

147 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:43:37.95 ID:ie2VR+Cy0 [10/27]
再び異空間に戻ってしまったシュウ。
そこでユネは気になる言葉を口にする。
ユネによるとタイムリープは弓を引いて矢を飛ばす感覚に近いらしいのだが
シュウを飛ばす際の重さは赤リンゴが伝えてくる本来の数値よりもかなり重いのだという。
過去3回のタイムリープでシュウが行動を変化させることで多少なりとも未来が変化することは確認できている。
絶対に変わらないのはクリスマスに街が炎に包まれるという結末だけ。
このことからユネはシュウ以外にもタイムリープしている人間がいて
その人物がシュウの変えた未来を更に修正して惨劇を起こしているのではないかと推理した。
これにより二人は方針の転換を決定する。
最初に探すべきは爆弾ではなく人、誰がタイムリープを繰り返してまで街を放火するのか突き止めることが真相解明に繋がるはずだ。

ここで選択画面が出現し誰を黒幕と仮定しマークしていくか決めることになる。

シスターリリィルート

爆弾を製作することが可能で美術回廊の管理者でもあるシスターリリィをマークしたシュウ。
だが交流を重ねても堅物に見えて意外に自堕落な一面があることくらいしか分からなかった。
そしてクリスマスがやってくる。
シュウは後夜祭をシスターリリィと回る約束をしていたが彼女が現れないまま惨劇は始まってしまう。
そんな時、誰かが落としたラジオが目に止まる。
ラジオからは人気番組のオーロラナイトが「いつもと変わらず」に放送されていた。
正体不明の人気DJリラは「安全な場所」から燃え盛る街の情景を眺めながら
みんなが罪を犯した訳ではないけどやっぱりこの街はそういう運命なんだよねとつぶやく。

148 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:44:10.95 ID:ie2VR+Cy0 [11/27]
店長ルート

聖アレイア学院の卒業生で商店街の事情通とも知られている男性、店長をマークしたシュウ。
失踪したリンカとの間で秘密の約束をしたことや過去に大きな怪我をして数日間の記憶を失った経験があることを聞くが
それ以上の収穫はなくクリスマスの惨劇は繰り返される。

ギドウルート

男子学生寮の寮長で学院屈指の芸術家として名高いギドウをマークしたシュウ。
負けず嫌いでチェスが趣味であることや、失踪したリンカの幼馴染であること
過去に何度か自分の作品をその完成度の高さに嫉妬した同級生に破壊されたことなどを知る。
12月23日、文化祭に展示予定だった「嘆き」という作品をギドウ自らが破壊しそのまま失踪する事件が発生する。
過去のループでは起きなかった展開にシュウは戸惑うがそれが意味することが分からぬままクリスマスとなり世界は終わりを迎えた。

ヨウジルート

同級生のヨウジをマークしたシュウ。
とはいえこれまでのループでの出来事を考えるとヨウジが黒幕である可能性は限りなく低い。
そこでシュウはヨウジのマークと並行して
クリスマスに世界が滅亡することを大勢の人に伝える作戦を決行する。
敬虔な街の人たちからは白い目で見られるがそんなシュウの言葉をヨウジはイタズラではないと信じてくれた。
ヨウジは真正面から危険性を訴えるのではなく、都市伝説のような噂話として警告した方が信じる人は増えると提案。
この作戦が成功し今回は仲間たちが後夜祭当日に各地の警備をしてくれることになった。
しかし微妙な時系列の変化こそあったものの惨劇は今回も繰り返された。

ここまでは順番自由で選択可能、本筋であるヒロインルートは順番固定。

149 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:45:09.56 ID:ie2VR+Cy0 [12/27]
キリエルート

爆発シーン満載の映画製作を愛する少女キリエをマークすることにしたシュウ。
爆弾を作れる数少ない一人である以上、彼女は有力な容疑者だ。
すると今回はいつものタイムリープとは違い、この街で来た直後のように頭に不思議なメッセージが浮かぶ。
「あなたはこれから大切な人と生き延びる道を探します。そう、決して定められた運命に抗うことなく」
シュウはキリエについてよく知るためにいつもは断っていた彼女の映画の主演を務めることにした。
これにより文化祭で発表される演目は間に合わせ企画の戦隊ものではなく
本来の予定であったタイムリープ映画「アメイジング・グレイス」へと変更される。
映画の内容は主人公のシュウが何度も失敗を繰り返しながらも時間を巻き戻し、最後にヒロインと結ばれる「時を巡るアンナ」をモーチフにした作品。
映画撮影は順調に進んでいたが女優として天才的な能力を持つキリエに愛の告白の演技指導を受けたことでシュウは彼女に惚れてしまう。
個人的に好意を抱いたことでシュウは過去のループ以上の熱意を持ってキリエのことを知っていく。
キリエは時々姿を消すことがあったが、それは街を封鎖しているオーロラを超えて外の世界を見るための脱出トンネルを掘るためだった。
トンネルの存在はクリスマスの惨劇で最大の懸念事項であった安全地帯の確保に繋がるかもしれない。
そう考えたシュウはキリエの脱出計画の共犯者となった。
だがトンネル計画は予想外の展開を迎える。地下を掘り進めるうちに人工的な下水道施設を発見したのだ。
下水道はオーロラ側にも続いていたが準備もなしにオローラを超えるのは危険と判断し街の方角へと進む。
そこで二人は巨大なコントロールルームを見つける。

150 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:45:36.36 ID:ie2VR+Cy0 [13/27]
さらに後日、今度はオーロラ側も探索し地上への脱出口を発見した。
実際に脱出できるか扉を開いてみようとするシュウだがその瞬間ここがタイムリープの分岐点だと直感が訴えてくる。
もしもこの先へ進めば二度とタイムリープすることはできない。それでも進むべきなのか。
運命を受け入れた場合、シュウたちはクリスマスの惨劇で脱出トンネルへと人々を誘導し外の世界を目指す。
(タイトル画面に戻り実際に脱出に成功したかは明らかにならない)
運命を受け入れなかった場合、より確実な方法で全ての人を救う道を探すため再びタイムリープを行う。

サクヤルート

洋服のデザイナーを目指す後輩サクヤをマークすることにしたシュウ。
いつもは調査のため文化祭の展示を必要最低限の写真撮影で済ませていたが
今回はサクヤの希望もあり人形を製作することになる。
その人形の形がどことなくコロボックルに似ていると気がついた時、頭の中でピンと来るものがあった。
かつて日本と呼ばれていたというこの街は日本語で会話が成立している一方で不可思議な名称のものが多い。
そして安定した積雪、ここは北海道でオンネトーなどの地名はアイヌの言葉ではないか?
連想によって記憶を取り戻すコツを掴んだシュウは次に自分が最初に発見されたオンネトーで現場検証を行い
自分が街と外界を繋ぐ唯一の道として噂になっているオーロラの逆鱗を破り
凍結した湖の上を渡って侵入したのではないかと考える。
もしもこの推理が正しければオンネトー周辺に脱出できるルートがあるはずだ。
その推理は正しくオンネトーを渡った先にはハリボテで隠された通路が存在した。
二人は店長の協力してもらい湖を渡る船を製作しクリスマスに備えた。
そして爆破が始まった。自分が一度侵入に成功している以上オーロラの先の安全は確保されていると考えていい。
人々の命を救うという目標はこれで達成できるはずだ。
しかし救えたのはあくまで人だけ、仲間たちの故郷は今回も炎に包まれた。
シュウは悩んだ末に黒幕を突き止め街を守るため再びタイムリープを選択する。

151 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:46:10.22 ID:ie2VR+Cy0 [14/27]
コトハルート

ギドウと並んで学院で最高の芸術家として有名な先輩コトハをマークすることにしたシュウ。
今回のループでは最初からサクヤの行動が変化していることに違和感を感じるが
あくまで目標はコノハだと頭を切り替え彼女のデッサンモデルをしながら関係を深めていく。
その結果、シュウは過去のループでは得られなかった情報を手に入れる。
リンカが失踪したのは去年のクリスマスであること。
失踪直前にミューズと呼ばれるドラッグを使用していたこと。
ミューズには記憶喪失になる副作用が存在すること。
リンカがこの街の不自然さに気がつき、1917年以後に誕生した創作技法を編み出す天才だったことを知り
シュウは自分の記憶喪失もミューズの副作用によるものではないかと考えるようになる。
クリスマス直前、シュウはコノハに25日に訪れる世界の終わりについて話す。
普通に考えれば荒唐無稽な話だがコノハはそれを信じてくれる。
実は失踪前にリンカがクリスマスに世界の終わりが訪れる可能性を伝えていたというのだ。
この街で101年前に起きたアポカリプスを再現しようとしている人間がいる、破壊の美学に気をつけろと。
リンカはそれを秘密の小部屋で知ったらしい。

152 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:46:33.12 ID:ie2VR+Cy0 [15/27]
その秘密の小部屋とはキリエルートの際に見つけたコントロールルームではないか?
そう考えたシュウは侵入を試みるが前回と同じ方法では侵入できないようになっていた。
そう、敵もまたタイムリープを行っているのだ。
過去のループで成功した方法も次のループでは対策されてしまう。
そこで今回のシュウは黒幕の「破壊の美学」を利用するという過去にない作戦を実行する。
もし単純に街を焼き人を殺すだけならば、より効率的な方法がいくらでもある。
だが過去の事件は全てクリスマスの夜、7回目のラッパを合図にして起こされてきた。
ではもしもラッパが消えればどうなるのか?
シュウや仲間たちと協力して楽団のラッパを盗み出して隠すが、黒幕はあっさりとそれを取り戻し計画は失敗する。
しかし収穫もあった。黒幕はわざわざレコーダーとボイスチェンジャーを使いシュウにメッセージを残していたのだ。
黒幕は今までにない見事な着眼点だったとタイムリーパーであることを示唆する台詞でシュウを褒め
今回もアポカリプスは正しく訪れるが生き残りたければ地下に逃げろと告げる。
地上の楽園が滅びることは予言によって確定しているが地下はその限りではない。
もしも信じるのならば21時44分に開かれる開かずの扉を使うといい。
開かずの扉、美術回廊の開閉状況は過去に何度か確認しているが多くは爆発が起きる22時以降のことだった。
罠かもしれないが確かめみる価値はある、2人は仲間を連れて美術回廊へと向かう。
(タイトル画面に戻り成功したかどうかは不明のまま終わる)

153 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:47:06.52 ID:ie2VR+Cy0 [16/27]
真ルート

黒幕の正体も分からないままで終わることに納得せずタイムリープを選んだ場合に分岐。
再びユネの待つ異空間へと戻ってきたシュウだが、力を使いすぎた反動かユネの体調が悪くなっているように見える。
だがユネ自身にはそういう自覚はないようだ。
あらためて作戦会議を始めるが既に11回のループで黒幕の可能性が高そうな身近な人物はあらかた調査してしまった。
もう打つ手はないのだろうか?
そんな時、何気なく話題にした二人の出会いの記憶の違いがシュウに閃きを与えた。
シュウはユネに自分を12月2日ではなくそれよりも以前、自分がこの街に最初にやってきた時まで飛ばして欲しいと頼む。
そして時は遡る。
傷だらけの状態でオンネトーで目覚めたシュウはともすれば倒れてしまいそうになる意識を繋ぎ止め
不意をついてミューズで自分の記憶を消そうと迫っていた「黒幕」、サクヤの腕を掴んだ。
黒幕は自分と同じタイムリーパー、だから自分の行動をある程度まで妨害できるのは分かる。
だがいくら何でも黒幕の動きはシュウの行動を上回りすぎている。
同じタイムリーパーという条件でありながらここまでの差がつくものなのか?
ではもしも条件が対等でなかったとしたら?
ユネが感じていたタイムリープ時の重みの違和感が人数だけでなく過去に飛ばす距離も関係していたとしたら?
そう、黒幕は常にシュウよりも過去に戻ることで有利なポジションを確保していたのだ。
ユネとシュウの記憶の違い、それは凍結したオンネトーの湖面に浮かぶフロストフラワー。
この現象は気温が下がる1月以降にしか起きない。
シュウが最初にこの街に来たのは11月ではなく1月だったのだ。
(オープニングで出会ったと思っていたユネはサクヤの変装)

154 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:47:57.23 ID:ie2VR+Cy0 [17/27]
過去に何度か脳裏に浮かんだ「シュウ先生」は幻覚でなく過去に最低1度はあった現実。
おそらく何事もなければ自分は2018年の1月に教師としてこの街に赴任するはずだったのだ。
それを毎回サクヤがミューズで記憶を消し、10ヶ月のブランクを作った上で
2018年11月28日に「発見」され教師ではなく生徒として聖アレイア学院に転入するよう仕組んでいた。
サクヤはシュウの推理を肯定し自分は2017年12月2日からタイムリープを繰り返す存在だと告げる。
シュウはなぜこんな真似をしているのかサクヤに問う。
彼女が悪意からこんな行為を行い街を焼いているとは考えられない。
過去のループでもアポカリプスを防いだり街の秘密を暴く行為は妨害してきたが
その一方で人々が生き残るための脱出経路を潰す真似はしていない。
しかしサクヤはその質問に答えることなくシュウの意識を奪う。
シュウが再び目覚めた時そこは2018年11月28日のユネの部屋だった。
幸いなことに10ヶ月前のサクヤとの記憶は残っていたが
自分が何者でなぜ外からこの街に来たのかはミューズによって消されていた。
おそらくはこの記憶こそが全ての謎に迫る鍵であり、サクヤが暗躍する目的なのだろう。
シュウは今度こそサクヤに話を聞こうと考えるがユネによるとサクヤは1週間前に失踪してしまったらしい。
シュウは仲間たちと手分けしてサクヤを探すがどこにも見つからない。
そんな時、過去のループで街の秘密を知っていることが判明している謎のラジオDJリラが
世間話を装ってラジオでシュウに「何度やっても見つからないなら向こうから出てくるのを待てばいい」と
アドバイスめいたメッセージを伝えてくる。

155 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:48:42.43 ID:ie2VR+Cy0 [18/27]
単純に信じる訳にはいかないが自分より情報量の多いタイムリーパーを能動的に見つけるのが困難なのも事実。
そこでシュウは視点を変えて連続壁画事件を調査することになる。
1年前から各地に出現する謎の落書き、すぐにシスターリリィが消してしまうので実物を見たことはなかったのだ。
だが人々が「壁画」と呼ぶものの正体にシュウは愕然とする。
「12月25日アポカリプスきたる。街が破滅する。みんな逃げて。世界の中央を開けろ」
それは「壁画」でも「絵」でもなく、日本語で書かれたアポカリプスに対する警告文だったのだ。
この時はじめてシュウはこの街に来てから一度も文字を見かけたことがないことに気がつく。
これは重要な手がかりになる。少しずつ街の謎に迫る手応えを掴み始めたシュウは次にコントロールルームへと向かう。
だが今回も初回だけは成功した侵入方法は使えなかった。
するとスピーカーから「もう裏道は使えませんよ先輩」とサクヤの声。
シュウは対話を求めるがサクヤはそれを拒否し「今回はもう何もしないから先輩の好きにしてください」と連絡を絶つ。
形としては拒絶されたがシュウにはそれが本心からの行動とは思えなかった。
何とかサクヤともう一度会って話がしたい。
そのためにシュウはこれまで余計な誤解を避けるため可能な限り隠していたタイムリープの情報まで仲間たちに伝える。
それが良い意味で作用したのか、12周目にしてはじめてユネが異空間での記憶をこちら側で取り戻す。
ユネはサクヤが自分たちと同じ方法でタイムリーパーとなったなら、もう一人リンゴを食べた人間がいるはずだと指摘する。
第四のタイムリーパー、その正体はいったい誰なのだろうか?
シュウは次に落書き事件の犯人特定に乗り出す。
既に過去のループで落書きが起きる日と場所は把握済みだ。
張り込みの結果それが店長の仕業であることが分かる。
だが店長自身は自分が書いている文字の意味を理解していなかった。
これは失踪直前のリンカに定期的に書き残すよう頼まれたものだという。
メッセージがリンカのものだと判明したことで、シュウはリンカの親友であるコノハに暗号を解いてもらい
チャペルの隠し通路から一度はサクヤに侵入を阻まれたコントロールルームへと辿り着く。

156 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:49:18.93 ID:ie2VR+Cy0 [19/27]
コントロールルームには巨大のモニターとは別に様々な資料が残されていた。
「グランドツアー計画」それこそがこの街で行われていた実験の名前。
その詳細を調べようとした瞬間、背後から声がかけられる。
シスターリリィ、部下を率いて現れた実験管理者である彼女は
それ以上あなた達が知る必要はないとミューズでシュウたちの記憶を消そうとする。
絶体絶命のピンチ、それを救ったのは失踪していたはずのリンカだった。
初対面の先輩に礼を述べるシュウにリンカは呆れた顔でアンチミューズを使いシュウの記憶を復元させる。
かくしてシュウは外での記憶を取り戻した。
だが既にシュウたちが街の謎に迫りつつことがあることはシスターリリィにバレている。
いつ追手がかかっても不思議ではない。
しかし翌日になってもシスターリリィがシュウを拘束する気配はなかった。
上層部から干渉する必要はない、どうせクリスマスに全ては終わると指示が出たらしい。
心配事が一つ減ったが代わりに別の問題が浮上する。
異空間にいた頃から少しずつ悪化していたユネの体調が深刻なものとなり遂には声が出なくなってしまったのだ。
タイムリープはやはりノーリスクで世界を巻き戻せるほど都合の良いものではなかった。
この力は対価として相手が最も大切にしているものを奪うのだ。
そして歌唱を極めようとするユネにとってそれは自分の声だった。
ユネの変化を感じながら何でもないと言い訳する彼女の優しさに甘えてループを繰り返してきたシュウは自分の愚かさに苦しむ。
だがここで自暴自棄に陥ることは許されない、まだアポカリプスは終わっていないのだから。
ここでしくじれば何のためにタイムリープを繰り返したきたのか分からない、贖罪について考えるのは街を救った後だ。

157 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:49:53.81 ID:ie2VR+Cy0 [20/27]
そしてクリスマスが訪れる。
だが過去のループと違い今回は爆弾が炸裂し街を炎で包むことはなかった。
呆然とする「真犯人」男子寮長ギドウにキリエは勝ち誇った笑みを見せる。
シュウが容疑者である仲間たちの誰をマークしても必ず発生してきた大火災。
全ての可能性を潰したことで仲間犯人説は崩れたかに思えたが
タイムリーパーであるサクヤが何らかの理由で犯行に協力していたと考えれば容疑は復活する。
それゆえシュウは天才的な演技力と爆弾の知識を持つキリエに協力を頼み
犯人がすり替えられた偽の爆弾をセットするように誘導していたのだ。
しかし犯行が暴かれてなおギドウは不敵に笑う。
外から実験を操る悪意の蛇、学長の渡良瀬惣一に唆されたギドウに止まるという選択肢はなかった。
なぜならギドウは、この街の人間は物心ついた時から「そうあるように」文字や科学すら奪われ教育されてきたのだから。
ギドウは仲間たちへの友情や生まれ育った街への愛着は何ら変わっていないと語り
その上で街1つをキャンパスにした大破壊が芸術であるならば、芸術家は全てを犠牲にしてそれを為すべきであると宣言する。
そして爆発シーンを愛するキリエに同類として同じ道を歩もうと誘う。

158 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:50:12.94 ID:ie2VR+Cy0 [21/27]
同時刻、シュウはユネと共に手紙でチャペルへと呼び出したシスターリリィと対面し頭を下げる。
それに対してシスターリリィは自分もシュウを見殺しにしようとしたのだから同罪だと言い
二人に「最後の授業」グランドツアー計画の全貌について話し始める。
グランドツアー計画は1941年イタリアのクローザで始まった日独伊三国による極秘プロジェクトだった。
その目的は能動的に古典芸術を生み出すこと。
1917年、芸術家マルセル・デュシャンが衝撃的な作品を発表する。
泉と名付けられたそれはただのトイレにサインが書かれただけの代物だった。
デュシャンは作品を通じて人々に「芸術とは美しいものとは限らない」とメッセージを発信したのだ。
現代アートの始まりである。
だがその意欲的な試みは芸術と芸術でないものの境界線を破壊する行為でもあった。
グランドツアー計画の推進者たちはそれを古典芸術の終焉、アポカリプスと呼び美しくない芸術を憎悪した。
それゆえに彼らは作り上げたのだ。
デュシャンによって境界線が破壊されてしまう前の「美しい芸術」のみを糧とし
近代芸術に汚染されることなく創作に生涯を捧げる芸術家たちの街を。
この街で文字がなかったのも古典芸術の愛好者たちが理想とするルネサンス期の傑作は
識字率が低かったからこそ誕生したという考え方があるからだ。
街1つを人工的に管理するため莫大な費用が必要となったが
それらは街に集められた天才たちが作り出す至高の芸術品を売却することで解決した。

159 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:50:34.28 ID:ie2VR+Cy0 [22/27]
説明を聞いていたユネはここで疑問を覚える。
それではなぜこの街は破滅を、アポカリプスを迎えなければいけないのか。
それは現在のグランドツアー計画の責任者である渡良瀬惣一が難病にかかったことが原因だった。
絶対に治療不可能な病気というわけではないが延命を図るには莫大な資金が必要となる。
そこで渡良瀬惣一は最初の実験地であるクローザの崩壊の様子を描いた
「クローザの失楽園」が天文学的な金額で売買されたことを思い出す。
クローザの失楽園は事故がきっかけで誕生した偶然の産物だった。
だが閉鎖環境で育った天才が「世界の終わり」を描けば奇跡のような傑作が作り出される可能性は高い。
シスターリリィを中心とするスタッフの多くはこの方針に反対だったが最高責任者には逆らえない。
そして渡良瀬惣一は学院最高の芸術家として知られるギドウに外の世界の作品を見せ
破壊の美学に取り憑かれるよう誘導した、これがアポカリプス計画の全貌だった。
シュウは湧き上がる憎悪を押し隠し、もう1つだけ質問をする。
ギドウに世界を滅ぼすよう唆した渡良瀬惣一は現在何をしているのか。
シスターリリィは痛ましいものを見る目で「渡良瀬修」に答えた。
聖アレイア学院の学長、そしてあなたの父親である渡良瀬惣一はアポカリプスをその目で見ることなく病死した、と。

160 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:51:00.33 ID:ie2VR+Cy0 [23/27]
物語は再びギドウとキリエへと視点を移す。
ギドウは沈黙を続けるキリエにもう一度、破壊を愛し爆発を愛するお前ならば俺の心が分かるはずだと声をかける。
だがキリエは笑いながら「そんなもんはまったく分からねぇ」と予想外の答えを返す。
「理解は出来るが友人たちを犠牲には出来ない」ではなく「まったく分からない」
その答えにはギドウの脳裏には末恐ろしい想像が頭に浮かぶ。
キリエと近くに隠れていたコトハはその推測を肯定する。
そう天才的な演技力の持ち主であるキリエは爆破になど元から興味はなかった。
ただ親友のリンカから「破壊の美学に気をつけろ」と言伝を受け取ったコトハの頼みを聞いて
同じ思想の持ち主に犯人が共感と協力を求めてくるその日まで
2年間毎日「破壊をこよなく愛する映画監督志望の少女」を演じていただけだったのだ。
コトハはギドウになぜ渡良瀬惣一の誘惑に乗ったとたずねる。
ギドウと同じく渡良瀬惣一の面談に合格したリンカは誘惑に乗らなかったというのに。
ギドウはそのリンカこそが自分がアポカリプスへと突き進んだ理由だと告げる。
「美しい芸術」を至高のものとするこの街においてギドウとコトハは比類なき天才だ。
しかし才能のある人間であれば古典芸術のみを学ぶことを強制された閉鎖環境で
たった一人独力で現代アートの境地に辿り着いてしまうリンカこそが真の天才と呼ぶに相応しいと分かる。
そしてギドウは自分の幼馴染の桁違いの実力を理解してしまう優れた感性の持ち主だった。
負けず嫌いの嫉妬深い人間が、芸術のみが価値を持つこの街で絶対に勝てない才能と毎日向き合ってどうして正気でいられよう。
だから俺は渡良瀬惣一という毒を受け入れ、究極の破壊芸術アポカリプスでリンカを超えると宣言する。

161 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:51:32.50 ID:ie2VR+Cy0 [24/27]
そんなギドウをコトハは君はそんな男ではないと喝破する。
既成概念を打ち壊すリンカの才能は確かに素晴らしい。
だがそれは優れた古典芸術を作り出すギドウの無意味を意味しない。
大体それほどリンカの才能を評価している人間が
「街を滅ぼす程度」のことでリンカを超えられると本気で信じられる訳がない。
そして本当に自分が無価値だと思っているならば、あれほど全身全霊で作品作りに打ち込める訳がないだろう!!
3年間ライバルとして競い合ってきた同級生の説得に心が折れたギドウはアポカリプスを諦める。
しかし未遂に終わったとはいえ仲間たちを裏切った自分にもはや居場所はないと
予備として隠し持っていた爆弾で自爆しようとする。
その決意は固く今度こそ説得は不可能なように思えた。
だが突然の来訪者がギドウの動きを止める。
「やめてください兄さん」
それはこの日まで姿を消していたギドウの妹、サクヤだった。
さらにそこへシュウが駆けつけ役者が揃う。

162 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:51:53.20 ID:ie2VR+Cy0 [25/27]
自暴自棄になっているギドウに俺たちにそれは許されないとシュウは語る。
なぜならギドウこそ2年前に赤リンゴを食べた第四の無自覚なタイムリーパーだからだ。
リンゴを食べた人間がクリスマスにやり直しを願えばそれは現実となる。
だが発端となるループの原因が分からない。
クリスマスの奇跡はやり直したい願いがなければ起きないのだ。
これまでに18回のループを経験しているサクヤはシュウこそがループの発端なのだと語る。
サクヤたちにとって最初の歴史、誰も運命に干渉していない世界線において
当初の予定通りにこの街の音楽教師として赴任したシュウは父親の野望を挫きギドウのアポカリプス計画を阻止してしまうのだ。
これによりアポカリプスの成功を望むギドウの祈りがタイムリープを引き起こす。
そして兄弟は試行錯誤を繰り返し7回目のループにおいてシュウの教師赴任自体を阻止することでアポカリプスを成功させた。
これで破壊を望むギドウと仲間たちだけは助けるサクヤの願いは叶いタイムリープは終わるはずだった。
だがタイムリープは終わらなかった、シュウが生徒として転入したことで歴史は大きく変化し
シュウとユネが2組目のタイムリーパーとなり時間を巻き戻してしまったからだ。
それに気づいたサクヤはこの世界が強力な円環構造となっていることを理解する。
ギドウの願いが完全な形で達成されてしまえばその結末を認めないシュウたちが必ず時間を巻き戻す。
だがシュウたちの願いが叶えば今度は必ずギドウがそれをタイムリープで覆す。
そのためサクヤは2組のタイムリーパーが同時に希望を叶える妥協点にたどり着けるよう調整を行っていたのだ。
アポカリプス自体は防ぐことが出来ないが、脱出自体は常に可能になっていたのもそのためだ。
妹たちから全ての真相を聞いたギドウは安易な死ではなく残りの人生を贖罪に使うよう説得され自爆を諦める。

163 名前:アメイジング・グレイス ◆l1l6Ur354A [sage] 投稿日:2019/02/21(木) 01:53:22.47 ID:ie2VR+Cy0 [26/27]
これで一件落着かと思いきやシスターリリィがユネが突然姿を消したと言いシュウに携帯電話を手渡す。
電話の相手は謎のDJリラ。
彼女の正体は2番目に建設されたグランドツアー計画のイタリア校で青のリンゴを食べていた時を巡るアンナだった。
リラはそれまで青のリンゴを食べたシュウやサクヤが知らなかったタイムリープの代償について伝えてくる。
赤のリンゴは生命のリンゴ、タイムリープを行うたびに使用者の生命力は削られていく。
今回のループでユネが始めてこちらの世界に出てきたのは成功などではなく
もはや異空間に留まる力すら失っていたからだったのだ。
仲間たちの前から黙って消えようとするユネにシュウはこれからは俺がお前の声になると必死に伝えるが
ユネは最後の力を振り絞りシュウにメリークリスマスと伝えて消えてしまう。
そんなユネにシュウは街が無事でクリスマスを超えられたとしても
お前のいない世界に意味なんてないと最後にもう一度奇跡を起こした。
そして時間はクリスマスイヴへと遡る。
突如として1日時間が巻き戻ったことに驚き、何が起きたのかと驚く仲間たちにシュウは
前夜祭のテーブルに並べられたアップルパイを指差す。
そうこれまでのループと違い今回のループは12月2日以前、シュウとユネがリンゴを食べる前にスタートしている。
1週目の世界ではその場でシュウが食べた青リンゴを今回はみんなで食べるアップルパイに混ぜておき
シュウ自身は時を戻す赤リンゴを食べておいたのだ。
役割を交換したことでユネは弓としての役割から解放され声を取り戻す。
これにてハッピーエンド、みんなは2度目のクリスマスを心から楽しみ
シュウは直前の選択肢で選んだユネとサクヤどちらかの女の子と付き合う結末を迎える。