FINALFANTASYν(ニュー)まとめwiki - 第110話「剣舞」
・管制塔エントランスルーム
 管制塔に侵入したヴェルヌと対峙しているセシルとローザ。

セシル
「ローザ、ここは僕に任せてくれ」
ローザ
「駄目よ! あなた一人であの男に勝てるの?」
セシル
「僕一人では勝てないのはわかっているよ。バッツ達を連れてきてほしいんだ。僕はそのための時間を稼ぐ」
ヴェルヌ
「……セリス=シェールから私のことを聞いているようだな」
セシル
「ヴェルヌ=パラメキア。皇帝ガストラの右腕でガストラのナンバー2」
ヴェルヌ
「フフフ……」
セシル
(セリスがあれだけ警戒していた男だ……)
「ローザ、行くんだ」
ローザ
「……わかったわ」 

 ローザがエントランスを出て来た道をもどる。

ヴェルヌ
「いいのか? セシル=ハーヴィ。白魔導士のサポートは必要ないのか?」
セシル
「…………」
ヴェルヌ
「まぁ、こちらとしてはその方がありがたい。持久戦は望ましい展開とはいえないのでな」
セシル
(攻めを急ぐ必要はない。バッツ達が来るまでなんとしてでも時間を稼がないと!)
ヴェルヌ
「こちらもあまり時間がないのだ。いくぞ……」
セシル
(バッツ達が来れば勝機はある! 将軍といっても相手は人間なんだ!)

 セシルとヴェルヌ、互いに飛び込み剣を交える。


FINAL FANTASYν
第110話「剣舞」


・ティンバー港前
 ケフカが数人の兵と魔導アーマー隊を率いている。

ケフカ
《馬鹿笑いしながら》
「お馬鹿さんたちですねー! わざわざ馬鹿正直に街から攻め込まなくても、これだけの魔導兵器があれば港に直接攻め込んでイチコロですよー!
火力船が港にあるっていうのはもうと〜っくにこっちの情報網に引っかかっちゃってるんですよね〜!」

 帝国上等兵がケフカに近づき報告する。

上等兵
「ケフカ将軍!」
ケフカ
「なぁ〜んですか?」
上等兵
「第一陣は敵の抵抗もあって壊滅状態です!」
ケフカ
「ん〜さすがですねぇ〜! ですが、こちらにはまぁだまぁだ、たぁぁくさんっ! 駒があるんですよね〜!」
上等兵
「第二陣を投入しますか?」
ケフカ
「面倒くさいですねぇ〜」
上等兵
「は?」
ケフカ
「もうこうなったら、全部つぎ込んじゃいましょう!」
上等兵
「ヘビーアーマー全機を投入するのですか?」
ケフカ
「それだけではありませんよ! せっかく作ったんですから、あれも投入しますよぉ!」
上等兵
「わ…わかりました」

 上等兵、ケフカから離れる。

ケフカ
「今度こそ、奴らに一泡吹かせてやりますよぉ〜! 一網打尽にしてやる〜!!」

 ケフカ、再び馬鹿笑い。


・ティンバー港、後方
 ティンバーレジスタンスが防衛ラインを敷き、エドガーが報告を受けている。

レジスタンスA
「エドガー殿! 火力船は一時的に退避しましたが、この防衛ラインを突破されると危険が及びます!」
エドガー
「そうか……」
(この戦い、ガストラの暗殺に成功すれば、それでカタはつく……それまで何としてでも耐えられれば……)
レジスタンスA
「エドガー王。我らに任せて、避難してください! ここは危険です!」
エドガー
「いや……それはできない」
レジスタンスA
「ですが!」
エドガー
(虎穴に入らねば……この戦いで勝利は掴めない!)

 前に出るエドガー。

レジスタンスA
「エドガー殿! どこへ行かれるのです!?」
エドガー
「前線ではファリスやゴウが戦っている。彼らを支援しに行く!」

 エドガー、前線へ向かう。

レジスタンスA
「お待ちください!」

 エドガーの後を追うレジスタンスA。


・ティンバー港、前線
 ファリス、ゴウ、レジスタンス達が帝国兵と交戦中。

ゴウ
「へへっ! あんたもなかなかやるなぁ!」
ファリス
「俺だって海の男だ。これくらいの修羅場は何度も経験している」
ゴウ
「おうおう! この調子でガンガン頼むぜ!」

 ファリスとゴウがそれぞれ帝国兵を倒す。

ゴウ
「通信機はぶっ壊れちまったな」
ファリス
「ああ……、バッツに心配させちまったかな」
ゴウ
「海賊のあんちゃん、あいつらは強い。だから心配する必要はないと思うぞ! 信用しろ! 信用!」
ファリス
「……ああ、そうだな!」
ゴウ
「それに、ここいらの機械兵器も一通りぶっ壊したようだし勝ち目はあると思うぜ!」

 レジスタンスの一人が報告に走ってくる。

レジスタンスB
「大変だ! 機械兵器がまた出てきたぞ!」
ゴウ
「何!」
レジスタンスB
「こちらに向かって進軍しているらしい! かなりの数らしいぞ!」
ファリス
「そんなに大量なのか!?」
レジスタンスB
「第一陣の倍以上の数だ!」
ゴウ
「早めに食い止めないとまずいな、こりゃ」
ファリス
「…………」
ゴウ
「よし、行くぞ! 海賊のあんちゃん!」
ファリス
「……ああ!」


・ティンバー港前
 ケフカ、大量の魔導アーマーを率いて馬鹿笑いしている。

ケフカ
「さぁ〜雑魚どもは蹴散らしちゃいなさぁ〜い!
ヘビーアーマーと……
プロトタイプガーディアンの力を見せてやりますよ〜!」
帝国兵A
(ガーディアンって名前なのに攻撃で使うのかよ……)
帝国兵B
(何を考えているんだあの人は……)
ケフカ
「キョッキョッ! 何かいいましたか!?」
帝国兵A
「い、いえ!」
帝国兵B
「そ、それより、ケフカ将軍の新型兵器の力をこの目で見られることは光栄であります!」
ケフカ
「そうだぞそうだぞ! よ〜くわかっているな!
全軍! 進撃しなさ〜い! ガーディアンの実戦テストもするからボクちんのぶんも少しは残しておくんですよ〜!」

 ケフカ、四度目の馬鹿笑い。


・ティンバー港、前線
 ファリス、ゴウ達が魔導アーマーを迎え撃ちに出ている。

ゴウ
「あんなにわんさかいやがるのか!」
ファリス
「これは不味いな……」
(王女様には自分の身は自分で守れって言ったけど……こっちが堪えきれるかどうか……)
ゴウ
《側面から接近して来た魔導アーマーに気づく》
「! 危ない!!」

 エドガーが駆けつけ、オートボウガンで魔導アーマーを撃退する。

エドガー
「大丈夫か!?」
ゴウ
「王様! あんたがこんな所に来ちゃ駄目だ!」
エドガー
「この緊急事態にそんなことは関係ないな。それに……」
ゴウ
「それに?」
エドガー
「船にはレナ王女やカルナック女王がいる。レディを守るのが私の役目だからな」
ファリス
「……ふゥ」
ゴウ
「ガッハッハ! こんな時にそんなふざけた冗談がよく言えるなぁ! でも、今は呑気な事を言ってる場合じゃあないぜ!」
エドガー
「冗談ではないのだが……」
ファリス
「何か策はあるのか? エドガー?」
エドガー
「残念ながら策はない。絶望的な状況だ。だが、ガストラの暗殺に成功すればそれでカタはつく!」
ゴウ
「おうよ! 粘れるだけ粘って、時間を稼ごうぜ!」
ファリス
(……エドガーは口に出さないが、もし暗殺が失敗していたら、俺達はこの状況を打開する術がない。
俺にカルナックの時見た赤鎧の男くらいの力があれば、退けられるかもしれないけどな……。
ん……そういえばあの時は、どうやって奴を撃退したんだったか……)

 突然、ファリスの身体が光る。

ファリス
「ぐっ!」
ゴウ
「どうしたんだ!? 海賊のあんちゃん!?」
ファリス
「ちょっと……くぅっ!」
エドガー
(ファリスのこの苦しみ様……まさか……!?)

 場面暗転。ファリスの意識の中。

フレイ
『ファリス〜! 助けに来たよ〜!』
ファリス
「小娘か……!!」
フレイ
『なによ〜小娘って! 私にはフレイっていう立派な名前があるんだよ!』
ファリス
「……何の用だ」
フレイ
『そうそう、忘れる所だった! ファリスがいらないこと言うからだよ!』
ファリス
「……チッ」
フレイ
『あ〜今舌打ちしたでしょ!』
ファリス
「……それよりさっさと用件を言え。こっちは時間がないんだ!」
フレイ
『焦らない焦らない! そのために私が来たんだから!
なんと! この状況を打破する策を持ってきました〜!』
ファリス
「本当か!?」
フレイ
『安心しなさいファリス! 私に任せておけば万事OK! こんな状況へそで茶を沸かす程度よ!』
(ま、策を考えたのは姉様だけどね)
ファリス
「早く言え! こんな事してる間にも敵は迫ってるんだ!」
フレイ
『この策にはファリスの協力が必要なの! というか最後にはファリスに頑張ってもらうんだけど……』
ファリス
「ああ! 協力でもなんでも……!
 ……協力ってまさか」
フレイ
『ん〜もう! わかってるんでしょ!』
ファリス
「……ジャンクション」
フレイ
『そう! ジャンクションしよ! ファ・リ・ス!』


・ティンバー郊外、ロシュフォール平原地帯と森の境目
新たに現れたモンスターに驚いているティファ、エアリス、エリアの三人。
周囲ではレジスタンス数人が他のモンスター達と交戦中。

ティファ
「何なの……こいつは?」
エリア
「頭がライオンで……羽はドラゴンで……鹿の頭があって……何なんですかぁ〜?」
エアリス
「こいつは……キマイラ?」
ティファ
「エアリス、知っているの?」
エアリス
「ええ……一応、ね。実物を見るのは初めてだけど」
ティファ
「どこかで聞いたことがあるの?」
エアリス
「ええ。5年位前にアイツから……」
ティファ
「アイツ?」
エアリス
「……今はそんなことはどうでもいいわ。この場をなんとかしましょう!」
ティファ
「……そうね」
(5年前……か)
エリア
「レジスタンスの人は他の魔物で手がいっぱいのようです! 私達だけで何とかしないと……」
ティファ
「! 来るわ!」

キマイラが水の魔法を使い、余波を受けて吹き飛ばされるティファ達。

エアリス
「キャァァ!」
エリア
「ふえ〜びしょびしょです〜!」
ティファ
「威嚇かしら……こちらに向けてでなく、空に向かって撃ったみたいね?」
エアリス
「でも……何か落ちてくるわよ」
ティファ
「え!?」

 鳥のようなものが二匹、落ちてくる。
エリア
「鳥が落ちてきました〜!」
エアリス
「鳥……じゃなくてスラストエイビスね」
ティファ
「魔物が魔物を狙ったってこと? 一体何がしたいのかしら」
エアリス
「さぁ、わからないわ。でも、このスラストエイビス、落下の衝撃よりも前にかなり深手を負っていたようね」
ティファ
「じゃあ、あの攻撃が直撃すると……!」
エアリス
「ただではすまないわね。水の魔法の一種かしら」
エリア
「魔法ですか……。こんな時にセリスさんがいてくれれば……」
エアリス
「エリア、泣き言言わないの! とりあえず私達ができるところまでやってみるのよ!」
ティファ
「エアリス、エリア! サポートをお願い!」
エアリス
「わかったわ!」
エリア
「……わかりました!」
ティファ
「いくわよ!」


・管制塔管制室
突然苦しみ出したティナの様子に戸惑っているバッツとガラフ。部屋には他にレジスタンスが二人いる。

ティナ
《しゃがみ込んでいる》
「う……う……」
バッツ
「ティナ……」
ガラフ
「どうしたんじゃ、一体?」
バッツ
(ティナがここまで怯えるなんて……フィガロにケフカが来た時以来だけど、あの時以上に怯えている。
いや、怯えているだけじゃない。何かおかしい……)

 ローザが管制室に駆け込んでくる。

ローザ
「バッツさん、ガラフさん!」
ガラフ
「どうしたんじゃ!?」
ローザ
「帝国の将軍が下にいるわ! 今セシルが相手をしているけど急がないと!」
バッツ
「!! 誰が来ているんだ!?」
ローザ
「ヴェルヌ=パラメキアよ!」
ガラフ
「パラメキア……?」
バッツ
「セリスが警戒していた将軍だよ、ガラフ!」
ガラフ
「お、おお! そうじゃったか!」
ローザ
「とにかく急いで! このままだとセシルが!」
バッツ
「わかった! ティナはしばらくここで休んでいるんだ! ここは俺達に任せろ!」
ティナ
「……だ……め……」

 バッツ、ガラフ、ローザが出て行き、レジスタンスの一人がティナに歩み寄り声をかける。

レジスタンスC
「あの青年の言うとおりだ、君は休んでいた方がいい」
ティナ
「き……けん……あの……男」
レジスタンスC
「ん?」
ティナ
「あの……男は……危険……!!」

 ティナが立ち上がると同時に魔力を放たれ、声をかけたレジスタンスが吹き飛ばされる。

レジスタンスC
「ぐはっ!」
レジスタンスD
「大丈夫か!?」

 歩き出すティナ。


・管制塔エントランスルーム

 倒れているセシルに追い討ちをかけるヴェルヌ。そこへ駆けつけるバッツ達。

セシル
「うぐっ!」

 バッツとガラフがセシルをかばうようにヴェルヌの前に立ちふさがる。ローザは倒れているセシルに駆け寄る。

ローザ
「セシル!!」
ヴェルヌ
「救援がやってきたか……命拾いをしたな。……いや、結果は同じか」
バッツ
「セシルが……もうやられたのか?」
ヴェルヌ
「見ての通りだ。バッツ=クラウザー。セシル=ハーヴィは私に傷一つつけることさえ出来ずにそこに伏している」
バッツ
「傷一つつけることなくだって……!」
ガラフ
「バッツ、確かに奴の体には傷一つないぞい……!」
バッツ
(セシルが手も足も出ないなんて……あのガルキマセラの時以来じゃないか……!)
ローザ
「セシル! しっかりして! ケアルラ!」

 ローザがケアルラをかけ、セシルが立ち上がる。

セシル
「くっ……ありがとう、ローザ」
バッツ
「立てるか? セシル?」
セシル
「……大丈夫」
ローザ
「セシルが手も足も出ないなんて……」
バッツ
「それでも! 四人でかかればチャンスはあるはずだ!」
ヴェルヌ
「四人で……か。フフフ……」
バッツ
「何がおかしい!」
ヴェルヌ
「よくもまぁ、そんな楽観的な思考ができるものだな、バッツ=クラウザー」
バッツ
「楽観的だって……?」
ヴェルヌ
「バッツ=クラウザー。お前の能力については他の将軍から聞いている」
バッツ
「…………」
ヴェルヌ
「お前の実力は把握している。セシル=ハーヴィにお前がついたとしても、私の優位は揺るがない。多少、時間はかかるがな」
バッツ
「く……!」
セシル
「バッツ、……落ち着くんだ。冷静さを失って……勝てる相手じゃない」
ヴェルヌ
「それに、ローザ=ファレルがバロン一の白魔導士でも……私の前では誤差の範囲内。結果は同じ事だ」
ローザ
「なんですって……!」
ヴェルヌ
「魔導の娘も……同じだ。ここにはいないようだが……。上の階層にいるのか? 私は彼女に会いにここに来たのだがな」
バッツ
(こいつ……ティナが目的か!?)
ヴェルヌ
「そして……データにはないがそこの老いぼれ。老いぼれならなおさら私の前では無力に等し……!」
ガラフ
「……なんじゃ?」
ヴェルヌ
「……フフフ」
ガラフ
「どうしたんじゃ! 何がおかしいんじゃ!」
ヴェルヌ
「……いえいえ。気がつかなかった、いえ気付きませんでしたよ。まさか、あなたがここにおられるとは」
ガラフ
「…………!」
バッツ
(ガラフのことを知っている!?)
ヴェルヌ
「しかし……いらない事は言わない方がよさそうだ。私がここにいたら、あなたがそんなに穏やかにいられるわけがない」
ガラフ
「…………? どういうことじゃ?」
ヴェルヌ
「さあ? ……そろそろおしゃべりを止めようか。こちらも時間がないのでな」
バッツ
「……来るぞ!」

 ヴェルヌが雷系の魔法を放ち、バッツ達は何とか避ける。

バッツ
「くっ! 今のは……?」

 一瞬でバッツの懐に入るヴェルヌ。

ヴェルヌ
「サンダガだ」

 ヴェルヌの斬撃を食らい、吹き飛ぶバッツ。

バッツ
「ぐわぁぁぁっ!」
セシル
「暗黒斬!」
ガラフ
「いくぞい!」
ローザ
「五月雨!」
ヴェルヌ
「遅いな……ファイガ」

 ヴェルヌのファイガに吹き飛ばされるセシル達。

ローザ
「きゃああ!」
セシル
「ローザ!」
ヴェルヌ
「…………」

 セシルがローザを助けようとするが、ヴェルヌの斬撃に阻まれる。

セシル
「くっ!」

 立て続けのヴェルヌの斬撃をまともに食らうセシル。

セシル
「うわああああ!」

 セシル、吹き飛ばされ倒れる。

ヴェルヌ
「ブリザガ」

 ガラフにブリザガを放つヴェルヌ。

ガラフ
「ぐおおお!」

 ヴェルヌがローザの前に迫る。

ヴェルヌ
「女といえども……敵ならば容赦はしない」

 バッツが飛び出そうとするがヴェルヌの斬撃に阻まれる。ヴェルヌの攻撃を受けてしゃがみ込むローザ。

バッツ
「……くそっ!」
ローザ
「うう……!!」
セシル
「ロ……ザ……!!」
ヴェルヌ
「セシル=ハーヴィと一対一の時は手加減をしてやったが……」

 ヴェルヌ、ガラフの前へ。

ヴェルヌ
「まずは……ガラフ……貴様からだ」
ガラフ
「くぅ……」
バッツ
(このままだとガラフが……こうなったら!)

 バッツがバーサーカーの力を発動させヴェルヌに突っ込むが、受け止められる。

ヴェルヌ
「ダークナイトが言っていた獣のような力か……」
バッツ
「止められたっ!?」
ヴェルヌ
「邪魔だ。エアロラ」

 ヴェルヌのエアロラに吹き飛ばされるバッツ。

バッツ
「く……」
ヴェルヌ
「では……暁の血はここで絶つとしようか」
ガラフ
「暁……!!!」
ヴェルヌ
「…………」

 ガラフがヴェルヌの攻撃をかわす。

ヴェルヌ
「何?」
ガラフ
「……ケアルラ」

 ガラフが自分にケアルラをかける。

ヴェルヌ
「ほう……まだ動けたのか」
バッツ
(ガラフがケアルラ……?)
ガラフ
「そうじゃ……ワシはケアルラが使えたんじゃ……!」
ヴェルヌ
「……では、これならどうかな。
肉体を蝕み、魂の器に満ちる毒。禁忌なる生命……バイオ」

 ヴェルヌのバイオをまともに食らうガラフ。

ガラフ
「うおおおおお……ッ!」
ヴェルヌ
「……バイオを受ければ最後。治療魔法を丁寧に施さなければ確実に死は迫り来る。ローザ=ファレルのその傷では、満足な治療は行えまい」
ローザ
「……このままじゃ……ガラフさんが……!」
バッツ
(バーサーカーが止められた……こいつは……この男は……ガーランドや、ダークナイトよりも……強い!
どうすればいい……! ウィンは……いない……!)

 ティナがエントランスに現れる。

バッツ
「ティナ……!!」
ヴェルヌ
「ティナ……?」
ティナ
「…………」
ローザ
「……この……魔力は……!」
バッツ
「どう……したんだ、ローザ……さん!」
ローザ
「似てる……わ……。リディアの時と……」
バッツ
「リディアの時……?」
ローザ
「リディアの魔力が暴走した時の空気と……似てる」
バッツ
「……! それって……ティナが危ないんじゃ……!」

 前に出ようとするバッツ。

セシル
「バッツ……! 待ってくれ……!」
バッツ
「なんだよ、セシル!」
セシル
「ここは……ティナに任せよう……」
バッツ
「何だって……!」
セシル
「僕達では……あの……男に……勝てない……ティナの……魔力に……賭けよう……」
バッツ
「だけど!」
セシル
「他に方法がないじゃないか!」
バッツ
「…………」
ローザ
「セシル……」
セシル
「……リディアの魔力の爆発はかなりのものだった。あの力なら……あのヴェルヌを……倒せるかも……しれない」
(何を……言ってるんだ僕は……! 違う……! 違う……!!)
バッツ
「…………」
ローザ
「……バッツさん」
バッツ
「…………」
ヴェルヌ
「……迎えに来たよ、ティナ」
ティナ
「……バッツは……私が守る」
ヴェルヌ
「守る……?」
ティナ
「仲間……だから……」
ヴェルヌ
「守る……仲間……フフフ……」
ティナ
「…………」
ヴェルヌ
「まさか、お前からそんな言葉を聞く事になるとは、思いもしなかったよ」
ティナ
「…………」
ヴェルヌ
「……魔導の娘、様子が穏やかではないな。今回の任務は貴様の確保だ。……イレギュラー共は捨てておくか」
ティナ
「……怖い……だけど……バッツは私を守ってくれる。バッツだけじゃない……レナさんも、マッシュも、みんな……私の仲間……!」
ヴェルヌ
「……どうしたんだ?」

 ティナから膨大な魔力が溢れる。

ティナ
「今度は……私が……守る!!」
ヴェルヌ
「まさか……覚醒!」

 ティナの魔力が解放され、姿が変わる。


 第111話へ続く