FINALFANTASYν(ニュー)まとめwiki - 第127話「シドとミド」
・カルナックの町、入り口
 バッツ達を出迎える、ティナ、ロック、セリス、ザンガン。

ティナ
「おかえりなさい、みんな、バッツ」
バッツ
「ただいま」
エアリス
「う〜ん、やっと帰ってきたってカンジね。短い旅だったけど、なかなかどうして波乱含みだったわ」
ロック
「カルナックでは、特に何もなかったぜ」
レナ
「よかった……。古代図書館やダムシアンでは色々あったからちょっと心配だったんです」
セリス
「……そのダムシアンの事も含め、フィガロ王がカルナックに来る事になっている」
マッシュ
「兄貴がか!?」
ロック
「ああ。セシルの話も既に伝わっているはずだ」
バッツ
「セシルと会ったのか?」
ロック
「ああ、会って話を聞いたぜ。すぐにミシディアに行っちまったけどな」
ザンガン
「カルナックでは暇で暇でしかたなかったが、久しぶりにこのザンガンが活躍する機会がやって来そうで何よりだ!」
ミド
「バッツさん、僕はそろそろお爺ちゃんの所へ向かいたいのですが……」
バッツ
「そうだったな、俺も一緒に行くよ」
ロック
「その子は……?」
バッツ
「あ、この子は……」
ミド
「はじめまして。僕はシドお爺ちゃんの孫のミドといいます。先のカルナック戦役では、カルナックを救っていただいてありがとうございました」
ロック
「あ、ああ。はじめまして。でも、今からシドさんの所に向かうのは丁度いいタイミングかもな」
ファリス
「どういうことだ?」
ロック
「カルナック女王が、シドさんと話してるとこなんだよ。俺も一度だけシドさんと会う機会があったんだけど、そうとう落ち込んでいるようだったし、励ましてるんじゃないかな?」
バッツ
「そうだったのか……。よし、善は急げって言うし、早くシドの所に行こう」


FINAL FANTASYν
第127話「シドとミド」


・カルナック城、シドの部屋
 カルナック女王が落ち込んでいるシドを叱咤している。
 そこへ入ってくるバッツ達。

カルナック女王
「いつまで気に病んでおるのか! クリスタルの崩壊はお主だけの責任ではない!」
シド=プレヴィア
「……私のせいですよ、女王。私はとんでもない過ちを犯してしまった。こんな私に研究者たる資格はないのです」
ミド
「…………」
カルナック女王
「カルナック再建にはお主の力が必要なのだ! 過去の事を悔いておるならば、そこでその思いを晴らせばよかろう!」
シド=プレヴィア
「…………」
バッツ
「シド」
シド=プレヴィア
「おお……バッツ。それにこんなに大勢の客人が……!」
ミド
「お爺ちゃん!!」

 シドのところへ行くミド。

シド=プレヴィア
「ミドか……」
ミド
「いつまで落ち込んでいるの!? こんな姿、お爺ちゃんらしくないよ!!」
シド=プレヴィア
「……ミド、わしの事を気にする必要は無い。お前のやりたいようにやりなさい。わしはそれを応援するよ」
ミド
「…………!!」
シド=プレヴィア
「わしはもう一線を引く。後は若い者達が継いでくれるだろう……」

 ミドがシドを叩く。

ミド
「お爺ちゃんのバカ!!」
シド=プレヴィア
「い、痛いぞミド! よさんか!!」
ミド
《さらにシドを叩く》
「お爺ちゃんのバカバカバカ!!」
シド=プレヴィア
「…………」
ガラフ
「!!」

 ガラフの記憶が一部蘇る。


―城のバルコニーらしき所に立っているガラフ。
 そこへ金髪の少女がやってくる。

少女
「お爺ちゃん!」
ガラフ
「……クルル」

 クルルと呼ばれた少女がガラフの元へ走って行き、いきなりガラフを叩く。

ガラフ
「痛たた……! こらこら、よさんか!」
クルル
「お爺ちゃんの馬鹿!! 嘘つき!
《さらにガラフを叩き》
飛竜で連れてってくれるって約束したじゃない! ナナキに久しぶりに会いたかったのに!!」

 もう一度ガラフを叩くクルル。

ガラフ
「すまん……」


 我に返るガラフ。

ガラフ
(…………!!)
ミド
「お爺ちゃんは……どんな事にも負けないんだ!」
シド=プレヴィア
「…………!」
ミド
「お爺ちゃんは僕に教えてくれたじゃないか……! 失敗してもまたやり直せばいいって! それが、研究者なんだって!
僕は……、どんな失敗にも負けないお爺ちゃんが好きなんだ! 今のお爺ちゃんなんか……大嫌いだ!!」
シド=プレヴィア
「!」
ミド
「うう……」
バッツ
「シド、ミドはあんたのために、色々頑張ったんだ。
確かに、俺達は火のクリスタルの崩壊を止める事はできなかった。だけど、俺達は諦めちゃいない。まだ、土のクリスタルが残っている。
あんたもここで諦めちゃいけない。それに、カルナック女王だけじゃない。きっとカルナックの人間みんながあんたを必要としていると思う。
クリスタルの事は俺達が頑張る。あんたは、カルナックのために頑張る。今できることを、それぞれが精一杯頑張ればいいんじゃないかな?」
シド=プレヴィア
「バッツ……」
ミド
「お爺ちゃん……。まだ、やり直せるんだよ」
シド=プレヴィア
「やり直せる……か。
また……やり直す……。完全に忘れておった……。自分の研究者としての信念を……!! わかった、ミド!」
ミド
「お爺ちゃん!!」
バッツ
「シド!」
シド=プレヴィア
「申し訳ありませなんだ、女王。私はカルナックのために粉骨砕身の思いで働きます。それが、今の私のすべき事でしょう」
カルナック女王
「うむ……。頼んだぞ、シド」
シド=プレヴィア
「はい!」
ファリス
「ミド、あれは見せなくていいのか?」
ミド
「! そういえば!」
シド=プレヴィア
「?」
ミド
「お爺ちゃん! この本のこのページを見てみて!」
シド=プレヴィア
「ん……? これは……!!」
ミド
「この理論を使えばもしかしたら……」
シド=プレヴィア
「なるほど! こういう手段もあるのか!」
カルナック女王
「どういう事が書かれておるのじゃ?」
シド=プレヴィア
「女王! この理論を使えば、もしかしたらクリスタルを用いた動力並みの機関を作れるかもしれません!」
カルナック女王
「なんと……!」
シド=プレヴィア
「早速やってみようと思います。いくぞ、ミド!」
ミド
「うん、お爺ちゃん!」


・カルナックの町
 宿へ戻るバッツ達。

エアリス
「これでやっとカルナック海戦のケリがついた、ってカンジね」
マッシュ
「ああ、そうだな」
バッツ
《立ち止まったガラフを振り返り》
「どうしたんだ? ガラフ?」
レナ
「さっきから少し様子がおかしかったけど……。大丈夫?」
ガラフ
「……すまん、みんな。今晩ワシらが泊まっている部屋に集まってくれんか?」
レナ
「いいけど……。何か話があるの?」
ガラフ
「ああ……」
バッツ
「?」
リディア
「なんだろ〜? 凄く楽しみ〜」


・カルナックの宿、ガラフ達の部屋
 ガラフの話を聞くため、部屋に集まったバッツ達。

バッツ
「なぁガラフ、話って一体なんなんだ?」
ガラフ
「…………」
エリア
「もしかして、記憶が戻ったんですか〜?」
ガラフ
「……そうじゃ」
バッツ
「!?」
マッシュ
「本当かよ!?」
ガラフ
「完全ではない。しかし……今までのように断片的なものではない。かなり大切で、そして重要な事を……思い出した」
レナ
「大切で……重要な事……?」
ガラフ
「なぜ……ワシがここにおるかという事じゃ」
マッシュ
「どういう事だよ……?」
ガラフ
「今からワシが言う事が真実かどうかはわからん。何せこの中にワシの言葉を裏付けられる人間などおらぬのだから……」
バッツ
「……話してくれ、ガラフ」
ガラフ
「ワシは……この世界の……。
《少し間を置き》
ワシはこの世界の……人間ではない!!」
レナ
「…………!!」
ティファ
「この世界の……」
ロック
「人間じゃないだって!?」
ティナ
「…………!」
リディア
「じゃあガラフのお爺ちゃんは、宇宙人なの〜?」
エリア
「ええっ! ガラフさんって宇宙人だったんですか〜?」
ガラフ
「いや、そういうわけではない……」
エアリス
「じゃあ、どういう意味なの?」
バッツ
「ガラフ……、ちゃんと説明してくれ。じゃないと、俺達はガラフの言っている事が全く理解できない」
ガラフ
「……話せば長くなるし、まだ曖昧な部分も多い。じゃが、今話せる事は全て話そう。
……まず、この世界は一つだけではない。幻獣界というものが存在するように、この世界と同じような人間の住む世界がもう一つ存在するのじゃ」
ティナ
「…………」
ガラフ
「ワシは……『こちら』の世界のクリスタルの危険を知り、隕石に乗って『こちら』の世界にやって来たのじゃ」
レナ
「隕石に乗ってきたって……」
エリア
「やっぱり、宇宙人じゃないですか〜!」
エアリス
「……あんたは少し黙ってなさい」
エリア
「は、はい……」
ファリス
「『こちら』の世界の、って言葉も気にかかるな」
ガラフ
「……あの隕石は簡単に言えば、ワシらの世界から『こちら』の世界に来るための乗り物みたいなものじゃ。宇宙から来たわけではなく、あれに乗って時空を転移して『こちら』の世界にやって来たのじゃ。
そして……クリスタルはワシらの世界にも存在する。『こちら』の世界と同じ、四元素を司る風、水、火、土の、四つのクリスタルがのう。
ワシがウォルスにやって来たのは、ウォルスにクリスタルがある事を知っておったからじゃ。だから、隕石による時空転移の座標をウォルスに設定した……」
レナ
「ガラフはクリスタルの在り処を知っていたの?」
ガラフ
「ワシは以前にも『こちら』の世界に来た事がある。その時にクリスタルの在り処を確認しておったのじゃよ」
バッツ
「前にも来た事があるって……!」

ガラフ(回想)
『なるほど、似ておるはずじゃ。クラウザー……。やはり、ドルガン=クラウザーの息子か』
ウィン(回想)
『ドルガン……ガラフ……そして残る二人の戦士……暁の四戦士……』

バッツ
「暁の四戦士……」
ガラフ
「……ワシらはそう呼ばれておった。ワシら四人はウィンらとともに30年前……エクスデスと戦った……」
エアリス
「……やっぱり光の戦士も絡んでいるのね」
ロック
「四人って……?」
ガラフ
「ワシと……ゼザ、ケルガー。そして……ドルガン」 
レナ
「その名前って!」
バッツ
「親父の事……なのか? ガラフ?」
ガラフ
「きっと……そうなんじゃろう。駄目じゃ……この部分はよくわからん。急に色々思い出してきて頭が混乱しておるようじゃ」
バッツ
(親父が……暁の四戦士。だから……俺が選ばれたのか?)
ガラフ
「駄目じゃ。また頭が痛くなってきた……。すまんが、逆にわからん事をワシに質問してくれんか? その方が手っ取り早いかもしれん」
エアリス
「……ツースさんがカルナックに現れたのは?」
ガラフ
「ツースはウェアウルフ……。暁の四戦士の一人ケルガーもまたウェアウルフ。ツースは確か……ケルガーの弟子じゃったはず……。
ワシと同じように、カルナックに火のクリスタルがある事を知っていて、クリスタル崩壊を防ぐために『こちら』の世界へやって来たのじゃろう……」
バッツ
「だからツースさんはガラフの事を知っていた……」
エアリス
「ガラフさんの事を知っていたのは、ツースさんだけじゃないわ」
エリア
「ギルガメッシュっていう、あの赤鎧の男もガラフさんの事……知っていました」

ギルガメッシュ(回想)
『アンタの名前、かなり有名だぜ? まあ、こっちでは誰も知らなくて当然……か』

エアリス
「こっちでは誰も知らないって……そういう事だったのね」
ガラフ
「……恐らくギルガメッシュはタイクーンの隕石でやって来たのじゃろう。奴はきっとエクスデスがこちらの世界に放った刺客……」
エリア
「そんな悪い人には見えなかったんですが……」
バッツ
「……きっと、エクスデスっていう強い存在に惹かれているんだ。あいつは、そういう奴だと思う」
マッシュ
「わからなくもないぜ……その気持ち」
レナ
「もし、そのギルガメッシュっていう男がエクスデスの部下で、しかもタイクーンに来ていたとしても、どうしてクリスタルは無事だったのかしら……?」
ガラフ
「……本当に何もなかったのか? レナ?」
レナ
「…………!」
バッツ
「何かに吸い込まれてしまった帝国の兵士……!」
レナ
「それだけじゃない、お父様! お父様も風の神殿で行方不明になってしまった!」
ファリス
「タイクーン王がか……」
ガラフ
「……ワシの推測じゃが、タイクーン王は風の神殿のクリスタルルームでギルガメッシュと鉢合わせたのかもしれんのう」
クラウド
「……そこでタイクーン王は、そのギルガメッシュとかいう奴に敗れた、か」
レナ
「そんな!」
ティファ
「クラウド!」
クラウド
「……俺は推測を言ったまでだ」
バッツ
《レナを振り返り》
「でも、タイクーン王は生きているんだろ? ウォルスの塔に行く前の日の夜に、ウォルス城で話していたよな?」

タイクーン王(回想)
『安心せい……私は……生きておるよ……。
……レナ……せっかくだが……あまり……時間も無い。私が今から言う事をよく聞いておけ……』

マッシュ
「……時間がないっていうのはよくわからねぇけど、生きているとしても、ギルガメッシュって野郎に負けた後なら、結構際どい状況にあるのは確かだろうな」
エアリス
「赤鎧の男なら、タイクーン王の居場所を知っているかもしれない……」
ガラフ
「ギルガメッシュが風のクリスタルに何もしなかったのは、風のクリスタル崩壊は時間の問題で、自ら手を下す必要は無いと判断したのかもしれん」
バッツ
「土のクリスタルの場所は……わからないのか?」
ガラフ
《しばし考え込み》
「すまん、思い出せん……」
バッツ
「そうか……」
マッシュ
「でも、ここまで思い出したのなら土のクリスタルの在り処を思い出すのも、時間の問題だろうな」
ファリス
「ガラフの言っている事が正しいのか間違っているのかはわからないけど、一応辻褄は合ってるな……」
ガラフ
「……自分自身、信じられんのじゃ。今の話の内容そのものも、これから思い出そうとする事も……」
クラウド
「……一つ質問がある」
ガラフ
「なんじゃ?」
クラウド
「……あのドーガという男、何者なんだ?」
バッツ
「…………!」
ガラフ
「……ドーガ様はウィンらと同じく……千年前の人間。ウネ様……ギード様とともに並び称される三賢者の一人。実体は既に失われており、今はウィンらと同じように精神だけの存在……。
バッツらの前に現れたのは、お主らの力を見極めようとしたのじゃろう。クリスタルに選ばれし戦士として相応しいかどうか……。
そしてバッツ……。多分お主は認められたのじゃ」
バッツ
「認められた……?」
ガラフ
「ドーガ様は自分の認めない人間に対しては容赦ない。だが、お主は生きておるしクリスタルの力も持ったままじゃ。だから、お主はドーガ様に認められたのだと思う……」
バッツ
「本当かよ……」
ガラフ
「ワシらに全てを教えないのも、ワシら自身が探求の心を持って真実を知るべきと考えておるからじゃろう。そういうお方なのじゃよ。あのお方はのう」
エアリス
「面倒くさい賢者様ね……」
ガラフ
「……今ワシが思い出せる内容はこれぐらいじゃ。全て思い出すにはまだ時間がかかるかもしれん。それまで、待ってはもらえんかのう?」
ロック
「やれやれ……エドガーになんて説明すりゃいいんだ?」
セリス
「フィガロ王が到着次第、順を追って聞かされた通りに話すしかないだろう……」
バッツ
「そうだな……」
(ガラフの話した内容、俺達はどこまで信じればいい? 全て、信じろって事なのか……? そして……。
親父は一体何者なんだ? クリスタルと関係していた理由自体はわかったけど……。一度、リックスに戻って、調べてみてもいいかもしれないな……)


 第128話へ続く