FINALFANTASYν(ニュー)まとめwiki - 第131話「聖騎士の伝説」
・試練の山、頂上
 巨岩の前で瞑想しているセシル。

セシル
「…………」

突然、何かを感じるセシル。

セシル
「!!」

 セシルの前に、黒いローブを纏った男が現れる。

???
『よく来た、セシル……』
セシル
(……この声は!)
「あなたは、ティンバーに現れた……!」
???
『お前の決意……見せてもらうぞ……』
セシル
「…………!」
???
『闇を照らす光を得るための試練……。乗り越えてみせるのだ……!』


FINAL FANTASYν
第131話「聖騎士の伝説」


・試練の間
光に包まれ、試練の間に連れて来られたセシル。

セシル
「! ここは!?」
???
『……セシル』
セシル
(さっきの男と似た声だけど……別人か!?)
「あなたは……誰だ!? それに、ここはどこなんですか!?」
???
『私は……お前が来るのをずっと……待っていた』
セシル
「僕を……待っていた?」
???
『私では……無理だった。しかし、お前と青き星の人々が、この厄災を共に乗り越える事ができれば……きっと……』
セシル
「僕と……?」
???
『悲しみの歴史を断ち切る力……。我が息子、セシルよ。お前に残されている私の全てを託そう……』
セシル
「!?」
(……息子!?)

セシルの前に青い光の塊が現れる。

セシル
「これは……?」
???
『手を差し伸ばすのだ……。聖なる騎士……パラディンとなるために……』
セシル
「…………」

 しばし迷うセシル。

セシル
「……わかりました」


眠りの地と母なる大地の血を受け継ぎし者よ
お前に力を与える……
Paladin

パラディンの力を……


 パラディンへと姿を変えたセシル。その前に一本の剣が現れる。

セシル
「……これが……パラディン……? それに、この剣は……」
???
『……これからが試練の時だ』
セシル
「!!」
???
『聖なる騎士として、血塗られた己の過去と決別するのだ。過去の己を克服せねば……聖なる力もまた、お前を受け入れはしない……』

 パラディンセシルの前に、暗黒騎士のセシルが現れる。

セシル
「!」
???
『打ち勝つのだ……過去の自分……暗黒騎士であった自分自身に!!』

斬りかかってきた暗黒騎士のセシルの剣を受け止めるセシル。

セシル
「うっ!」
(幻覚じゃない……! 僕が……僕を襲ってくるというのか……!?)
「てやっ!」

 相手の剣を弾き返すセシル。

セシル
(……この剣、さっきまで使っていた暗黒の剣とは違うけれど、暗黒の剣以上に手にしっくりくる)

 再度斬りかかってきた相手の剣を受け止めるセシル。

セシル
(パラディンにはなれた……。でも、僕はこいつをどうすればいい!?)

 パロムとポロムが現れる。

ポロム
「ここは……?」
パロム
「ポロム、あれを見ろ!」
ポロム
「セシルさんが二人!?」

 防戦一方となるセシル。

セシル
「くっ!」
(パロムとポロムか!? どうして彼らがここに!?)
パロム
「! ポロム、手を貸さないと!」
セシル
《剣を交えながら》
「手を出さないでくれ!」
パロム
「どうしてだよ、あんちゃん!」
セシル
「これは……僕の、僕自身との戦いなんだ! この試練は、僕だけで乗り越えなければ意味がないんだ!」
ポロム
「……パロム、今のあなたに残された魔法力じゃどちらにせよ何もできないわ。ここは、見守りましょう。セシルさんを信じて……」
パロム
「あんちゃん……」

相手の攻撃を防ぎ続けるセシル。

セシル
(どうすればいい……どうすれば……。
倒せば……いいのか? 過去の僕自身を……!!
《剣を受け止めながら》
いや、違う!)

 セシルが相手の剣を弾き、剣を収める。

セシル(暗黒騎士)
「…………」
パロム
「おい、どうして剣を収めるんだよ、あんちゃん!」
ポロム
「危険ですわ! セシルさん!」
セシル
「僕はこの自分自身の過去を倒せばいいのか? いや、違う。倒してはいけないんだ」
ポロム
「…………?」
セシル(暗黒騎士)
「…………」
セシル
「僕はずっと……ずっと苦しんできた。自分の無力さを嘆いてきた!
でも、そうやって苦しんだからこそ、今僕はここまで辿り着く事ができたんだ!
僕は……暗黒騎士の自分から目を背けたりはしない! 暗黒騎士という事に苦しんで、苦しみ抜いて! 今の僕がある!!
みんなを守りたい……。そのために目指したこのパラディンの力! そのためにあった過程の中の自分を、僕を否定しない!!
さぁ、斬れるなら斬るがいい! 昔の僕よ! お前が僕自身だというのなら! この僕の決断を断ち切る事はできない! これが、お前が、僕が、求めていたものなんだ!
僕は決断した! もう、迷いはない!!」
セシル(暗黒騎士)
「…………」

 暗黒騎士のセシルが一歩近づいてくる。

パロム
「あんちゃん……!」
ポロム
「セシルさん……!」

 一瞬の沈黙の後、暗黒騎士のセシルが消滅する。

セシル
「!!」
パロム
「消えた……!」
???
『よくぞ、よくぞ試練を乗り越えた……』
ポロム
「この声……さっきの男と似ていますわ……」
???
『行くのだ……セシルよ……。悠久の風を纏いし者達と共に……』
セシル
「! 待ってください! あなたは一体!?」
???
『…………』

 光に包まれるセシル達。


・試練の山、頂上
 元の場所に戻ったセシル達。

セシル
「…………!」
ポロム
「帰ってきましたわ!」
パロム
「やったな! あんちゃん!」
セシル
「あ、ああ……」
(この光り輝く剣……。これがパラディンの剣なのか……)
「……君達はどうしてあそこに?」
パロム
「あんちゃんを呼びに来たら、あんちゃんがここにいなくて、そんで変な格好した男が現れて……」
セシル
「ローブの男!! 君達も見たのか!?」
パロム
「…………! それどころじゃない! 大変なんだ!」
セシル
「どうしたんだい?」
ポロム
「テラ様達が強力な魔物に襲われているんです! 早く助けに行かないと!」
セシル
「本当なのかい!?」
パロム
「ああ! 急がないとやばいぜ!」
セシル
「わかった!」


・試練の山、つり橋
苦戦を強いられつつも、スカルミリョーネと戦い続けているテラ達。

ユフィ
「火遁!」

 ユフィが火遁を放つ。

ヤン
「てやっ!」

 続いて、攻撃を繰り出すヤン。

スカルミリョーネ
「フシュルルル……」

 毒のガスを放つスカルミリョーネ。

テラ
「ポイゾナ!」

 テラがユフィ、ヤンにポイゾナをかける。

ヤン
「もう一撃!」

 ヤンが再び攻撃しようとするが、スカルミリョーネの攻撃に阻まれる。

ユフィ
「くらえ! 十字手裏剣!」

 十字手裏剣を投げつけるユフィ。

スカルミリョーネ
「フシュルルル……」

 再び毒のガスを放つスカルミリョーネ。

テラ
「……ポイゾナ!」

 ユフィと自分にポイゾナをかけるテラ。

ヤン
「大丈夫ですか、テラ殿!」
テラ
「……すまぬ……そろそろ魔力が限界じゃ……!」
ユフィ
「そりゃそうだろうね……。あんだけ毒回復して、ケアル唱えてりゃそろそろヤバイってのはわかるけど。アタシも忍術はそろそろ無理かも……」
ヤン
「それに、どれだけ攻撃をし続けても………全くダメージを与えられているように見えん……」
テラ
「それはきっと、奴がアンデッドとしての力を持っておるからじゃ……。一般的にアンデッド状態とは痛覚を失った状態の事だとも言われておるしのう……」
スカルミリョーネ
「フシュルルル……。その通りだ老人よ。他の四天王達にはないこの俺だけの力、アンデッド特性。それが土のスカルミリョーネの恐ろしさだ!」
ユフィ
「……厄介なゾンビヤローだぜ。他の奴らはなんか人質を取りこそすれ、人間っぽくてまともそーっちゃまともそうだったけど」
スカルミリョーネ
「フシュルルル……。他の奴とは……ルビカンテ達の事かぁ……?
今の俺は……アイツらとは違うぞ……?」
テラ
「何!?」
スカルミリョーネ
「ルビカンテの奴は……愚か者だ。自ら滅ぼしに行ったエブラーナの王子を……殺さずにいたようだった……!」
ユフィ
「! エッジの兄貴の事か!?」
スカルミリョーネ
「さァ……? 名前までは知らん……。だが、強い奴だったとは聞いている……。殺して俺の所に連れてこればきっと『再利用』させてもらっていたのだがなァ……」
ユフィ
「てめぇ! そんな事は絶対にさせないよ!! それに、エッジの兄貴はどこにいるんだ!」
スカルミリョーネ
「フシュルルル……知らんな……」
ユフィ
「…………」
スカルミリョーネ
「……もっとも、俺はそれでいいと思っていた。ルビカンテは頭こそ固いが信頼できる奴だし、そういった面をゴルベーザ様も買っていたからなァ……。
だが……それは違うゥ……! 俺は今知った! フシュルルル……。思いのままに暴れ、打ち据え、破壊する喜び。これはゴルベーザ様の元では味わえない快感だ……!」
ユフィ
「!?」
テラ
「どういう事じゃ? 奴ら四天王は一枚岩ではないという事なのか?」
ヤン
「……詳しい事はわからないが、先ほどセシル殿から聞いた話と、今ここで奴が我らを襲う事。確かに一貫した行動とは思えん……」
テラ
「……ゴルベーザだけではない、別の黒幕がいるという事なのか?」
スカルミリョーネ
「……貴様らも……この毒と……俺の可愛いアンデッド達によって……じっくりなぶり殺した後に……、『再利用』してやるゥ……!!」
ユフィ
「うっ! それは勘弁!」
スカルミリョーネ
「フシュルルル……。拒んでも無駄だァ! 苦しみ悶えながら、死ね!!」

 スカルミリョーネが毒のガスを放つと同時にゾンビを召喚する。

ユフィ
「ゲホッ……。また……ゾンビかよ……」
スカルミリョーネ
「フシュルルル……。この山に生息するアンデッドは全て俺の支配下にある……! さァ、行くのだ!!」

 テラ達に襲いかかろうとしたゾンビ達が、光に包まれ消える。

スカルミリョーネ
「フシュルルル……!?」
ユフィ
「ゾンビが……消えた!?」

 セシル、パロム、ポロムが駆けつける。

パロム
「そこまでだぜゾンビ野郎!」
ユフィ
《セシルを見て》
「アンタ……その格好は!」
テラ
「セシル!」

 スカルミリョーネの前に出て行くセシル。

セシル
「アンデッド……丁度いい」
スカルミリョーネ
「セ、セシル=ハーヴィなのか!? だが、その姿は……!!」

 セシルの斬撃をくらうスカルミリョーネ。

スカルミリョーネ
「ウガァァァァ!!」
ユフィ
「苦しんでるよ、アイツ!?」
テラ
「……セシルが持っておるのは聖なる力を帯びた剣。アンデッドには効果抜群じゃろう」
スカルミリョーネ
「フシュルルル……!」
セシル
「聖なる光よ……僕に力を!」

聖なる力を剣に集めるセシル。

スカルミリョーネ
「ウグッ! 光が……!」
セシル
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 聖なる光を纏った剣で、スカルミリョーネに連続で斬りつけるセシル。

スカルミリョーネ
「グ……パァ……」

 バランスを崩し、橋から落ちるスカルミリョーネ。

ヤン
「落ちていった……」
テラ
「倒した……のか?」
セシル
「大丈夫です。
僕のこの力……。このパラディンとしての力があれば、あいつなら何度戦っても……勝てます」
ユフィ
「す……すげぇ自信」
ヤン
「パラディンの力……、もう己のものとしたのか」
セシル
「ええ……。暗黒騎士の時とは違って、自分の中で力が漲っている気がします」
テラ
「わしの見込みどおりじゃったという事かな」
セシル
「はい。テラさんのおかげです」
テラ
「おっと、実際にパラディンになれたのはお主の努力の賜物じゃぞ。わしはただ少し手を貸しただけじゃ」
パロム
「うっし! いつまでもこんな所にいないで、ミシディアに帰ってからゆっくり話そうぜ! オイラもうクタクタだよ〜」
ユフィ
「あ、賛成! またあんなゾンビヤローと会いたくないしサ、ちゃっちゃと帰ろうぜ!」
テラ
「そうじゃのう……」
ポロム
「じゃあ、早く山を降りましょう」


・ミシディア、長老の家
 長老に試練の山での事を話すセシル達。

長老
「うむ……。聖騎士の伝説は真じゃったか……」


セシル
ミシディアに帰ってから、僕は長老に試練の山の出来事を全て話した。それだけじゃなく、僕がなぜパラディンになろうとしていたのかも。


長老
「確かに、声が聞こえたのじゃな?」
セシル
「はい。頂上で話しかけてきた男とは別に、試練の間でも声が聞こえてきたんです。その声は僕を……息子と呼びました。
僕は父の事を知りません。陛下にも……教えてもらった事はなかった。もしかしたら、陛下は知っていたのかもしれないけれど……。とにかく、僕にはあの声が誰なのか、全く見当がつかないんです」
長老
「ふむ……」
(バロンからの使者、山で聞こえた声。そしてセシル殿がパラディンを志した理由……)
「……なんとなく、お主がパラディンになれた理由がわかる気がするのう」
セシル
「?」
テラ
「長老。わしはセシルからその声の話を聞いて、もしかするとミシディアに伝わるあの伝説と関係があるのではないかと考えたのじゃが……」
長老
「……あの伝説か!」
(バロンの使者の話とどんどん繋がっていくのう。……『大いなる船』の事も、考える必要がありそうじゃな)
セシル
「伝説?」
長老
「……セシル殿。ミシディアには遥か過去より伝わるひとつの伝説がある」
セシル
「聞かせて……頂けますか?」


竜の口より生まれしもの
天高く舞い上がり
闇と光をかかげ
眠りの地にさらなる約束をもたらさん

月は果てしなき光に包まれ
母なる大地に大いなる恵みと
慈悲を与えん……


ユフィ
「どういう意味だかサッパリじゃん……」
長老
「……竜の口とは、ミシディア西側の内海の形だと推測されておる。地図で見てみればよくわかるのだが、竜の口のような形をしておるのじゃ」
セシル
「眠りの地……。試練の間で聞いた声にも、そんな言葉があったように思います」
ユフィ
「そこに月が何で出てくるのさ」
長老
「ミシディアには月に関する伝説や伝承がたくさんあるのじゃ。一般にもよく知られておるかの月の涙の逸話も、ミシディアには古くから伝わっておる」
セシル
「そういえば……ゴルベーザは言っていました。自分の目的は……月への道を切り開く事だと……」
長老
「…………」
セシル
「月には……何かがある……」
長老
「……ゴルベーザという男の目的は、彼自身から直接問い質さなければわからんじゃろう。そのためにも、セシル殿の願いどおりデビルロードを開放しよう」
セシル
「ありがとうございます」
長老
「そしてパロム、ポロム」
ポロム
「何でございましょう?」
長老
「お主達はセシル殿についてゆくのじゃ。ここで修行するよりは、きっといい経験になるじゃろうからな」
パロム
「ええっ!?」
長老
「……それに、ここよりは退屈な思いはせんじゃろう。よろしいかなセシル殿? この双子の実力は理解してもらえたと思うのじゃが……」
セシル
「……わかりました。彼らがいると心強いですし。
あらためてよろしく。パロム、ポロム」
パロム
「ま、じいさんの言うとおりあんちゃんと一緒の方が面白そうだな。つーわけでよろしく、あんちゃん! オイラがいるからには百人力だぜ!
《ポロムに叩かれる》
イテッ!」
ポロム
「これからお世話になりますわ。セシルさん」
パロム
「チッ、いいかっこしーめ」
長老
「テラ、お主はこれからどうするのじゃ? わしとしては、セシル殿達の戦いを助けてやって欲しいのじゃが?」
テラ
「元よりそのつもりじゃ。ここまで色々知ってしまって、今更途中で知らぬ顔をできるわけもないしのう。娘の事も一段落ついたしわしも協力しよう」
セシル
「ありがとうございます、テラさん」
ユフィ
「アタシは……バロンには行かないよ」
パロム
「どうしてだよ、ねーちゃん!」
ユフィ
「あのゾンビヤローの話だとエッジの兄貴やローレンツはバロンにいないみたいだし、それにもうアンタが悪い奴じゃないってのは十分わかったし……」
セシル
「ユフィ……」
ユフィ
「アタシはまたマテリアハンターのユフィちゃんに戻るとするよ。マテリアを探しながら、自分でエッジの兄貴達を探す」
セシル
「じゃあ、一旦お別れ……だね」
ユフィ
「まぁ短い間だけだったけど楽しかったよ。カルナックの連中には、ついでにアタシが連絡しといてやるさ」
セシル
「僕も楽しかったよ。怪我には気をつけて……」
ユフィ
「……ああ」
(お別れの言葉も、びっくりするくらいマジメ君な台詞だなぁ。でも……コイツらしくてそれはそれでいっか)
セシル
「ヤンは……?」
ヤン
「……私もできればセシル殿達とバロンへ向かいたいのだが……。生憎、ファブールに戻らねばならない。陛下がいない間の留守を任される事になっているのだ……」
セシル
「……いいんだ、ヤン。でも僕や僕の仲間達が、ヤンやファブールの力を必要とする時がきっと来ると思う。その時には、よろしく頼む」
ヤン
「ああ! 必ず駆けつけよう!」
セシル
(僕の準備は……全て整った……。僕はこの力でカインと戦う……!
待っていてくれ、ローザ。必ず、君を助け出してみせる!)


・試練の山、登山口
 倒れているスカルミリョーネをルビカンテが治療している。

スカルミリョーネ
「……ウグッ……!!」
ルビカンテ
「目覚めたか……」
スカルミリョーネ
「ルビカンテ! それに俺は……一体……!?」
ルビカンテ
「何も覚えていないのか?」
スカルミリョーネ
「いや……、覚えては……いる。何故かはわからんが……俺は強い憎しみと破壊の衝動に駆られていた……」
ルビカンテ
「なかなか派手にやらかしたようだな。そして、派手にやられたようだ。私がお前を見つけた時、お前は本当に消え去る直前だった」
スカルミリョーネ
「……お前が治療してくれたのか?」
ルビカンテ
「ああ。ゴルベーザ様のためにも、今我々四天王は誰一人として欠けるわけにはいかん」
スカルミリョーネ
「フシュルルル……すまない」
ルビカンテ
「気にするな」
スカルミリョーネ
「……しかし、俺は何故ああなってしまったのだ?」
ルビカンテ
「心当たりはある。その事も、帰ってゴルベーザ様に報告する必要がある」
スカルミリョーネ
「……わかった」
ルビカンテ
「セシル=ハーヴィ達との接触を避けるためにもデビルロードは使えん。空間転移もここからバロンまでは遠すぎる。これを使うぞ」
スカルミリョーネ
「それはテレポストーン!? どこで手に入れたのだ?」
ルビカンテ
「……ガストラに行った時だ。ゴルベーザ様に万一の事があった場合にと一つ頂いておいたのだが、止むを得まい。ここで使う」
スカルミリョーネ
「お前……本当にゴルベーザ様のためには手段を選ばんな」
ルビカンテ
「……フッ」
(……この場所だからこそ奴の声は届き、スカルミリョーネを狂わせたのだ。奴がさらに力を取り戻してくるとなれば……私も用心せねばならんな)

 テレポストーンを使い、バロンへ帰還するルビカンテとスカルミリョーネ。


 第132話へ続く