FINALFANTASYν(ニュー)まとめwiki - 第141話「バロン城奪還 其の弐」
○バロン城、廊下
 メーガス三姉妹と戦闘を続けるマッシュ達。

 リフレクに跳ね返されたファイラに耐えるガラフ。

マッシュ
「爆裂拳!!」

 ドグに爆裂拳を放ち、次いでロックが攻撃する。

ポロム
「ケアルラ!」

 マッシュにケアルラをかける。

ドグ
「回復魔法か……!」
マッシュ
「これで終わりだ!
メテオストライク!!」

 ドグにメテオストライクを放つ。

ドグ
「うぐ……」

 ドグが倒れる。

ラグ
「ドグ!」
マッシュ
「こいつは俺達に任せろ!」
ガラフ
「今じゃ!」
ロック
「うおお!」

 ラグに一気に攻撃を仕掛ける。

マッシュ
「オーラキャノン!」

 オーラキャノンが直撃し、ラグが倒れる。

パロム
「やりぃ!」
ポロム
「後は一体だけですわ!」
マグ
「こんなものではまだ、我ら姉妹は倒せない!」

 ラグとドグの身体が光り、気絶から回復する。

ファリス
「…………!?」

 リフレクに反射されたブリザラをくらう。

ガラフ
「ぬおっ!」
マグ
「ハイポーション!」

 自分にハイポーションを使う。

ロック
「やべぇ! 回復されちまう!」

 隙を突かれ、ドグの攻撃をくらうマッシュとロック。

マッシュ
「復活しただと!?」
ラグ
「我ら三姉妹のコンビネーション、お前達には破れまい!」
ドグ
「何度でも貴様らの相手をしてやる!」
マッシュ
「おかしいぞ、二体ともかなりのダメージをくらって気絶したはずなのに……!」
ポロム
「もしかしたら、リレイズかもしれません!」
ロック
「リレイズ!?」
ポロム
「はい! 気絶状態を回復させる、ケアル系よりも強力な魔法です! 詠唱者が予め唱えておけば、かけられた者が気絶すると同時に発動します!」
ロック
「それじゃ、まるでアンデッドじゃないか!」
パロム
「いや、回復だからアンデッド化とは違うんだ。それに、リレイズは超高等魔法のはずだぜ! 発動する条件が厄介なんだけど、そんな魔法を唱えられる奴がいるなんて……!」
ファリス
「伊達に、ここの守りを任されているわけじゃないって事か……」

 リフレクで返されたファイラをくらう。

ロック
「うわっ!」
マグ
「リレイズ!」

 ドグ、ラグにリレイズをかける。

マッシュ
「くそっ! また唱えられちまった! どうすりゃいいんだ!?」
ファリス
「慌てる必要はないさ」
ガラフ
「うむ。そうじゃな」
マッシュ
「慌てなくてもいいって、どういう事だよ!?」
ファリス
「そのリレイズを唱える奴から倒していけばいいだけじゃないか」
マッシュ
「そうか! でもよ……」
ガラフ
「かなりの攻撃を耐える覚悟がいるじゃろう。じゃが、これくらいでへこたれるわしらではない!」
マッシュ
「……そうか、そうだよな。
よし! 倒し方さえわかれば、こっちのもんだ!」
ラグ
「その強気な口もいつまで叩けるかな?」
ドグ
「我ら三姉妹の必殺、デルタアタックの猛攻の中でもがき苦しむがいい!!」
マッシュ
「それがどうした! 根競べなら、負ける気はしないぜ!」


FINAL FANTASYν
第141話「バロン城奪還 其の弐」


○バロン城、中庭
 カイナッツォを攻めあぐね、打開策を探るバッツ達。

セリス
(打開策を見つけるには、まだ情報が足りない……)
バッツ
「セリス、もしかして魔封剣なら……」
セリス
「ええ、やってみる価値はありそうね」
カイナッツォ
「クカカカ……! 無駄だ! 貴様らは俺の津波の前に消え去る運命にあるのだ!」

 再びカイナッツォが水を集める。

エリア
「また水が集まっています!」
レナ
「時よ、足を休め、選ばれし者にのみ恩恵を与えよ! スロウ!」

 襲いかかろうとするフレイムドッグにスロウをかける。

バッツ
「リディア、シヴァの召喚をぎりぎりまで我慢してくれないか!」
リディア
「わかった、やってみる!」
ティナ
「犬……邪魔……」

 ティナがフレイムドッグにサンダラを放つ。

フレイムドッグ
「グオオオオッ!」
レナ
「! あの魔物、かなり苦しんでいるわ!」
バッツ
「やっぱり、あいつの所にたまっている池の水の影響で雷魔法が強化されているのか!?」
テラ
「うむ……じゃが、そうなると更にあやつに雷魔法があまり通じん理由がわからなくなるのう」
ティナ
「バッツ、あの犬を倒さないと……」
バッツ
「! そうだった!」

 バッツが止めの一撃を刺し、フレイムドッグが倒れる。

カイナッツォ
「アヒャヒャヒャ! くらえ!」
セリス
「魔封剣!」

 津波の水が一部、セリスの剣に吸い込まれる。

レナ
「吸収した!」
エリア
「でも、津波は引いていません!」
セリス
(魔封剣で少しは吸収できる……。そして、苦しんでいたあの魔物……)
カイナッツォ
「死ねい!」

 リディアがシヴァを召喚し、残りの津波を凍らせる。

リディア
「ハァ……ハァ……、もう……無理……だよ」

 凍りついた水が引いていく。

カイナッツォ
「クカカカ……。その様子だと、もうシヴァを召喚する事はできんようだな」
エリア
「ブリザド!」
カイナッツォ
「無駄だ、ウォータ!」

 ブリザドがウォータに相殺される。

エリア
「私の魔法じゃ、駄目なんですか……」
カイナッツォ
「一つ教えておいてやろう。実は俺はこういう見てくれでも、氷魔法はあまり好きではない。しかし、ブリザラ程度では俺のウォータに打ち消され、お前達は俺に近づく事もできん!
《魔法で水を作り出し》
そして、この水のバリアを体に纏えば雷魔法も通じないのだ!」
セリス
(もしかしたら……)
バッツ
「くっ……、あの水のバリアさえなけりゃあ……」
セリス
「雷魔法が通じないなんて有り得ないわ。あの津波が魔封剣でも完全に止められないというのなら……!」
バッツ
「セリス……?」
カイナッツォ
「クカカカ、貴様らはよく二度も俺の津波に耐え切った! しかし、それもここまでだ!!」
セリス
「みんな、私の指示に従って。きっとあいつの津波を打ち破れるわ」
バッツ
「本当か!」
セリス
「ええ……。奴に上手く騙されていたわ。でも、もう大丈夫よ」


○バロン城、廊下
 マグを先に倒す戦法に切り替え、攻撃を仕掛けるマッシュ達。

ポロム
「ケアルラ!」

 ガラフにケアルラをかける。

マグ
「私の鎌捌きをなめない事ね!」
パロム
「魔法が使えりゃ、あんなやつ!」
ファリス
(試してみるか……)
「ガラフ、退いてくれ!」

 ガラフが退がる。

ファリス
「大地の精霊よ、俺に力を!」

 マグが鬼火に包まれる。

マグ
「なんだと!?」
ファリス
「風水士の力は、魔法じゃなくて自然現象。魔法を跳ね返すリフレクじゃあ効果はない、か」
ガラフ
「そこじゃ!」

 隙を突いたガラフが一気に仕掛け、マグを戦闘不能にする。

ラグ
「マグ!」
マッシュ
「でりゃあああ!」

 さらにマッシュがドグを倒す。

パロム
「行くぜ、ポロム!」
ポロム
「うん!」

 魔力を高めるパロム、ポロム。

パロム、ポロム
「「プチフレア!!」」

 二人の魔法が炸裂し、ラグが倒れる。

ロック
「やった……のか?」

 メーガス三姉妹の姿が消える。

マッシュ
「消えた!」
ガラフ
「どうやら魔法生物の一種だったようじゃ。魔力が弱り、その姿を保てなくなったのじゃろう。
しかし、四天王の配下でこの強さとは……」
パロム
「オイラ達が試練の山で戦ったゾンビ野郎も、もしセシルのあんちゃんがパラディンになっていなかったらって思うとゾっとするぜ」
ファリス
「その上に君臨するゴルベーザって野郎。もしここで戦う事になったら……」
マッシュ
《先に走り出し》
「今はそんな事考えてる場合じゃないだろ! 王の間に向かおうぜ!」
ガラフ
「おっと、そうじゃったな!」
ファリス
(ここは敵の本拠地なんだ。これだけで終わるとは思えない。
次は何が出てくる……?)


○バロン城、中庭

セリス
「……いい? 私の指示通りに動くのよ」
カイナッツォ
「クカカカカ!」

 カイナッツォが水を集める。

レナ
「ひるがえりて来たれ、幾重にもその身を刻め……ヘイスト!」

 バッツにヘイストをかける。

セリス
「魔封剣!」

 再び、セリスの剣が津波の水を一部吸収する。

カイナッツォ
「無駄だ! そんなものではこの津波を消す事はできんのだよ!」
セリス
「これで、あなたの魔法力で作り出した水は無くなったわ……!」
テラ、ティナ
「「暗雲に迷える光よ、我に集いその力解き放て! サンダラ!」」

 カイナッツォに二条のサンダラが落ち、水が引く。

カイナッツォ
「ぐおおおおお!」
レナ
「効いてる!!」
セリス
「今よ!」
エリア、レナ
「「闇に生まれし精霊の吐息の凍てつく風の刃に散れ! ブリザド!」」
カイナッツォ
「うぐ……だが、そんな氷魔法は……ウォータ!」
バッツ
「だったら、そのブリザドにあんたの魔法に負けない勢いをつけさせてやればいい!」

 二人のブリザドを受け取ったバッツの魔法剣がウォータを弾き、バッツがカイナッツォに突っ込む。

カイナッツォ
「何! 俺のウォータで吹き飛ばされんだと!?」
バッツ
「魔法剣、ブリザドぉっ!」

 ブリザド剣が炸裂し、カイナッツォを吹き飛ばす。

バッツ
「ど……どうだ……!」
セリス
「あの津波を破る策は見つかったわ……。後は、数で押せる私達が有利よ」
カイナッツォ
「ググ……。
仕方あるまい、退くとしよう。そろそろ向こうも決着が着く頃だろうからな」
バッツ
「…………?」

 水に包まれたカイナッツォが姿を消す。

ティナ
「……逃げた?」
セリス
「そのようね。今のあいつにとっては、妥当な判断でしょう」
レナ
「でも、セリスさん。どうして水を集めている時には雷魔法が通じるってわかったんですか?」
セリス
「……私達はあいつに上手く騙されていたのよ」
バッツ
「騙されていた……?」
セリス
「まず前提として、確かに電気を通さない水というものは存在するわ」
エリア
「そうなんですか!?」
セリス
「ええ。私達が普段飲む水には、水以外の色んな成分が混ざっているわ。だから電気を通すの。逆に、完全に水だけなら電気は通さない。そういうものなの。
……知り合いからの、受け売りだけれど」
エリア
「そうだったんですか……。知らなかったです」
テラ
「つまり、あやつはその純粋な水というものを自由に作り出す事ができたというわけか」
ティナ
「その水を体に纏っていた……。だから、雷魔法が通じなかった」
セリス
「でも、あの津波の攻撃の前だと話は変わってくる」
レナ
「そういえばあいつは、あの時は池の水を体に纏っていました!」
セリス
「だから、私の魔封剣で奴が魔法で作り出した分の水を吸収してやれば……」
テラ
「電気を通す池の水だけを奴は体に纏う事になるわけか……。なるほど。あれだけの池の水を纏っていれば、受けるダメージはより大きかったじゃろうな」
セリス
「そう、だからあえてあのタイミングまで待ったのよ。さすがにあの威力では、津波のエネルギーを維持する事はできないでしょうしね」
リディア
「でも、セリスお姉ちゃん。そんな事知っているなら、どうしてもっと早く気がつかなかったの〜?」
エリア
「確かに……そうです」
セリス
「……そこが奴の狡猾だった所よ」
レナ
「どういう事ですか?」
セリス
「私達に対する意識付け……とでもいいましょうか。奴は最初、私達に対して二体の魔物を向かわせた。いかにも、という弱点を持った二体の魔物をね」
バッツ
「そうだったな。で、実際あの二体は見たまんまの弱点を持っていた」
セリス
「そこで、私達に先入観ができてしまったのよ。『敵の弱点は見たまま』、というね」
レナ
「確かに、私達はあのカイナッツォが現れた時、見たまま水使いだったから雷が弱点だと判断してしまいました」
セリス
「ところが、奴には最初雷魔法は通用しなかった。だから、私達は混乱してしまったのよ」
テラ
「……雷魔法を使うという選択肢を消されてしまったという事か」
セリス
「その上、奴は効果があまり長く持続しないサイレスも使った。これが私達に魔法を使おうと思えば使えるのに、使えたとしても通用しないという焦りを生ませたの。
……正常な判断ができなかったわ。冷静に対処し、もっと早く電気を通さない水もある事を思い出せていたら、こんなに苦戦しなかった」
バッツ
「俺達はあいつの掌の上で上手く踊らされちまってたのか……」
ティナ
「あいつは……津波さえ使えれば私達に勝てた。でも、その攻撃にはとてつもない弱点がある。それに気づかれないように……ここまでした」
セリス
「……リディアのおかげよ。情けない話だけど、あれだけ考える時間があったから冷静になれたわ」
リディア
「やった! セリスお姉ちゃんにほめられた!」
セリス
「奴が冒したミスは二つ。まず、池の水を集めている状態で私達に一度サンダラを使わせてしまった事」
バッツ
「あの時のサンダラの威力は、いつも以上だった」
セリス
「もう一つは、私達の焦りを更に助長させようとあえて自分の弱点を教えた事。あれは、やり過ぎね。あそこまでする必要は無かったわ。わざとらし過ぎた」
バッツ
「でも、凄いよセリス。俺達だけだったら、絶対にここまで気づけなかった」
テラ
「うむ。あの魔封剣というのにも驚いたがのう……」
セリス
「……そんな事ないわ。私もまだ未熟。もっと早く気がつかないといけなかった。きっとガーランドあたりなら、一度目の時にはもう気がついていたでしょうね」
バッツ
「あいつか……。俺も、それくらい冷静に判断できるようにならないといけないのかもな……」
セリス
「……あなたは、そのままでいいんじゃないかしら。今のスタイルが合っているなら無理に変える必要はないし、そもそも、この編成でそういう役割を担うのは私の役目。適材適所よ。
それに、アタッカーとしてのあなたは欠かせない戦力だから。下手に裏方に回られると戦線が破綻してしまう。あなたは攻撃にのみ専念した方がいいわ」
バッツ
「そ、そうかな……」
ティナ
「……どうしたの、バッツ?」
バッツ
「いや……まさか、セリスに褒められるなんて思ってもみなかったからさ……」
セリス
「…………」
リディア
「! そうだ、早くセシルお兄ちゃんのところに行かないと!」
セリス
「……そうね。行きましょう」


 第142話へ続く