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キュトスの姉妹結界の六十二妹

緑の君エクリエッテ。

20番目のエクリエッテは菜食主義であるが、この事は彼女と【樹木神】の因縁の深さを思わせる。

飛来神群に好かれているのか、飛来神群を引き寄せる性質を持つ。

アーズノエルの御手左翼1番手。

人となり

口調

「気にしないほうがいいよー。レーちゃんはー、ねー様方をリーちゃんにとられて嫉妬してるだけなんだからー」
「やーい。シスコンー。ヒス持ちー。若作りー」


「弱音を吐いちゃだめよ、レーラァ。一人ひとりは弱くても、力を合わせればできないことはない。それが私たちキュトスの姉妹でしょう」


「特殊ではなくなり。 私の田舎では普通のルールだったり」

乳首に手が生えている。

エクリエッテの乳首に手が生えているというのは勿論比喩表現である。【乳首に手が生えている】というのは身持ちが固い、貞操観念が強いなどといった意味だ。

樹性

20番の【エクリエッテ】はキュトスから【樹】性を受け継いだ。彼女が「緑の君」、「繁茂の姫」と呼ばれるの理由はそこにある。
百年周期で咲き誇り、十年周期で葉を新しくする。

『竜の前足』とよばれる秘術を扱う。肉体そのものを大樹と同化させる事で巨大化し、無尽蔵に植物を取り込むことで際限なく大きくなることができる。このためディシルキュトスと並び称される。

行い

領地

ティルブ大森林 - 亜大陸に存在した霊峰ミューブラン?跡地の地下に、逆さまに生えた木々によって構成された大森林。

文化

キュトス占いでは「野菜を食べろ」を意味する。

累卵の記述項

累卵の記述項
Cu2-20 エクリエッテ・ティリビナ=黄昏/ザ・グリーン

【緑の君】 【夕焼け姫】 【竜の前脚】 【灼熱罪牢】

【樹】の魔女といえばエクリエッテの名が真っ先に挙がるように、彼女は植物である事をその存在の本質とする。
71の魔女達の中にあって比較的ポピュラーであり異形の象徴のように扱われる彼女であるが、それには彼女がキュトスの魔女として人々の前に姿を現す事が多いキュトス戦団、すなわちアーザノエルの御手?の最前線で戦う騎士であることが原因である。
常に姉妹達の前線に打って出て外敵を駆逐するその威容は傍目にも恐ろしく映ったのであろう、ワリバーヤ王朝第七代王太子ハリマンダ?が魔女狩り令を出し2万に及ぶ兵力を投入した際、単騎で敵軍を壊滅に追い込んだエピソードは未だに恐怖と共に伝説に語られている。

伝承に拠れば、その巨躯は竜の如し、その威容は巨木の如し、さらに怒号は烈火の如しと言われており、人的な被害は重傷者含めて「10万」にも及んだと言う。
即ちワリバーヤ軍を壊滅状態に追い込んだだけでは飽き足らず、何の罪科も無い平民達をも巻き添えに国土を蹂躙した怪物、それがエクリエッテが今なお畏怖をもって語られる要因である。

【巡る必殺】アルファラルファ亡き後に後継として誕生したエクリエッテの戦果はめざましい。
初陣である南東海戦役、続くチャカ大陸の大乱で快勝を上げ、砂丘図書館の反乱やアナホル襲撃事件においてもめざましい活躍を続ける。
その後も幾多の戦場を駆け抜けその全てを勝利で飾ってきたエクリエッテは、その全ての記録において異形の姿で語られている。
曰く、エクリエッテは乳首に手が生えている。
曰く、エクリエッテの両肩からは無数の枝が伸びており、敵兵を串刺しにする。
曰く、エクリエッテは大地ではなく生命に根ざし、生気を残らず吸い取ってしまう。

人というよりは植物に近い外見をした彼女は、その原型が限りなくティリビナの民?らに近い存在である。
ティリビナの民(ティリビーアー)達は古き神々、ティリビナ神群が【人類】によって創造した種族であり、ティリビナ神群が紀元神群に敗北すると同時に紀元人類に敗北し、奴隷種族となった。
逃亡したティリビナの民の大半はチャカ大陸に移住したが、そこでも民族同士の紛争を続ける事となる、がそれはまた別の話。

ここで肝要なのは、ティリビナの民たちは元をただせばエクリエッテに似せて作られていると言う事だ。
最初の大追放?の後、数多くの「不要な神々」たちが大地の外側に追いやられた。
アルセス神が何も持たない女神キュトスに大地を贈ろうとしたためである。
アルセスの身勝手のために理不尽に追放された彼ら・・・追放者たちの一部は再び大地を我が物とするために蜂起し、【来訪者】、すなわりヴィジターとして世界に再来する。
その1柱である甘神レ、ティリビナ大森林や【緑の霊峰】ミューブランを再支配し【結実と樹木の神】レルプレア?として再臨した彼女は3柱と99柱の神々を生み出し、ティリビナ神群を生み出した。
しかし紀元神群の将、英雄神ピュクティエトはその灼熱の焔、不滅の火炎によってティリビナ神群の領地を焼き払い、彼女達から力を剥奪すると99柱の神々を滅ぼした。緑豊かな霊峰ミューブランは禿山となり、乾いた四角錘を生み出した火神はその後、乾錐神の異名で呼ばれることとなる。

消えない焔は荒野を巡り、その後も四柱の神々を苦しめ続けた。ピュクティエトは敢えてティリビナ神群を滅ぼさぬ事で、他のヴィジターたちへの見せしめとしたのである。
不滅の炎の牢に閉じ込められたレルプレアたちは身を焦がす苦しみに耐えていたが、あるとき檻の外に一人の魔女が現れた。
その魔女がエクリエッテ、未だ異形の身ならざる彼女はある感情にせきたてられる様にして各地を回っていた。
彼女を突き動かすその感情は、「罪悪感」と呼ばれるものであった。
槍神アルセスの全ての行動の原因は、元はといえば恋人キュトスのためなのである。アルセスの行為にキュトスは嬉しさを感じつつも、それによって生じた犠牲への罪悪感に苛まされていた。
しかしそれをアルセスの前で現したくないと言うキュトスの感情はやがて彼女の心の奥底に籠を作り出し、隔離され厳重に施錠されたその中に罪悪感は閉じ込められた。
71に分割されたキュトスのうち、ひとつの欠片こそがその籠、【罪牢の魔女】エクリエッテだったのである。
エクリエッテは誕生の瞬間自分が原因で苦汁を舐める事となった人々への深い罪悪感と悲しみに打ちのめされて絶叫を上げた。そして顔を上げた時、彼女は贖罪の旅を始める事になる。
とはいえ、紀元神群の暴虐を止める術は彼女には無く、各地で行われる戦乱の渦に飛び込んだとしても彼女が得たのは途方も無い無力感のみであった。
炎の牢に閉じ込められたティリビナの神々を見た彼女は、即座に救出をしようとしつつもどこかでもう無理だろうという諦めの感情を抱いていた。彼女を突き動かしているのは途方も無い罪悪感から逃れたいという、いわば自己の内面より生じる痛みからの逃避衝動だけである。そのことを半ば認めつつ、止まる事ができないと言う自らにエクリエッテは絶望しきっていた。
灼熱の炎をあらゆる魔術を試みて消そうとしては失敗し、遂にはその身を炎の中に投げ出して柵を乗り越えようとするエクリエッテは、しかしその身を焼かれそうになるたびに断念する事になる。
彼女の心に完全な諦めが居座ろうとしたその時、柵の向こう側にいるレルプレアの一言が魔女の心を刺しぬいた。
あなたは、何故死のうとしているのですか。
樹木神には、先ほどから無駄な試みを続ける魔女の姿が自傷を繰り返しては致命傷に至らせるのを躊躇う精神の危うげな人間にしか見えなかった。
そしてそれこそは、エクリエッテが目を逸らし続けてきた己の真実の姿だった。
彼女を束縛し、内部から圧迫する罪悪感。存在の基幹にして原点でもある「罪咎」は、エクリエッテという女性がそこに存在していることそれ自体が彼女を苦しめる要因となっていた。
生存していると言う苦痛。 己の責であると自らを責め立て続けて贖罪を続ける苦悩。
疲労困憊した精神はやがて救済を求め、緩やかな、無自覚的な自殺を求めようとしていた。
吐き気がした。
自分の現状に、己の失態に、そして弱態を呈したその無意識に、エクリエッテは否と唱えた。
否、否、否である。 魔女の行動の源泉は罪悪感と、それに向き合うための贖罪行動というシンプルなものである。
そこに釈明や感情の落とし所、救済といった余分なものは介入する余地が無い。
エクリエッテは自己の感情から逃れるために贖罪を行っているのではない。楽になるために行動しているのではない。
魔女とはただ、対応するものが存在するが故に応じるだけなのだ。
魔術とは論理である。 魔女とは無為な法則を司るものである。 魔とは即ち厳密さである。
ならばこそ、そこに意味を介在させてはならない。
それはエクリエッテがエクリエッテである以前に、魔女が魔女である理由として規定されたあり方だった。
魔女は魔女であるが故にエクリエッテの贖罪を規定し、罪悪感を許容する。
あらゆる精神的束縛を破壊したエクリエッテは、その時自らの見のうちに熱く滾る感情を正しく認識した。
【罪牢の魔女】、それは罪を閉ざして隔離する逃避の名前などではない。
名は本質をあらわす。今までの彼女ならばその解釈もまた正統であろうが、しかし今の彼女にその認識は過ち以外の何者でもない。
罪を牢へ。咎に罰を。あらゆる歪みは正しい行動によって応じられなくてはならない。それはエクリエッテという秩序の体現者を示す名であり、「正しい事」を信奉し過ちに怒りを振り下ろす魔女の真の性質である。

魔女は一度炎の牢を離れ、一人の男の下を訪ねた。
その男の名はメクセト、世界最高の鍛冶師にして神をも滅ぼす武器の作り手である。
魔人と謳われた男の協力を取り付けたエクリエッテは、神滅ぼしの武具と呼ばれる神器を手に炎の牢へ舞い戻る。
再びティリビナの神々の前に現れたエクリエッテの姿は、以前の平凡な女のものではない。
肉体の至る所から枝を生やし、肌を樹木色に染め、咲き誇る花に彩られた美しくも妖しい異形の魔女、それがエクリエッテの新たに得た姿である。
メクセトは武具を作るに当たって、基礎となる材料にエクリエッテ自身を使った。つまり神滅ぼしの武器そのものとなった魔女、それがエクリエッテなのだ。
紀人ティーアードゥがとあるアウターと戦った際、切り落とした右腕が大地に落ち、その場所が赤く染まった。異界の法則に支配されたその場所は赤茨原と呼ばれ、奇怪な植物が繁茂し異形が跋扈する死地となった。
その中央に屹立する大樹【夕焼けの巨腕】は樹齢数億を超え、散らばった大地の時代より以前から存在し続けたという怪樹である。その材木を肉体に埋め込まれ加工されたエクリエッテは周辺の空間を異界に変貌せしめ、樹木ならざる樹木を侵食させ続けると言う怪物に成り果てた。一瞬にして巨竜ほどの大きさに膨れ上がった魔女は、いとも容易く炎の牢を踏み潰した。 燃え上がる炎はその樹木の体を這い上がったが、同時にエクリエッテのいる中心部から更に苛烈な火炎が燃え広がった。炎は瞬く間にその全身に燃え広がり、巨大な樹木は燃えながら歩を進める。
しかしいくら炎が燃え上がろうとも、内側の樹木は炭になる事もなく依然として存在したままである。
奇怪きわまるが、しかしそれこそが赤茨原の木々の特性である。
炎は植物の天敵であるが、仮にもし燃える植物などというものがあったらどうなるか。
無類の繁殖力、しなやかな強靭さ、悠久とも言えるその寿命。
弱点である火を弱点としないということは、ただでさえ強靭なその生命力に拍車をかけることに等しい。
天敵たる火を纏う異形の【灼熱植物】、それがエクリエッテなのである。

こうしてティリビナの神々は自分達の救世主に深い感謝を表し、自らの民らの姿を彼女の姿に似せたのである。
エクリエッテはその後も己が正しいと信じる秩序を保つ為、ひたすらに戦い続けたとされる。

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挽歌斉唱 - クレアノーズの武器、クレアノーズの片翼の1片。エクリエッテはこれに自身特製の毒を塗った。

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