サイザクタット

レストロオセの四十四騎士が一、サイザクタットは『線の嵐』で世界をかき乱す。
その線は物質的実体を持たない文字通りの『線』であるが、それは確かに触れるものを拘束する。

サイザクタットは亜麻色の髪の妙齢の美女。ただし真性サド。
ボルダイル・オイロブ?を初めとする、四十四騎士は一人を除いてすべて男性である、
という解釈の煽りを受けて男性とされていたこともあった。

本人の言うところを信ずるなら、
サイザクタットは相手に痛みを与えることではなく、
痛みに耐える姿を見ることに悦びを感じる。
相手が屈する（陥落する）姿も大好物らしい。
レストロオセの四十四騎士に関する伝承をまとめた書物のひとつである
『四十四悪魔譚』には、彼女が捕まえた敵に睡眠や排泄などの生理現象を
禁じて追い詰めていく様が描かれている。

サイザクタットが喚起者に与える恩恵は、境界線に関連したもののようだ。
オーデン・ヌベルの『悪魔の図鑑』には、例えば
隣接する土地を手に入れ（境界線を外側に向けて更新する）たり、
ある人物の価値観の境界線に魔術的に干渉して、価値基準を変化させる例が挙げられている。