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crow_mihara 2017年11月23日(木) 17:49:01履歴
アルセスが最後に製作した1033番目の神滅ぼしの武具であり、究極の武具。
同時に、最高の人造人間であり、武具製造機でもあるように設計された、一人の少女である。
アルセスは、彼女に自身の持つ知識の全てと、これまでに製作した武具の性能を再現する能力を与え、究極の作品とした。
更に、彼女には如何なる地域、如何なる社会にも溶け込める潜入能力まで存在していた。
かの覇王は、これらの能力と共に、彼女に「あらゆる人間を己の製作した武具で最高の苦痛を与え、殺害する」使命を授け、自身を超える自身の後継者たるべき存在として遺したのだ。
彼女は、アルセスの死後に目覚め、その能力の全てを用いて、人類の歴史に幕を降ろすはずだった。
しかし、彼女が冬眠から目覚めてから最初に出会ったのは、よりにもよって自殺寸前の男であった。
自殺されては、使命である「己の製作した武具での殺害」が出来ない。
やむを得ず彼女は、男の自殺を止め、話を聞いた。
聞けば、男は職が無く、親兄弟を亡くし、婚約者に裏切られた、挙げ句の果てには不治の病が発覚したという。
悲嘆にくれる男だったが、彼女が来た以上、何も問題は無かった。
彼女は、かの覇王アルセスの後継者である。
アルセスは、生前万能の才人と称えられており、当然、後継者である彼女はその能力を受け継いでいた。
彼女は、衰退していた当時の医学では不治だった病をあっさりと治し、廃棄物の加工を手始めに大商会を設立し、孤児を養い、奪い取られた金を取り戻し、村を興し、町を繁栄させ、航路を開拓し、盗賊を退治し、侵略国を逆に征服し、その片手間に多くの自殺者や餓死予備軍を救った。
ただ、婚約者の代わりだけは、どうしても見つけることが出来なかったので、とりあえず自分が代行することにした。
斯くして、ようやく男が住んでいた地域が武具を買えるくらい豊かになった頃、自分達の国で製作した武具しか認めない二つの国が、その地域に侵略の手を
(中略)
そして、彼女は、男と沢山の子や孫、曾孫や玄孫に囲まれ、老衰で息を引き取った。
最高の医学、完全な防備、尽きることの無い富を以てしても、防ぐことの出来ない己の死。
そして、その死の後も、天寿が尽きるまで生き続けなければならない、彼らの生。
それこそが、彼女が与えられる「己という武具による、最高の苦痛を伴った殺害」である。
それが、彼女の結論だった。
今も、彼女が遺した都には、大神殿となった彼女の墓があり、そこには生命と繁栄の守護者である彼女への参拝客が、常に絶えることが無いという。
同時に、最高の人造人間であり、武具製造機でもあるように設計された、一人の少女である。
アルセスは、彼女に自身の持つ知識の全てと、これまでに製作した武具の性能を再現する能力を与え、究極の作品とした。
更に、彼女には如何なる地域、如何なる社会にも溶け込める潜入能力まで存在していた。
かの覇王は、これらの能力と共に、彼女に「あらゆる人間を己の製作した武具で最高の苦痛を与え、殺害する」使命を授け、自身を超える自身の後継者たるべき存在として遺したのだ。
彼女は、アルセスの死後に目覚め、その能力の全てを用いて、人類の歴史に幕を降ろすはずだった。
しかし、彼女が冬眠から目覚めてから最初に出会ったのは、よりにもよって自殺寸前の男であった。
自殺されては、使命である「己の製作した武具での殺害」が出来ない。
やむを得ず彼女は、男の自殺を止め、話を聞いた。
聞けば、男は職が無く、親兄弟を亡くし、婚約者に裏切られた、挙げ句の果てには不治の病が発覚したという。
悲嘆にくれる男だったが、彼女が来た以上、何も問題は無かった。
彼女は、かの覇王アルセスの後継者である。
アルセスは、生前万能の才人と称えられており、当然、後継者である彼女はその能力を受け継いでいた。
彼女は、衰退していた当時の医学では不治だった病をあっさりと治し、廃棄物の加工を手始めに大商会を設立し、孤児を養い、奪い取られた金を取り戻し、村を興し、町を繁栄させ、航路を開拓し、盗賊を退治し、侵略国を逆に征服し、その片手間に多くの自殺者や餓死予備軍を救った。
ただ、婚約者の代わりだけは、どうしても見つけることが出来なかったので、とりあえず自分が代行することにした。
斯くして、ようやく男が住んでいた地域が武具を買えるくらい豊かになった頃、自分達の国で製作した武具しか認めない二つの国が、その地域に侵略の手を
(中略)
そして、彼女は、男と沢山の子や孫、曾孫や玄孫に囲まれ、老衰で息を引き取った。
最高の医学、完全な防備、尽きることの無い富を以てしても、防ぐことの出来ない己の死。
そして、その死の後も、天寿が尽きるまで生き続けなければならない、彼らの生。
それこそが、彼女が与えられる「己という武具による、最高の苦痛を伴った殺害」である。
それが、彼女の結論だった。
今も、彼女が遺した都には、大神殿となった彼女の墓があり、そこには生命と繁栄の守護者である彼女への参拝客が、常に絶えることが無いという。
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