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キュトスの姉妹結界の六十二妹

詳細

キュトスの姉妹が51番目、理路整然の【ビレリア】。
最も偉大なる【言語魔女?】にして、数学者?哲学者物理学者?である。
論理記述・論理口述と呼ばれる言語魔術の行使によって、仮定した論理を証明することによってその事象を現実に再現することが可能である。

評価

視界内の認識能力においてはコキューネすらも上回り、論理口述に於ける言語密度が高い程認識能力を無制限に向上させられる。

親友

【哲学する戦士】であるナタリエルとは特に親しく、論議を戦わせることもしばしば。

能力

ビレリアの論理記述に対応して彼女自身の視界内の認識能力は向上する。
論理口述に際してもそれは同様であり、言語密度が高いほどビレリアの認識能力は無制限に向上していく。

大陸に【羊】をもたらした

大陸に【?】をもたらしたのがビレリア

累卵の記述項

累卵の記述項
1-51ビレリア=アットフォルテール Bileeria attfolterl

【詐称能力者】 【張り子の牙】 【広告魔女】

以上の情報の大半が誤りであり、このような誤情報を意図的に流し広めることが彼女の広告魔術である。
敵対者と相対した時、自らの能力を誤認してくれていたほうが有利に戦えるという事と、自らの能力を必要以上に誇張する事で人間たちに畏怖を植え付けるのがその目的である。

姉妹の能力や情報を姉妹たちに都合の良い形で広め、人間たちに恐怖を与え牽制する。姉妹の広告塔として機能する彼女の魔術は、その実自身の力ではなく噂神エーラマーン?の力を借り受けたものである。
噂を自在に流す事が出来る彼女はある共同体に入り込むという動作だけで流したい噂を広める事ができる。

ただし彼女の行動には否定的な姉妹も多い。 彼女のばら撒く噂が逆に姉妹への敵愾心を煽っているのではないか、意図的に歪めているとはいえ不用意に姉妹の情報を漏らして良いものか、少なくない数の姉妹が彼女に警告をしていた。しかし彼女はけっして活動をやめることは無かった。
否、やめなかったのではなく、やめることが出来なかったのだ。

彼女はヴォーヌルギン?の山間で、蜥蜴人たちの神として崇められていた太古の石像だった。名工の女神像もかくやというその美しさは異形の民たちも息を呑み、長はその石像を神の写し身として崇める事にした。
あるとき、散り散りになった不死の神の欠片が大地に飲み込まれ、その辺り一帯の精霊たちを生贄にして不死神は復活した。しかし復活は不完全なものであり、71分の1になった神は肉体を保つ事が出来ず、仕方無しに手近にあった石像を己の肉体とすることに決めた。
動き出した石像に蜥蜴人たちはひざまずいて感涙していたが、気が付いた時彼らの神は忽然と姿を消していた。

あてどなく放浪する石像であったもの。不相応な肉体は彼女の精神を磨耗させ、いつしか彼女は神であったことを忘れていた。
彼女にはその時あいまいで未熟な精神しか存在していなかったが、一つだけ強く心に根付くものがあった。
自分は、きっと不幸せだ。
このままではいけない。そんな思いが、彼女の裸足の足を前へ前へ進ませていた。
そこに差し掛かったのは王族の一向であった。王女の嫁入り、結婚式の帰りであった王は自分の一人娘と同じくらいの年の少女が一糸纏わぬ姿でうろつくのを見て、馬車の中に入れてやり、服を着せてやった。
城に招かれた彼女は手厚くもてなされた。
王は自分の養女になってはくれないかと彼女に言い、彼女はそれを承諾した。 名をビレリアと名づけられた彼女は、その日から一国の王女となった。

ビレリアは幸せに暮らしていた。
彼女は、自分は幸せになったのだと思った。
が、そんな日が長く続く事はなかった。
彼女が養女であることは周知の事実であった。王妃は彼女を疎み、王子は彼女を厭わしく思っていた。
意地悪い義母と義兄は彼女の出自について誹謗とも中傷ともつかない憶測を並べ立て、ビレリアを詰り苛めた。
ビレリアは二人に責められる度に一人で泣いていたのだが、ある時部屋のバルコニーに一人の美しい少年が立っていることに気がついた。不思議な少年は驚くほど艶っぽく微笑むと、彼女にそっと近づいて囁いた。
君を幸せにしてあげようか、と。
ビレリアは迷うことなく肯いた。不思議な少年の神秘的な雰囲気に呑まれていたこと、そしてビレリアの追い詰められた心が藁を掴むような気持ちを抱いていたこと、それらの要因が重なった故の即答であった。
そうして、彼女は呪われた。
ぼくのなまえはエーラマーン。最もこれは僕のたくさんの名前のひとつに過ぎないけれど。
でも保障するよ。僕は、君を祝福するものさ。

ビレリアが彼の不可解な言葉に目を瞬かせた刹那、一陣の風が吹き、少年の姿は跡形も無く消え去っていた。
次の日から、城下の街で、城の使用人たちの間で、奇妙な噂が広まり始めた。
実はかの養女は亡国の姫であるらしい。
神の使い、紀なる娘であるらしい。
遠い地の高貴なる血を引く巫女姫であるらしい。
その他、ビレリアに関する噂が飛び交い始めたのである。
その噂の出所がどこなのか、確かな情報なのかは誰にもわからなかった。
しかし噂の全てが等しく「ビレリアは高貴な人物である」という内容であったため、少なくともそれだけは確かなのだろうという見解が人々の中で固まった。
ビレリアは、尊敬の目を集めるようになった。
面白くないのは義母と義兄だった。しかし今度は周囲の目や、圧倒的多数を占める「ビレリアは高貴な出である」という認識に邪魔されて苛めたりする事は出来なくなっていた。

ビレリアは自分は幸せだ、と思った。
高貴な身分であるらしいという噂を耳にした王はますますビレリアを可愛がった。
やがて王は年をとり、後継者を選ぶ事になった。
王はより高貴な血筋を王家の血として残したかった。それが確かな情報でないということは疾うに忘れ去られていたが、国で最も高貴な血を引いているビレリアは王に可愛がられていた事、そして王子よりも優秀だった事もあり、次代の女王として指名された。

戴冠式の当日、怒りに狂った王子は王の首を刎ね、ビレリアの胸に剣を突き立てた。
しかしビレリアが死ぬ事は無かった。彼女は不死の神の欠片。死なない魔女であったのだ。
式典を見に集まっていた人々は魔女だ、怪物だと口々に騒ぎ立て、彼女を殺せと絶叫した。
興奮は民衆全体に伝播し、自分の正体を始めて知ってしまったビレリアは愕然として震えて座り込むしか出来なかった。
王子はビレリアを押し倒すと、彼女を殺すために剣を振りかぶった。
幾度も振り下ろされ、その度に飛び散る鮮血と激痛に絶叫するビレリア。振り下ろされる剣と共に殺せ、殺せという声が彼女を貫く。
ビレリアは自分は不幸せだ、と思った。
ならば、と次いで思考する。幸せになるために努力しなくてはならない。打つべき手を打ち、手段を講じねばならない。とるべき道を選んではいられない。
ビレリアは腹を貫く刃を手が傷つくのも構わずに掴み、王子の目玉をもう片方の手で潰し、王子から奪い取った剣でその首を刎ね飛ばした。
群集が大きくどよめき、血まみれの体で剣を掲げるその姿を見て、だれかが化け物だ、と叫んだ。
その化け物という響きは先刻の敵意に満ちたものとはまるで違っていた。
殺される、と誰かが言い、逃げろ、と誰かが叫んだ。誰が言い出したのか、誰もわからなかった。
恐慌状態に陥った人々がいっせいに逃げ惑い、駒倒しになった人々が自分たちの重みで圧殺されていく。
人が人を潰していく地獄のような光景を、ビレリアはひどく明晰になった思考と視界の端に捉えていた。
人々を切り裂いては道を作り、屍の道を敷きながら国を脱出したビレリア。彼女を止めようとするものは誰一人いなかった。恐ろしい化け物、忌まわしい魔女。近寄ればきっと殺されてしまう、だから逃げなくては。
人々の心にはそれだけしか浮かばなかった。
そうして、ビレリアは自分に与えられた祝福がどんなものなのかを知った。
それはエーラマーンの「呪い」だった。少なくとも、今この時、祝福は呪いに転じたのだ。
自分に関しての全てを誇張する呪い。ビレリアの恐ろしさはこれよりあらゆる場所に広がっていくだろう。
もはや、自分に居場所は無い。自分は、不幸せなままなのだろうか。
ビレリアには、不思議と悲しむ気持ちは湧き上がってこなかった。王子に刺された時、否、王子を殺した時から。
彼女は何故か自分自身を遠くから、客観的な視線で見つめるもう一人の自分がいるような気がしてならなかった。
意識がひどく冷徹になっている。これが自分の、魔女としての本性なのか? 自問しつつも、彼女はもうこれから自分がなすべきことを決めていた。
賽は投げられた。悪しき魔女の噂はあの地に深く根を下ろしただろう。もはや戻れない道だというのなら、そのまま突き進んで、その果てに私は幸せを掴んでみせる。
この身の呪いが自分を悪しき魔女だと伝えるならば、その噂、その伝聞を更なる恐怖と異形で以って飾り立ててやろう。万民が恐れ慄き、ビレリアの名に怯える日々を作り出してやろう。
恐怖だ。恐怖しかない。
ビレリアは思い出す。彼女を恐れ逃げ惑い、恐慌と混乱で自滅していく群集の姿を。
その光景がビレリアを一つの考えに拘泥させた。彼女はその光景に憑り付かれたのだといってもいい。
人を退け、屈服させる最善の手段とは、恐怖を与える事だ。
その念が、彼女を動かす基本理念であり、彼女が噂を広める上での基本方針となっていた。
敵愾心などそれを上回る恐怖で塗り潰してしまえばいい。
圧倒的な恐怖。それのみが絶対的な安全、幸せを確保するのだと彼女は確信していた。

実証もされているのだ。
何故なら、彼女はその噂で大陸を恐怖と混乱に陥れた後、迎えに来た姉妹たちによって黒百合宮に迎え入れられたのだから。彼女の行動は姉妹たちの耳に入り、そうして彼女の存在が知られる所となった。
ほら、とビレリアは言う。 今では自分は姉妹たちと共に幸せに暮らしている。自分の方法論の確かさは実証されたのだ。

説得にやってきた姉妹たちは、そういってなにかが致命的にずれた微笑みを返すビレリアを見て、何かを言おうとして、そして言葉無く去っていくのだと言う。

ビレリアの追記

そして上記の累卵の記述項もまた虚実である。
現状私よりも有力な広告塔、情報操作能力を持つインクルーザはこのような私に対する情報を捏造する事で
私の本来の能力を二重に誤魔化そうとしている。
私は?を連れてきた。 羊とは人間の間で間諜を指す隠語だが、慣例的には「噂」を指す言葉としても使われる。つまりわたしは噂をつれて来る魔女という事になるが、実を言えばそれもまた誤りだ。

?】。あれがなんなのか、私にもわからない。ただ確かなのは、たちの天敵であること。大陸を二分する勢力である彼らを駆逐する最後の切り札、それを私は大陸にもたらし、そしてカルリアと共に狼たちを殲滅した。
彼らは闘いの後忽然と姿を消した。多分、私の本来の役目は彼らを導くという、ただそれだけのものだったのではないかと思っている。

エーラマーンの補足

そしてまた、ビレリアの追記すらもカモフラージュのためのブラフである。
・・・・・・というこの記述自体がそもそものダミーなのではないだろうか。しかし、本当の所など誰にもわかりはしないのだ。そしてまた、ビレリアという存在にとってそのどちらであるかなどはどうでもいい事なのだ。
彼女に関する記述のどれが真実か、どれが本当かなどはこのゆらぎ、紀に揺れる世界の中では些細な事。
虚実が入り混じる情報など、ゆらぎではよくあること。
だからこれを読んだ貴方は、これらの記述を信じても良いし、信じなくても良い。
この「誇張されたかもしれない噂」を信じ込めばビレリアはほくそ笑むかもしれない。
この「真実を覆い隠すための嘘」を否定すれば、ビレリアは舌打ちをしているかもしれない。
だが、逆に彼女についての誤った予想を思い描いているおろかな私たちをあざ笑っているビレリアが存在する可能性もまた、あるのだ。

##1-51アーザノエル。九つの瞳を持つ全知全能の魔女。瞳を見ると相手は死ぬ。
##1-51ヘリステラ。 全ての姉妹の中で一番偉大で一番強い。その一声で世界中の魔女が彼女の下に集い、世界中の魔法を操る事ができる大魔女。
##1-51アルセス。 紀元槍を持つこの世界の主神。神々の母キュトスから生まれた51番目の子供。

表記ゆれ

ビレリア=アットフォルテール、Bileeria attfolterl、ビルウヒャ・アトゥフォルテーフル、ビレリアーンヌ

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