最終更新:ID:uBwZ7U0b3A 2006年09月10日(日) 22:23:58履歴
物語
最も弱き神、少年アルセス。
何のためか彼が世界を巡り歩いたという伝説は各地に残される。
アルセスは持ち前の身軽さと機転によって、次々と難題を乗り越えた。
彼の旅こそが、この神話体系の中で最も有名なエピソードであろう。
最も弱き神、少年アルセス。
何のためか彼が世界を巡り歩いたという伝説は各地に残される。
アルセスは持ち前の身軽さと機転によって、次々と難題を乗り越えた。
彼の旅こそが、この神話体系の中で最も有名なエピソードであろう。
アルセス・ストーリー(1-1)
「アルセス。こちらにいらっしゃい」
呼んだのはラヴァエヤナだった。知の神、書の守、ラヴァエヤナ。
槍の神のアルセスはゆっくりと振り返る。
「なんだい、ラヴァエヤナ。今日もまたおつかいかい?」
「いいえ、今は別の用事よ。あなたの槍を私にお見せ」
アルセス・ストーリー(1-2)
アルセスは槍を掲げた。紀元槍、世界の中心。
ラヴァエヤナは静かにじっと槍を見つめる。
「やはりそうだわ。この槍は死んでいる」
「死んでいる? 槍が?」
「その証拠に刃の輝きが褪せているわ。
あなたは槍の所持者として、輝きを取り戻さないといけない」
「それは、一体どうやって?」
「もう一度、紀元槍へ向かいなさい」
アルセス・ストーリー(1.1)
「アルセス、餞別にこれを渡しておくわ」
帰りがけ、ラアヴェヤナは袋を差し出しました。
「ミリョ餅かい?」
「ただのミリョ餅ではないのよ。
トルソニーミカ特性の【都合のよいミリョ餅?】なの。
危ないと思ったときにこれを使えば、何かとても『都合の良いこと』が起こるはずよ」
「それは有難い。ぜひとも袋ごともらっていこう」
アルセス・ストーリー(2)
アルセスは旅の仲間を求めて同胞を訪ね歩いた。
まずは猫の戦士シャルマキヒュに助けを請うた。
「ねえ、シャルマキヒュ。僕と一緒に紀元槍まで旅をしないかい?」
シャルマキヒュは猫の耳をぴくぴくと動かした。
「お子様のお守りかい? そんなことなら願い下げだよ」
「そういうつもりはないけどさ。僕は喧嘩が弱いから、守ってもらうことはあるかもね」
「坊や、あんたはもう少し逞しくなった方がいい。私抜きで行っといで。
それに私は、可愛いジャスマリシュ?たちにここで稽古をつけてやらないといけない」
そう言われては仕方がなかった。
アルセスはシャルマキヒュの練兵所を去った。
アルセス・ストーリー(3)
次に向かったのはピュクティエトだった。だがアルセスが口を開くや否や、
ピュクティエトはその豪腕でアルセスの頬を思い切り引っ叩いた。
「この、軟弱者がっ! 安易に人を頼ろうとするな、
そんなことだから貴様はいつも最弱と指を差されるのだ」
「いたた・・・、そんな事を言われても、実際僕は弱いし」
「最初から諦めてどうする!
まったく、貴様が嘲られる度に、私が一体どんな思いをしていると・・・・・・」
最後のほうの声は掠れてよく聞き取れなかった。怪訝に思ってアルセスは訊ねた。
「え? 今なんて言ったの? 聞こえなかっ」
「ええいさっさと一人で行かんか馬鹿者め!
一人旅でもすれば貴様とて多少は見れる男になろう!」
ピュクティエトはアルセスの背中を思い切り蹴飛ばした。
アルセス・ストーリー(4)
「ねえ、ペレンケテンヌル?」
「うっさいなー勝手に行けよこのバカチン」
「……」
「うっざーうっざー。消えろ消えろ」
「……」
λ......
アルセス・ストーリー(10)
アルセスは結局、一人の共連れも見つけることなく里を出た。
アルセス(12ー2)
犬「アルセスさん、お腰につけたミリョ餅?をひとつ私にくださいな」
アルセス・ストーリー(14)
アルセスは巨大化・凶暴化した犬にミリョ餅を投げつけた。
ミリョ餅は光り爆ぜ、犬の身体を白煙で包む。
後には何も残らなかった。地面に焦げ跡が残った程度だ。
「今のがラヴァエヤナの言ってた刺客か。やれやれ」
アルセスは何事もなかったかのように再び歩みはじめた。
アルセス(88)
そこでアルセスはポンと手を打って言った。
「なるほど、この山の向こう、古き大谷の外れに竜と娘が住んでいるんですね」
老人は黙ったまま頷き、アルセスに古びた革袋を差し出した。
独特の光沢を放つその浅黒いビテロ?の鞣し革には、三つ叉の穂先の意匠、
遥か過去に絶えた聖花都?の貴族の紋章が入っている。
「アルセス。こちらにいらっしゃい」
呼んだのはラヴァエヤナだった。知の神、書の守、ラヴァエヤナ。
槍の神のアルセスはゆっくりと振り返る。
「なんだい、ラヴァエヤナ。今日もまたおつかいかい?」
「いいえ、今は別の用事よ。あなたの槍を私にお見せ」
アルセス・ストーリー(1-2)
アルセスは槍を掲げた。紀元槍、世界の中心。
ラヴァエヤナは静かにじっと槍を見つめる。
「やはりそうだわ。この槍は死んでいる」
「死んでいる? 槍が?」
「その証拠に刃の輝きが褪せているわ。
あなたは槍の所持者として、輝きを取り戻さないといけない」
「それは、一体どうやって?」
「もう一度、紀元槍へ向かいなさい」
アルセス・ストーリー(1.1)
「アルセス、餞別にこれを渡しておくわ」
帰りがけ、ラアヴェヤナは袋を差し出しました。
「ミリョ餅かい?」
「ただのミリョ餅ではないのよ。
トルソニーミカ特性の【都合のよいミリョ餅?】なの。
危ないと思ったときにこれを使えば、何かとても『都合の良いこと』が起こるはずよ」
「それは有難い。ぜひとも袋ごともらっていこう」
アルセス・ストーリー(2)
アルセスは旅の仲間を求めて同胞を訪ね歩いた。
まずは猫の戦士シャルマキヒュに助けを請うた。
「ねえ、シャルマキヒュ。僕と一緒に紀元槍まで旅をしないかい?」
シャルマキヒュは猫の耳をぴくぴくと動かした。
「お子様のお守りかい? そんなことなら願い下げだよ」
「そういうつもりはないけどさ。僕は喧嘩が弱いから、守ってもらうことはあるかもね」
「坊や、あんたはもう少し逞しくなった方がいい。私抜きで行っといで。
それに私は、可愛いジャスマリシュ?たちにここで稽古をつけてやらないといけない」
そう言われては仕方がなかった。
アルセスはシャルマキヒュの練兵所を去った。
アルセス・ストーリー(3)
次に向かったのはピュクティエトだった。だがアルセスが口を開くや否や、
ピュクティエトはその豪腕でアルセスの頬を思い切り引っ叩いた。
「この、軟弱者がっ! 安易に人を頼ろうとするな、
そんなことだから貴様はいつも最弱と指を差されるのだ」
「いたた・・・、そんな事を言われても、実際僕は弱いし」
「最初から諦めてどうする!
まったく、貴様が嘲られる度に、私が一体どんな思いをしていると・・・・・・」
最後のほうの声は掠れてよく聞き取れなかった。怪訝に思ってアルセスは訊ねた。
「え? 今なんて言ったの? 聞こえなかっ」
「ええいさっさと一人で行かんか馬鹿者め!
一人旅でもすれば貴様とて多少は見れる男になろう!」
ピュクティエトはアルセスの背中を思い切り蹴飛ばした。
アルセス・ストーリー(4)
「ねえ、ペレンケテンヌル?」
「うっさいなー勝手に行けよこのバカチン」
「……」
「うっざーうっざー。消えろ消えろ」
「……」
λ......
アルセス・ストーリー(10)
アルセスは結局、一人の共連れも見つけることなく里を出た。
アルセス(12ー2)
犬「アルセスさん、お腰につけたミリョ餅?をひとつ私にくださいな」
アルセス・ストーリー(14)
アルセスは巨大化・凶暴化した犬にミリョ餅を投げつけた。
ミリョ餅は光り爆ぜ、犬の身体を白煙で包む。
後には何も残らなかった。地面に焦げ跡が残った程度だ。
「今のがラヴァエヤナの言ってた刺客か。やれやれ」
アルセスは何事もなかったかのように再び歩みはじめた。
アルセス(88)
そこでアルセスはポンと手を打って言った。
「なるほど、この山の向こう、古き大谷の外れに竜と娘が住んでいるんですね」
老人は黙ったまま頷き、アルセスに古びた革袋を差し出した。
独特の光沢を放つその浅黒いビテロ?の鞣し革には、三つ叉の穂先の意匠、
遥か過去に絶えた聖花都?の貴族の紋章が入っている。
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