ゆらぎの神話百科事典

「ジ・オーダー・オブ・ホモ・サピエンス」と同盟した「信者を失った古い神々」の中でも極めて強力な雷神ゼウスと日本人女性との間に生まれた半神。
異母兄である鍛冶神ヘファイストスと同じく片方の足が不自由だった。

ゼウスの妻ヘラは嫉妬に駆られて鷲太郎の母を殺害した。しかし「ジ・オーダー」の指導層、アーサー・マクドナルドたちは神々との同盟の継続を優先した。

母の死後、彼は叔父である扶桑崎大和に養子として引き取られ、彼から錬金術と鍛冶の技を学び、研鑽に励んだ。
鷲太郎は子供時代から、妻がありながら不倫に走り身籠らせた相手を守らなかったゼウスや母を殺したヘラへの憎悪と、アーサーたちへの不信を抱えて生きてきたが、育ての親への恩義と愛もあり、こうした感情は表に出さないようにしてきた。
鍛冶の技の研鑽に打ち込んできたのも、ゼウスとヘラへの憎悪をそのときだけは忘れる事ができたという側面もあった。しかしそれでも神々への憎悪が顔を出す時があった。

そんな彼が熱中したのが「神滅ぼしの武具」の開発であった。大和はそのための技を求める鷲太郎に対し、それとなく必要な技術や知識を伝えはしたが、彼自身が「神滅ぼしの武具」を扱う事は絶対に許さなかった。
人の浅知恵を見抜く伝承もあるゼウスに殺されるか、それとも相討ちになるか、鷲太郎が神に挑み命を失うことを大和は恐れた。
家族を失う事を恐れる義父の気持ちを知っていた鷲太郎は表立っての復讐は試みなかった。
しかし自分と母を不幸に陥れた神々への復讐心は捨て去れるものではなく、別の形で復讐を成就すべく機会を伺う。

彼は組織において「神々の復活」案件を扱う部署に所属しており、それを活用して必要な情報を集め、復讐成就に繋がる【槍】の情報に辿り着くが、そのノウハウを持つ組織との接触はできなかった。その組織はよりによって「ネオナチ」と関りを持つ団体であり、鷲太郎の種族する組織は彼等との協力を拒否した。
「ドイツの【槍】に関わるな」これが機関における決定事項となった。しかし、鷲太郎にとって【槍】を作り出すノウハウを得る事は復讐達成の千載一遇のチャンスであり逃すわけにはいかなかった。
彼は裏の世界経由で渡りをつけ、組織に辞表を提出した上で渡独する。

無空和尚?