キュトスの姉妹のイレギュラーであるアンリエッタの名前を持っていた肉体は、とある塔にて魔術師の慰み者として飼われていた少女だった。
彼女には生まれつき魔法がかけられていたため、感情と言うものがなかった。
それを哀れに思った(あるいは面白がった)
ムランカが肉体の寿命が付きかけていた当時のアンリエッタ(という名前では当時は無かったが)をこの少女と引き合わせ、彼女に代替わりをさせた。
代替わりを経た彼女は、「奔流たる意識」の持っていた感情のおかげで自らの感情を得、その憎しみと殺意の衝動に駆られて魔術師を殺害する。
しかし、自らを苛んできた魔術師を殺害した後に彼女に沸き起こった感情は、外の世界と折り合いが付かず塔に篭るしかなかった彼に対する哀れみと、歪んだ形でしか愛情表現をできなかった彼を殺害してしまったことに対する罪悪感、そして愛情だった。
結局彼女は自由を得たというのに、その10年後に自らの肉体の寿命が朽ちるその時まで塔を出ることは無かった。
尚、この魔術師は
死霊使いガルズの父親であったと言う説がある。