ゆらぎの神話百科事典 - スチームキューブ
エンドミット 道具

ゆらぎの神話ってスチームパンク要素ほぼなくね!?

この神話に足りないのは錆と蒸気だとおもう

一理ある


一理ある。
そう言って、正方形の機械を取り出す男がいた。

蒸気型呪力精製装置ピタゴは錆に喰われ、朽ちていた。だが、かつて動いていた機械は、油を差せば再び動く。それは機械への信仰だった。
丸い弾を10個ほど喰わせると、機械はそれを様々な仕掛けで転がし始める。予め決められた通りにではない。子供がいま思い付いたがごとくに。
坂道を下った弾には速度があった。重力を無視して階段を昇り、再び同じルートを辿る弾は、機械の中を血液のように駆け巡る。その速度は加速度的に増していく。
甦った機械は、中空に浮かぶ立方体は、もう既に、触れれば指が飛ぶような有り様だった。とどめに、高圧蒸気が吹き出す。

機械への信仰(スチームパンク)。

無数の弾が飛び出し、牢屋の壁に亀裂を入れた。

永久機関


スチームキューブはピタゴラス蒸気学派が提唱した夢の永久機関だ。

ピタゴラス蒸気学派は、企業連ビッグフォーをスポンサーにして、スチームキューブを6個製造した、と信じられている。

3個あればエンドミットが、7個あれば理論上、世界が滅ぶ。
その危険性に気付いたのは、愚かにも6個目まで製造してからだった。

現在ビッグフォーは、6個のスチームキューブを制御下に置いていると公表している。
存在しない7個目のスチームキューブを、人と機械は忘れ去り、「やがてくる終末」教を嘲り、ラース・オブ・ピタゴなどと茶化して呼んだりした。

皆怖かったのだ。ナインスチームの脱獄は、スチームキューブの実在は、人々に戦慄を思い出させた。
ナインスチームは思想無きテロリストだった。