「近似世界線の、そのちょっとささやかなのがあるとええね」
と霊魂パイを食べながら
邪神は言った。
地上全てを制圧し霊魂畑に変え、地獄への霊魂(しょくりょう)供給を安定させる事に成功した。
そこは
全世界英雄協会は打ち倒され、列強企業複合体の連立も阻まれた
歴史。
まともな抵抗勢力は現存しない。
「隣の世界線からドバーッと宇宙艦隊的なやつ来いや
退屈でたまらん!」
或る歴史においては、人口爆発にはやがてブレーキがかかった。
そして結果的に「地獄」側が得る霊魂リソースは減少し、勢力抑止につながる。
各種族の女性、出産・生殖においてリスク・負担が大きすぎる性の者達への教育普及と社会進出、
それらにより選択の自由が生じたことで、子をもうける者達の比率は減少する、という現象が起こった。
これが起こるかどうかには当然様々な因子が絡み合ったものとなる。
例えば古い価値観の
英雄が影響力を行使して、古い男女観の固辞や避妊・中絶の拒絶を広めれば、
上記の現象が阻止される可能性は高まる。
全世界英雄協会(というよりその中の「
猫の国」出身幹部)はそれを見越してはいるのだが、
それが功を奏するかどうかについて確実なことは言えない。