新史歴2299年?、ミハエル・イエスマンの予言した通りのことが起こった。
ルザナイ教正塔派?系過激派組織「
黄金倫理圏?」による乱である。正塔派の武僧集団「
フドウィギの倫理騎士団?」その
七先駆派と戦っていた時代のシン=グロークス「雨粒刺しのシン=グロークス」
トスカアン・ヴァルギャイリ?、その右腕
フェセウス・ペリ=ルムダー?以下18名の英雄が「協会」の統御を離れ、「黄金倫理圏」に合流した。
活動範囲の国の大統領官邸を襲撃し、大統領とその夫を誘拐し「男色破戒行為の罪」の罪状で処刑。その様子をおさめた映像は「倫理圏」の手で全世界通信網において公開された。
リーダーたちにより、「万民友和」思想とそれに同調する者、国家(ルザナイ教徒、正塔派信徒も含む)への敵対が宣言された後、被召芯、またはその代替物の製造成功を表明。
英雄召喚技術による正塔派の勇者、聖者の召喚も成功したとして、その様子を収めた映像も全世界に向けて発表した。
これに呼応するかのようにルザナイ教の別宗派からの四つの過激派集団も黄金倫理圏と同様の行為に及ぶ。「
歩守派?」「
法典派」「
長子派?」「
唯信派?」のそうした過激派に合流したのは、こちらも七先駆派を迫害していたシン=グロークスたちを中心とする英雄たちであった。
さらに、技術の拡散が進むにつれ他宗派、他宗教でも同じ試みをする者たちが現れる。
動き出したのは宗教の過激派だけ終わらなかった。各国では君主としての出自を持つ英雄たちが現れ民族主義集団と合流、種族意識や民族意識を鼓舞し、こちらも「万民友和」への拒絶を大なり小なり主張していった。
英雄たちの力を助けとして世界に確立されかけていた万民友和、それに基づく国際的な規範、秩序体制が英雄たちによって揺るがされる形となった。
そしてこれはXデーを防げなかった全世界英雄協会という組織の権威失墜にも直結した。