最終更新: greenland4 2008年12月29日(月) 11:05:18履歴
『君主論』は、ルネサンス期のイタリア半島において、諸大国の侵攻をふせぐためにはイタリアの統一が急務であり、そのためには独裁君主が権力を勝ち取り、これを維持していかなければならないとして君主の統治法を論じたマキァヴェリの代表的著作。1513年ごろ執筆され、1532に刊行された。近代政治学の先駆的作品。
マキァヴェリは、本書のなかで「いかに生きているかということ(現実)」と、「いかに生きるべきかということ(道徳)」は、はななだしくかけ離れており、それゆえ政治は、道徳や宗教とは無関係に、利己的な欲求をもつ人びとが相互に人為的な秩序をつくる営みにほかならないと主張し、国家の統治という目的のためには、君主は暴力や裏切りなど、どのような反道徳的な手段でも用いてかまわないと説いた。また、君主はむしろ「人の道」と「獣の道」を使い分け、獣としては、策略の罠を見抜く狐の狡智と、相手を震え上がらせる威厳に満ちたライオンの勇猛さを見習い、このような力を併せ持たなければならないとした。このような権謀術数主義をしてマキァヴェリズムと呼称することがあり、しばしば批判の対象とされるが、そこにはリアリズムにもとづいた冷徹な政治認識がある。このようなマキァヴェリの政治論は近代的な政治学の嚆矢とされる。
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