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145.【】1/9 - 13/04/26 00:21:03 - ID:RA9NTAFNBQ
【ロシアンルーレット】
午後の作戦二課に淹れたてのエスプレッソの香りが広がった。
イタリア人にしては忙しすぎる職場に所属している社会福祉公社の面々だが、
人生を豊かにする三大要素を放棄するつもりは無く、
たちまち大容量のエスプレッソメーカーの周りに手の空いた人間が集まる。
「あ、お茶請けにこれどーぞ」
チョコレートやビスケットが並ぶ小さなテーブルに、愛の堕天使が大きめの菓子箱を載せた。
「なんだこれ?」
「ふっふっふ。新商品の“ロシアンルーレット・タルト”だよ〜んっ」
「はあ? ロシアンルーレットぉ?」
明るいプリシッラの声にわらわらと物見高い課員たちが集まってくる。
「20個の内1つだけが激辛タルトなのさ。一個ずつ取っていって」
「なんでそういうキワモノを買ってくるんだよ」
「いーじゃないの。確率は20分の1なんだから大したことないでしょ。
誰が一番運が悪いか、さあさ運試し、運試し!」
うえ〜っと嫌そうな顔をしながらも手を伸ばす同僚たちに、
あらら意外と付き合い良いなあとプリシッラは内心驚く。
元々、作戦2課はあちらこちらの組織から貧乏くじを引かされて弾き出された
あぶれ者の集団である。運の悪さには誰もが心当たりがあるわけで、
イタリア人の国民性であるオーバーアクションを差し引いても、
嫌そうな顔には結構本気が混じっているだろうことは想像に難くない。
それでも皆が菓子箱に手を伸ばすのは、まあプリシッラの人徳と言うものであろう。
もっとも参加者たちにも多少の計算はあった。
彼女が言うように確率はそれほど高いものではないし、
それになんと言っても運無し者ぞろいの作戦2課でも極めつけに運の悪そうな人間が
その場にいたからである。
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