無題(ハロウィン) // ジョルジョ、プリシッラ、マルコー
     // 蘇芳 ◆EYkgEnmnSE // General //2012/10/29



「今年はアンジェに何を着せようかな〜」
プリシッラはいつも陽気だ。
アンジェの状況は決してよくない。
次の大ケガは、きっと命取りになる。
それは誰もがわかっている事なのに。
何も知らない顔をして、楽しそうにハロウィンの準備をしている。

こうしていると、課員が少なかったころの会話を思い出す。

「なんで義体って女の子なんだろうな」
「女のほうが痛みに強いらしいぞ。
男は出産したら痛みで死ぬとか雑誌に書いてあった。
しかもな、快感も女のほうがすごくて男が女並みに感じたらやっぱり死ぬとか…」
その会話はプリシッラの振り下ろしたファイルの角で打ち切られた。

でもな。
やっぱり女は強い。
俺もマルコーさんの立場なら今頃逃げてる。

俺のケンカを止めるため、アンジェが腕にナイフを刺してしまった時。
滴る血より、躊躇せず腕で止めた、あの動きが恐ろしかった。
馬鹿ばっかりと言われた俺の部隊にそんな奴はいなかった。
馬鹿だからこそ、人間臭い奴らばかりで、死を恐れないなんて優秀な兵士はいなかった。

そして飛ばされて戻ってきて、アンジェの記憶障害を目の当たりにした。
ケガの治療は記憶障害を起こしやすくする、それぐらいは俺でも知ってる。

俺のせいだと思った。
あの時ナイフが刺さらなければ、アンジェは…

それ以来アンジェの顔を見ると、どうしても後ろめたかった。
だから義体たちに季節のイベントを、とプリシッラが張り切っていても輪に入れずに来た。
でも、それでいいのか?
馬鹿な俺だけど、逃げるのは嫌いだ。

だから、今回だけは。
「俺も菓子配る役ならやるよ。
母ちゃんが自慢のお手製カントッチョ配りたくても俺の村は貧乏でさ、子持ちは街に出ちゃうから。
送ってもらって義体に配ろうぜ」」

「お、馬鹿ジョルジョにしてはいい事いうじゃない。
じゃ、ジョルジョにも仮装させよう。
ジョルジョはゾンビね」

アンジェには白雪姫だ赤ずきんだと言っていたくせに、俺にはゾンビか。
「もうちょっと小奇麗なのにしろよ…
ジョルジョのゾンビがお菓子配ってたんじゃ食欲が失せる」
こんな時にだけ、昔のようにマルコーさんが口をはさむ。
まぁいいか。
アンジェが喜んでくれるなら。

The end



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