お休みの○○//トリエラ、ヒルシャー
        //CC名無したん//Romance,//2008/08/11


   お休みの○○


作戦で私たち、トリエラ・ヒルシャー組が派遣された。
夕刻にヴェネツィアへ到着。作戦行動は明日となる。
レストランで夕食を済ませた後、現場の下見、そしてホテルへ戻った。
宿舎では、何時もの事だが兄妹としてチェックインし同室だ。

着替えようとし、服を脱ぎかけた私は、
シャツのボタンをはずそうとして手を止めた。
「あの、ヒルシャーさん。着替えますからちょっと部屋を出ててください」
「ああ、分った」
少し前までは、ヒルシャーが居ても気にすること無かったのに、
乙女として異性を気にしてしまう。特に彼のことを・・・。

着替え終わった私はドアを細くあけ、彼を招き入れる。
「ヒルシャーさん、もういいですよ」
少しヒルシャーは戸惑ったような表情で中に入ってきた。
「着替えを気にするとは、トリエラも大人の女性になってきたということかい?」
ヒルシャーは無理に作った笑顔で冗談めかしたように私に話し掛けた。
「べっ、別に・・・。でも、レディに何てこと言うんですか!
 子供扱いしないで下さい。」
「悪かったな」
驚いたことに彼は、
「そしたら僕も着替えるから、トリエラは後ろを向いていてくれ」
と、まじめな顔で言う。
私は言われたとおり、窓のほうを向いた。
衣擦れの音がしてヒルシャーは着替え始めた。
夜の街明かりが美しい。ぼんやりと眺めていた。
ふと、気が付くと、背中がこそばゆい感じ。彼が着替えているんだ。
ふと彼のたくましい胸を想像してしまい、私は顔が火照ってるのを感じた。
これまで、そんなこと考えたことも無かったのに。


「トリエラ、もういいぞ」
ヒルシャーの声が聞こえた。
振り返ると、彼は私のすぐ後ろにいたのでびっくりした。
「えっ、ヒルシャーさん?・・・」
ヒルシャーは、
「夜景がきれいだな」
といって、私の横に並ぶと窓から外を眺める。
そして、
「じゃあ、寝よう。さあ、ベッドに入りなさい。明日は早いからな、お休み」
と彼はいった。二人各々ベッドへ向かう。

各々ベッドに入り、照明を落とす。
私は、勇気を出して言ってみた。
「あの、ヒルシャーさん。
眠るまで少し手を握っていてください」
「えっ?? いいけど・・・。
 子ども扱いしないんじゃなかったかい?」
と、彼は少しからかい口調だ。
「それならいいです!」
と、私は手を引っ込めた。
「おいおい、怒ったのかい。謝るよ」
「別に謝らなくてもいいですけど、乙女心を少しは理解してください」
「オトメごころ??」
「もういいです。おやすみなさい。・・・ふぅー。」
私はしかめっ面のまま、目を閉じた。


・・・と、彼は、私の額に軽くキスしてきた。
「ち、ちょっと。ヒルシャーさん!」
「お休みのキスだ。さあ、お休み」
「・・・はい」
私はなんだか嬉しいのか恥ずかしいのか分らなくなって、
毛布を頭まで被った。
こんなこと初めてだ。眠れなくなったらどうしよう。

   <了>

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