無題(いびつな野菜型宇宙人) //クラエス,ラバロ
 //454// バレンタインデー&ホワイトデー //,Snippet/,General /4399Byte /Text //2004-02-15


無題(いびつな野菜型宇宙人)


ラバロの自室、読書をしていたと思われるラバロの前に立つクラエス。

「ラバロさん、これを・・・」 箱に間違えかねないぐらいの大きさの本を、そっと差し出す。

「なんだ?この本は」不思議そうに受け取るとやけに軽い為、もう一度クラエスに聞こうとすると

痛々しいほど顔を高潮させたクラエスが、しどろもどろの口調で「こっ、これはっ・・」

「・・うっ、受け取ってもらえるだけっで・・その・・」「おやすみなさいっ!」

 逃げるように退室したクラエスがいなくなった部屋で静寂の主となったラバロは

小さくやれやれと言った感じで首を振り、手の中のやけに軽い本を眺める。

 古い魔術書を思わせるデザインだがツルツルの印刷で出来た箱だった。

表紙と思わしき蓋を開くと、そこには歪な形のチョコレートがきれいに区分けされて入っている。

「やれやれ、あの子まで東洋の習慣に浮かれるとわな。」チョコをひとつ、掴み上げ近くでよく見る。

「野菜?」その野菜形チョコの縁には歪だが手と足を模した物が付いていた。

そして蓋の裏のポケットに小さなメッセージカードが挟まっているのに気付く。

クラエスらしい真面目な、そして相手を気遣う、ほんの2,3行のメッセージ。

少し優しい目になったラバロは手に持っていたチョコを口の中に放り込むとボリボリと噛み砕く。

「野菜型宇宙人め、こうしてやる」次のチョコをまた口に放り込み噛み砕く。

その夜、ラバロの静かな部屋には、いつもの本のページがめくられる音の他に

チョコレートを噛み砕く音が加わった。

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