朝鮮人戦時動員、いわゆる強制連行に関するウィキです。

このウィキでは、朝鮮人戦時動員について特に誤解が多いと思われる点、あまり理解されていない部分をなるべくわかりやすい形で説明することを目的に作成しています。そのため充分に論じきれていない部分も多々あります。そこでここでは、このウィキをきっかけにより深くこの問題について知りたいと思った方のために関連書やサイトをいくつか紹介します。


入門書


まずは読みやすさ、入手しやすさの面で手に取りやすいこの一冊から。

・「日韓 新たな始まりの20章」(板垣竜太、田中宏/岩波書店、2007)



これは「強制連行」についての本というわけではなく、「マンガ嫌韓流」などに代表される、いわゆる「嫌韓論」に対する反論・批評をおさめたもので、その中に外村大氏の「朝鮮人強制連行はなかったのか」という章も入っています。これは9ページほどですが、短く、わかりやすくまとまっています。また「強制連行」以外の章も非常に読みやすく、面白いので、日韓問題全般に関心のある方におすすめします。

研究書


朝鮮人戦時動員についての研究書と言えば、別のところでもしばしば言及している「朝鮮人強制連行の記録」(朴慶植/未来社、1965)があまりにも有名です。



現在の初学者にとって読みやすい本ではありませんし、またいくつかの統計数字などには後に誤りが指摘されたり朴氏自身が持論を改めた部分もあるので、注意して読む必要があります。しかし1960年代、大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国が対立する中での日韓の国交成立や、その中で在日朝鮮人がどのような立場にあったか、また当時、日本(旧日本帝国)による朝鮮半島の植民地支配というものが日本人と在日朝鮮人にそれぞれどのようにとらえられていたかを再確認するという意味で現在でも重要な意義があります。

・『金英達著作集II 朝鮮人強制連行の研究』(金英達/明石書店、2003)



2000年に亡くなった金英達氏の、「強制連行」に関する論文などを収録した遺稿集です。この本には入門書的な内容と専門的な内容が混じっていますが、その入門書的な部分だけ読んでも戦時動員のおおよその概要がつかめるようになっています。

余談ですが、この本の記述の一部が『』在日・強制連行の神話』(鄭大均/文春文庫、2004)で引用・紹介されているのですが、その引用・紹介の仕方が非常に偏っていて、まるで金英達氏が強制連行否定論者のように書いてあります。その辺りを確かめる意味でも是非手に取って頂きたい一冊。


・『朝鮮人戦時労働動員』(山田昭次、古庄正、樋口雄一/岩波書店、2005)



今のところ(2011年)、この分野に関する一番新しい研究書で、今までの研究を踏まえた非常に中身の濃い一冊です。また巷の否定論に対する反論もされています。

・『朝鮮人強制連行』(外村大/岩波新書、2012)



新書ですが、専門書と言ってよいほどの内容。先行研究を踏まえつつ、戦時中の日本の政治体制や状況を丁寧に明らかにしつつ、その中でなぜ現在「強制連行」と呼ばれる問題が起きたかを掘り起こしています。

証言集


朝鮮人戦時動員については多くの体験者の声が収集されています。こうした証言をまとめて読めるのが、次の二冊です。

「消された朝鮮人強制連行の記録―関釜連絡船と火床の坑夫たち」(林えいだい/明石書店、1989)

「百万人の身世打鈴(シンセタリョン)―朝鮮人強制連行・強制労働の『恨(ハン)』(東方出版、1999)



「消された〜」は主に九州の炭鉱を中心にして、動員体験者やその家族、日本人関係者の証言が収録されています。狭い範囲における調査であるため、同一の事柄について複数の人が証言している例もあります。

これに対して「百万人〜」はより広い範囲の証言が収録されています。戦前の皇民化教育によって「軍国少年」となった人々や、ハンセン病者として戦後も二重の差別を受けてきた人々の証言など、より広い範囲の証言が収録されています。

おすすめサイト


朝鮮人強制連行―その概念と史料から見た実態をめぐって―

朝鮮人強制連行―研究の意義と記憶の意味―

この二つは上の「日韓 新たな始まりのための20章」でも紹介した外村大氏(在日朝鮮人史)の論文です。

インタビュー 朝鮮人強制連行とは何か?/山田昭次

「強制連行はなかった」論と戦時下の朝鮮/樋口雄一

こちらの二つは戦後責任ドットコムより。「朝鮮人戦時労働動員」の執筆者のお二人がデータも交え、わかりやすく解説しています。

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