朝鮮人戦時動員、いわゆる強制連行に関するウィキです。

否定派の主張

金英達は「朝鮮人強制連行の記録」を「出所のはっきりしない統計数字が載せられている、いかがわしい方法で書かれた本」と批判している。このような本は信用できない。

反論

金英達も「朝鮮人強制連行の記録」を評価していた


1991年、金英達は「『朝鮮人強制連行』概念の再構成と統計引用における“フィギュア・ロンダリング”について」という論文(「金英達著作集II 朝鮮人強制連行の研究」に収録)で「朝鮮人強制連行の記録」など、先行の強制連行研究書において、一部の統計数字がいい加減に扱われていることなどを指摘・批判しました。このことは鄭大均「在日・強制連行の神話」(文春文庫・2004年)でも紹介されています。


しかし、金英達は「朝鮮人強制連行の記録」や強制連行研究そのものを否定したわけではありません。前述の論文でも「文中では、朴慶植先生をはじめ先学に対して批判めいた言葉も弄しているが、それはあくまでもそれぞれの時代における資料的な制約のもとでの研究に対し、現時点からみて訂正すべきことを指摘したまでである。私たちの研究そのものが、先学の業績を土台にしているのであり、さらにそれを発展させることが私たちの務めである。」と書いています(「金英達著作集II」p135)。また1994年の共同研究論文「朝鮮人戦時動員に関する基礎研究」でも朴慶植の業績を「先駆的研究」と評価しています(「金英達著作集II」p152)。


「在日・強制連行の神話」では、金英達による記述の一部を紹介し、あたかも強制連行否定論者であるかのように書かれていますが、彼は強制連行研究をより学問的に高めようとしたのであって、強制連行否定論に対しては非常に批判的な態度をとっていました。


金英達が指摘したように、「朝鮮人強制連行の記録」は資料が非常に乏しい中で書かれたもので、後に他の研究者によって誤りを指摘されたり批判された部分もあります。また、後に著者の朴慶植自身もそこに書かれた自説の一部を訂正したりもしました。しかし現在に連なる研究は朴慶植の「朝鮮人強制連行の記録」を基礎として発展したのであって、現在においても古典としての意義や重要性は変わらないと言えるでしょう。


参照
鄭大均「在日・強制連行の神話」を検証する(3)


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