朝鮮人戦時動員、いわゆる強制連行に関するウィキです。

山田昭次「筑豊炭田の朝鮮人強制連行」


つぎに、朝鮮人労働者の支配の方法にふれておきたい。結論を先にいえば、一部の朝鮮人に若干の特権を与えて彼らを支配機構の末端に組入れて、朝鮮人を支配させる方法がとられていたといえよう。すでに述べたように、一九四二年以降、連行するときから隊編成をとり、一部の朝鮮人を隊長・班長・組長等に任命している。隊長や班長は日本語のできる者を選んで任命した。日本語のできる者とは、普通学校卒業以上の学歴をもつものであり、そのような学歴をもちうるのは、自作農や小地主もしくはその子弟であろう。その意味で編成自体に小地主・自作―小作・貧農という朝鮮村落の階級構成が反映させられていたのではなかろうか。かれらに支配機構の末端を担わせるために、つぎのような特権が与えられた。たとえば、一九四二年七月二十二日、石炭統制会、鉱山統制会、その他二つの会は、厚生省の指示により、朝鮮人役付者の処遇方法について申し合わせを行ない、石炭山では一ヵ月の賞与として隊長には三五円以内、班長には八円以内、組長には三円以内を支給することを決定した。

(「朝鮮人強制連行論文集成」明石書店、p345)

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